大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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バーでカクテルを

第388話、帰宅。そしてお土産

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 転移魔法で新居に戻ってきた。
 
「ただいまー」
「お帰りなさいませ、ご主人様」

 すると、まるで待ち構えていたようにシルメリアさんがいた。転移先は自宅リビングで、現れるのに兆候なんてものはないんだけど……さすがにミュディたちも驚いていた。
 
「た、ただいまシルメリアさん。あの、なんで帰ってくるってわかったの?」
「ご主人様ですので」
「そ、そっか。えーっと……あ、お土産とか、洗濯物とかあるんだ。さっそくだけど、いろいろお願いしてもいいかな?」
「かしこまりました」

 とりあえず、気にしないことにした。
 相変わらずシルメリアさんはすごいね、気配とか察知できるんだから!
 俺たちは洗濯物をシルメリアさんに渡し、荷物の整理をする。
 エルミナは、大量の酒瓶をカバンから出してご満悦だ。

「にしし~。今日はメージュたちと飲みまくるわよ!」
「お前な。明日にしろよ……帰ったばかりで疲れてるんじゃないのか?」
「バカ言わないでよ。せっかく買った天使のお酒なのよ? 帰ったらメージュたちと飲み会するって決めてたんだし、今日はメージュの家に泊るから。じゃーね!」

 エルミナは酒で膨らんだカバンを持って家を出た……村で最高齢のくせに行動が子供じみてるな。
 ローレライとクララベルも荷物を整理していた。

「私は明日、お土産を配りに行くわ。仕事は明後日からになってるから……ふふ、さすがに疲れたわ」
「あ、わたしも! 姉さま姉さま、明日は一緒にお土産配ろっ!」
「そうね。一緒に行きましょうか」
「うんっ!」

 仲良し姉妹は明日お土産配りか。
 たまには姉妹でのんびり過ごせばいいだろう。
 シェリーは少し考えこみ、カバンを持って立ち上がる。

「エルミナじゃないけど、あたしは今からお土産配ってくるわ。竜騎士たちがメインだし、アヴァロンも寂しがってると思うからね……そろそろ撫でてやらないと」
「はは。グリフォンに浮気したって知ったら食われたりしてな」
「バカなこと言わないでよ、バカお兄ちゃん」

 そう言って、シェリーは出ていった。
 さて、ミュディはというと……明らかに疲れていた。

「くぁぁ……あ、ご、ごめん」
「いや、いいよ。お前の反応が一番普通だと思う……疲れたよな」
「うん。でも、すっごく楽しい旅行だったよ。また行こうね」
「ああ。あ、そうだ。転移魔法を刻まないと」

 別荘に刻んだ魔法式と同じものをリビングに刻んでおく。疲れたし、実験は後でいいか。
 すると、シャーロットとマルチェラとメイリィがリビングへ入ってきた。

「「「お帰りなさいませ、ご主人様、奥様方」」」
「ただいま。さっそくで悪いけど、みんなを部屋に案内してやってくれ。疲れているようだし、お茶を淹れてやってくれ」
「「「かしこまりました。ご主人様」」」
「あれ? アシュトはどうするの?」

 ローレライが首を傾げた。
 俺は首をコキッと鳴らして言う。

「俺もお土産を配ってくるよ」

 まずは……子供たちかな。

 ◇◇◇◇◇◇

「にゃあ!」
「わん!」
「みゃう」

 外に出ると、庭で遊んでいた三人がいた。
 ミュアちゃん、ライラちゃん、ルミナだ。久しぶりに見たけど可愛いね。
 
「ご主人さま!! にゃうーっ!!」
「おにいちゃーん!!」
「みゃう……やっと帰ってきたか」

 ミュアちゃんが背中に飛びつき、ライラちゃんが腕をつかみ、ルミナが俺のお腹に頭をぐりぐりこすりつける。
 俺は三人を順番に撫でてやると、みんなほっこりした。
 ネコミミ、イヌミミがぴこっと動き、尻尾がごきげんに揺れている。
 ミュアちゃんを下ろし、ルミナを撫でながら言う。

「ただいま。なにか変わったことはあったかい?」
「にゃあ。ご主人さまが帰ってきたー」
「わぅぅ、お兄ちゃんに会えた!」
「みゃあ。おい、もっと撫でろ」
「あ、ルミナばっかりずるい! ご主人さま、わたしも撫でてー」
「わ、わたしも……」
「よしよし、みんな撫でるからな」

