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ベルゼブブワイン・テイスティング
第555話、ベルゼブブワインの試飲会(後編2)
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会場内を歩いていると、ワイングラス片手にこっちに向かってくる人がいた。
「お久しぶりですネェ! アシュト村長!」
「ディミトリ? お前もいたのか」
「ええ。ククク……ワタクシの経営するワイナリーも出品していますので」
「へぇ~」
悪魔商人のディミトリ。
最近、村では全く見ていない。
仕事がメチャクチャ忙しいってリザベルが言ってたな。どうもルシファーお抱えの商会になってから、オーベルシュタイン領土中を駆けまわってるとか。
ディミトリは、真っ黒でぴしっとしたスーツ、金縁のモノクル、ミリ単位で整った長さの髭、そしてステッキを持っていた……相変わらず胡散臭い恰好。でも似合ってる。
ディミトリは、ワイングラスを揺らしながら言う。
「アシュト村長。ぜひ、ぜひ! 我が商会のワインを!」
「お、おお。なんかテンション高いな……酔ってるのか?」
「いえいえ。ここにはあの『アドナエル・カンパニー』がいませんので。ハーッハッハッハ!」
「……まぁ、いいけど」
アドナエル。ディミトリのライバルがいないからテンション高いのか。
ディミトリに案内されて向かったのは、これまた派手な装いのブースだ。
新作のワインとやらが飾られているので見ると。
「……黒っ」
「ククク、そうです! これがディミトリ商会の新作。『ブラッドスキュラー』です!」
赤ワイン、というか……黒ワインだった。
墨のように真っ黒なワインだ。どんな加工をすればこうなるのか。
ディミトリからグラスを受け取り、軽く合わせる。
「じゃあ、いただきます……」
ちょっと怖いので、一口は小さめに……あれ?
「あれ? これ、美味しい……」
「でしょう?」
意外なことに、真っ黒な外見に相応しくない甘酸っぱさを感じる。さらに、喉を通る瞬間───ブワッと熱くなる。だが、この熱さがなんともいえない。
酒精が強く、数杯飲めばかなり酔ってしまいそうだ。これ、玄人向けのワインだ。
「玄人向け、そう感じたのではありませんか?」
おお、心を読みやがった。
ディミトリはワインを飲む。そして、喉を潤し説明した。
「我が社が作るワインは玄人向けです。アシュト村長、アシュト村長の村で生活する方々なら、このワインの味を理解してくれるのでは?」
「確かに。バルギルドさんたちやエルダードワーフたちが好みそう。それと、竜騎士たちも」
「クックック。さぁ、どうします?」
ディミトリは、優雅に一礼……芝居がかってやがる。
まぁ、俺ですら美味しいって思ったんだ。お土産にちょうどいいな。
「じゃあ、村に樽で運んでくれ」
「ありがとうございます!!」
ディミトリは揉み手……急に胡散臭い商人みたいになった。
すると、俺の背後からルシファーが現れた。
「や、楽しんでる?」
「ルシファーか。ああ、楽しんでるよ」
「そっか。あ、ディミトリ、そのワイン、あとでボクのところにも運んでおいて。あと、アシュトの分の支払いもボクに回しておいてよ」
「かしこまりました」
「お、おい。支払いは」
「いいって。気にしない気にしない」
ルシファー、ご機嫌みたいだ。けっこう飲んでるのかな?
