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常夏の村
第576話、暑くても続く毎日
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夏真っ盛り。
常夏セミがミンミン鳴く。最初はうるさいと思っていたが、今は気にならない。
俺は、ディミトリにお願いして薬院の扇風機を増やしてもらった。外に比べれば涼しいが、それでもまだまだ暑いことに変わりない。
でも、怪我や病気で来た人に辛い想いさせたくないからな。涼しくする努力はすべきだ。
さて、今日も患者さんが来た。
「ココロ、二番の縫合糸を準備して」
「は、はい!」
「ルミナ、消毒お願い」
「みゃあ」
竜騎士が二人、薬院に運ばれてきた。
それぞれ腕に深い切り傷を負っている。真剣を使った訓練でヘマをしたとか。
大怪我にココロは青ざめていたが、ルミナは冷静だった。
ルミナが消毒を終え、俺は怪我の具合を確かめる。
「うん……深いけど、筋肉で止まってる。とりあえず皮膚を縫うだけで大丈夫そうだ」
「うぐぅ……申し訳ございません、アシュト様」
「大丈夫ですよ。ルミナ、そっちは任せていいか?」
「みゃう。縫うの得意だ」
「うん。ココロ、ルミナのサポートを」
「は、はい……」
「おい、ちゃんとやれよ」
「わ、わかってます!」
ココロが竜騎士の腕を押さえ、ルミナが丁寧に縫合していく。
ルミナは、縫合の経験を積んでいた。村の動物たちが怪我をしたときや、龍厩舎で龍医師のドナルドの手伝いをしたりと、確実に経験を積んでいる。
俺も、縫合糸をピンセットで摑み、皮膚縫合をしていく。
「ッぐ……」
「大丈夫ですか? もう少し我慢してくださいね」
「はい。これしきの痛み……」
五針ほど縫い、もう一度消毒をして包帯を巻く。
ルミナの方も終わり、ココロが包帯を巻いていた。
「十日後に抜糸します。包帯は毎日変えますので、忘れずに薬院へ来てくださいね。それと、訓練は今日明日はお休みで。三日目から走り込み程度は許可します。くれぐれも、腕を使ったりしないこと」
「了解しました! ありがとうございます。アシュト様」
「ありがとうございます。ルミナさん、ココロさん」
竜騎士二人は、頭を下げて出て行った。
ココロは使った道具の消毒や清掃を始め、ルミナは俺に甘えてきた。
「みゃう、撫でろ」
「はいはい。よしよし、今日もよくやったぞ、ルミナ」
「ごろごろ……」
「むー、ルミナ、お掃除手伝ってください」
「ふん、雑用は下っ端の仕事だ」
「……お前、それドナルドさんところで習ったのか?」
「みゃあー」
俺はルミナを撫でながら、ココロの掃除を手伝うことにした。
俺がやり始めると、ルミナも渋々と手伝い始める。
窓を開けると、常夏セミがミンミン鳴いていた。
◇◇◇◇◇◇
「あっつい!! アシュト、あっつい!!」
「……お前、エルミナだよな?」
「何言ってんのよ」
午後。
ルミナとココロは仲良く……いや仲良くではないな。二人で図書館へ。
俺は薬院で診療記録を書いていたら、エルミナがやってきた……ミズギで。
ミズギなのはいいけど、なんか変だ。
「お前、焼けたなぁ」
「ふふん。毎日プールで遊んでるからね」
そう、エルミナは日焼けしていた。
真っ白な肌が小麦色に焼けて健康的……と言えばいいのだが、なんか違和感あるな。
髪も、いつもは流しているのに、今日はポニーテールだ。
「アシュト。暑いー」
「そりゃ夏だしな」
「ふふふ……クララベルから聞いたわよ? あんた、転移魔法で海に行ったんだって?」
「そうだけど……」
「私も行きたい!!」
「えー……そう言いだすとキリがないから黙ってたのに。お前のことだし、この夏だけ海に住むとか言い出しそうだしな」
「そんなこと言わないし! あのさ、プールがヒトでいっぱいなの。水が温いのよ。もっと広いところで泳ぎたいの~!!」
「やれやれ……」
いちおう、クジャタ便は海まで行ってる。涼しさを求めて行く住人もいるけど、海まで行くのに一日かかるからなぁ……仕事もある以上、最低でも三日は休まないと海では遊べない。
なので、一瞬で行ける転移魔法の出番なのだ。
さすがのハイエルフも、転移魔法は使えないらしい。悪魔族や天使族なら使える人がいるけど、それでも使える人はかなり少数なのだとか。
すると、薬院のドアが開いた。
「ふっふっふ。わらわの出番が来たようじゃの!!」
「あら、カエデじゃない」
「どうした? 怪我でもしたのか?」
「むぅ、わらわの登場でほっこりしおって……まぁよい」
ふわふわモコモコ尻尾がなんとも可愛らしい。
エルミナは、カエデのモコモコ尻尾を見ながら言う。
「あんた、その尻尾暑くないの? 四本もモコモコして……可愛いけど」
