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日常編⑯
第466話、お菓子屋さんの裏で
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お菓子屋ブランシュネージュは、大好評だった。
今まで村での甘味は、自分で作るか、銀猫たちに作ってもらうか、ディミトリの館で買うしかなかった。
ディミトリの館で買うにしても、あまり種類がないのでチコレートくらいしか買うのがない。ディミトリの館は今やカーフィー専門店なので、お菓子はあまり置いてないのだ。
そんな中誕生したのが、お菓子屋ブランシュネージュ。
お菓子専門店の名にふさわしく、様々な種類のケーキが置いてある。もちろんケーキだけじゃない。
ケーキだけでも十種類以上。しかも買ったお菓子は二階のカフェスペースで食べることができる。
カフェスペースも好評だった。
悪魔族や天使族、ハイエルフの女性たちに大人気だ。
ここまで人気になると、少し問題も出てくる。
「お兄ちゃん……忙しすぎて五人じゃ大変だよー……」
クララベルが、疲れた声で俺に言う。
ディアーナは想定していたのか、すぐに人員を確保して対処に当たらせた。
開店三日で従業員は倍の十名に増やし、二階のカフェスペースでの従業員とクララベルの補佐、一階の売り場専属とチームを分けた。
恐るべきはディアーナだ。
「実は、開店前から従業員を募集し、面接を行っていました。ベルゼブブの飲食店で働いた経歴を持つ悪魔族に募集をかけたところ、五十名以上が応募してきまして……私の判断で面接を行い選びました」
ブランシュネージュに採用されたのは、若いが経験豊富な女性悪魔だ。
人懐っこいクララベルとすぐに打ち解けた。今は共に働く仲間として信頼し合っている。
もちろん、仕事なので無給ではない。
三十日に一度、お給料が発生する。
ナナミやミリカは自分でお金を管理するが、ミュアちゃんのお給料はシルメリアさんが管理することになった。いちおう、何日か一度にお小遣いを渡すようだ。
こうして、お菓子屋ブランシュネージュの経営は軌道に乗った。
クララベルも、毎日楽しそうに出勤している。
開店祝いにガーランド王とアルメリア王妃が挨拶に来た時なんて、すっごく興奮していたからな。仕事が楽しくて仕方ないみたいだ。
さて、お菓子屋さんの準備で忙しかったが……開店準備をしていたのはここだけじゃなかった。
◇◇◇◇◇◇
ある日の夜。
俺はエルミナを連れ、村はずれにある小さなバーにやってきた。
外観はこじんまりしており、一見すると物置小屋にしか見えない。だが、煉瓦造りの立派な小屋などあまりないし、看板がかけられた小屋なんてない。
「ここ、なに?」
「バーだよ。アーモさんとネマさんが経営してるんだ」
「へぇ~……知らなかった」
「はは。今の話題はお菓子屋ブランシュネージュだからな。それに、アーモさんとネマさんも話題になるのを嫌がって、わざと同じタイミングで開店したんだよ」
「ってか、目立たないわね……窓も小さいし、明かりもないから見落としちゃいそう」
「それが狙いなんだ。さ、入るぞ」
ドアを開けると、チリンチリンとベルが鳴る。
「あら、いらっしゃい」
「ようこそ、村長にエルミナ」
ラフなドレスを着たアーモさんとネマさんだ。
「お客様第一号は村長ね」
「さ。座って」
カウンター席に座ると、ネマさんがウェルカムドリンクを出してくれる。
エルミナと乾杯し、一気に飲み干した。
「ん、これ……果実水」
「お腹の準備運動、ね」
アーモさんがエルミナに言う。
俺は、店内を見まわした。
「いい雰囲気ですね……」
