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ドラゴンロード・フェスティバル
第561話、シエラ様とお散歩
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ローレライとクララベル、本当に忙しいみたいだ。
ドラゴンロード王国に来て数日。二人に会えない日が続いた。
ミュディも、二人の手伝いをしている。なんでも、二人が着るドレスについて意見を聞かれたところ、スイッチが入ったのか、王城に務めるデザイナーたちと意見を交換し続けているようだ。おかげでミュディも全然帰って来ないし……まぁ、いいけど。
さらにさらに、ルミナも帰って来ない。
最初は俺の傍で勉強してたんだけど……ドラゴンの厩舎に行ったり、牧場で獣医の診察を見たり、図書館で勉強しているようだ。
ルミナ、勉強が楽しくて仕方ないみたいだ。
これについては何も言わない。そもそもルミナは勉強のために付いてきたんだしな。
そして、ディアーナたち。
ディアーナ、イオフィエル、タヌスケさんたちは、ドラゴンロード王国に到着するなり城下町へ。宿もそこで取り、町の文化や建国祭の準備などを下調べしている。
ディアーナは文官視点、イオフィエルは社長秘書視点、タヌスケさんは商人の視点で町を見ている……きっと、緑龍の村の祭りも賑やかになるだろう。
つまり……俺だけが暇をしていた。
与えられた部屋で本を読んだり、『緑龍の知識書』を開いてみたり。
俺は、部屋で大きな欠伸をした。
「ふぁぁ……暇だな」
「なら、お姉さんと遊ぶ?」
「遊ぶ? ってぉぉぉ!?」
いきなり耳元で声が。
驚いていると、シエラ様が背後から俺の頬を指でつついてきた。
「うふふ。一人で寂しいみたいねぇ」
「し、シエラ様……」
「ローレライちゃんたち、挨拶に追われてるみたいよ? 建国祭も近いし、いろんな国からお偉いさんが挨拶に来てるからねぇ……クララベルちゃんなんて、いつもの元気がまるでないわ」
「そうですか……王族ですし、仕方ないですよね」
クララベルも、こんなに忙しくなるとは思っていなかっただろう。
たぶん、俺やローレライと一緒に、のんびり建国祭を楽しむ予定だったはず。
「ねぇアシュトくん。お姉さんとデートしない?」
「え」
「ふふ。せっかくだし、お城の中を冒険しましょう!」
「い、いいんですか?」
「ええ。だって、このお城は私が建てたんだもん。いろんな遊び場や隠しギミックがあるのよ~♪」
「…………」
シエラ様、相変わらず計り知れないな……こんな立派な城を建てたのがシエラ様って。
「あの、ガーランド王たちは、シエラ様がここにいること知ってるんですか?」
「うふふ。知らないわ。だってそっちの方が面白そうじゃない」
「…………」
見つかったらとんでもないことになりそうだな。
シエラ様、ドラゴンにとって神様みたいな人だし。
「じゃ、遊びに行きましょうか!」
「は、はい」
まぁ、気分転換になるか。シエラ様と一緒にお城の散歩しよう。
◇◇◇◇◇◇
城の中は、かなり慌ただしい。
メイドさんや従者さんたちが、バタバタと駆け回っている。本来ならマナー違反なのだが、そんなこと気にならないほど忙しいようだ。
「いろんな国からお偉いさんが来るからね~、さすがのガーくんたちも王族としてお相手しないといけないのよ。そのための準備ねぇ」
「ですよね……」
俺たちが歩いているのは、メイドさんや従者、執事や騎士たちが歩く専用の通路。ここなら走っても貴族や王族が通ることはないから、多少のマナー違反は許される。
「ところで、どこへ向かってるんです?」
