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日常編⑯
第468話、春最初の釣り
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「アシュト! 釣りに行くわよ!」
と、エルミナが俺の部屋に怒鳴り込んできた。
手には愛用の釣り道具セットが握られ、輝かんばかりの笑みを浮かべている。
俺はため息を吐き、読んでいた本を机の上に置く。
「釣りって……いきなりだな、おい」
「今日休みでしょ? 薬院でエンジュが言ってたわよ」
「まぁ休みだけど……たまにはのんびり読書でもって思ってたんだけど」
「のんびりするなら釣りでもいいでしょ! アスレチックのある湖に大物がいっぱいいるのよ! シレーヌとエレインが自慢してくやしいー!」
「お、おお……」
「じゃ、着替えて。濡れてもいい恰好ね」
「え、行くの決定……?
「あーもう! 男ならグチグチ言わないの! ほら着替え着替え!」
「わ、わかったから脱がそうとするなっ!」
というわけで、俺の休日は釣りとなった。
◇◇◇◇◇◇
さて、着替えて荷物を持って出発……。
「にゃあ」
「みゃう」
「ん……あれ、二人とも。今日はお休み?」
ミュアちゃんとルミナがリビングにいた。
ミュアちゃんはお絵描き、ルミナは読書をしている。
俺の格好が気になったのか、ミュアちゃんが言う。
「ご主人さま。どこか行くの?」
「うん。ちょっとエルミナと一緒に釣りにね」
すると、ルミナがぱたんと本を閉じ、俺に身体を擦り付けてきた。
一通り擦り付けて満足したのか、傍に置いてあったカバンを背負う。
「みゃう。あたいも行く」
「にゃう! わたしも行くー!」
「いいよ。じゃあミュアちゃん、準備しておいで」
「にゃあー」
ミュアちゃんが使用人邸に走り出した。
俺とルミナは外へ。するとエルミナとウッドがいた。
「あれ、ルミナ?」
「あたいも行く」
「うんうん! じゃあ姉妹で釣りね!」
「姉妹じゃないし! みゃあ!? 触んなー!!」
エルミナがルミナに抱きついて頬ずりする。一字違いだからってルミナを妹みたいに可愛がってるんだよな……当の本人は嫌がってるけど。
俺は二人を置いてウッドに話しかける。
「ウッド、今日はいっぱい釣ろうな」
『ツリ、タノシミ! ウッド、イッパイツル!』
「うん。じゃあ一緒に頑張ろう!」
『オー!』
「にゃあ。お待たせー!」
ニコニコアザラシのリュックを背負ったミュアちゃんが来た。
俺に甘えるように飛びついてきたので、ネコミミを揉むように頭を撫でる。
「よし! じゃあ行くわよ!」
「ああ。なんだかんだ言っても楽しみになってきた」
『イッパイツル!』
「にゃうー!」
「みゃう! 離せー!」
俺たちは、久しぶりの釣りに出発した。
◇◇◇◇◇◇
釣り場こと、アスレチック場に到着した。
冬の間は雪が積もって来れなかったが、雪がなくなると同時に銀猫たちが掃除してくれた。
おかげで、休憩所のログハウスも桟橋も綺麗になってる。
俺は、アウグストさんに作ってもらった、金属製の折り畳み椅子を持って桟橋へ。ルミナはエルミナに連れて行かれたので、ミュアちゃんとウッドの三人で並んで座る。
釣り道具。実はアウグストさんに作ってもらった自前のがある。餌のミミズはエルミナが大量に捕まえていたので困らない。
ミュアちゃんたちの道具もエルミナが準備し、ウッドは自分の指先から細い根を出した。
「にゃう。釣る!」
「うん。いっぱい釣ろうね」
『ガンバル!』
さっそく餌を取り付け、湖に向かって投げた。
ミュアちゃんも真似して投げ、ウッドは指先の根を桟橋の真下にチャポンと落とした。
あとは座ってのんびり待つだけ───と、椅子に座ろうとした時だった。
「にゃう。引いてるー!」
「え、もう!?」
椅子に座ろうとした瞬間だったのでズッコケそうになった。
俺とミュアちゃんが竿を引いていると、ウッドも反応する。
『キタ!』
「ウッドもか!? はは、いきなり三人ともか……っく、重い……っ!!」
アタリが来たのはいいが、重い。
俺は桟橋の上で踏ん張り、必死にこらえていた。
すると、ミュアちゃんが竿をくいッと引く。
「にゃうっ!!」
竿を思い切り引くと、水面からザバッと黒い魚が飛び出した。
ウッドも同じように引くと、黒い魚が。
「うおりゃぁぁぁっ!!」
俺も思い切り引く。すると、黒い魚……おいおい、三人とも同じ魚が釣れた。
ミュアちゃんのが一番大きく、次にウッド、そして俺の順に大きい。
桟橋に並べて魚を見ると……妙な魚だった。
「なんだこれ……変な顔してるな」
びちびちする魚は、上部が黒く下部は白い。
ヒレが発達し、顔は丸くヒゲみたいな触手が生えていた。
しかも、けっこう泥臭い。
「なんだこれ……?」
「お、釣れたわね! クロナマズ!」
「……クロ、ナマズ?」
ルミナとエルミナも、同じような魚を抱えていた。
まさか、五人とも同じ魚とは……これ、偶然か?
