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魔法学園の講師
第500話、授業終わって
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授業は順調に進み、脇の知識を披露しつつ進めていった。
ルミナはメモを取り、途中、プリントを配ったり、黒板に書くのを手伝ってくれたりした。モフ助はスヤスヤ眠っていたので、すれ違いざまに撫でたりする……このモフみ、癒される。
そして、授業の終わりを告げるベルが鳴った。
俺は教科書を閉じる。
『では、今日はここまで。各自、配った宿題を明日まで提出。以上!』
初授業が終わった。
教科書を閉じ、ルミナが荷物をまとめていると。
「先生!」「あの、質問が!」「せんせ、せんせ!」
「質問いいですかー!?」「あの、先生!」
「うおっ!?」
なんと、生徒たちが駆け寄ってきた。
教卓周りを包囲され、完全に動けなくなってしまう。
いきなりで驚いていると、長く白い耳の少女……ああ、確か兎族のラビリンさんだ。ラビリンさんが挙手する。
「質問! 先生はエストレイヤ家の次男で間違いないですか!? 大国ビッグバロッグの名門貴族エストレイヤ家の!」
「あ、ああ……間違いないよ。ラビリンさん」
「わぁぁ!! じゃあじゃあ、総合魔法科に転入してきたシェリー・エストレイヤ様のお兄さん!?」
「う、うん。そうだけど……」
「「「きゃぁぁ~~~っ!!」」」
なんと、ラビリンさんとその周りにいた女子たちが叫ぶ。
そして、ラビリンさんを押しのけた少年……ああ、この子は人間だ。たしかバッシュくん。バッシュくんが教卓に上りかねない勢いで身を乗り出す。
「じゃあ、あの『雷帝』リュドガ将軍の!?」
「うん。リュドガ将軍は俺の兄だけど」
「「「うぉぉぉ~~~っ!!」」」
「ちょっと男子どいて!! あの、先生!! 質問が……」
バッシュくんを押しのけ、長い耳の女の子……この子はエルフだ。名前はココロさんだったな。ココロさんが言う。
「先生って、エストレイヤ家の天才アシュトですよね?」
「え……天才?」
「はい!! 十五歳でビッグバロッグ王国最難関の薬医師試験に満点合格、エルフ最高の薬師シャヘル老師に指示し、最年少王宮薬師になったあの天才アシュト薬医師ですよね! アシュト先生の論文は全部読みました! わたし、大ファンです!」
「ど……どうも」
ヒュンケル兄から聞いたけど、俺ってこんなに有名だったのか。
父上は軍事に関係ないことは一切興味を示さなかったし、兄さんは多忙でお祝いの言葉だけだったし、シェリーとはあんまり喋らなかったから、試験とか合格してもいろんな資格取っても見向きもされなかったんだよな。というか俺もどんな資格を持ってるかよくわかんなかった。
こうも純粋な好意を向けられるのはちょっと慣れてない。恥ずかしいな。
照れていると、人間の手を昆虫の関節みたいにした手がスッとあげられる。
『ボクも質問、いいですか』
「ああ。トーロウくんだったね。なんだい?」
『はい。こちらの生物ですが……ボク、見たことがありません。これは何でしょうか?』
「あ」
『もきゅう~』
トーロウくんは、カマキリの蟲人だ。
顔も昆虫で、大きな目はモフ助を見ている。
「………‥あ、えっと」
やっべぇ……そういや、ニコニコアザラシってオーベルシュタインの固有種だ。
一般常識では、オーベルシュタインは未開の領地。踏み込めば死あるのみ。その地には伝説の生物や種族が住んでおり、見たことのない物で溢れている。って感じだ。
「あー……この子はモフ助。モフモフでしょ?」
『きゅうう』
