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オーベルシュタイン、二度目の冬
第428話、冬のミュディ
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「ん……寒い」
「んん~……」
冬の寒い朝。
ミュディは自室のベッドで目を覚ます……ベッドにはクララベルも一緒にいた。
クララベルは、自室で寝るより他の人のベッドで寝ることが多い。最初の頃はローレライと一緒に寝ていたが、最近はミュディやシェリー、アシュトと寝ることが多かった。
ミュディは、クララベルの頭を撫でる。
「クララベルちゃん、朝だよ」
「ん~……ミュディ? おふぁよぉ」
「おはよう。さ、着替えて朝ご飯にしよう」
「ん~」
ミュディは素早く着替え、自分の髪を櫛で整える。
未だに寝ぼけ気味のクララベルの着替えを手伝い、鏡の前に座らせて髪を梳かした。
実はミュディ、この瞬間がたまらなく好きなのである。
自分の髪より、誰かの髪を梳かしたり結ったりするのが好きだった。
「クララベルちゃん、三つ編みにしていい?」
「いいよ~……くぁぁ」
欠伸をするクララベルの髪を三つ編みに結う。
櫛を通さなくてもサラサラな白髪は触っていて気持ちいい。当の本人であるクララベルは『姉さまが伸ばしているからわたしも伸ばした!』くらいの認識で髪を伸ばしている。なのであまり髪型に興味がない。
ミュディの部屋で寝た翌日はクララベルの髪型がいつのもストレートではない。
「できた。ふふ、今日は緩い三つ編みでーす」
「おお~!」
緩めに結った三つ編みはクララベルによく似合っている。
ようやく目が覚めたクララベルは、その場でくるりと回って三つ編みを揺らした。
「ありがと、ミュディ!」
「うん。じゃあ、朝ご飯行こっか」
「お腹へったー」
二人は仲良くダイニングルームへ。
三つ編みをみんなに褒められ、クララベルはとっても上機嫌だった。
◇◇◇◇◇◇
朝食後、ミュディはライラと手をつないで職場である製糸場へ。
製糸場には魔犬族の少女たち、悪魔族と天使族、帰省せず村に残ったアラクネー族が数名だ。
その中には、分厚いセーターとニット帽をかぶった少女、アラクネー族のアンナがいた。
「おはよー、アンナちゃん」
「わん。アンナ、おはよう」
「ライラ、ミュディさん。おはよう」
アラクネー族とゴルゴーン族は寒さに弱い。
ゴルゴーン族は下半身が蛇なので習性も蛇に似ている。村にいたゴルゴーン族は故郷に帰省した。どうやら冬眠に入るらしい。
アラクネー族も寒さに弱く、冬眠こそしないが家にこもり切りだ。大半のアラクネー族は帰省したが、何人かは村に残り、防寒対策をして仕事をしている。
最初は蜘蛛の下半身が怖いとアンナを避けていたライラだが、今はとっても仲良しだ。
「ミュディさん、今日の仕事は……」
「うん、ディミトリ商会に卸す商品だね。防止にマフラー、靴下かな」
「わかりました」
すると、従業員の天使や悪魔たちがぞろぞろ入ってきてミュディに挨拶した。
全員揃い、今日の仕事内容を説明。簡単なミーティングを終え、さっそく仕事に取り掛かる。
今や、『ミュディ・ブランド』は村の大事な産業だ。
ちなみに、ミュディの生市場は個人にノルマを与え、そのノルマを終えた者は自分で好きな物を作っていいという決まりがある。
半日ほどで終わるノルマだ。ノルマを終えたライラは自分の荷物から編みかけの毛糸を取り出した。
「わぅぅ~ん♪」
「ライラ、何を作ってるの?」
アンナが聞くと、ライラは嬉しそうに答えた。
「えへへ。毛糸のぱんつ! ミュアとルミナとー、マンドレイクとアルラウネとー、わたしのぶん! 寒いときは毛糸のぱんつがあったかいって、エルミナが言ってたの」
「なるほど……ぱんつ、ですか」
「わうぅ。あ、アンナは履いてないね」
「はい……あ、温かいんでしょうか?」
アラクネー族は、上半身が人間で下半身が蜘蛛という種族だ。
本来は服を着ない種族で上半身なのだが、村に住む以上は胸を隠せという命令だ。なので、下着というものをよくしらない。
