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獣王国の家庭教師
第530話、エストレイヤ家からの連絡
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ある日の夜。
久しぶりに、兄さんから連絡があった。
俺は、自室のサイドテーブルに置いてある『リンリン・ベル』の花から聞こえてくる兄さんの声を聞く。
『久しぶりだな、アシュト』
「兄さん。久しぶり……どうしたの?」
『ああ。以前、獣王国サファリの王族から家庭教師を頼まれたと言ったろう? その件で進展があったから連絡した』
「あ」
そういえば、魔法王国で講師やってた時に、獣王国サファリの第一王子……シアンくんだっけ? 猫獣人のシアンくんから『妹の家庭教師をしてほしい』って頼まれたっけ。
あそこで俺はエストレイヤ性を名乗ってたし、他国の王族からエストレイヤ家への依頼ということで、兄さんに相談してたっけ。兄さん、ちゃんと交渉してくれたんだな。
『あちらの条件とこちらの条件を合わせるのに時間がかかった。だが、なんとかまとまったぞ』
「そっか。兄さん、ありがとう」
俺の出した条件は、『期間は長くて三十日』だ。一応、こっちの仕事もあるし、一ヶ月以上は無理だ。
さすがに短いとは思うけど……でも、俺にとっては村長と薬師の仕事が最優先だ。
すると、リュドガ兄さんは。
『あちらも、一月以上は望まないそうだ。あくまで、大勢いる教師の一人として、シアン王子の推薦教師としてペルシャ王女の教師をお願いするそうだ。担当教科は『獣王国の歴史』だが……大丈夫か?』
「獣王国の歴史ね。えーっと……うん、大丈夫」
一応、獣王国サファリの知識はある。
獣王国サファリで家庭教師をするんだ。その国の知識は頭に叩き込んである。というか、ジーグベッグさんの著書に、獣王国サファリの本が五十冊くらいあったんだよな……あの爺さん、知らないことないんじゃないかってくらい知識が深い。
獣王国サファリに関する本は読破したし、なんとかなるだろう。
『エストレイヤ家からの派遣という扱いになる。従者と護衛を同行させろ』
「従者と護衛?……必要……だよなぁ」
『そうだな。騎士二名、世話係二名の四名まで同行を許されている。お前のことだ、一人で行くつもりだろうが……一応、貴族という立場だ。申し訳ないが、頼むぞ』
「わかってる。あのさ、従者って獣人でもいいのかな?」
『もちろんだ。むしろ、そちらのが好ましい。獣王国サファリは国民の八割が亜人系だからな』
「わかった」
『それと、詳細を明記した書類をそちらに運ぶ。ビッグバロッグ王国に在住している竜騎士なら、数日で到着するはずだ』
「うん。わかった」
『あー……それと、頼みがある。カーフィー豆を送ってくれないか?』
「あはは。わかったよ、いっぱい用意しておく」
『すまん。ヒュンケルとルナマリアはもちろん、フレイヤもハマってな……減り方が尋常ではないのだ』
兄さんと雑談し、夜も更けてきたので通話を終えた。
カーフィー豆、日持ちする種類を大量に用意しておこう。
◇◇◇◇◇◇
二日後。
ビッグバロッグ王国から来た竜騎士が、家庭教師の詳細を書いた書類を届けに来た。
竜騎士に大量のカーフィー豆を持たせ、少なくない金貨を渡した。運ぶの大変そうだしな。
俺は、部屋で家庭教師の詳細を確認する。
「ふむ。授業内容は獣王国サファリの歴史か……これなら大丈夫だろう」
授業時間、給与、授業内容の確認をした。
そして、肝心な生徒……獣王国サファリ第一王女ペルシャの詳細を確認する。
年齢六歳。王族としての授業が始まったばかりらしい。