すると、エルミナが説明する。
「クロナマズ。春先になると大量発生するのよ。しかもこいつ、肉食で他の魚とか食べちゃうから、定期的に釣って数を減らさないといけないのよ」
「そうなのか?」
「うん。ハイエルフの里では春になると狩りを何日かお休みしてクロナマズ釣りをするの。けっこう大変だけど、このクロナマズ、泥を吐かせてちゃんと下処理すればすっごく美味しいのよ! 見は真っ白でプリプリしてるし、すりつぶして焼いたり固めたりすれば、お酒のいいおつまみになるの!」
「……お前、それが目的か。ってか去年はやらなかったのな」
「やったわよ。あんたは忙しそうだったから言わなかっただけ。釣ったのはおじいちゃんのところに送ったわ」
「そうだったのか……」
知らなかった。
俺はクロナマズをつつく……うん、ぷにぷにしてる。
エルミナは、釣竿を抱えた。
「じゃ、続きね! アシュト、今夜はクロナマズで一杯やりましょ!」
「やっぱり酒が目当てかい……まぁいいや。ミリアリアに何匹か渡して、バーでおつまみにしてもらおう」
「やたっ! ふふん。クロナマズは辛口のお酒が合うのよね~♪」
エルミナは上機嫌で釣りを再開。
ミュアちゃん、ウッド、ルミナも再開した。
俺も負けじと釣りを再開……すると、クロナマズはすぐに喰らい付いた。
おかげで、休みがない。釣っては投げ、釣っては投げを繰り返す。
釣りってのんびりやるものだと思ったけど……クロナマズ、食い付き早すぎぃ!!
と、エルミナが俺の部屋に怒鳴り込んできた。
手には愛用の釣り道具セットが握られ、輝かんばかりの笑みを浮かべている。
俺はため息を吐き、読んでいた本を机の上に置く。
「釣りって……いきなりだな、おい」
「今日休みでしょ? 薬院でエンジュが言ってたわよ」
「まぁ休みだけど……たまにはのんびり読書でもって思ってたんだけど」
「のんびりするなら釣りでもいいでしょ! アスレチックのある湖に大物がいっぱいいるのよ! シレーヌとエレインが自慢してくやしいー!」
「お、おお……」
「じゃ、着替えて。濡れてもいい恰好ね」
「え、行くの決定……?
「あーもう! 男ならグチグチ言わないの! ほら着替え着替え!」
「わ、わかったから脱がそうとするなっ!」
というわけで、俺の休日は釣りとなった。
◇◇◇◇◇◇
さて、着替えて荷物を持って出発……。
「にゃあ」
「みゃう」
「ん……あれ、二人とも。今日はお休み?」
ミュアちゃんとルミナがリビングにいた。
ミュアちゃんはお絵描き、ルミナは読書をしている。
俺の格好が気になったのか、ミュアちゃんが言う。
「ご主人さま。どこか行くの?」
「うん。ちょっとエルミナと一緒に釣りにね」
すると、ルミナがぱたんと本を閉じ、俺に身体を擦り付けてきた。
一通り擦り付けて満足したのか、傍に置いてあったカバンを背負う。
「みゃう。あたいも行く」
「にゃう! わたしも行くー!」
「いいよ。じゃあミュアちゃん、準備しておいで」
「にゃあー」
ミュアちゃんが使用人邸に走り出した。
俺とルミナは外へ。するとエルミナとウッドがいた。
「あれ、ルミナ?」
「あたいも行く」
「うんうん! じゃあ姉妹で釣りね!」
「姉妹じゃないし! みゃあ!? 触んなー!!」
エルミナがルミナに抱きついて頬ずりする。一字違いだからってルミナを妹みたいに可愛がってるんだよな……当の本人は嫌がってるけど。
俺は二人を置いてウッドに話しかける。
「ウッド、今日はいっぱい釣ろうな」
『ツリ、タノシミ! ウッド、イッパイツル!』
「うん。じゃあ一緒に頑張ろう!」
『オー!』
「にゃあ。お待たせー!」
ニコニコアザラシのリュックを背負ったミュアちゃんが来た。
俺に甘えるように飛びついてきたので、ネコミミを揉むように頭を撫でる。
「よし! じゃあ行くわよ!」
