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日常編⑲
第545話、エルダードワーフの飲み会
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アシュトが村にいない間でも、緑龍の村は仕事で忙しい。
特に忙しいのは、エルダードワーフたちかもしれない。
エルダードワーフのアウグストは、緑龍の村では建築関係の総責任者である。
今日は、建築関係の事務所で図面を眺めていた。
「うーむ……デカくなりおったなぁ」
アウグストが眺めていたのは、緑龍の村全体の図面。
これまで建築した建物や街道を詳細に書き記した図面だ。当然のことだが、地図には小さな脇道から小川の一本まで正確に書き込まれている。
「村長の家、オレらの家、図書館に薬院に……ふむ」
アシュトの家を中心に、村は円形に広がっている。
畑や麦畑、ブドウ畑や果樹園などは、始めた頃の十倍以上の規模になり、住む種族も増えたので家も増えた。
家を建て始めた頃は、同じ造りの家を建てていたが、仲間が増えて余裕ができるようになると、いくつかのパターンを用意して、住む住人の希望に沿った家を建てた。今では完全オーダーメイドの家も建てる。
アウグストは、薬缶で沸かした麦茶を湯呑に注ぐ。
「畑も居住区もまだまだ広くなりそうだ。とりあえず、千年先くらいを見越した建築整備計画を立てねぇとな……くくく、面白くなってきやがったぜ」
アウグストは、ノリノリで筆を手に取った。
◇◇◇◇◇◇
鍛冶場の最高責任者であるラードバンは、ミスリル鉱石をドロドロに溶かし、金型に流し込んでいた。
ミスリルは、溶けてもすぐに硬化する性質がある。さらに、溶けた後に硬化すると、鉱石時の数倍の強度になる。その硬さは鋼鉄の比ではない。
ほぼ一瞬で固まったミスリルの金型を素手で外す。
「……こんなもんか」
ラードバンが作っていたのは、ミスリル製の置物だ。
そう、この作業は完全な趣味。
ミスリルを使った置物を作っていたのである。
「うし。こっからが正念場じゃな」
ラードバンは、ミスリル製の彫刻刀を取り出し、模様を掘っていく。
置物の形は、蜷局を巻いたヤマタノオロチ。八つの頭にそれぞれ鱗を掘っていく。
無言で作業をしていると、作業場に誰かが入ってきた。
「邪魔するぜ、ラードバン」
「…………マックドエルか」
「おう。注文の塗料を持ってきた。ここに置いとくぜ」
「…………ああ」
マックドエルは、ミスリル製専用の塗料をテーブルの上に置く。
そのまま出て行こうとしたが、思い出したように言う。
「おっと。今日の宴会、いい酒をたんまり仕入れたから期待しとけ」
「馬鹿野郎!! 手元が狂うようなこと言うんじゃねぇ!!」
マックドエルは、ケラケラ笑いながら出て行った。
「全く……あの野郎め」
ラードバンは、腕をグルグル回し、作業を続けた。
◇◇◇◇◇◇
酒造関係の総責任者ワルディオと、麦畑の総責任者マディガンは、麦畑傍にある休憩所で熱いお茶を啜っていた。
ワルディオは、薬缶にお代わりの茶を注ぐ。
「ほれ、マディガン」
「おお、悪いな」
マディガンの湯呑に茶を注ぎ、麦畑を眺めた。
「それにしても、いい麦が育つ畑だな」
「ああ。村長の魔法がかかった土は成長が早い。半年かかる成長がたった一月だ」
「とんでもねぇ土だなぁ……」
「おう。それと、実験してみたんだが……ここの土を穴倉の畑に運んで麦を育てたがダメだった。どうも、村長から離れると普通の土みてぇだな」
「ふむ。魔法っちゅうんはめんどくせぇのぉ」
ワルディオは茶を啜り、のんびり呟く。
そして、思い出したように言った。
「おっと。今日の宴会のこと、忘れてねぇよな?」