『確かにモフモフですね』
『もきゅうう~』
トーロウくんはモフ助を撫でる。モフ助は気持ちよさそうに鳴いた。
すると、他の女子がトーロウくんを押しのけ、みんなでモフ助を触る。モフ助は気持ちいのか教卓の上でお腹を見せるようにひっくり返り、みんなに甘えていた。
みんなでモフ助を撫でているおかげで、モフ助の追及は終わった。
すると、袖がクイクイと引かれる。
「おい、帰るぞ」
「ああ、そうだな。シェリーを迎えに行かないと」
「みゃう。モフ助」
「わかってる。みんな、今日はここまでだ。明日も授業があるから、ちゃんと課題をやるように」
「はぁ~い」「モフモフいいわぁ~」「もふもふ」
「課題かぁ」「オレの部屋でやろうぜ」「購買でお菓子買おっ」
生徒はぞろぞろと教室を出ていった。
ルミナはモフ助を抱っこし、俺は教科書をカバンに入れる。
「いやぁ、若い子はすごいパワーだなぁ」
「あたい、お腹減った……」
「はは。じゃあ、シェリーと合流したらカフェでお茶にするか」
「みゃあ。甘いのたべたい」
「いいぞ」
『もきゅう』
俺とルミナは教室を出た。
なんとなくだが、シェリーは大変な目に合っている気がした。
◇◇◇◇◇◇
「シェリーさん! カバン持ちます!」
「ありがとうございます。えも、大丈夫です」
「あの、シェリー様。これからお茶でもどうです?」
「ごめんなさい。兄が迎えに来ますので」
「シェリー様、歓迎会を行いたいと思うのですが!」
「ありがとうございます。では、日を改めてお願いしますね」
「シェリー様!」「シェリー様!」「シェリー様!」
シェリーは、大勢の生徒に囲まれていた。
「うわぁ……なんか近づきたくないな」
「あたい、モフ助と隠れてる。その辺で見てるから」
「え、おい」
『もきゅ』
ルミナはモフ助を抱え、近くの木に登ってしまった。
俺は、シェリーから二十メートルほど離れた木の近くにいる。シェリーは二十人以上に囲まれ、笑顔で受け答えしていたが……兄の俺にはわかる。あいつ、かなり苛ついてる。
そういえば、ビッグバロッグ王国でもこんな光景があった。シェリーはあの容姿に加えて名門貴族エストレイヤ家の娘。さらにエリート魔法師部隊の主席隊長『氷姫』のシェリーだ。
さて、どうしようか……あ。
「あ……」
「あ……やべ」
シェリーと目が合ってしまった。
シェリーはにっこり笑い、取り巻きたちに頭を下げて俺の元へ。
俺に抱きつきはしなかったが、そっと腕を取り……肘を入れた。
「おうっ!? なな、なにを」
「『あ……やべ』ってどういう意味? なにがヤバいのかな?」
「あ~……あはは」
「笑ってごまかすの禁止。まったく……助けてよ」
「悪かった。で、取り巻きたちは……おい、めっちゃ見てるぞ」
「ん、『今日は兄さんと学園の見学、そして食事の予定ですので。申し訳ございませんがまた今度』って言っただけ。いやー、エストレイヤ家の名前って便利ね。あたしと教師のお兄ちゃんが一緒にいるだけで、恐れ多くて近づけないみたい」
「兄さんにお礼言わないとな。普通、除籍された貴族が再び家名を名乗るなんてありえないぞ」
「そうね。リュウ兄にはあたしからもお礼言おうっと。それより、お腹空いた~」
「ルミナが待ってる。学園内のカフェでお茶しよう」
「やった! あたし、甘い物たべた~い」
「お姉さんも甘いの食べた~い♪」
「はは。仕方ないわぁぁぁぁぁぁっ!? しし、シエラ様!?」
「ちゃお~♪」
なんと、シエラ様がシェリーの反対側の腕を取った。
ぴっちりしたワイシャツからは大きな胸の谷間がばっちり見え、短いスカートからは生足が覗いている。シャツの上に白衣を着て、なぜか眼鏡までしていた……え、なにこれ、教師?