「うふふ~……ガーくんたちも知らない、秘密の通路♪」
「え……」
「うふふ。巧妙に隠したから絶対に見つからないと思ってたけど、何千何万年も見つからないなんて、ちょっとやりすぎちゃったかなぁ? アンくんやジルちゃんも見つけられなかったし」
「…………」
それって、かなりヤバいんじゃ。
もし、王族の誰も知らない通路を、俺が知っていたら。
「大丈夫大丈夫! 私が教えたって言えば問題なし~♪」
シエラ様強い。
確かに、シエラ様なら大丈夫な気がした。
「確か、ここね」
到着したのは、なんてことのない物置だった。
だが、綺麗に掃除されている。木製のドアノブも磨かれているし、中を開けても木箱や穀物の袋が積んであるだけだ。なんてことのない、タダの物置。
「ここに秘密の通路が?」
「ええ。えーっと、ここと、ここ」
シエラ様は、部屋の四隅にしゃがみ、人差し指で隅の頂点を押す。
そして、壁にかけてある燭台を右、左、右と規則正しく回す。そして壁の一部を何度かノックすると、壁の一部がニュッと突き出した。まるでドアノブみたいだ。
「ふふふ~、規則正しい鍵開けの手順を踏まないと、絶対に開けられないドアよ」
シエラ様はドアを開けると、一瞬で通路が照らされた。
ドアが開くと同時に、通路に吊られていたシャンデリアの火が灯ったのだ。
「わぁ……」
「さ、行きましょう」
「は、はい……あの、ここは一体」
「秘密基地~♪」
シエラ様は子供っぽく笑い、先へ進んでいく。
俺も後へ続いた。何千何万年って言ってたよな……その間、誰も開けなかったのに、埃っぽいどころか、建てたばかりのような真新しい匂いだ。
「ど、どうなってんだ……?」
通路の両側に、装飾の施された立派なドアが並んでいた。
シエラ様は、懐かしそうに言う。
「実はここ、アンくんやジルちゃんのために作った遊び場だったの。あの子たち、ドラゴンロード王国を作った時はとても忙しくってねぇ……私、育ての親みたいなものだったから、あの子たちのためにお城を建てたの。その時、この隠し部屋を作ったのよ。あの子たちが、王族というしがらみから解放されて、お部屋でのんびりしたり、イチャイチャしたりできるようにね」
「そうだったんですか……」
「隠したのは、ちょっとした遊び心だったのよ。あの子たちがこの部屋を見つけた時、どんな反応するかな~って……でも、結局見つからず仕舞い。あの子たち、ず~っと真面目に頑張って、国もこんなに大きくして……」
シエラ様は優しいな。
母上みたいな包容力だ。
「でも、なんでここを俺に?」
「なんとなく、かな? ちょっと思い出しちゃってねぇ」
「……今からでも、教えてあげるのは」
「ふふ、大人をからかっちゃダメよ?」
シエラ様は、悪戯っぽく微笑んだ。
きっと、アンフィスバエナ様やジルニトラ様にこの部屋のことを伝えても仕方ないだろう。
シエラ様は、部屋の奥にあるドアを開けた。
「ここ、私が書いた本がある図書館なの」
「し、シエラ様が書いた本!? メチャクチャ興味あります!!」
「ふふ、好きに読んでいいわよ。それとこっちはお風呂、こっちはダイニングルーム。一通り揃ってるから、好きに使っていいわ」
「嬉しいですけど、ドラゴンロード王国の隠し部屋を好きにしていいっていうのも……」
「じゃあ、ローレライちゃんたちと使ったら? ふふふ……こっちこっち」
「?」
シエラ様は、さらに別のドアを開ける。
ドアの奥は、階段になっていた。
「ここは?」
「ふふ~♪ 登ってビックリ! さ、行きましょ」
「……?」
シエラ様に次いで歩きだす。
普通の階段だ。特に何もないけど……どこに繋がっているんだ?