「ふっふっふ。暑さ対策は万全なのじゃ。ほれほれ、触るのじゃ」
カエデは振り返り、尻尾をフリフリする……かわいい。
俺とエルミナは尻尾に触れ……気付いた。
「あれ、すっごくひんやりしてる」
「ホントだ。おお、気持ちいいなコレ」
「ふっふっふ。魔力を冷気に変換して、身体全体を覆っているのじゃ。夏でも冬でも、わらわの身体は常に一定の温度なのじゃ」
「すごい技術だな……さすが、魔法を使わせたら最強の妖狐族」
「むふふん」
カエデは胸を張る。
エルミナは尻尾をモフモフしながら言う。
「で、任せろってのは?」
「ふふふ。実はわらわ、転移魔法を覚えたのじゃ。父上や母上も認めてくれたのじゃ!」
「……大丈夫なのか? お前、転移魔法の失敗でこの村に来れたようなモンなのに」
「う、うるさいのじゃ! それより、転移魔法が必要ならわらわに言うのじゃ」
「試したいだけなんじゃ……」
「うるさいっ!」
カエデは大きな尻尾で俺を包み込んで黙らせてしまう。だが、ひんやりモフモフで気持ちいい……結果的に俺は黙ってしまった。
「エルミナ殿。海に行きたい連中を連れてくるのじゃ! わらわが転移魔法で連れてってやるのじゃ!」
「おお~! さっすがカエデ! ケチなアシュトとは違うわね!」
「おいこら、誰がケチだ誰が」
エルミナはダッシュで薬院で出て行き、三十分後にいつものハイエルフを連れてきた。
「やっほー村長!」とメージュ。
「うみ……」とルネア。
「いや~暑いね」とシレーヌ。
「海、楽しみです!」とエレイン。
みんなミズギだ。いや、着替えるなら海で着替えろよ。
カエデは尻尾をフリフリしながら言う。
「さて! さっそくわらわの実力を見せるのじゃ!」
「あの……やるなら外でやってくれないか?」
「む、そうじゃの。ここだとアシュト村長も巻き込むのじゃ」
薬院の裏手へ移動。
カエデの周りにハイエルフたちが集まる。
「では、海へ転移なのじゃ!」
「「「「「おーっ!!」」」」」
「いってらっしゃーい」
カエデの尻尾が光り、地面に淡く光る魔方陣が出現。
カエデたちは、魔方陣の光に包まれ、転移して行った。
「海か……まぁ、たまにならいいか。またミュアちゃんたちを連れて行こう」
数時間後、半泣きのカエデが疲れ切ったエルミナたちを連れて転移。
どうやら転移先を間違えて、エルダードワーフの穴倉に転移してしまい、地下大温泉に叩き込まれて大変だったとか……うん、カエデ、転移魔法もっと勉強しような。
常夏セミがミンミン鳴く。最初はうるさいと思っていたが、今は気にならない。
俺は、ディミトリにお願いして薬院の扇風機を増やしてもらった。外に比べれば涼しいが、それでもまだまだ暑いことに変わりない。
でも、怪我や病気で来た人に辛い想いさせたくないからな。涼しくする努力はすべきだ。
さて、今日も患者さんが来た。
「ココロ、二番の縫合糸を準備して」
「は、はい!」
「ルミナ、消毒お願い」
「みゃあ」
竜騎士が二人、薬院に運ばれてきた。
それぞれ腕に深い切り傷を負っている。真剣を使った訓練でヘマをしたとか。
大怪我にココロは青ざめていたが、ルミナは冷静だった。
ルミナが消毒を終え、俺は怪我の具合を確かめる。
「うん……深いけど、筋肉で止まってる。とりあえず皮膚を縫うだけで大丈夫そうだ」
「うぐぅ……申し訳ございません、アシュト様」
「大丈夫ですよ。ルミナ、そっちは任せていいか?」
「みゃう。縫うの得意だ」
「うん。ココロ、ルミナのサポートを」
「は、はい……」
「おい、ちゃんとやれよ」
「わ、わかってます!」
ココロが竜騎士の腕を押さえ、ルミナが丁寧に縫合していく。
ルミナは、縫合の経験を積んでいた。村の動物たちが怪我をしたときや、龍厩舎で龍医師のドナルドの手伝いをしたりと、確実に経験を積んでいる。
俺も、縫合糸をピンセットで摑み、皮膚縫合をしていく。
「ッぐ……」
「大丈夫ですか? もう少し我慢してくださいね」
「はい。これしきの痛み……」
五針ほど縫い、もう一度消毒をして包帯を巻く。
ルミナの方も終わり、ココロが包帯を巻いていた。
「十日後に抜糸します。包帯は毎日変えますので、忘れずに薬院へ来てくださいね。それと、訓練は今日明日はお休みで。三日目から走り込み程度は許可します。くれぐれも、腕を使ったりしないこと」
「了解しました! ありがとうございます。アシュト様」
「ありがとうございます。ルミナさん、ココロさん」
竜騎士二人は、頭を下げて出て行った。
ココロは使った道具の消毒や清掃を始め、ルミナは俺に甘えてきた。
「みゃう、撫でろ」
「はいはい。よしよし、今日もよくやったぞ、ルミナ」
「ごろごろ……」
「むー、ルミナ、お掃除手伝ってください」
「ふん、雑用は下っ端の仕事だ」
