大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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魔法学園の講師

第498話、魔法学園を散歩しよう

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 さっそく、俺の執務室に向かおうとしたところ、袖を引っ張られた。

「ん?」
「みゃあ」
『もきゅ~』
「え……」

 なんと、そこにいたのはルミナだった。
 そして、ニコニコアザラシのモフ介も。
 ルミナはニコニコアザラシのリュックを背負い、俺をジッと見ている。シェリーも驚いていたが、ジーニアス先生はニコニコ笑っているだけだ。
 驚いていると、ジーニアス先生が言った。

「ふふ。この子、転移の瞬間に潜り込んで来たのですよ。気付きませんでしたよね?」
「ま、全く……というかジーニアス先生、気付いてたなら」
「いえ。面白そうでしたので、つい」
「…………」

 そういえば、転移の瞬間にネコの鳴き声が聞こえたような。
 まぁいい。それより、問題は目の前にいるルミナだ。
 俺はルミナの頭を軽く撫で、目線を合わせる。

「お前、なんで付いてきたんだ?」
「みゃう。あたいも勉強する」
「あのなー……ここは確かに勉強するところだけど、大勢の人が学んでいる学校なんだぞ? 人見知りのお前が耐えられるような場所じゃないぞ」
「みゃう。お前から学ぶから大丈夫だ。ここ、薬や医術を学ぶところもあるんだろ」
「あるけど……うーん」

 シェリーを見ると、あっけらかんと言う。

「別にいいじゃない? というか、お兄ちゃん気付かないの?」
「え?」
「ルミナ、お兄ちゃんと離れるのが寂しいから付いてきたんでしょ? ふふ、そういうところはミュアより子供っぽいね」
「……別にそんなんじゃないし」
「照れないの。ふふ、かわいい」
『きゅうう』

 シェリーはモフ介を抱っこして撫でる。
 ルミナを見るとそっぽ向いた。でも、尻尾がせわしなく揺れ、顔もほんのり赤い。
 すると、ジーニアス先生が言う。

「入学資格はありませんが……そうですね。アシュト先生の助手という立場ならいいでしょう。教師の授業を補佐する役職もありますし」
「でも、ルミナは子供で」
「関係ありませんよ。それに、あなたの教えを受けていたのなら問題ないでしょう。私の権限で許可します」
「……はぁ~」

 俺は軽くため息を吐き、ルミナの頭を撫でた。

「いいか。ちゃんと俺の言うことを聞くこと。それと勝手な行動をしない。これが守れるか?」
「みゃう。まもる」
「よし。じゃあ……一緒に行くか」
「うん」

 ルミナは俺の手を掴んだ。
 やれやれ。ちょっとしたハプニングだけど、ようやく俺の執務室にいけるぞ。

 ◇◇◇◇◇◇

 俺の執務室は、ジーニアス先生と同じ間取りだった。
 本棚に机、ソファ……どれも立派だ。椅子が大きいのとフカフカすぎるのがちょっと気になる。俺、個人的な意見だけど硬い椅子のが好きなんだよね。
 それから、教員寮へ。これまた広かった……でも、緑龍の村にある俺の部屋の家具のが立派だ。まぁあっちはエルダードワーフ製だから仕方ない。
 寮を出て、次はシェリーの女子寮へ。

「女子寮は少し遠いです。道中、施設を案内します」
「はーい。って言っても、あたしはお兄ちゃんと一緒に転移魔法を使えばいいし」
「転移魔法……そうだシェリー、お前も転移魔法覚えるか? そうすれば、俺を待たなくてもすぐに帰れるぞ。生徒と教員じゃ過ごす時間も違うと思うし」
「お、それいいかも」
「ちなみに、ミュディには教えたぞ」
「え、まじ!? 転移魔法って習得めっちゃ難しいんじゃ……」
「そうか? ミュディ、すぐに覚えたけど……」

