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緑龍の村・夏祭り
第590話、みんなが過ごす夏祭り
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ラクシュミとアシュトが祭りを楽しんでいる頃。
クララベル、シェリー、ミュアの屋台は大忙しだった。
「ミュア! 材料いっぱい混ぜちゃって!」
「にゃうーっ!」
「クララベル、追加いっぱい入ってる!」
「わかったー!」
三人の屋台は氷菓子。正式名称は『アイスキャンディー』だ。
果実、果汁などを混ぜ合わせ、シェリーの魔法で凍らせる特製のお菓子。舐めるとひんやり甘く、暑い今にピッタリのお菓子だ。
二日目の今日、昨日よりもお客でにぎわっていた。
祭りは二日目が本番などと言うが、確かにその通り。新規のお客様や、初日で感覚を掴んだ屋台側の手際の良さが合わさり、忙しく感じてしまうのだ。
材料を混ぜ合わせるミュアは気付く。
「にゃあ! クララベルおねえちゃん、材料がもうないよー」
「ええ!? うう、想定外かも」
「どうするの? お客さん、まだまだ来るよ!」
氷菓子は、お客様の目の前で作っている。魔力を調整して凍らせているため、日光や常温で放置すると溶けてしまうのだ。作り置きというものができない。
クララベルは少しだけ考え、頷く。
「よし! 明日の材料使っちゃおう!」
「え、いいの?」
「うん。屋台は今日でおしまい。全部売って、明日はお兄ちゃんと遊ぶ!」
「……なるほどね」
「にゃう?」
シェリーも乗り気だ。
ちらりとミュアを見て笑う。
「ミュア。今日頑張って、明日はお兄ちゃんと遊ぼっか」
「にゃ! うん、がんばる!」
こうして、クララベルたちの屋台は、お昼前に完売したのだった。
◇◇◇◇◇◇
「お久しぶりっす、アウグストさん」
「ん? おお! ヒュンケルじゃねぇか!」
ヒュンケルは、ビッグバロッグ王国から持ってきた酒を片手に、アウグストたちの屋台へ挨拶をしに来ていた。
何を売っているのか。ヒュンケルは屋台をチラッと見る。
「これはまた……なんというか」
「酒の礼だ。好きなモンもってけ」
売っていたのは、見事なスライムガラス製品だった。
各種グラス、瓶、置物やアクセサリーなども売っている。耐久性の高いスライムガラスなので、イヤリングやネックレス、ブレスレットなどにしてもいい。さらに、加工前のスライムに塗料などを食べさせることで、色付けまでしてあった。
一国の王に献上したら、どれほどの褒美が出るのか……ヒュンケルはタラリと汗を流す。
『好きなモンもってけ』なんてレベルではない。
「あの、値段はどれくらいですかね?」
「ん? 一個五百ベルゼだ」
「ぶっ」
五百ベルゼ。
ベルゼ通貨は、オーベルシュタインでは幅広く使われている。ビッグバロッグ王国の通貨基準とそう変わらないとアシュトが言っていた。
ビッグバロッグ王国の通貨価値で、五百ベルゼというと……籠いっぱいのジャガイモくらいの値段だ。当然だが安い……安すぎる。
「ま、仕事の合間に作ったモンだしな。妥当な値段だろ」
「そ、そうですかね……」
キラキラ輝くスライムガラス製の女神像を眺めつつ言う。
だが、こんなチャンスはない。
「えーっと。土産ここで買ってくか。フレイヤとフライヤ、あいつらに似合いそうなのは……」
ヒュンケルは、副官姉妹に似合いそうなアクセサリーを買うことにした。
選んでいると、アウグストが言う。
「ヒュンケル。今夜一杯付き合えや」
「もちろん。へへ、いいつまみも持ってきたんです」
「お、いいね」
アウグストとヒュンケルは、ニヤリと笑った。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとルナマリア、エクレールとスサノオは、祭りを楽しんでいた。
エクレールはリュドガに肩車され、スサノオはルナマリアと手を繋いでいる。
出店で買ったクッキーをモグモグ食べるエクレール。
「おいしー!」
「はは、よかったな……だが、父の頭に食べかすを零さないでほしい」
「はい、ちちうえ!」
「ん、あーん」
エクレールは、リュドガの口にクッキーを押し込む。
スサノオは、焼き立てのパンにクリームを入れたお菓子を食べていた。
「あまくておいしいです。ははうえ」
「そうか。お、あちらに飲み物もある。飲むか?」
「いえ、とうぶんの取りすぎはよくないと、おじ上が書いた本にのってました」
「そ、そうか?」
スサノオは博識だ。