ディミトリと別れ、ルシファーと一緒にルミナの元へ。
ルミナはケーキもぐもぐ食べていた。
「おそい」
「悪い悪い。ケーキ、おかわりは?」
「もうお腹いっぱい」
「ルミナちゃん、楽しんでる?」
「…………」
ルシファーの問いかけに、軽く頷くルミナ。
モフ助を見ると、お腹いっぱいなのかスヤスヤ眠っていた。
「あ、ルシファー。ルミナをちょっと見ててくれ。俺、エルミナとブランの様子見てくる」
「わかった。任せてよ」
ルミナの頭を軽く撫で、俺はエルミナとブランを探しに会場内を見渡した。
◇◇◇◇◇◇
最初に見つけたのは、エルミナだった。
「あーっはっはっは!! ん~~~幸せ。ワインおいしいぃ~~~っ♪」
「…………」
テーブルの一つを占領。ワインボトルを大量に並べ、飲みまくっていた。
メチャクチャ目立ってる……こいつ、ワインはチビチビと飲むとか言ってたよな。
俺はため息を吐き、エルミナに近づく。
「おいこら、エルミナ」
「ん~? あ、アシュト!えへへ~~~……アシュトも飲も?」
「お前な……」
エルミナ。可愛らしく笑いボトルを差し出してくる。
だが、俺はそのボトルを奪った。
「お前飲みすぎだ。ったく……目立ってるだろうが」
「え~~~?」
「とにかく、もうこれ以上飲むな! ほら、こっちこい」
「やぁん~~~」
エルミナを立たせるが、フラフラしている。
こいつ、立てなくなるほど飲んだのかよ。
俺は、近くにいたメイドさんにエルミナを任せ、ブランを探した。
すると……いた。
「ひゃっはっは!! いや~~~~ここは天国だぜ!!」
「…………」
一つのテーブルにワインや料理を並べ、何人かの女性を同席させて飲んでいた。
モテないブランになんで女性が?……って思っていると、なんとブラン、女性にお金を渡していた。
俺は頭を抱え、ブランに近づく。
「おいこら、ブラン」
「ん~? おいアシュト、おめーも混ざれよ!」
「……その金、バルギルドさんやネマさんたちから預かった金だろ」
「…………」
お酒を買って来いと預かった金だ。
ブランはようやく思い出したのか青くなる。
「ア、アシュ「断る」
「まだ何も言って「金は貸さない」
「た、たの「じゃ、後でな」
ブラン……今回は助けないからな。
気が付くと、女性たちは全員いなくなっていた。
「さて。ルミナのところに戻るか」
こうして、楽しい試飲会は幕を閉じた。
◇◇◇◇◇◇
後日談。
試飲会は大成功だったらしい。
魔界都市ベルゼブブの酒屋には新作ワインがズラリと並び、売り上げも好調だとか。
そして、エルミナには禁酒命令を出した。醜態を晒したバツだ。
ブランは、預かったお金を女性に貢いだことがバレて、デーモンオーガ四人から地獄のような折檻を受けたという……ちなみに、バルギルドさんたちには俺が買ったワインをお土産として渡した。
今度、このような酒に関する催し物があったら、エルミナとブランは絶対に連れて行かないようにしよう。
「お久しぶりですネェ! アシュト村長!」
「ディミトリ? お前もいたのか」
「ええ。ククク……ワタクシの経営するワイナリーも出品していますので」
「へぇ~」
悪魔商人のディミトリ。
最近、村では全く見ていない。
仕事がメチャクチャ忙しいってリザベルが言ってたな。どうもルシファーお抱えの商会になってから、オーベルシュタイン領土中を駆けまわってるとか。
ディミトリは、真っ黒でぴしっとしたスーツ、金縁のモノクル、ミリ単位で整った長さの髭、そしてステッキを持っていた……相変わらず胡散臭い恰好。でも似合ってる。
ディミトリは、ワイングラスを揺らしながら言う。
「アシュト村長。ぜひ、ぜひ! 我が商会のワインを!」
「お、おお。なんかテンション高いな……酔ってるのか?」
「いえいえ。ここにはあの『アドナエル・カンパニー』がいませんので。ハーッハッハッハ!」
「……まぁ、いいけど」
アドナエル。ディミトリのライバルがいないからテンション高いのか。
ディミトリに案内されて向かったのは、これまた派手な装いのブースだ。
新作のワインとやらが飾られているので見ると。
「……黒っ」
「ククク、そうです! これがディミトリ商会の新作。『ブラッドスキュラー』です!」
赤ワイン、というか……黒ワインだった。
墨のように真っ黒なワインだ。どんな加工をすればこうなるのか。
ディミトリからグラスを受け取り、軽く合わせる。
「じゃあ、いただきます……」
ちょっと怖いので、一口は小さめに……あれ?