「ええ。村長の家にあるバーを元にしたのよ」
煉瓦造りの室内。
カウンター席が四席、円卓の二人掛けが二席だけのバーだ。
カウンター側の壁には大量の酒が並んでいる。店内は薄暗く、キャンドルの光がいい雰囲気を醸し出す。
エルミナは気に入ったのか、肘を付いていた。
「いいところね……ここ、一人で飲むのにいいかも」
「それが狙いだからな。そうですよね、アーモさん」
「ええ」
ブランシュネージュ以外にも、食堂やバーが何軒かオープンした。
そこは、大衆食堂みたいに賑わいながら食べる場所、飲む場所なので、どうしても騒がしくなってしまう。
一軒くらい、こういう静かな店があってもいいんじゃないかということで、アーモさんとネマさんが提案したのがこのバーだ。
「今頃、ドワーフやサラマンダーたちは、大衆食堂で大盛り上がりしてるんじゃない?」
ネマさんが、グラスを磨きながらクスっと笑う。
今日は開店日ということで、飲み放題なのだ。店の規模もかなり広いし、今頃宴会になっているだろう。
「ところで、なんで私を連れてきたの?」
「ん? そりゃ、お酒といえばエルミナだからな。アーモさんとネマさんのカクテル、飲んでみたいだろ?」
「へぇ……アシュトにしては気が利くじゃない。あんたの奢りよね?」
「もちろん。さ、遠慮しないで飲めよ」
「当然!」
「あ、でも騒ぐなよ。厳粛に、厳かに飲むのが決まりだからな」
「当たり前でしょ! さすがの私もわきまえるわよ!」
俺とエルミナは酒を注文し、おつまみに出てきたイモリの素焼きを齧る。
イモリの素焼き、最初は驚いたけどけっこう美味い。
俺はセントウ酒、エルミナは清酒のグラスを持ち、軽く合わせた。
「乾杯」
「かんぱい! ん~お酒おいしい」
「エルミナ、ここのバーのこと、あんまり広めるなよ?」
「んふふ。わかってるわよ……私とアシュトだけ、ってのもよくない?」
「……まぁ、それもいいか」
もう一度グラスを合わせ、俺たちは酒を楽しんだ。
今まで村での甘味は、自分で作るか、銀猫たちに作ってもらうか、ディミトリの館で買うしかなかった。
ディミトリの館で買うにしても、あまり種類がないのでチコレートくらいしか買うのがない。ディミトリの館は今やカーフィー専門店なので、お菓子はあまり置いてないのだ。
そんな中誕生したのが、お菓子屋ブランシュネージュ。
お菓子専門店の名にふさわしく、様々な種類のケーキが置いてある。もちろんケーキだけじゃない。
ケーキだけでも十種類以上。しかも買ったお菓子は二階のカフェスペースで食べることができる。
カフェスペースも好評だった。
悪魔族や天使族、ハイエルフの女性たちに大人気だ。
ここまで人気になると、少し問題も出てくる。
「お兄ちゃん……忙しすぎて五人じゃ大変だよー……」
クララベルが、疲れた声で俺に言う。
ディアーナは想定していたのか、すぐに人員を確保して対処に当たらせた。
開店三日で従業員は倍の十名に増やし、二階のカフェスペースでの従業員とクララベルの補佐、一階の売り場専属とチームを分けた。
恐るべきはディアーナだ。
「実は、開店前から従業員を募集し、面接を行っていました。ベルゼブブの飲食店で働いた経歴を持つ悪魔族に募集をかけたところ、五十名以上が応募してきまして……私の判断で面接を行い選びました」
ブランシュネージュに採用されたのは、若いが経験豊富な女性悪魔だ。
人懐っこいクララベルとすぐに打ち解けた。今は共に働く仲間として信頼し合っている。
もちろん、仕事なので無給ではない。
三十日に一度、お給料が発生する。
ナナミやミリカは自分でお金を管理するが、ミュアちゃんのお給料はシルメリアさんが管理することになった。いちおう、何日か一度にお小遣いを渡すようだ。
