継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 狙われたイザベル11 〜 ノア4歳、イーニアス5歳

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「めがみさま、あたちと、あそぼ!」

わたくしの足に捕まる、小さな女の子。

「ちがうよ! めがみさまは、ボクとあそぶの!」

その反対にはイーニアス殿下と同じくらいの男の子が。そして、

「めがみさま、テディのおしごとくれて、ありがとう、ございます」
「あのね、オーガごっこ、しよ?」

わらわらと周りに集まってくる子供たち。

ここは領都にある孤児院だ。
テオ様が帝都へと戻っていった翌日の今日、訪問したのだけど、馬車を降りた途端、可愛らしい襲撃にあったのよ!

まず、年少の子たちがわたくしにタックル(抱きついてきた)し、結構な衝撃に何事かと思ったら、あっと言う間に子供たちに囲まれたのだ。

そして現在、子供たちから「女神様」呼びをされているという不可解な状況にある。

「わたくしは女神様ではなくってよ??」
「? でもひろばに、めがみさまのぞうが、あるよ?」

やっぱり元凶はアレなのね!!

あのわたくしに激似の像を思い出して、震えていると……、

「……おかぁさま」

可愛い声が、馬車の中から聞こえてきたのだ。
孤児院の子供たちもその可愛らしい声に、馬車へ一斉に視線を送る。

「ノア、大丈夫よ。降りてらっしゃい」

馬車に向かって声をかけると、カミラと手を繋いだノアが、恐る恐る降りてきたのだ。

頬を赤く染めて、もじもじと孤児院の子供たちを見るノアは天使だった。

そう、今日は初めてノアを孤児院に連れて来たのですわ。護衛の人数と、妖精たち、そして影を付けるという条件でテオ様にも許可をいただいたのよ。

「わぁ、すっごくかわいい子が出てきた……」
「ようせいさまみたーい」
『ノア、アオといっしょ!! よーせー!!』
「かわいー!」
『そう!! ノア、いちばんかわいい!!』
『ノア、カワイーノー』

そうなのよ! ノアったら本当に可愛いの!

「さぁ、ノア、みんなにご挨拶しましょうね」
「はい……」

もじもじと、照れながら「はじめまちて……、ノア・きんばりぃ・でぃばいんでしゅ」とかみかみでご挨拶するノアに、みんなが集まってきて、「ノアちゃん、あそぼ!」と声をかけている。ノアはそれにはにかんで、子供たちに手を引かれながら孤児院の広場にかけていく。

あっという間に仲良くなって遊んでいますわ。

子供たちが鬼ごっこ……オーガごっこをしている様子を見ると、ほのぼのいたしますわね。

「あらあら、カミラはすぐ年少さんに捕まってしまいましたわ」
「……カミラは体力がありませんので」

ミランダが呆れたように呟く。

そういえば、この間体力作りに裏庭を走らせたら、スタート時から歩いているものだから注意したのだそうだ。その時、カミラが「歩いていませんっ! 本当に走っているんです」と泣きながらうったえられ、愕然としたのだとミランダがぼやいていましたわね。

というか、侍女の体力作りに裏庭を走らせるって、そんなことしていますの!? と思ったのが記憶に新しいのだけれど。

捕まったカミラがオーガ(鬼)役なるが、なかなか逃げる子供たちを捕まえられないとすぐに見抜いたのか、遊びをだるまさんが転んだに変更されているのを見た時、孤児院の子供たちの対応力の高さに感心してしまった。

「平和ですわね」
「……」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




テオバルド視点


ベルを狙っていた愚か者共は、キノコたちによって行動が筒抜けであった。

少し泳がせていれば、ベルに近付こうと行動を起こしたので、チロに奴らを脅すよう頼んでいたのだが、上手くやってくれたようだ。

今回は、キノコたちも良くやってくれた……気がしなくもない。

「何で上から物が降ってくるんだ!?」
「こんな所にロープなんて張られてなかっただろう!? これじゃあまるで、ゴーストがオレらを陥れようとしているみたいじゃないか!!」
「ヒィィィ!! も、物が消えたり現れたりしてるぞっ」
「誰か……っ、助けてくれ!!」

まぁ、こんな子供騙しで済ませる気はさらさらないがな。

覚悟しろ、愚か者共め───

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