「あれ? これ、美味しい……」
「でしょう?」
意外なことに、真っ黒な外見に相応しくない甘酸っぱさを感じる。さらに、喉を通る瞬間───ブワッと熱くなる。だが、この熱さがなんともいえない。
酒精が強く、数杯飲めばかなり酔ってしまいそうだ。これ、玄人向けのワインだ。
「玄人向け、そう感じたのではありませんか?」
おお、心を読みやがった。
ディミトリはワインを飲む。そして、喉を潤し説明した。
「我が社が作るワインは玄人向けです。アシュト村長、アシュト村長の村で生活する方々なら、このワインの味を理解してくれるのでは?」
「確かに。バルギルドさんたちやエルダードワーフたちが好みそう。それと、竜騎士たちも」
「クックック。さぁ、どうします?」
ディミトリは、優雅に一礼……芝居がかってやがる。
まぁ、俺ですら美味しいって思ったんだ。お土産にちょうどいいな。
「じゃあ、村に樽で運んでくれ」
「ありがとうございます!!」
ディミトリは揉み手……急に胡散臭い商人みたいになった。
すると、俺の背後からルシファーが現れた。
「や、楽しんでる?」
「ルシファーか。ああ、楽しんでるよ」
「そっか。あ、ディミトリ、そのワイン、あとでボクのところにも運んでおいて。あと、アシュトの分の支払いもボクに回しておいてよ」
「かしこまりました」
「お、おい。支払いは」
「いいって。気にしない気にしない」
ルシファー、ご機嫌みたいだ。けっこう飲んでるのかな?
ディミトリと別れ、ルシファーと一緒にルミナの元へ。
ルミナはケーキもぐもぐ食べていた。
「おそい」
「悪い悪い。ケーキ、おかわりは?」
「もうお腹いっぱい」
「ルミナちゃん、楽しんでる?」
「…………」
ルシファーの問いかけに、軽く頷くルミナ。
モフ助を見ると、お腹いっぱいなのかスヤスヤ眠っていた。
「あ、ルシファー。ルミナをちょっと見ててくれ。俺、エルミナとブランの様子見てくる」
「わかった。任せてよ」
ルミナの頭を軽く撫で、俺はエルミナとブランを探しに会場内を見渡した。
◇◇◇◇◇◇
最初に見つけたのは、エルミナだった。
「あーっはっはっは!! ん~~~幸せ。ワインおいしいぃ~~~っ♪」
「…………」
テーブルの一つを占領。ワインボトルを大量に並べ、飲みまくっていた。
メチャクチャ目立ってる……こいつ、ワインはチビチビと飲むとか言ってたよな。
俺はため息を吐き、エルミナに近づく。
「おいこら、エルミナ」
「ん~? あ、アシュト!えへへ~~~……アシュトも飲も?」
「お前な……」
エルミナ。可愛らしく笑いボトルを差し出してくる。
だが、俺はそのボトルを奪った。
「お前飲みすぎだ。ったく……目立ってるだろうが」
「え~~~?」
「とにかく、もうこれ以上飲むな! ほら、こっちこい」
「やぁん~~~」
エルミナを立たせるが、フラフラしている。
こいつ、立てなくなるほど飲んだのかよ。
俺は、近くにいたメイドさんにエルミナを任せ、ブランを探した。
すると……いた。
「ひゃっはっは!! いや~~~~ここは天国だぜ!!」
「…………」
一つのテーブルにワインや料理を並べ、何人かの女性を同席させて飲んでいた。
モテないブランになんで女性が?……って思っていると、なんとブラン、女性にお金を渡していた。
俺は頭を抱え、ブランに近づく。
「おいこら、ブラン」
「ん~? おいアシュト、おめーも混ざれよ!」
「……その金、バルギルドさんやネマさんたちから預かった金だろ」
「…………」
お酒を買って来いと預かった金だ。
ブランはようやく思い出したのか青くなる。
「ア、アシュ「断る」
「まだ何も言って「金は貸さない」
「た、たの「じゃ、後でな」
ブラン……今回は助けないからな。
気が付くと、女性たちは全員いなくなっていた。
「さて。ルミナのところに戻るか」
こうして、楽しい試飲会は幕を閉じた。
◇◇◇◇◇◇
後日談。
試飲会は大成功だったらしい。
魔界都市ベルゼブブの酒屋には新作ワインがズラリと並び、売り上げも好調だとか。
そして、エルミナには禁酒命令を出した。醜態を晒したバツだ。
ブランは、預かったお金を女性に貢いだことがバレて、デーモンオーガ四人から地獄のような折檻を受けたという……ちなみに、バルギルドさんたちには俺が買ったワインをお土産として渡した。
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