「じゃあ、アンナのも作るね!」
「え……い、いいの?」
「うん。じゃあ、サイズ計らせてね」
「は、はい」
ライラはメジャーを取り出し、アンナの下半身のサイズを測る。
足が八本なので下着を通す穴は八つだとか、通すのが大変なので履くのではなく着るようにすればいいとか、アンナと二人で相談しながらデザインをする。
「……ふふっ」
そんな二人を見て、ミュディは優しく微笑んだ。
◇◇◇◇◇◇
仕事が終わり、ライラはアンナと一緒に帰った。
今日はアンナ家でお泊りするらしい。どうもぱんつがどうのこうのと喋っていたようだ。
ミュディは、一番最後に製糸場を出て鍵を閉める。
「ん~……っ、今日も疲れたぁ」
大きく背伸びをして歩きだすと……目の前に見知った人が。
「あ、エルミナー!」
「ん、ミュディ! お疲れ、仕事終わり?」
「うん。エルミナも終わり? 一緒に帰ろ」
「ええ。帰ったらお風呂行きましょ……なーんか疲れたわ」
エルミナは首をコキコキ鳴らした。
けっこう疲れているようだが、すぐに笑顔になる。
「そうだ。ねぇミュディ、今日みんな誘ってさ、バーでお酒飲まない?」
「あ、いいね。それなら、アリューシア様をお誘いしてもいいかな」
「アシュトのお母さんでしょ? もちろん……やっぱアシュトなし、女だけで飲みましょ! ローレライとクララベルとシェリーと……あ、シルメリアたちも誘ってさ!」
「面白そう! でも、アシュト、かわいそうかも」
「大丈夫だいじょーぶ。アイゼンと飲めばいいわよ」
「……そうだね」
なんとなく、ミュディは納得した。
それに、女だけでする飲み会が楽しみだった。
「あ、そういえばさ、メージュたちが森に入って狩りをしに行ったらしいんだけど……」
「どうしたの?」
「んー、なんか変な風だったって。アシュトに伝えた方がいいって言ってたわね」
「……風?」
「うん。私らハイエルフは風を読んだりするのが得意だからね。メージュ曰く、森の風がおかしいって」
「……なんだろう。大変なことなのかな?」
「さぁね。でもま、村に害はなさそうだから安心しなよ」
「う、うん」
だが……この『風』の正体が、久しぶりの来客に繋がることになるとは、エルミナもミュディも気付くことはなかった。
「んん~……」
冬の寒い朝。
ミュディは自室のベッドで目を覚ます……ベッドにはクララベルも一緒にいた。
クララベルは、自室で寝るより他の人のベッドで寝ることが多い。最初の頃はローレライと一緒に寝ていたが、最近はミュディやシェリー、アシュトと寝ることが多かった。
ミュディは、クララベルの頭を撫でる。
「クララベルちゃん、朝だよ」
「ん~……ミュディ? おふぁよぉ」
「おはよう。さ、着替えて朝ご飯にしよう」
「ん~」
ミュディは素早く着替え、自分の髪を櫛で整える。
未だに寝ぼけ気味のクララベルの着替えを手伝い、鏡の前に座らせて髪を梳かした。
実はミュディ、この瞬間がたまらなく好きなのである。
自分の髪より、誰かの髪を梳かしたり結ったりするのが好きだった。
「クララベルちゃん、三つ編みにしていい?」
「いいよ~……くぁぁ」
欠伸をするクララベルの髪を三つ編みに結う。
櫛を通さなくてもサラサラな白髪は触っていて気持ちいい。当の本人であるクララベルは『姉さまが伸ばしているからわたしも伸ばした!』くらいの認識で髪を伸ばしている。なのであまり髪型に興味がない。
ミュディの部屋で寝た翌日はクララベルの髪型がいつのもストレートではない。
「できた。ふふ、今日は緩い三つ編みでーす」
「おお~!」
緩めに結った三つ編みはクララベルによく似合っている。
ようやく目が覚めたクララベルは、その場でくるりと回って三つ編みを揺らした。
「ありがと、ミュディ!」
「うん。じゃあ、朝ご飯行こっか」
「お腹へったー」
二人は仲良くダイニングルームへ。
三つ編みをみんなに褒められ、クララベルはとっても上機嫌だった。
◇◇◇◇◇◇
朝食後、ミュディはライラと手をつないで職場である製糸場へ。
製糸場には魔犬族の少女たち、悪魔族と天使族、帰省せず村に残ったアラクネー族が数名だ。