「六歳か……」
ミュアちゃんが九歳くらいかな。
ミュアちゃんよりさらに小さな猫獣人か。どんな子だろう。
「あ、そうだ。従者を決めないと」
えーと、騎士が二人と世話係二人だっけ。
とりあえず騎士。騎士といえば竜騎士だ。
さっそく竜騎士の宿舎へ。
宿舎前広場では、竜騎士たちが上半身裸で訓練していた……くそ、全員腹筋バキバキじゃねぇか。見せつけやがってちくしょう……ちくしょう。
すると、俺に気付いたランスローが来た。上半身裸で。
「これはアシュト様。何かご用でも?」
「…………」
「アシュト様?」
「あ、いや。えーっと……というか、なんでみんな裸?」
上半身裸で木剣を振るい、模擬戦を行っている。
首を傾げると、ランスローが言う。
「鎧を脱ぎ、素肌を晒し剣を合わせることで緊張感を持ちながらの模擬戦です」
「へぇ……っと、お願いがあるんだ」
「お願い、ですか?」
「うん。実は……」
俺は家庭教師の説明する。
ランスローは、小さく頷いた。
「なるほど。獣王国サファリですか……私かゴーヴァンが同行するべきでしょう」
「うん。俺もそう思ったけど……二人はローレライとクララベルの騎士だろ? なるべく離れない方がいいんじゃないかな? それに、ゴーヴァンはクララベルのお菓子屋で働いてるし」
「ふむ……それでしたら」
ランスローは、訓練中の騎士を見渡し、二人の騎士を呼んだ。
一人は、逆立った灰色の髪に厳つい顔をした騎士。もう一人は細身で肩まである赤髪を結った騎士だ。二人は俺の前で跪いた。
「こちらはグリフレッド、こちらがユーウェイン。我が雪龍騎士団最強の二名です」
グリフレッドは灰色の髪、ユーウェインが赤髪だ。
なんとなく、パワータイプにスピードタイプって感じ。
ランスローが二人に向かって軽く頷くと、二人は立ち上がった。
「グリフレッドです。アシュト様、命に代えてもお守りいたします」
「ユーウェインです。アシュト様、護衛はお任せください」
「よ、よろしく」
うーん。あまり喋ったことないから少し緊張するな。
とりあえず、護衛騎士はこの二人でいいや。
◇◇◇◇◇◇
さて、世話係だ。
一応、俺の世話係ってことだけど。
まぁ、貴族だし世話係くらい連れて行くよなぁ。
夕食後。食器を洗っているシルメリアさんたちの元へ。
キッチンでは、シルメリアさん、ミュアちゃん、シャーロットとマルチェラ、メイリィの五人が食器を洗っては拭き、戸棚にしまっていた。
「あ、ご主人さま!」
「お疲れ様。ちょっといいかな?」
「にゃうー」
ミュアちゃんを撫でる。
シルメリアさんは洗い物をメイリィと交換。俺の前へ。
「ご主人様。何か用事でしょうか?」
「うん。実はさ……」
「ごろごろ……」
ミュアちゃんを撫でながら説明。
世話係のことを話すと、シルメリアさんのネコミミがピコピコっと動く。
「なるほど。世話係ですか」
「にゃう。わたしが行きたいー!」
「あはは。じゃあ、ミュアちゃんは決まり。もう一人は……」
と───これが悪手だった。
「では、「「「「私が」」」」」……あなたたち」
シルメリアさんの背後に、シャーロットたちが。
しかも一斉に挙手。どうやら行きたいらしい。
「シルメリア。抜け駆けは許しませんよ」
「お世話係なら、私たちにも権利はあるはず」
「わ、わたしも行きたいです……」
「くっ……いいでしょう。ご主人様、世話係の件ですが、回答は明日の朝でよろしいでしょうか?」
「は、はい……いいけど」
「ありがとうございます。あなたたち、仕事が終わったら緊急集会を開きます。メイリィ、あなたは先に上がって、全銀猫に連絡を」
「はいっ!」
な、なんかとんでもないことになった。
緊急集会って、そこまでするのか?