「ああ。なんだかんだ言っても楽しみになってきた」
『イッパイツル!』
「にゃうー!」
「みゃう! 離せー!」
俺たちは、久しぶりの釣りに出発した。
◇◇◇◇◇◇
釣り場こと、アスレチック場に到着した。
冬の間は雪が積もって来れなかったが、雪がなくなると同時に銀猫たちが掃除してくれた。
おかげで、休憩所のログハウスも桟橋も綺麗になってる。
俺は、アウグストさんに作ってもらった、金属製の折り畳み椅子を持って桟橋へ。ルミナはエルミナに連れて行かれたので、ミュアちゃんとウッドの三人で並んで座る。
釣り道具。実はアウグストさんに作ってもらった自前のがある。餌のミミズはエルミナが大量に捕まえていたので困らない。
ミュアちゃんたちの道具もエルミナが準備し、ウッドは自分の指先から細い根を出した。
「にゃう。釣る!」
「うん。いっぱい釣ろうね」
『ガンバル!』
さっそく餌を取り付け、湖に向かって投げた。
ミュアちゃんも真似して投げ、ウッドは指先の根を桟橋の真下にチャポンと落とした。
あとは座ってのんびり待つだけ───と、椅子に座ろうとした時だった。
「にゃう。引いてるー!」
「え、もう!?」
椅子に座ろうとした瞬間だったのでズッコケそうになった。
俺とミュアちゃんが竿を引いていると、ウッドも反応する。
『キタ!』
「ウッドもか!? はは、いきなり三人ともか……っく、重い……っ!!」
アタリが来たのはいいが、重い。
俺は桟橋の上で踏ん張り、必死にこらえていた。
すると、ミュアちゃんが竿をくいッと引く。
「にゃうっ!!」
竿を思い切り引くと、水面からザバッと黒い魚が飛び出した。
ウッドも同じように引くと、黒い魚が。
「うおりゃぁぁぁっ!!」
俺も思い切り引く。すると、黒い魚……おいおい、三人とも同じ魚が釣れた。
ミュアちゃんのが一番大きく、次にウッド、そして俺の順に大きい。
桟橋に並べて魚を見ると……妙な魚だった。
「なんだこれ……変な顔してるな」
びちびちする魚は、上部が黒く下部は白い。
ヒレが発達し、顔は丸くヒゲみたいな触手が生えていた。
しかも、けっこう泥臭い。
「なんだこれ……?」
「お、釣れたわね! クロナマズ!」
「……クロ、ナマズ?」
ルミナとエルミナも、同じような魚を抱えていた。
まさか、五人とも同じ魚とは……これ、偶然か?
すると、エルミナが説明する。
「クロナマズ。春先になると大量発生するのよ。しかもこいつ、肉食で他の魚とか食べちゃうから、定期的に釣って数を減らさないといけないのよ」
「そうなのか?」
「うん。ハイエルフの里では春になると狩りを何日かお休みしてクロナマズ釣りをするの。けっこう大変だけど、このクロナマズ、泥を吐かせてちゃんと下処理すればすっごく美味しいのよ! 見は真っ白でプリプリしてるし、すりつぶして焼いたり固めたりすれば、お酒のいいおつまみになるの!」
「……お前、それが目的か。ってか去年はやらなかったのな」
「やったわよ。あんたは忙しそうだったから言わなかっただけ。釣ったのはおじいちゃんのところに送ったわ」
「そうだったのか……」
知らなかった。
俺はクロナマズをつつく……うん、ぷにぷにしてる。
エルミナは、釣竿を抱えた。
「じゃ、続きね! アシュト、今夜はクロナマズで一杯やりましょ!」
「やっぱり酒が目当てかい……まぁいいや。ミリアリアに何匹か渡して、バーでおつまみにしてもらおう」
「やたっ! ふふん。クロナマズは辛口のお酒が合うのよね~♪」
エルミナは上機嫌で釣りを再開。
ミュアちゃん、ウッド、ルミナも再開した。
俺も負けじと釣りを再開……すると、クロナマズはすぐに喰らい付いた。
おかげで、休みがない。釣っては投げ、釣っては投げを繰り返す。
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