心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

三月べに

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お試しの居場所編(後)

50 選んで買ってもらうばかり。(前半)

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 だめだ。数斗さんが欲張っている。私の物を買い漁りたいという変な欲で、散財。


 【※急募※数斗さんの物を貢ぐことを止める方法。散財がデートが始まる前からエンジン全開すぎるので、ブレーキをかける方法はなんでしょうか?】


 そう新一さんにメッセージを送りつけたけれど、どうなんだろう……。新一さん、すぐに返事くれるかな。
 それは杞憂で、間もなく、来た。

 【本気で怒れば? 昨日悪友にしたみたいに】

 ギョッとしてしまう。

 【初デートで怒ります!?】
 【そう言うと思った。だったら、自分の物を買わせるんじゃなくて、数斗の物を買わせるように誘導すれば】
 【……結局、お金が減りますね?】
 【金は使うものだ。使わせてやれ】
 【……わかりました。数斗さんの物に、お金を使わせてみます。ありがとうございます】

 初デートを台無しにするような本気で怒ることは出来ない。
 怒っているわけじゃなく、遠慮したいし抵抗があるのだ。

 もう私が月に自分自身に使うためのお金の金額は、デートが始まる前から余裕で超えている。そりゃあ、数斗さんは稼いでいるけれど、だからってそれを私のために浪費するのはどうかと……。

「あの、数斗さん」

 ランジェリーショップを出たところで、私は次に入ろうとする店を探す数斗さんの手を軽く引いた。

「ん?」
「数斗さんは、欲しい物ないのですか?」
「欲しい物?」
「はい。何か買い換えたいとか……せっかくショッピングモールに来たんですから、数斗さんだって欲しい物はあるんじゃないですか?」
『今一番欲しいのは、七羽ちゃんだけなんだけどなぁ……正式な恋人になりたい』

 それは物ではありませんね。欲しいって言わないでください。

 数斗さんは、首を傾げて考えた。

「数斗さんも、衣替えで夏服を買うとか」
「んー、間に合ってるけれど……まぁ、一着や二着買っておこうかな」
「ホントですか! じゃあ、私も一緒に選んでいいですか?」
「もちろんだよ。七羽ちゃんが選んでくれる服を着たい」
『七羽ちゃんが選んでくれるなら、何着でも買う』

 嬉しそうなにこにこの笑みになる数斗さんに、とりあえず、自分の服を買わせる方向に持っていけたので、密かに胸を撫で下ろす。
 でも、私が選んだからって、何着も買うのはやめていただきたい……例え、あなたの服だとしても。

 ふと、横を見れば、ガーリー系のファッションショップのショーウィンドウに、可愛いワンピースが飾られていた。ひらりとフリルを胸元と半袖のあしらって、涼しげな水色のハイウエストのスカートデザインのワンピース。可愛いなぁ。
 なんて、思っていれば、数斗さんが方向転換して、その店に向かい出す。

「なんで!?」
「七羽ちゃんが見てたから」
「うっ! でも、数斗さんの服をって!」
「なら、七羽ちゃんの服も買わないと」
「どういう理屈です!?」

 散財額が増えただけ!? 悪化した!?

 私の好みの物は、多かったけれど、着たいとは別物だとなんとか説得して止めた。

 それでも、二着は似合うと押し切られて、試着して見せれば、数斗さんがかなり喜んで褒めてくれたので、ノーとは言えなくなってしまったので、買ってもらうことになってしまう。