こうして、お菓子屋ブランシュネージュの経営は軌道に乗った。
クララベルも、毎日楽しそうに出勤している。
開店祝いにガーランド王とアルメリア王妃が挨拶に来た時なんて、すっごく興奮していたからな。仕事が楽しくて仕方ないみたいだ。
さて、お菓子屋さんの準備で忙しかったが……開店準備をしていたのはここだけじゃなかった。
◇◇◇◇◇◇
ある日の夜。
俺はエルミナを連れ、村はずれにある小さなバーにやってきた。
外観はこじんまりしており、一見すると物置小屋にしか見えない。だが、煉瓦造りの立派な小屋などあまりないし、看板がかけられた小屋なんてない。
「ここ、なに?」
「バーだよ。アーモさんとネマさんが経営してるんだ」
「へぇ~……知らなかった」
「はは。今の話題はお菓子屋ブランシュネージュだからな。それに、アーモさんとネマさんも話題になるのを嫌がって、わざと同じタイミングで開店したんだよ」
「ってか、目立たないわね……窓も小さいし、明かりもないから見落としちゃいそう」
「それが狙いなんだ。さ、入るぞ」
ドアを開けると、チリンチリンとベルが鳴る。
「あら、いらっしゃい」
「ようこそ、村長にエルミナ」
ラフなドレスを着たアーモさんとネマさんだ。
「お客様第一号は村長ね」
「さ。座って」
カウンター席に座ると、ネマさんがウェルカムドリンクを出してくれる。
エルミナと乾杯し、一気に飲み干した。
「ん、これ……果実水」
「お腹の準備運動、ね」
アーモさんがエルミナに言う。
俺は、店内を見まわした。
「いい雰囲気ですね……」
「ええ。村長の家にあるバーを元にしたのよ」
煉瓦造りの室内。
カウンター席が四席、円卓の二人掛けが二席だけのバーだ。
カウンター側の壁には大量の酒が並んでいる。店内は薄暗く、キャンドルの光がいい雰囲気を醸し出す。
エルミナは気に入ったのか、肘を付いていた。
「いいところね……ここ、一人で飲むのにいいかも」
「それが狙いだからな。そうですよね、アーモさん」
「ええ」
ブランシュネージュ以外にも、食堂やバーが何軒かオープンした。
そこは、大衆食堂みたいに賑わいながら食べる場所、飲む場所なので、どうしても騒がしくなってしまう。
一軒くらい、こういう静かな店があってもいいんじゃないかということで、アーモさんとネマさんが提案したのがこのバーだ。
「今頃、ドワーフやサラマンダーたちは、大衆食堂で大盛り上がりしてるんじゃない?」
ネマさんが、グラスを磨きながらクスっと笑う。
今日は開店日ということで、飲み放題なのだ。店の規模もかなり広いし、今頃宴会になっているだろう。
「ところで、なんで私を連れてきたの?」
「ん? そりゃ、お酒といえばエルミナだからな。アーモさんとネマさんのカクテル、飲んでみたいだろ?」
「へぇ……アシュトにしては気が利くじゃない。あんたの奢りよね?」
「もちろん。さ、遠慮しないで飲めよ」
「当然!」
「あ、でも騒ぐなよ。厳粛に、厳かに飲むのが決まりだからな」
「当たり前でしょ! さすがの私もわきまえるわよ!」
俺とエルミナは酒を注文し、おつまみに出てきたイモリの素焼きを齧る。
イモリの素焼き、最初は驚いたけどけっこう美味い。
俺はセントウ酒、エルミナは清酒のグラスを持ち、軽く合わせた。
「乾杯」
「かんぱい! ん~お酒おいしい」
「エルミナ、ここのバーのこと、あんまり広めるなよ?」
「んふふ。わかってるわよ……私とアシュトだけ、ってのもよくない?」
「……まぁ、それもいいか」
もう一度グラスを合わせ、俺たちは酒を楽しんだ。
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