「当然だろ。妖狐の宿貸し切り宴会! くく、久しぶりだから楽しみだぜ」
エルダードワーフの二人は、待ちきれないように湯呑を合わせた。
◇◇◇◇◇◇
その日の夜。
妖狐の宿二階の宴会場に、エルダードワーフたちが集まった。
全員、妖狐族の伝統衣装である浴衣を着ている。
アウグストは、冷えた清酒のグラスを持ち、挨拶した。
「野郎ども、今日は久しぶりの宴会じゃ!! よく飲み、よく食べ、よく歌い、明日からまた頑張ろうじゃねぇか!! では、乾杯!!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
エルダードワーフたちは、清酒を一気に飲み干した。
こうなると、後はどんちゃん騒ぎである。
酒を飲み、妖狐族の料理を食べ、仲間内で騒ぐ。
後出し料理が運ばれ、温物や焼き物がお膳に並ぶ。
運んできたのは、ふさふさ尻尾のカエデだった。
「ささ、温かいうちに食べるのじゃ。この魚は妖狐族の里で釣った新鮮なものじゃ」
「ほほう。こりゃうまそうだ」
アウグストは、綺麗な白身魚を頭から食べる。内臓の苦み、白身の淡泊さが混ざりあい、とても美味い。
「こりゃ絶品じゃな」
「そうじゃろう? ふふふ、わらわが魔法で釣ったのじゃ」
「ほほう。大したもんじゃな」
カエデの尻尾が揺れる。
そして、宴会場のステージに、着物を着た妖狐族の女性が数名現れた。何人かは楽器を持ち、楽器を奏でると着物の妖狐族女性が躍る。
エルダードワーフたちは、妖狐の舞を見ながら手をパンパン叩く。
「妖狐の舞、どうじゃ?」
「いやーいい! 美しいのぉ!」
アウグストも、手を叩く。
いつの間にかカエデも混ざり、手をパンパン叩いていた。
エルダードワーフたちは、このように定期的な宴会を開催していた。
もちろん、お金はしっかり払っている。今では村の楽しみの一つだ。
カエデは、徳利をアウグストへ。
「ささ、アウグスト殿。飲むのじゃ飲むのじゃ」
「おお、すまねぇな」
エルダードワーフたちの宴会は、深夜まで続く……。
特に忙しいのは、エルダードワーフたちかもしれない。
エルダードワーフのアウグストは、緑龍の村では建築関係の総責任者である。
今日は、建築関係の事務所で図面を眺めていた。
「うーむ……デカくなりおったなぁ」
アウグストが眺めていたのは、緑龍の村全体の図面。
これまで建築した建物や街道を詳細に書き記した図面だ。当然のことだが、地図には小さな脇道から小川の一本まで正確に書き込まれている。
「村長の家、オレらの家、図書館に薬院に……ふむ」
アシュトの家を中心に、村は円形に広がっている。
畑や麦畑、ブドウ畑や果樹園などは、始めた頃の十倍以上の規模になり、住む種族も増えたので家も増えた。
家を建て始めた頃は、同じ造りの家を建てていたが、仲間が増えて余裕ができるようになると、いくつかのパターンを用意して、住む住人の希望に沿った家を建てた。今では完全オーダーメイドの家も建てる。
アウグストは、薬缶で沸かした麦茶を湯呑に注ぐ。
「畑も居住区もまだまだ広くなりそうだ。とりあえず、千年先くらいを見越した建築整備計画を立てねぇとな……くくく、面白くなってきやがったぜ」
アウグストは、ノリノリで筆を手に取った。
◇◇◇◇◇◇
鍛冶場の最高責任者であるラードバンは、ミスリル鉱石をドロドロに溶かし、金型に流し込んでいた。
ミスリルは、溶けてもすぐに硬化する性質がある。さらに、溶けた後に硬化すると、鉱石時の数倍の強度になる。その硬さは鋼鉄の比ではない。
ほぼ一瞬で固まったミスリルの金型を素手で外す。
「……こんなもんか」
ラードバンが作っていたのは、ミスリル製の置物だ。
そう、この作業は完全な趣味。