「にゃあ。ご主人さま、今日は一緒に寝ていい?」
「ああ、いいよ」
「にゃうー」
うーん、ミュアちゃんは可愛いな。
明日の朝、どんな結果になるのかな……どんな話し合いにあるのか、かなり気になった。
久しぶりに、兄さんから連絡があった。
俺は、自室のサイドテーブルに置いてある『リンリン・ベル』の花から聞こえてくる兄さんの声を聞く。
『久しぶりだな、アシュト』
「兄さん。久しぶり……どうしたの?」
『ああ。以前、獣王国サファリの王族から家庭教師を頼まれたと言ったろう? その件で進展があったから連絡した』
「あ」
そういえば、魔法王国で講師やってた時に、獣王国サファリの第一王子……シアンくんだっけ? 猫獣人のシアンくんから『妹の家庭教師をしてほしい』って頼まれたっけ。
あそこで俺はエストレイヤ性を名乗ってたし、他国の王族からエストレイヤ家への依頼ということで、兄さんに相談してたっけ。兄さん、ちゃんと交渉してくれたんだな。
『あちらの条件とこちらの条件を合わせるのに時間がかかった。だが、なんとかまとまったぞ』
「そっか。兄さん、ありがとう」
俺の出した条件は、『期間は長くて三十日』だ。一応、こっちの仕事もあるし、一ヶ月以上は無理だ。
さすがに短いとは思うけど……でも、俺にとっては村長と薬師の仕事が最優先だ。
すると、リュドガ兄さんは。
『あちらも、一月以上は望まないそうだ。あくまで、大勢いる教師の一人として、シアン王子の推薦教師としてペルシャ王女の教師をお願いするそうだ。担当教科は『獣王国の歴史』だが……大丈夫か?』
「獣王国の歴史ね。えーっと……うん、大丈夫」
一応、獣王国サファリの知識はある。
獣王国サファリで家庭教師をするんだ。その国の知識は頭に叩き込んである。というか、ジーグベッグさんの著書に、獣王国サファリの本が五十冊くらいあったんだよな……あの爺さん、知らないことないんじゃないかってくらい知識が深い。
獣王国サファリに関する本は読破したし、なんとかなるだろう。
『エストレイヤ家からの派遣という扱いになる。従者と護衛を同行させろ』
「従者と護衛?……必要……だよなぁ」
『そうだな。騎士二名、世話係二名の四名まで同行を許されている。お前のことだ、一人で行くつもりだろうが……一応、貴族という立場だ。申し訳ないが、頼むぞ』
「わかってる。あのさ、従者って獣人でもいいのかな?」
『もちろんだ。むしろ、そちらのが好ましい。獣王国サファリは国民の八割が亜人系だからな』
「わかった」
『それと、詳細を明記した書類をそちらに運ぶ。ビッグバロッグ王国に在住している竜騎士なら、数日で到着するはずだ』
「うん。わかった」
『あー……それと、頼みがある。カーフィー豆を送ってくれないか?』
「あはは。わかったよ、いっぱい用意しておく」
『すまん。ヒュンケルとルナマリアはもちろん、フレイヤもハマってな……減り方が尋常ではないのだ』
兄さんと雑談し、夜も更けてきたので通話を終えた。
カーフィー豆、日持ちする種類を大量に用意しておこう。
◇◇◇◇◇◇
二日後。
ビッグバロッグ王国から来た竜騎士が、家庭教師の詳細を書いた書類を届けに来た。
竜騎士に大量のカーフィー豆を持たせ、少なくない金貨を渡した。運ぶの大変そうだしな。
俺は、部屋で家庭教師の詳細を確認する。
「ふむ。授業内容は獣王国サファリの歴史か……これなら大丈夫だろう」
授業時間、給与、授業内容の確認をした。
そして、肝心な生徒……獣王国サファリ第一王女ペルシャの詳細を確認する。
年齢六歳。王族としての授業が始まったばかりらしい。
「六歳か……」
ミュアちゃんが九歳くらいかな。
ミュアちゃんよりさらに小さな猫獣人か。どんな子だろう。
「あ、そうだ。従者を決めないと」
えーと、騎士が二人と世話係二人だっけ。
とりあえず騎士。騎士といえば竜騎士だ。