その中には、分厚いセーターとニット帽をかぶった少女、アラクネー族のアンナがいた。
「おはよー、アンナちゃん」
「わん。アンナ、おはよう」
「ライラ、ミュディさん。おはよう」
アラクネー族とゴルゴーン族は寒さに弱い。
ゴルゴーン族は下半身が蛇なので習性も蛇に似ている。村にいたゴルゴーン族は故郷に帰省した。どうやら冬眠に入るらしい。
アラクネー族も寒さに弱く、冬眠こそしないが家にこもり切りだ。大半のアラクネー族は帰省したが、何人かは村に残り、防寒対策をして仕事をしている。
最初は蜘蛛の下半身が怖いとアンナを避けていたライラだが、今はとっても仲良しだ。
「ミュディさん、今日の仕事は……」
「うん、ディミトリ商会に卸す商品だね。防止にマフラー、靴下かな」
「わかりました」
すると、従業員の天使や悪魔たちがぞろぞろ入ってきてミュディに挨拶した。
全員揃い、今日の仕事内容を説明。簡単なミーティングを終え、さっそく仕事に取り掛かる。
今や、『ミュディ・ブランド』は村の大事な産業だ。
ちなみに、ミュディの生市場は個人にノルマを与え、そのノルマを終えた者は自分で好きな物を作っていいという決まりがある。
半日ほどで終わるノルマだ。ノルマを終えたライラは自分の荷物から編みかけの毛糸を取り出した。
「わぅぅ~ん♪」
「ライラ、何を作ってるの?」
アンナが聞くと、ライラは嬉しそうに答えた。
「えへへ。毛糸のぱんつ! ミュアとルミナとー、マンドレイクとアルラウネとー、わたしのぶん! 寒いときは毛糸のぱんつがあったかいって、エルミナが言ってたの」
「なるほど……ぱんつ、ですか」
「わうぅ。あ、アンナは履いてないね」
「はい……あ、温かいんでしょうか?」
アラクネー族は、上半身が人間で下半身が蜘蛛という種族だ。
本来は服を着ない種族で上半身なのだが、村に住む以上は胸を隠せという命令だ。なので、下着というものをよくしらない。
「じゃあ、アンナのも作るね!」
「え……い、いいの?」
「うん。じゃあ、サイズ計らせてね」
「は、はい」
ライラはメジャーを取り出し、アンナの下半身のサイズを測る。
足が八本なので下着を通す穴は八つだとか、通すのが大変なので履くのではなく着るようにすればいいとか、アンナと二人で相談しながらデザインをする。
「……ふふっ」
そんな二人を見て、ミュディは優しく微笑んだ。
◇◇◇◇◇◇
仕事が終わり、ライラはアンナと一緒に帰った。
今日はアンナ家でお泊りするらしい。どうもぱんつがどうのこうのと喋っていたようだ。
ミュディは、一番最後に製糸場を出て鍵を閉める。
「ん~……っ、今日も疲れたぁ」
大きく背伸びをして歩きだすと……目の前に見知った人が。
「あ、エルミナー!」
「ん、ミュディ! お疲れ、仕事終わり?」
「うん。エルミナも終わり? 一緒に帰ろ」
「ええ。帰ったらお風呂行きましょ……なーんか疲れたわ」
エルミナは首をコキコキ鳴らした。
けっこう疲れているようだが、すぐに笑顔になる。
「そうだ。ねぇミュディ、今日みんな誘ってさ、バーでお酒飲まない?」
「あ、いいね。それなら、アリューシア様をお誘いしてもいいかな」
「アシュトのお母さんでしょ? もちろん……やっぱアシュトなし、女だけで飲みましょ! ローレライとクララベルとシェリーと……あ、シルメリアたちも誘ってさ!」
「面白そう! でも、アシュト、かわいそうかも」
「大丈夫だいじょーぶ。アイゼンと飲めばいいわよ」
「……そうだね」
なんとなく、ミュディは納得した。
それに、女だけでする飲み会が楽しみだった。
「あ、そういえばさ、メージュたちが森に入って狩りをしに行ったらしいんだけど……」
「どうしたの?」
「んー、なんか変な風だったって。アシュトに伝えた方がいいって言ってたわね」
「……風?」
「うん。私らハイエルフは風を読んだりするのが得意だからね。メージュ曰く、森の風がおかしいって」
「……なんだろう。大変なことなのかな?」
「さぁね。でもま、村に害はなさそうだから安心しなよ」
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