「……お前、それドナルドさんところで習ったのか?」
「みゃあー」
俺はルミナを撫でながら、ココロの掃除を手伝うことにした。
俺がやり始めると、ルミナも渋々と手伝い始める。
窓を開けると、常夏セミがミンミン鳴いていた。
◇◇◇◇◇◇
「あっつい!! アシュト、あっつい!!」
「……お前、エルミナだよな?」
「何言ってんのよ」
午後。
ルミナとココロは仲良く……いや仲良くではないな。二人で図書館へ。
俺は薬院で診療記録を書いていたら、エルミナがやってきた……ミズギで。
ミズギなのはいいけど、なんか変だ。
「お前、焼けたなぁ」
「ふふん。毎日プールで遊んでるからね」
そう、エルミナは日焼けしていた。
真っ白な肌が小麦色に焼けて健康的……と言えばいいのだが、なんか違和感あるな。
髪も、いつもは流しているのに、今日はポニーテールだ。
「アシュト。暑いー」
「そりゃ夏だしな」
「ふふふ……クララベルから聞いたわよ? あんた、転移魔法で海に行ったんだって?」
「そうだけど……」
「私も行きたい!!」
「えー……そう言いだすとキリがないから黙ってたのに。お前のことだし、この夏だけ海に住むとか言い出しそうだしな」
「そんなこと言わないし! あのさ、プールがヒトでいっぱいなの。水が温いのよ。もっと広いところで泳ぎたいの~!!」
「やれやれ……」
いちおう、クジャタ便は海まで行ってる。涼しさを求めて行く住人もいるけど、海まで行くのに一日かかるからなぁ……仕事もある以上、最低でも三日は休まないと海では遊べない。
なので、一瞬で行ける転移魔法の出番なのだ。
さすがのハイエルフも、転移魔法は使えないらしい。悪魔族や天使族なら使える人がいるけど、それでも使える人はかなり少数なのだとか。
すると、薬院のドアが開いた。
「ふっふっふ。わらわの出番が来たようじゃの!!」
「あら、カエデじゃない」
「どうした? 怪我でもしたのか?」
「むぅ、わらわの登場でほっこりしおって……まぁよい」
ふわふわモコモコ尻尾がなんとも可愛らしい。
エルミナは、カエデのモコモコ尻尾を見ながら言う。
「あんた、その尻尾暑くないの? 四本もモコモコして……可愛いけど」
「ふっふっふ。暑さ対策は万全なのじゃ。ほれほれ、触るのじゃ」
カエデは振り返り、尻尾をフリフリする……かわいい。
俺とエルミナは尻尾に触れ……気付いた。
「あれ、すっごくひんやりしてる」
「ホントだ。おお、気持ちいいなコレ」
「ふっふっふ。魔力を冷気に変換して、身体全体を覆っているのじゃ。夏でも冬でも、わらわの身体は常に一定の温度なのじゃ」
「すごい技術だな……さすが、魔法を使わせたら最強の妖狐族」
「むふふん」
カエデは胸を張る。
エルミナは尻尾をモフモフしながら言う。
「で、任せろってのは?」
「ふふふ。実はわらわ、転移魔法を覚えたのじゃ。父上や母上も認めてくれたのじゃ!」
「……大丈夫なのか? お前、転移魔法の失敗でこの村に来れたようなモンなのに」
「う、うるさいのじゃ! それより、転移魔法が必要ならわらわに言うのじゃ」
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「うるさいっ!」
カエデは大きな尻尾で俺を包み込んで黙らせてしまう。だが、ひんやりモフモフで気持ちいい……結果的に俺は黙ってしまった。
「エルミナ殿。海に行きたい連中を連れてくるのじゃ! わらわが転移魔法で連れてってやるのじゃ!」
「おお~! さっすがカエデ! ケチなアシュトとは違うわね!」
「おいこら、誰がケチだ誰が」
エルミナはダッシュで薬院で出て行き、三十分後にいつものハイエルフを連れてきた。
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「うみ……」とルネア。
「いや~暑いね」とシレーヌ。
「海、楽しみです!」とエレイン。
みんなミズギだ。いや、着替えるなら海で着替えろよ。
カエデは尻尾をフリフリしながら言う。
「さて! さっそくわらわの実力を見せるのじゃ!」
「あの……やるなら外でやってくれないか?」
「む、そうじゃの。ここだとアシュト村長も巻き込むのじゃ」
薬院の裏手へ移動。
カエデの周りにハイエルフたちが集まる。
「では、海へ転移なのじゃ!」
「「「「「おーっ!!」」」」」
「いってらっしゃーい」
カエデの尻尾が光り、地面に淡く光る魔方陣が出現。
カエデたちは、魔方陣の光に包まれ、転移して行った。
「海か……まぁ、たまにならいいか。またミュアちゃんたちを連れて行こう」
数時間後、半泣きのカエデが疲れ切ったエルミナたちを連れて転移。
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