さっそく竜騎士の宿舎へ。
宿舎前広場では、竜騎士たちが上半身裸で訓練していた……くそ、全員腹筋バキバキじゃねぇか。見せつけやがってちくしょう……ちくしょう。
すると、俺に気付いたランスローが来た。上半身裸で。
「これはアシュト様。何かご用でも?」
「…………」
「アシュト様?」
「あ、いや。えーっと……というか、なんでみんな裸?」
上半身裸で木剣を振るい、模擬戦を行っている。
首を傾げると、ランスローが言う。
「鎧を脱ぎ、素肌を晒し剣を合わせることで緊張感を持ちながらの模擬戦です」
「へぇ……っと、お願いがあるんだ」
「お願い、ですか?」
「うん。実は……」
俺は家庭教師の説明する。
ランスローは、小さく頷いた。
「なるほど。獣王国サファリですか……私かゴーヴァンが同行するべきでしょう」
「うん。俺もそう思ったけど……二人はローレライとクララベルの騎士だろ? なるべく離れない方がいいんじゃないかな? それに、ゴーヴァンはクララベルのお菓子屋で働いてるし」
「ふむ……それでしたら」
ランスローは、訓練中の騎士を見渡し、二人の騎士を呼んだ。
一人は、逆立った灰色の髪に厳つい顔をした騎士。もう一人は細身で肩まである赤髪を結った騎士だ。二人は俺の前で跪いた。
「こちらはグリフレッド、こちらがユーウェイン。我が雪龍騎士団最強の二名です」
グリフレッドは灰色の髪、ユーウェインが赤髪だ。
なんとなく、パワータイプにスピードタイプって感じ。
ランスローが二人に向かって軽く頷くと、二人は立ち上がった。
「グリフレッドです。アシュト様、命に代えてもお守りいたします」
「ユーウェインです。アシュト様、護衛はお任せください」
「よ、よろしく」
うーん。あまり喋ったことないから少し緊張するな。
とりあえず、護衛騎士はこの二人でいいや。
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さて、世話係だ。
一応、俺の世話係ってことだけど。
まぁ、貴族だし世話係くらい連れて行くよなぁ。
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「あ、ご主人さま!」
「お疲れ様。ちょっといいかな?」
「にゃうー」
ミュアちゃんを撫でる。
シルメリアさんは洗い物をメイリィと交換。俺の前へ。
「ご主人様。何か用事でしょうか?」
「うん。実はさ……」
「ごろごろ……」
ミュアちゃんを撫でながら説明。
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「なるほど。世話係ですか」
「にゃう。わたしが行きたいー!」
「あはは。じゃあ、ミュアちゃんは決まり。もう一人は……」
と───これが悪手だった。
「では、「「「「私が」」」」」……あなたたち」
シルメリアさんの背後に、シャーロットたちが。
しかも一斉に挙手。どうやら行きたいらしい。
「シルメリア。抜け駆けは許しませんよ」
「お世話係なら、私たちにも権利はあるはず」
「わ、わたしも行きたいです……」
「くっ……いいでしょう。ご主人様、世話係の件ですが、回答は明日の朝でよろしいでしょうか?」
「は、はい……いいけど」
「ありがとうございます。あなたたち、仕事が終わったら緊急集会を開きます。メイリィ、あなたは先に上がって、全銀猫に連絡を」
「はいっ!」
な、なんかとんでもないことになった。
緊急集会って、そこまでするのか?
「にゃあ。ご主人さま、今日は一緒に寝ていい?」
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「にゃうー」
うーん、ミュアちゃんは可愛いな。
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