大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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クララベルの甘いお菓子屋さん

第463話、銀猫お菓子

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「にゃあ。ご主人さまー」
「ん、なでなで」
「ごろごろ……」

 ミュアちゃんを撫でる俺。
 この子は甘えん坊だなぁ……そこが可愛いんだけれど。
 俺が座っているのはソファで、その真向かいには三人の銀猫がいた。
 シルメリアさん、ナナミ、ミリカの三人だ。俺に用事があるとかで来たんだけど、ミュアちゃんが甘えだしたのである。
 ミュアちゃんを撫でながら、ミリカに聞いた。

「で、俺に話って?」
「は、はい。あのー……クララベル様のお菓子屋のことで」
「ああ、聞いてるよ。ミュアちゃんたちが接客するんだよね」
「はい。それで、今のお仕事から少し外れる許可をいただきたいんです」

 ナナミとミリカは、ベリー農園の仕事と、家事手伝いの仕事をしている。
 家事手伝いは、家事ができないドワーフの家に行って掃除をしたり、食事を作ったりする仕事だ。ディアーナによって村のマップが作られ、申請すれば『銀猫家事』を利用することができる。
 申請があった場所に銀猫が向かい、家事をやってくれるという仕事だ。
 するとナナミが控えめに言う。

「あ、あの……ベリー農園のお仕事は続けます。家事手伝いのお仕事から少し外れたいんです……」
「いいよ。シルメリアさん、いいかな?」
「はい。特に問題ありません。むしろ、私の方からもお願いしようと考えてました。ナナミ、ミリカ……お菓子屋、やってみたいのでしょう?」
「う……シルメリアさんにはお見通しか」
「はい……やってみたいです」
「ごろごろ」

 俺に甘えているミュアちゃんの喉が鳴る。
 ミュアちゃんに聞いてみた。

「ミュアちゃん。ミュアちゃんもお菓子屋さん、やりたいよね?」
「にゃあ。やりたいー……ごろごろ」

 ミュアちゃんの仕事は、俺の家での家事手伝いだ。
 そこに、お菓子屋さんの仕事が加わることになる。

「あーん。あたしもご主人様に甘えたいなー」
「わ、わたしも……」
「…………」
「にゃうー……ごろごろ」

 ミュアちゃんが羨ましいのか、ナナミがそんなことを言う。
 俺は手招きし、ナナミを呼んだ。

「ほら、おいで」
「にゃ!? い、いいんですか?」
「たまにはな。ナナミもおいで」
「にゃ、にゃう……」

 ナナミとミリカ。
 銀猫族の中では若手で、俺からすればシェリーと大差ない。
 それに、ネコミミが揺れるのは可愛い。触りたい気持ちもある。

「…………」

 さりげなーく、シルメリアさんが傍に擦り寄ってきた。

 ◇◇◇◇◇◇

 そのころ、クララベルはディアーナの元へ。

「では、商品は以上でよろしいですね? 価格は原材料の単価を元に、こちらで決めさせていただきます……けふっ」
「うん! よろしくねー!」

 クララベルは、自分が作れるお菓子をリストアップ。試作品を作りディアーナたちの働く役所に持って行った。
 ミュディから教わった物や、本に書いてあったレシピ、妖狐族の里で学んだレシピや、クララベルのオリジナルお菓子などが大量に並んだ。
 大量のお菓子に、ディアーナだけでhが対処できず、役所で働く文官たちに手伝ってもらった。
 思わぬお茶会に、役所で働く女性悪魔族は喜んだ。カーフィーのストックが全てなくなってしまったようだ。

「ねぇねぇ、美味しかった?」
「は、はい。けふっ……お、お腹がいっぱいです。夕飯はいりませんね」
「よかったー! えへへ。ディアーナってチコレートケーキ好きなんだね! 今度いっぱい作ってくるから!」
「は、はい。ありがとうございます……」

 天真爛漫な笑顔を振りまくクララベルは、とても可愛らしい。
 ニコニコしながら、自分の作ったお菓子が全て無くなったテーブルを見る。

「みんな、わたしのお菓子美味しいって食べてくれた……えへへ。本当にうれしい」

 ドラゴンロード王国にいた時、お菓子屋さんになるなんて言っても無理だったろう。
 立派な王族としてドラゴンロード王国のために勉強し、国を支えていかねばならない。それが父と母の望みだったが……今は、応援してくれている。

「ところで、お店の名前はどうされますか?」
「あ、名前……考えてなかった」
「何か、候補などあれば」
「んー……ディアーナは何か思いつく?」
「……私に聞くのですか?」
「うん! お兄ちゃん言ってた。ディアーナは名前を付けるの得意だ、って」
「……」

 ディアーナは、アシュトをちょっとだけ恨んだ。
 そして、少し考え込み、クララベルを見る。

「……クララベル様の龍名は、『白雪龍ブランシュネージュ・ドラゴン』でしたね? ならばそこから取って、『ブランシュネージュ』など如何でしょう?」
「ブランシュネージュ……いい、すっごくいい!! それに決めた!!」

 龍名。
 クララベルの、ドラゴンとしての名前だ。
 
「クララベル様の龍名を付けたのは……」
「おじいちゃん。今は隠居してオーベルシュタインのどこかに住んでるってパパが言ってた」
「……失礼ですが、お名前は?」
「えーっと、『真龍天帝エンシェント・ノウヴァ・ドラゴン』アンフィスバエナ。アンおじいちゃんってわたしは呼んでる。おばあちゃんは『聖母姫龍マザー・イデア・ドラゴン』ジルニトラ。ジルおばあちゃん」
「…………そ、そうですか」

 伝承にしか存在しないドラゴンの名前だ。
 神話七龍ほど有名ではないが、それでもドラゴンとして非常に格式の高い名前。
 
「えへへー、おじいちゃんとおばあちゃん、久しぶりに会いたいなー」
「……あ、会えるといいですね」
「うん! あ、パパにお願いしてみようかなぁ」

 クララベルは、ウキウキ気分でディアーナに言った。
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