大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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日常編⑰

第488話、みんなとお買い物

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「アシュト、お買い物いこっ!」

 ある日。エルミナが俺の部屋にきた。
 今日は俺もエルミナもお休みだ。特に予定はなかったので自室で読書していたら、ウキウキしたエルミナがやってきたのだ……って、買い物?
 本を閉じると、エルミナがニコニコしながら言う。

「あの『タヌスケ商店』っていいお店よねぇ~♪ 安いお酒いっぱいあるし、種類も豊富なのよねぇ~」
「酒目当てかい。まぁいいけど……飲みすぎるなよ?」
「えへへ。安いからいっぱい買ってさ、ハイエルフのみんなと飲み会してるんだよね」
「全く……まぁいいか。じゃあ、買い物行こう」
「うん!」

 というわけで、エルミナと『タヌスケ商店』へ。
 家からも近いし、散歩がてら行くのにちょうどいい。
 店に到着すると……ハイエルフ一行がいた。

「お、村長にエルミナじゃん」
「やっほー」
「おやおや、夫婦仲睦まじいねぇ」
「うふふ。仲良しですねぇ~」

 メージュ、ルネア、シレーヌ、エレイン。エルミナの幼馴染たちだ。
 エルミナはニヤリと笑う。

「あんたたち、ここに来たってことは」
「もちろん、お酒とおつまみを買いにね。ね、ルネア」
「うん。今日も飲み会」

 すると、エルミナが俺の腕から離れメージュの腕に抱きつく。

「よっしゃ! 今日も呑むわよ。あ、アシュトもたまにはどう?」
「え?……俺?」
「うん。今日はルネアの家で飲み会するの。アシュト呼んでもいい?」
「……い、いいよ」

 ルネアは顔を赤らめてうなずく……なぜか俺をチラチラ見て。
 シレーヌとエレインはニコニコしてるし、メージュもニヤニヤしてる。なんだこの反応は。
 まぁ、たまにはハイエルフ飲み会に参加するのもいいかな。

「じゃあ、お邪魔するよ。お酒買うなら俺も出すからさ」
「お、村長太っ腹!」
「いい男は違うねぇ!」
「ふふっ、では参りましょうか!」
「うわっ」

 メージュとシレーヌが俺の腕を取り、エレインが背中を押した。
 
「むー……」
「ほらルネア、遅れちゃうわよ!」

 エルミナとルネアが慌てて追ってきた。
 タヌスケ商店でお酒とおつまみを大量に買い、この日の夜はルネアの家で飲み会に興じたのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

「お兄ちゃん、お買い物行こう」
「……ああ、シェリーか」
「……どうしたの?」
「いや、飲みすぎて……」

 ハイエルフ宴会の翌日。シェリーに買い物に誘われた。
 エルミナたちは全員、二日酔いで倒れている。俺も薬を飲んで薬院で働いてたけど、顔色が悪かったらしくフレキくんとエンジュに「帰って休め」と言われてしまった。
 そういうわけで、部屋でのんびり休んでいたというわけだ。

「なーるほどねぇ……そういえば、昨日はルネアの家に泊ったんだっけ?」
「帰るつもりだったけどな……気づいたら俺も酔いつぶれてた」
「まぁいいや。それより、買い物いこ。少しは外の空気吸ってリフレッシュしよ!」
「……そうだな。じゃあ行くか」

 というわけで、タヌスケ商店二日目。
 今日は可愛らしいタヌキ……店長のタヌスケが出迎えた。

「これはこれは村長。そしてシェリー様。へへへ……ようこそお越しくださいました」
「こんにちわー、ふふふ、かわいいモフモフ~」
「あの……そういうのはちょっと」

 シェリーはしゃがみ、タヌスケさんをなでなでする。
 こいつ、モフモフ系好きだしな。というか俺も触りたい。
 タヌスケさんから離れ、店内へ。

「何買うんだ?」
「櫛。あと可愛いリボンかな」
「リボン?……ミュディに作ってもらえば」
「ミュディ、ベルゼブブで開催されるファッションショーの準備ですっごく忙しいの。それだけじゃなくて、取引用の商品も作らなくちゃいけないし……とても『リボン作って』なんて言えないよ」
「そんなに忙しいのか……」
「うん。でも、準備はそろそろ終わるって言ってたし、大丈夫だと思うよ」

 そう話しつつ、小物が置いてある区画へ。
 リボンや櫛、ヘアピンやヘアゴム、安物の美容品やアクセサリーが売っていた。
 さっそくシェリーはリボンを物色する。

「ん~……どれが似合うかなぁ?」
「そうだな。シェリーは……うん、氷系だし、青……いや、空色なんていいな」
「そう?」
「うん。そうだな……」

 俺はリボンが並んでいる棚から、空色に白い蔦のような刺繍が施されているリボンを取った。

「これなんてどうだ?」
「わぁ、かわいい」
「ちょっと付けてみたら?」
「……じゃあ、ちょっとだけ」

 シェリーは今付けているリボンを外す。すると、長い髪がさらりとほどけた。いつもツインテールだから下ろすとだいぶ印象が変わるな。
 そして、空色のリボンを結び俺に見せる。

「どう?」
「うん、すっげー似合う……よし、俺からのプレゼントだ。買ってやるよ」
「え、いいの?」
「ああ。可愛い妹に、たまには贈り物しないとな」
「やったぁ。ありがとう、お兄ちゃん」
「いやいや。気にすんなって」

 シェリーは、リボンを丁寧にたたむ。
 俺はリボンを受け取り、会計を済ませてシェリーに渡した。
 シェリーは、宝物を見つけたトレジャーハンターのような表情で受取り、胸に抱く。

「宝物にするね」
「あはは。安物だけどな」
「関係ないよ。ふふ、お兄ちゃんからプレゼントなんて久しぶりかも。リュウ兄はけっこうくれたけど、お兄ちゃんはそういうの鈍感だったしね」
「え、兄さんから何かもらったのか?」
「うん。昇進祝いとか、叙勲のお祝いとか。一緒に町でお買い物したり、おいしいケーキ奢ってくれたりもしたよ。ルナマリアさんやヒュンケル兄からも貰ったなー」
「…………」
「ふふ、これをクララベルに見せたら羨ましがるかも」
「おいおい、あんまり煽るなよ……?」
「さぁ? どうしよっかなー」

 シェリーと談笑しながら家に帰り、この日は酒を飲まず寝たのだった。
 その翌日……案の定だった。

「お兄ちゃん、シェリーにプレゼントしたってホント!?」
「…………ま、まぁ」
「むーっ! わたしも欲しいー!」

 さて、今日はクララベルと一緒に、お買い物かな……あはは。
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