「うふふ。アシュトくんとシェリーちゃん、驚いた?」
頷く俺とシェリー。
すると、背後にジーニアス様……ではなく、ジーニアス先生が。
「ムルシエラゴ……あなたは本当に誰かを驚かすのが好きですね」
「ジーニアスぅ、わたしのアシュトくんを無理させちゃダメよ? ちゃ~んとお休みあげること!」
「ははは。わかっていますよ。それより、あなたも臨時講師なのですから、同僚の教師に色香を振りまかないようにお願いしますよ」
「はぁ~い♪」
「え、臨時講師って……」
シエラ様は俺から離れ、眼鏡をくいっと上げた。
「うふふん。わたしは音楽教師のシエラで~す♪」
「「え」」
「アシュトくんと同じ臨時です。教師に欠員が出るたびに、ムルシエラゴには手伝ってもらってます」
「し、知らなかった……」
「うふふ♪ アシュトくんもいるなら楽しくなりそうね♪」
教師生活一日目。早くも驚きました……まさかシエラ様が教師なんてな。
ルミナはメモを取り、途中、プリントを配ったり、黒板に書くのを手伝ってくれたりした。モフ助はスヤスヤ眠っていたので、すれ違いざまに撫でたりする……このモフみ、癒される。
そして、授業の終わりを告げるベルが鳴った。
俺は教科書を閉じる。
『では、今日はここまで。各自、配った宿題を明日まで提出。以上!』
初授業が終わった。
教科書を閉じ、ルミナが荷物をまとめていると。
「先生!」「あの、質問が!」「せんせ、せんせ!」
「質問いいですかー!?」「あの、先生!」
「うおっ!?」
なんと、生徒たちが駆け寄ってきた。
教卓周りを包囲され、完全に動けなくなってしまう。
いきなりで驚いていると、長く白い耳の少女……ああ、確か兎族のラビリンさんだ。ラビリンさんが挙手する。
「質問! 先生はエストレイヤ家の次男で間違いないですか!? 大国ビッグバロッグの名門貴族エストレイヤ家の!」
「あ、ああ……間違いないよ。ラビリンさん」
「わぁぁ!! じゃあじゃあ、総合魔法科に転入してきたシェリー・エストレイヤ様のお兄さん!?」
「う、うん。そうだけど……」
「「「きゃぁぁ~~~っ!!」」」
なんと、ラビリンさんとその周りにいた女子たちが叫ぶ。
そして、ラビリンさんを押しのけた少年……ああ、この子は人間だ。たしかバッシュくん。バッシュくんが教卓に上りかねない勢いで身を乗り出す。
「じゃあ、あの『雷帝』リュドガ将軍の!?」
「うん。リュドガ将軍は俺の兄だけど」
「「「うぉぉぉ~~~っ!!」」」
「ちょっと男子どいて!! あの、先生!! 質問が……」
バッシュくんを押しのけ、長い耳の女の子……この子はエルフだ。名前はココロさんだったな。ココロさんが言う。
「先生って、エストレイヤ家の天才アシュトですよね?」
「え……天才?」
「はい!! 十五歳でビッグバロッグ王国最難関の薬医師試験に満点合格、エルフ最高の薬師シャヘル老師に指示し、最年少王宮薬師になったあの天才アシュト薬医師ですよね! アシュト先生の論文は全部読みました! わたし、大ファンです!」
「ど……どうも」
ヒュンケル兄から聞いたけど、俺ってこんなに有名だったのか。
父上は軍事に関係ないことは一切興味を示さなかったし、兄さんは多忙でお祝いの言葉だけだったし、シェリーとはあんまり喋らなかったから、試験とか合格してもいろんな資格取っても見向きもされなかったんだよな。というか俺もどんな資格を持ってるかよくわかんなかった。
こうも純粋な好意を向けられるのはちょっと慣れてない。恥ずかしいな。
照れていると、人間の手を昆虫の関節みたいにした手がスッとあげられる。
『ボクも質問、いいですか』
「ああ。トーロウくんだったね。なんだい?」
『はい。こちらの生物ですが……ボク、見たことがありません。これは何でしょうか?』
「あ」
『もきゅう~』
トーロウくんは、カマキリの蟲人だ。
顔も昆虫で、大きな目はモフ助を見ている。
「………‥あ、えっと」
やっべぇ……そういや、ニコニコアザラシってオーベルシュタインの固有種だ。
一般常識では、オーベルシュタインは未開の領地。踏み込めば死あるのみ。その地には伝説の生物や種族が住んでおり、見たことのない物で溢れている。って感じだ。
「あー……この子はモフ助。モフモフでしょ?」
『きゅうう』
『確かにモフモフですね』
『もきゅうう~』
トーロウくんはモフ助を撫でる。モフ助は気持ちよさそうに鳴いた。