ミスリルを使った置物を作っていたのである。
「うし。こっからが正念場じゃな」
ラードバンは、ミスリル製の彫刻刀を取り出し、模様を掘っていく。
置物の形は、蜷局を巻いたヤマタノオロチ。八つの頭にそれぞれ鱗を掘っていく。
無言で作業をしていると、作業場に誰かが入ってきた。
「邪魔するぜ、ラードバン」
「…………マックドエルか」
「おう。注文の塗料を持ってきた。ここに置いとくぜ」
「…………ああ」
マックドエルは、ミスリル製専用の塗料をテーブルの上に置く。
そのまま出て行こうとしたが、思い出したように言う。
「おっと。今日の宴会、いい酒をたんまり仕入れたから期待しとけ」
「馬鹿野郎!! 手元が狂うようなこと言うんじゃねぇ!!」
マックドエルは、ケラケラ笑いながら出て行った。
「全く……あの野郎め」
ラードバンは、腕をグルグル回し、作業を続けた。
◇◇◇◇◇◇
酒造関係の総責任者ワルディオと、麦畑の総責任者マディガンは、麦畑傍にある休憩所で熱いお茶を啜っていた。
ワルディオは、薬缶にお代わりの茶を注ぐ。
「ほれ、マディガン」
「おお、悪いな」
マディガンの湯呑に茶を注ぎ、麦畑を眺めた。
「それにしても、いい麦が育つ畑だな」
「ああ。村長の魔法がかかった土は成長が早い。半年かかる成長がたった一月だ」
「とんでもねぇ土だなぁ……」
「おう。それと、実験してみたんだが……ここの土を穴倉の畑に運んで麦を育てたがダメだった。どうも、村長から離れると普通の土みてぇだな」
「ふむ。魔法っちゅうんはめんどくせぇのぉ」
ワルディオは茶を啜り、のんびり呟く。
そして、思い出したように言った。
「おっと。今日の宴会のこと、忘れてねぇよな?」
「当然だろ。妖狐の宿貸し切り宴会! くく、久しぶりだから楽しみだぜ」
エルダードワーフの二人は、待ちきれないように湯呑を合わせた。
◇◇◇◇◇◇
その日の夜。
妖狐の宿二階の宴会場に、エルダードワーフたちが集まった。
全員、妖狐族の伝統衣装である浴衣を着ている。
アウグストは、冷えた清酒のグラスを持ち、挨拶した。
「野郎ども、今日は久しぶりの宴会じゃ!! よく飲み、よく食べ、よく歌い、明日からまた頑張ろうじゃねぇか!! では、乾杯!!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
エルダードワーフたちは、清酒を一気に飲み干した。
こうなると、後はどんちゃん騒ぎである。
酒を飲み、妖狐族の料理を食べ、仲間内で騒ぐ。
後出し料理が運ばれ、温物や焼き物がお膳に並ぶ。
運んできたのは、ふさふさ尻尾のカエデだった。
「ささ、温かいうちに食べるのじゃ。この魚は妖狐族の里で釣った新鮮なものじゃ」
「ほほう。こりゃうまそうだ」
アウグストは、綺麗な白身魚を頭から食べる。内臓の苦み、白身の淡泊さが混ざりあい、とても美味い。
「こりゃ絶品じゃな」
「そうじゃろう? ふふふ、わらわが魔法で釣ったのじゃ」
「ほほう。大したもんじゃな」
カエデの尻尾が揺れる。
そして、宴会場のステージに、着物を着た妖狐族の女性が数名現れた。何人かは楽器を持ち、楽器を奏でると着物の妖狐族女性が躍る。
エルダードワーフたちは、妖狐の舞を見ながら手をパンパン叩く。
「妖狐の舞、どうじゃ?」
「いやーいい! 美しいのぉ!」
アウグストも、手を叩く。
いつの間にかカエデも混ざり、手をパンパン叩いていた。
エルダードワーフたちは、このように定期的な宴会を開催していた。
もちろん、お金はしっかり払っている。今では村の楽しみの一つだ。
カエデは、徳利をアウグストへ。
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