大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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魔法学園の講師

第503話、学園探検と小さな命

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 制服お披露目の翌日。
 朝食を食べ、俺の部屋に全員が集まった。
 ミュディにシェリー、ローレライにクララベル。ルミナにミュアちゃん。モフ助とエルミナだ。ミュアちゃんとルミナ以外全員制服だ……なんだろう、この御一行様は。
 俺は杖を取り出し、最終確認する。

「じゃあ、俺とシェリーは授業あるから。ミュディ、ミュアちゃんのことは任せたぞ」
「うん。まかせて」
「ローレライ、地図はあるな? 購買やカフェのある場所、わかるか?」
「大丈夫。ふふ、図書館の場所もばっちりよ」
「姉さま。お菓子屋さんもある?」
「もちろん。いろんなところを見て回りましょうか」
「はいはーい! 私はお酒飲みたい!」

 エルミナ、こいつはアホなのか?
 学び屋に酒を飲めるところなんてあるはずないだろ……と思っていると、シェリーが言う。

「酒場やバーは地下モールにあるの。でもそこ、十八歳以上で教師の許可がないと入れないんだって」
「え、そんな場所あるのか?」
「そりゃそうでしょ。教師だけで千人以上住んでるんだよ? ってか、お兄ちゃんの歓迎会も地下モールでやると思うよ」

 知らなかった。シェリー、いつの間に。
 すると、エルミナが言う。

「アシュト、許可ちょーだい♪」
「いや、わからんし。後でジーニアス先生に聞いてやるよ」
「えぇ~……」
「お昼までに聞いてやるから」

 ちなみに、お小遣いはみんな持っている。
 ローレライとクララベルはドラゴンロード王国からお小遣いをもらったそうだ。俺も兄さんや父上からけっこうな金額をもらっていた。使い道あまりないから金庫にしまってある。
 今回、そこからミュアちゃんやエルミナにお小遣いを渡した。

「にゃあ。お菓子たべたいー」
「うんうん。じゃあミュア、わたしとお菓子屋さんに行こっ!」
「にゃうー!」
「おい、そろそろ行くぞ」
『きゅぅぅ~』

 ルミナに袖を引かれ、俺は転移魔法を発動。
 俺の執務室に到着。授業の準備があるので外までの案内をシェリーに任せた。
 ミュディたちは学園を見学し、お昼に俺とシェリーに合流して食事する。
 夜は俺の歓迎会があるので、お昼だけしか一緒にご飯食べれないな。

「さて、授業の準備、と……」
「みゃう。モフ助、今日も頼むぞ」
『もきゅぅ』

 俺は今日の授業内容を確認するため、執務机に向かった。
 ルミナはソファに座り、モフ助をモフモフし始めた。

 ◇◇◇◇◇◇

 エルミナたちは、学園マップ片手に歩いていた。
 
「えーと、購買はあっちね」
「ん~楽しみ! ねぇシェリー、あんたも一緒に行きましょうよ!」
「いや、授業あるし……まぁ、今度休みになったら一緒にね」

 エルミナの誘いを断り、シェリーは自身の教室へ。
 ミュアは、ミュディと手を繋ぎながら歩いている。

「ミュディ、あまいの食べたいー」
「甘いのね。そうね、カフェに行く?」
「行く!」
「あ、お菓子屋さん行きたいー! 姉さま、いい?」
「いいけど……図書館も行きたいわ」
「はいはーい! じゃあこうしましょ! ミュディとミュアとクララベルはカフェ、私は購買、ローレライが図書館! 二時間後に飲食店街に集合で!」

 反対意見はなかった。
 ローレライは地図を暗記し、ミュディに渡す。そして上機嫌に図書館へ。
 エルミナは購買へ。いろんな商品がある購買は、エルミナにとって新鮮な場所なのだ。
 ミュディは、クララベルとミュアに言う。