階段を上り終えると、ドアがあった。
「さ、開けて開けて」
「…………」
な、なんか嫌な予感してきた。
シエラ様に背を押され、ドアノブを掴む。
ガチャっと捻り、ドアを開けると、そこは。
「……え」
「「「「「「えっ」」」」」」
広い部屋だった。
豪華な調度品があふれ、シャンデリアがキラキラ輝いている。
横長のテーブルには様々な料理が並び、今まさに会食の最中だ。
食事しているのは、見知った顔。
ドラゴンロード王国の王族たち。
その王族たちが、俺を見ていた。
「実はここ、ダイニングルームに繋がってるの~♪」
「し、シエラ様!? めっちゃ目立ってますけど!?」
「お兄ちゃん!!」
「アシュト……あなた、何してるの」
クララベルが喜び、ローレライが頭を押さえる。
俺が出てきたのは、部屋を支える巨大な円柱の柱からだ。まさか柱が隠し通路になっているとは。
こうして俺とシエラ様は、久しぶりにローレライたちに会うことができた。
たぶん、シエラ様は最初からこうするつもりだったんだろうな……ほんと、頭が上がらないよ。
ドラゴンロード王国に来て数日。二人に会えない日が続いた。
ミュディも、二人の手伝いをしている。なんでも、二人が着るドレスについて意見を聞かれたところ、スイッチが入ったのか、王城に務めるデザイナーたちと意見を交換し続けているようだ。おかげでミュディも全然帰って来ないし……まぁ、いいけど。
さらにさらに、ルミナも帰って来ない。
最初は俺の傍で勉強してたんだけど……ドラゴンの厩舎に行ったり、牧場で獣医の診察を見たり、図書館で勉強しているようだ。
ルミナ、勉強が楽しくて仕方ないみたいだ。
これについては何も言わない。そもそもルミナは勉強のために付いてきたんだしな。
そして、ディアーナたち。
ディアーナ、イオフィエル、タヌスケさんたちは、ドラゴンロード王国に到着するなり城下町へ。宿もそこで取り、町の文化や建国祭の準備などを下調べしている。
ディアーナは文官視点、イオフィエルは社長秘書視点、タヌスケさんは商人の視点で町を見ている……きっと、緑龍の村の祭りも賑やかになるだろう。
つまり……俺だけが暇をしていた。
与えられた部屋で本を読んだり、『緑龍の知識書』を開いてみたり。
俺は、部屋で大きな欠伸をした。
「ふぁぁ……暇だな」
「なら、お姉さんと遊ぶ?」
「遊ぶ? ってぉぉぉ!?」
いきなり耳元で声が。
驚いていると、シエラ様が背後から俺の頬を指でつついてきた。
「うふふ。一人で寂しいみたいねぇ」
「し、シエラ様……」
「ローレライちゃんたち、挨拶に追われてるみたいよ? 建国祭も近いし、いろんな国からお偉いさんが挨拶に来てるからねぇ……クララベルちゃんなんて、いつもの元気がまるでないわ」
「そうですか……王族ですし、仕方ないですよね」
クララベルも、こんなに忙しくなるとは思っていなかっただろう。
たぶん、俺やローレライと一緒に、のんびり建国祭を楽しむ予定だったはず。
「ねぇアシュトくん。お姉さんとデートしない?」
「え」
「ふふ。せっかくだし、お城の中を冒険しましょう!」
「い、いいんですか?」
「ええ。だって、このお城は私が建てたんだもん。いろんな遊び場や隠しギミックがあるのよ~♪」
「…………」
シエラ様、相変わらず計り知れないな……こんな立派な城を建てたのがシエラ様って。
「あの、ガーランド王たちは、シエラ様がここにいること知ってるんですか?」
「うふふ。知らないわ。だってそっちの方が面白そうじゃない」
「…………」
見つかったらとんでもないことになりそうだな。
シエラ様、ドラゴンにとって神様みたいな人だし。
「じゃ、遊びに行きましょうか!」
「は、はい」
まぁ、気分転換になるか。シエラ様と一緒にお城の散歩しよう。
◇◇◇◇◇◇
城の中は、かなり慌ただしい。
メイドさんや従者さんたちが、バタバタと駆け回っている。本来ならマナー違反なのだが、そんなこと気にならないほど忙しいようだ。
「いろんな国からお偉いさんが来るからね~、さすがのガーくんたちも王族としてお相手しないといけないのよ。そのための準備ねぇ」
「ですよね……」
俺たちが歩いているのは、メイドさんや従者、執事や騎士たちが歩く専用の通路。ここなら走っても貴族や王族が通ることはないから、多少のマナー違反は許される。
「ところで、どこへ向かってるんです?」
「うふふ~……ガーくんたちも知らない、秘密の通路♪」
「え……」
「うふふ。巧妙に隠したから絶対に見つからないと思ってたけど、何千何万年も見つからないなんて、ちょっとやりすぎちゃったかなぁ? アンくんやジルちゃんも見つけられなかったし」