 だめだ。私の表情。頼むから、好みだって、顔に出さないで……。
 気を付けよう。

「あ。俺の服、ここで見ていい?」
「はい、どうぞ」

 数斗さんが足を運んだのは、高級ブランドだと私も知っているファッションショップだった。

 私は、二択に悩んだ。

 ここでは少なく買わせるべきか……。
 私に使った分くらいの額に近付けるために、たくさん買わせるべきか……。

 使うお金を最小限に留めるか。
 いっそ、数斗さん自身のために多額に使わせるべきか。

『すごく難しそうな顔で悩んでいるな』

 数斗さんが私の様子を気にしているけれど、私と一緒に服選びをする。

「……数斗さん。このストライプのワイシャツはどうですか?」
「似合う?」

 手に取って、数斗さんの身体に合わせて確認。

 数斗さんの意見を聞いているのですが。

 肩を押して、壁の鏡に立たせて、見てもらった。それでも、数斗さんは私の意見を優先する。

「爽やかでいいと思います、似合うと思いますよ」

 夏用だから、通気性もあって、涼しいだろうし、細い水のストライプ柄。
 その生地の薄さを確認したついでに、値札を見て、そぉーっと元に戻そうとした。

 数斗さんは、阻止。ひょいっと奪い取った。

 まだ迷っている。
 お金を使わせるべきか、私より金額を上回らせるか。

 数斗さんの手は塞がってしまうので、一人の男性店員さんに付き添ってもらい、持ってもらった。

「あ。このベスト、かっこいいですね」

 マネキンに着せた半袖のワイシャツと黒のベスト。気品があって、いい。

「こちらの商品となります」と、店員さんはサッとハンガーにかかったベストを差し出してくれた。

「買う」
「まだ合わせてませんが!?」
『七羽ちゃんがかっこいいって言うなら着こなす』

 せめて、合わせて確認して!
 迂闊に”かっこいい”も言えないな!? ここは高級ブランドだけあって、洗練されたデザインなんだもん!

 イケメンのコーデ選びとか、初めてで楽しいんだもん!
 弟のを適当にお手軽価格のファッションブランドショップで買うのとは、別次元だもの!

「数斗さんが、いけないことを教えてくる……」
『!? 言い方!』『いかがわしい言い方!』
「こんな楽しいことを覚えたら、戻れない……」
『『いかがわしい!』』

 ……男って…………はぁ。

「数斗さん、試着してから決めましょう? 私が洗練された高級ブランドショップで、お買い物する楽しさを覚えて、やめられなくなる前に」
「別にいけないことじゃないよね?」『別にいかがわしいことじゃないよね?』

 口に出した声と心の声が、絶妙に違うだと……!? なんて器用な人! びっくりした。

 いいからいいからと、私は背中を押しやった。

「……一人でどこかに行っちゃだめだよ? そこにいて?」
「もう。子ども扱いですか? 寂しがり屋ですか?」

 試着室に入る前に、過剰なほど心配の眼差しを向けられてしまい、苦笑い。
 ちゃんと目の前には、腰掛ける椅子があるので、荷物もそばに置いて、私は数斗さんの試着を待つことにした。


「そうだよ? 七羽ちゃんがいないと寂しいから」
『ずっと』
「そばにいてね」


 数斗さんは微笑んで、試着室のドアを閉じる。

 ずっと。そばにいてね。

 かなり強い心の声だった。
 心からの強い願いかな……。


 数斗さんの目がないこの隙に、私はブーティから足を抜く。

 んんー、ちょっと靴の中でズルッと滑らないように力を入れていたから、疲れてきちゃったな……。
 数斗さんが出てくるまで、ちょっとだけ休ませるために、踵部分に足を乗せる形でブーティの中に軽く置いた。

 出てきたとことで、サッと奥に足を入れてブーティを改めて履き直す。

「どうかな? 俺は気に入ったんだけど」
「わぁ……かっこいいです」

 想像以上にぴったりだ。今日の暗いグレーのズボンとはちょっと微妙だけれど、水色のワイシャツと黒のベストを着こなす数斗さんはとてもかっこよかった。


「あ。かっこよくて、素敵で、好きです」


 今日は、好きって言うことを、意識するんだ。言い直しておく。

「よかった」と、数斗さんは目を細めて微笑んだ。

「普通の白いシャツにも合わせやすそうですよね」
「そうだね。着回ししたいくらいには、気に入ったよ。このベスト」
「そうですか。よかったです」

 まぁ、マネキンが着ていたものが目について、かっこいいと選んだだけなんだけれど。
 ほっこり気分で、購入。
 うん……数斗さんが支払うんだけど……。金色のカードで、スマートに会計。その金色のカード……上限いくらなんだろう。知りたくないけど。

「あの。私も持ちますよ」
「だめだよ。そういう気配りなところ、本当に好きだよ、七羽ちゃん。でも、これくらいなら大丈夫。キツくなったら頼むから、その時はお願い」

 数斗さんが、荷物を全部持っている状態。店を出てから言うも、考える間もなく、断られてしまった。
 小さい袋は、大きい袋の中に入れて、持ち手を少なくしているけれど、重さは変わらない。


 
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