「じゃあ、いこっか。最初は何を食べたい?」
「「ケーキ!」」
「ふふ。おいしい喫茶店に入ろっか」

 三人は、飲食店が並ぶ通りに歩きだした。
 すると───ミュアのネコミミがピコピコっと動く。

「……にゃう?」
「ん、どうしたの?」
「……なにか聞こえた」
「えー? ミュア、どうしたの?」

 ネコミミが動く。
 ミュディとクララベルは顔を合わせ、耳を澄ませるが……聞こえてくるのは、自分たちと同じ制服を着た男女の声ばかり。獣人、人間、翼人、蟲人……いろんな種族たちが登下校中だ。
 寮住まいの生徒も多いので、飲食店はすでに開いている。そこで朝食を済ませてくる生徒も多いとシェリーが言っていた。
 ミュアは、キョロキョロと辺りを見回す。

「あっち! あっちから声きこえるー!」
「あ、ミュアちゃん! 待って!」
「わわ、追いかけないとっ!」

 ミュアが走り出し、ミュディとクララベルも後を追った。
 ミュアは煉瓦造りの倉庫の裏へ。
 二人も後を追い、そこで見つけたのは……。

 ◇◇◇◇◇◇

 午前中の授業が終わった。
 俺とルミナ執務室に授業道具を置き、ミュディたちに合流すべく部屋を出ると……そこには、ミュアちゃんたちがいた。

「にゃあ……ご主人さま」
「ミュアちゃんたち。どうし……え?」

 ミュアちゃん、ミュディの手には……小猫がいた。
 一匹は真っ白な子猫。もう一匹はトラ模様の子猫だ。
 痩せ細っているのがわかる。すると、ルミナが言う。

「見せろ」

 再び執務室に入り、ソファに子猫を寝かせる。
 ルミナは診察を始めた。その間、俺はミュディに聞く。

「ミュディ、この子たちは?」
「あのね。倉庫の裏で鳴いてたの……ミュアちゃんが見つけて」
「にゃう。この子たち、お母さんとはぐれたみたいなの……お母さん、探したけどいなかったの」
「今、クララベルちゃんがエルミナとローレライを連れて探してる。もうすぐ戻ってくると───」
「たっだいま! お母さん猫見つけたわよー!」
『にゃあご』

 エルミナが執務室に入ってきた。手には大きなブチ猫がいる。
 子供の様子を見てバタバタ暴れはじめた。すると、ミュアちゃんが聴く。

「あなた、お母さん? こども、どうして……」
『にゃあう。ごろごろ……にゃぁご』
「そうなんだ……」

 そっか。獣人は動物と話ができるんだっけ。猫族は猫と、犬族は犬と、種族の元になった動物限定だけど。
 ミュアちゃんは俺に言う。

「お母さん、お乳が出なくて、栄養のあるご飯を探してたみたい……こども、弱っていくから、どうしようもなくて……にゃぁ、ご主人さま、なんとかしてあげて」
「わかった。とりあえず、猫が食べても大丈夫な栄養食を準備しないと。こういうのはシルメリアさんかな……」

 すると、ルミナの診察が終わった。

「栄養失調だ。だいぶ弱ってる……早くなんとかしないと」
「わかった。ミュアちゃん、お母さん猫がよければ、子猫たちを村に連れて行こう。いきなり栄養のある食べ物を食べても、すぐにお乳は出ないだろう。まず、子猫でも食べられる栄養食を、シルメリアさんに作ってもらおう……悪いみんな、お昼ご飯は」
「そんなの後でいいわよ! ね、ローレライ」
「ええ。クララベル、いいわね?」
「もっちろん! はやく猫ちゃんをなんとかしないと!」

 エルミナ、ローレライ、クララベル。もちろんミュディも了承した。
 さっそく転移で村に戻り、シルメリアさんに事情を説明。ルミナが傍に付きつつ、子猫の治療が始まった。
 俺はもうできることがない。ルミナを残して再び学園へ戻り、午後の授業の準備をするのだった。
 さすがに、歓迎会は出ないとな……子猫、大丈夫だろうか。
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