「…………」
それって、かなりヤバいんじゃ。
もし、王族の誰も知らない通路を、俺が知っていたら。
「大丈夫大丈夫! 私が教えたって言えば問題なし~♪」
シエラ様強い。
確かに、シエラ様なら大丈夫な気がした。
「確か、ここね」
到着したのは、なんてことのない物置だった。
だが、綺麗に掃除されている。木製のドアノブも磨かれているし、中を開けても木箱や穀物の袋が積んであるだけだ。なんてことのない、タダの物置。
「ここに秘密の通路が?」
「ええ。えーっと、ここと、ここ」
シエラ様は、部屋の四隅にしゃがみ、人差し指で隅の頂点を押す。
そして、壁にかけてある燭台を右、左、右と規則正しく回す。そして壁の一部を何度かノックすると、壁の一部がニュッと突き出した。まるでドアノブみたいだ。
「ふふふ~、規則正しい鍵開けの手順を踏まないと、絶対に開けられないドアよ」
シエラ様はドアを開けると、一瞬で通路が照らされた。
ドアが開くと同時に、通路に吊られていたシャンデリアの火が灯ったのだ。
「わぁ……」
「さ、行きましょう」
「は、はい……あの、ここは一体」
「秘密基地~♪」
シエラ様は子供っぽく笑い、先へ進んでいく。
俺も後へ続いた。何千何万年って言ってたよな……その間、誰も開けなかったのに、埃っぽいどころか、建てたばかりのような真新しい匂いだ。
「ど、どうなってんだ……?」
通路の両側に、装飾の施された立派なドアが並んでいた。
シエラ様は、懐かしそうに言う。
「実はここ、アンくんやジルちゃんのために作った遊び場だったの。あの子たち、ドラゴンロード王国を作った時はとても忙しくってねぇ……私、育ての親みたいなものだったから、あの子たちのためにお城を建てたの。その時、この隠し部屋を作ったのよ。あの子たちが、王族というしがらみから解放されて、お部屋でのんびりしたり、イチャイチャしたりできるようにね」
「そうだったんですか……」
「隠したのは、ちょっとした遊び心だったのよ。あの子たちがこの部屋を見つけた時、どんな反応するかな~って……でも、結局見つからず仕舞い。あの子たち、ず~っと真面目に頑張って、国もこんなに大きくして……」
シエラ様は優しいな。
母上みたいな包容力だ。
「でも、なんでここを俺に?」
「なんとなく、かな? ちょっと思い出しちゃってねぇ」
「……今からでも、教えてあげるのは」
「ふふ、大人をからかっちゃダメよ?」
シエラ様は、悪戯っぽく微笑んだ。
きっと、アンフィスバエナ様やジルニトラ様にこの部屋のことを伝えても仕方ないだろう。
シエラ様は、部屋の奥にあるドアを開けた。
「ここ、私が書いた本がある図書館なの」
「し、シエラ様が書いた本!? メチャクチャ興味あります!!」
「ふふ、好きに読んでいいわよ。それとこっちはお風呂、こっちはダイニングルーム。一通り揃ってるから、好きに使っていいわ」
「嬉しいですけど、ドラゴンロード王国の隠し部屋を好きにしていいっていうのも……」
「じゃあ、ローレライちゃんたちと使ったら? ふふふ……こっちこっち」
「?」
シエラ様は、さらに別のドアを開ける。
ドアの奥は、階段になっていた。
「ここは?」
「ふふ~♪ 登ってビックリ! さ、行きましょ」
「……?」
シエラ様に次いで歩きだす。
普通の階段だ。特に何もないけど……どこに繋がっているんだ?
階段を上り終えると、ドアがあった。
「さ、開けて開けて」
「…………」
な、なんか嫌な予感してきた。
シエラ様に背を押され、ドアノブを掴む。
ガチャっと捻り、ドアを開けると、そこは。
「……え」
「「「「「「えっ」」」」」」
広い部屋だった。
豪華な調度品があふれ、シャンデリアがキラキラ輝いている。
横長のテーブルには様々な料理が並び、今まさに会食の最中だ。
食事しているのは、見知った顔。
ドラゴンロード王国の王族たち。
その王族たちが、俺を見ていた。
「実はここ、ダイニングルームに繋がってるの~♪」
「し、シエラ様!? めっちゃ目立ってますけど!?」
「お兄ちゃん!!」
「アシュト……あなた、何してるの」
クララベルが喜び、ローレライが頭を押さえる。
俺が出てきたのは、部屋を支える巨大な円柱の柱からだ。まさか柱が隠し通路になっているとは。
こうして俺とシエラ様は、久しぶりにローレライたちに会うことができた。
たぶん、シエラ様は最初からこうするつもりだったんだろうな……ほんと、頭が上がらないよ。
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