 と、ジーニアス先生が言う。

「アシュト先生の使う転移魔法は、私が開発した転移魔法のことでしょう。従来の転移魔法より簡易で消費魔力も少ないのですよ」
「へぇ~……あれ? 簡単ならなんで普及しないのですか?」
「普及しすぎるとよからぬことに使う輩が出てくるのですよ。なのでアシュト先生、転移魔法を使うのは構いませんが、教える方は慎重にお願いします」
「う……き、気を付けます」
「あ、あたしはいいよね? 変なことに使わないし」

 教えたのはミュディだけだしいいよね?
 シェリーもまぁ大丈夫だろう。
 
「みゃう。あれなんだ?」
「ん、あれは噴水だ。綺麗だろ?」
「水が出てるだけだろ」

 ルミナは、中央広場の噴水をじーっと見ていた。
 噴水を囲むようにベンチが並び、制服を着た少年少女が雑談をしている。
 すると、ベンチに座っていた女子生徒グループがジーニアス先生を見て顔を赤らめた。

「あっ、ジーニアス先生!……こ、こんにちは」
「こんにちは。エリアーデさん、おやつの時間ですか?」
「は、はい。その、手作りで……クッキー、どうですか?」
「これはありがたい。いただきましょう」
「あ、私のも!」「わたしも……どうぞ」
「おやおや、ミルキィさんにメナさんまで。ふふ、いいおやつができました」
「「「は、はいぃ……」」」

 おいおい、俺でもわかるぞ……ジーニアス先生、モテモテじゃん。
 すると、シェリーが傍にくる。

「ジーニアス先生、イケメンだしね。そういえば軍学校時代、教官の一人がすっごくイケメンで、女子生徒からキャーキャー言われてたの思い出したわ。あたしはどうでもよかったけど」
「ふーん。イケメンねぇ……」
「お兄ちゃんは……まぁまぁのイケメンね」
「そりゃどーも……なんか嬉しくないぞ」
「みゃう」
『もきゅ~』

 と、女子たちの視線が俺へ向いた。
 ジーニアス先生は俺の肩を抱き、女子たちに紹介する。

「こちら、新しく赴任したアシュト先生です。皆さん、よろしくお願いしますね」
「アシュト先生? お若いですねぇ」
「ふむふむ……なかなかのイケメン」
「ジーニアス先生と並ぶのいいわぁ~」

 女子たちに囲まれ、値踏みするような目で見られた。
 すると、シェリーが割り込む。

「あたし。明日から転入するシェリー・エストレイヤです。アシュト先生はあたしのお兄ちゃんだから、兄妹ともどもよろしくお願いします!」
「転入生? わぁ、よろしくお願いしま~す!」
「妹さんなんだぁ~…………え? エストレイヤ家?」
「び、ビッグバロッグ王国貴族の頂点って、エストレイヤ家じゃなかったっけ……?」

 すると、女子は一気にシェリーを囲んだ。
 なにやら質問攻めだ。

「あの、エストレイヤ家ってあのエストレイヤ家?」
「た、たぶん……」
「ねぇねぇ、ビッグバロッグ王国最強の『雷帝』リュドガ様って」
「りゅ、リュウ兄? お兄ちゃんだけど……」
「わぁ! 私、ブロマイド持ってる!」
「え、そんなのあるの?」
「リュドガ様の話聞かせて!」
「い、いいけど……これから女子寮に行かないと。まだ到着したばかりだし」
「私たちで案内するわ! ジーニアス先生、いいですか!?」
「構いませんよ。ふふ、お友達ができてなによりです」
「え、ちょ、えぇぇ~~~っ!?」

 シェリーは女子三人に連れて行かれた。
 残されたのは、俺とルミナとジーニアス先生。

「……では、女子寮は行かなくていいでしょう。いいカフェがありますので、案内がてら行きましょうか」
「は、はい……女子ってすごいな」
「みゃう。喉かわいた」
『もきゅ』

 この日、ジーニアス先生がいろんな施設を案内してくれた。
 明日から授業だし、がんばろう。
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