 この様子だと、村はとっても平和な時間が流れていたようだ。
 ライラちゃんのイヌミミを揉み、ミュアちゃんとルミナの顎を撫でる。

「ごろごろ……」
「ごろろ……」
「あ、そうだ。みんなにお土産があるんだ」

 顎を撫でるのをやめ、カバンからお土産を取り出しみんなに渡した。
 
「にゃあ……ぬいぐるみ! ネコだぁ!」
「わぅぅん! かわいいー!」
「……クロネコ。ま、まぁもらっておいてやる。みゃう」

 三人はぬいぐるみをしっかり抱きしめ、互いに見せ合っていた。
 喜んでくれたようで何よりだ。

 ◇◇◇◇◇◇

 それから、村を回ってお土産を渡した。
 アセナちゃんとコルンちゃんにぬいぐるみを渡し、ウッドやマンドレイク、アルラウネたちに栄養剤を渡す。
 フンババとベヨーテに栄養剤を渡したらめっちゃ喜んでたな。
 薬院でフレキくんとエンジュにもお土産を渡し、カバンの中が軽くなってきたところで、デーモンオーガ一家のいる解体場へ向かう。
 解体場では、デーモンオーガ両家が仕事をしている最中だった。

「あ、おにーたんなの!」

 最初に気付いたのがエイラちゃんだ。というかエイラちゃん、ミュディが作った『どこでもネコミミ』を付けてる……可愛いな。
 バルギルドさんが巨大ナタを担ぎ、ディアムドさんは魔獣の骨を担いでいた。
 アーモさんとネマさんが飛び散った血を掃除し、ノーマちゃんがシンハくんの頭を掴み説教……シンハくん、ノーマちゃんにいたずらして怒られてた。
 キリンジくんは俺のところへ来て頭を下げ、エイラちゃんと手をつなぐ……あれ、なんか顔が赤いな。

「お、お帰りなさい村長。旅行どうでしたか?」
「う、うん。楽しかったよ……なんか顔赤いけど、キリンジくん」
「い、いえ……なんでも」
「? ま、まぁいっか。あの、お土産を持ってきたんだ。はい、エイラちゃん」
「わぁぁ! ぬいぐるみなの! ありがとうなの!」

 エイラちゃんにドラゴンのぬいぐるみを渡すと、ぎゅっと抱きしめて喜んでくれた。
 すると、顔を腫らしたシンハくんが俺の元へ。ノーマちゃんも一緒だけどそっぽ向いてる。

「そんひょうそんひょう、おれにふぁ?」
「あ、あの、シンハくん? 顔めっちゃ腫れてるけど……怪我したなら薬を」
「らいじょーぶ。で、おみやげ」
「あ、うん」

 何を買おうか迷ったので、二人には天空都市にしかいない『白キャリブー』という白いウシの肉を渡す。丸焼きで食べるのがいいと教えてもらった。
 ノーマちゃんには甘い果実酒の詰め合わせだ。ノーマちゃんもお酒をちょっぴり飲み始めたって言うし、こういうのもいいだろう。
 お土産を渡し終え、改めて聞く。

「あの、本当に何があったの? キリンジくんもノーマちゃんも」
「「……」」

 すると、シンハくんが言う。

「いやー、ちょっといたずらしたら姉ちゃんマジでキレちゃってさ。謝ったのに許してくれねーんだよ」
「いたずら?」
「うん。ちょっと後ろから驚かしてやったら大げさに驚いちゃってさ、おれにぶつかったせいで胸当てがぽろーんって外れちゃったんだよ。それを見たキリンジ兄が「やめろシンハのバカ!!」おぶへっ!?」

 シンハくんはノーマちゃんにぶん殴られて吹っ飛んだ。
 ああ、そういうことね。
 デーモンオーガの皆さん、けっこう露出多いからな……バルギルドさんとディアムドさんなんて上半身裸だし、ノーマちゃんも胸当てと短いパンツしか履いてない。
 俺も深く聞かず、バルギルドさんたちの元へ。するとアーモさんとネマさんがニヤニヤしてた。

「ま、これでキリンジもノーマを意識するんじゃない? ね、アーモ」
「そうね。ふふ、若いわねぇ」
「……むぅ」
「オレにはわからん」

 バルギルドさんとディアムドさんは首を傾げる。
 とりあえず、カバンからお酒の瓶を出した。

「あの、お土産です。天空都市産のお酒、酒精が強いのを選びました。皆さんで召し上がってください」
「……すまんな」
「ああ。感謝する、村長」
「ふふ、ほんとありがとね、村長!」
「気の利くいい子ねぇ、感謝感謝!」

 お酒は喜ばれたようだ。
 ノーマちゃんとキリンジくんは気になったが、とりあえず木に激突して気を失っているシンハくんの治療をしなきゃな。
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