すると、他の女子がトーロウくんを押しのけ、みんなでモフ助を触る。モフ助は気持ちいのか教卓の上でお腹を見せるようにひっくり返り、みんなに甘えていた。
みんなでモフ助を撫でているおかげで、モフ助の追及は終わった。
すると、袖がクイクイと引かれる。
「おい、帰るぞ」
「ああ、そうだな。シェリーを迎えに行かないと」
「みゃう。モフ助」
「わかってる。みんな、今日はここまでだ。明日も授業があるから、ちゃんと課題をやるように」
「はぁ~い」「モフモフいいわぁ~」「もふもふ」
「課題かぁ」「オレの部屋でやろうぜ」「購買でお菓子買おっ」
生徒はぞろぞろと教室を出ていった。
ルミナはモフ助を抱っこし、俺は教科書をカバンに入れる。
「いやぁ、若い子はすごいパワーだなぁ」
「あたい、お腹減った……」
「はは。じゃあ、シェリーと合流したらカフェでお茶にするか」
「みゃあ。甘いのたべたい」
「いいぞ」
『もきゅう』
俺とルミナは教室を出た。
なんとなくだが、シェリーは大変な目に合っている気がした。
◇◇◇◇◇◇
「シェリーさん! カバン持ちます!」
「ありがとうございます。えも、大丈夫です」
「あの、シェリー様。これからお茶でもどうです?」
「ごめんなさい。兄が迎えに来ますので」
「シェリー様、歓迎会を行いたいと思うのですが!」
「ありがとうございます。では、日を改めてお願いしますね」
「シェリー様!」「シェリー様!」「シェリー様!」
シェリーは、大勢の生徒に囲まれていた。
「うわぁ……なんか近づきたくないな」
「あたい、モフ助と隠れてる。その辺で見てるから」
「え、おい」
『もきゅ』
ルミナはモフ助を抱え、近くの木に登ってしまった。
俺は、シェリーから二十メートルほど離れた木の近くにいる。シェリーは二十人以上に囲まれ、笑顔で受け答えしていたが……兄の俺にはわかる。あいつ、かなり苛ついてる。
そういえば、ビッグバロッグ王国でもこんな光景があった。シェリーはあの容姿に加えて名門貴族エストレイヤ家の娘。さらにエリート魔法師部隊の主席隊長『氷姫』のシェリーだ。
さて、どうしようか……あ。
「あ……」
「あ……やべ」
シェリーと目が合ってしまった。
シェリーはにっこり笑い、取り巻きたちに頭を下げて俺の元へ。
俺に抱きつきはしなかったが、そっと腕を取り……肘を入れた。
「おうっ!? なな、なにを」
「『あ……やべ』ってどういう意味? なにがヤバいのかな?」
「あ~……あはは」
「笑ってごまかすの禁止。まったく……助けてよ」
「悪かった。で、取り巻きたちは……おい、めっちゃ見てるぞ」
「ん、『今日は兄さんと学園の見学、そして食事の予定ですので。申し訳ございませんがまた今度』って言っただけ。いやー、エストレイヤ家の名前って便利ね。あたしと教師のお兄ちゃんが一緒にいるだけで、恐れ多くて近づけないみたい」
「兄さんにお礼言わないとな。普通、除籍された貴族が再び家名を名乗るなんてありえないぞ」
「そうね。リュウ兄にはあたしからもお礼言おうっと。それより、お腹空いた~」
「ルミナが待ってる。学園内のカフェでお茶しよう」
「やった! あたし、甘い物たべた~い」
「お姉さんも甘いの食べた~い♪」
「はは。仕方ないわぁぁぁぁぁぁっ!? しし、シエラ様!?」
「ちゃお~♪」
なんと、シエラ様がシェリーの反対側の腕を取った。
ぴっちりしたワイシャツからは大きな胸の谷間がばっちり見え、短いスカートからは生足が覗いている。シャツの上に白衣を着て、なぜか眼鏡までしていた……え、なにこれ、教師?
「うふふ。アシュトくんとシェリーちゃん、驚いた?」
頷く俺とシェリー。
すると、背後にジーニアス様……ではなく、ジーニアス先生が。
「ムルシエラゴ……あなたは本当に誰かを驚かすのが好きですね」
「ジーニアスぅ、わたしのアシュトくんを無理させちゃダメよ? ちゃ~んとお休みあげること!」
「ははは。わかっていますよ。それより、あなたも臨時講師なのですから、同僚の教師に色香を振りまかないようにお願いしますよ」
「はぁ~い♪」
「え、臨時講師って……」
シエラ様は俺から離れ、眼鏡をくいっと上げた。
「うふふん。わたしは音楽教師のシエラで~す♪」
「「え」」
「アシュトくんと同じ臨時です。教師に欠員が出るたびに、ムルシエラゴには手伝ってもらってます」
「し、知らなかった……」
「うふふ♪ アシュトくんもいるなら楽しくなりそうね♪」
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