アシュトが書いた論文を読もうと努力している。エクレールと違い、勉強が好きなようだ。でも、その代わり武術や剣術があまり好きではないようだが。
どんな道に進もうと、愛情は精一杯注ぐつもりだ。
すると、リュドガが言う。
「お、あそこはシェリーたちの屋台か。行ってみよう」
シェリーたちの屋台に近づくと、なんだか疲れ切ってるシェリー、クララベル、ミュアがいた。
屋台には『完売! ありがとうございました』と書かれている。
シェリーは、リュドガを見て手を振った。
「やっほ、リュウ兄ぃ……」
「だ、だいぶ疲れているようだな」
「ん~……すっごいお客さんいっぱいで」
「おば上! おつかれさまです」
「エクレール、ふふ、気持ちよさそうなところね」
「はい!」
エクレールは、優秀な魔法師であるシェリーを尊敬していた。
いずれはシェリーのような魔法師にと魔法を習っているが、リュドガのように剣術や武術も好きだった。将来はルナマリアのような女性騎士になることだろう。
エクレール、スサノオは気付いた。
「あ、ねこ!」
「ねこがいる!」
「にゃう? あ、久しぶりー」
ミュアを見つけた二人。エクレールはリュドガから降り、スサノオはルナマリアから手を離す。
ミュアは屋台から出て、二人に近づいた。
「にゃあ」
「ねこ、げんきだった?」
「ねこ、ネコミミさわりたい」
「にゃう。わたしはミュアだってばー!」
ぷんすか怒るミュア。だが、久しぶりの再会にエクレールとスサノオは大喜びだ。
エクレールとスサノオは、ミュアにじゃれつつ屋台を見た。
「ねこ、このお店は?」
「お菓子ないの?」
「にゃあー……うりきれなの」
「そっか……」
シェリーは、疲れ切ってるクララベルに言う。
「クララベル、材料ってもうないんだっけ?」
「あるよ。わたしたち用にちょっと残したんだけど……」
「あたしらはいつでも食べられるし、リュウ兄たちにやってもいい?」
「……そうだね。よし! 最後に一仕事! ミュア、やるよ!」
「にゃふーっ!」
こうして、最後の『アイスキャンディー』を食べたエクレールとスサノオは大満足した。
楽しい夏祭りの時間は、ゆっくりと過ぎていく
クララベル、シェリー、ミュアの屋台は大忙しだった。
「ミュア! 材料いっぱい混ぜちゃって!」
「にゃうーっ!」
「クララベル、追加いっぱい入ってる!」
「わかったー!」
三人の屋台は氷菓子。正式名称は『アイスキャンディー』だ。
果実、果汁などを混ぜ合わせ、シェリーの魔法で凍らせる特製のお菓子。舐めるとひんやり甘く、暑い今にピッタリのお菓子だ。
二日目の今日、昨日よりもお客でにぎわっていた。
祭りは二日目が本番などと言うが、確かにその通り。新規のお客様や、初日で感覚を掴んだ屋台側の手際の良さが合わさり、忙しく感じてしまうのだ。
材料を混ぜ合わせるミュアは気付く。
「にゃあ! クララベルおねえちゃん、材料がもうないよー」
「ええ!? うう、想定外かも」
「どうするの? お客さん、まだまだ来るよ!」
氷菓子は、お客様の目の前で作っている。魔力を調整して凍らせているため、日光や常温で放置すると溶けてしまうのだ。作り置きというものができない。
クララベルは少しだけ考え、頷く。
「よし! 明日の材料使っちゃおう!」
「え、いいの?」
「うん。屋台は今日でおしまい。全部売って、明日はお兄ちゃんと遊ぶ!」
「……なるほどね」
「にゃう?」
シェリーも乗り気だ。
ちらりとミュアを見て笑う。
「ミュア。今日頑張って、明日はお兄ちゃんと遊ぼっか」
「にゃ! うん、がんばる!」
こうして、クララベルたちの屋台は、お昼前に完売したのだった。
◇◇◇◇◇◇
「お久しぶりっす、アウグストさん」
「ん? おお! ヒュンケルじゃねぇか!」
ヒュンケルは、ビッグバロッグ王国から持ってきた酒を片手に、アウグストたちの屋台へ挨拶をしに来ていた。
何を売っているのか。ヒュンケルは屋台をチラッと見る。
「これはまた……なんというか」
「酒の礼だ。好きなモンもってけ」
売っていたのは、見事なスライムガラス製品だった。
各種グラス、瓶、置物やアクセサリーなども売っている。耐久性の高いスライムガラスなので、イヤリングやネックレス、ブレスレットなどにしてもいい。さらに、加工前のスライムに塗料などを食べさせることで、色付けまでしてあった。
一国の王に献上したら、どれほどの褒美が出るのか……ヒュンケルはタラリと汗を流す。
『好きなモンもってけ』なんてレベルではない。
「あの、値段はどれくらいですかね?」
「ん? 一個五百ベルゼだ」
「ぶっ」
五百ベルゼ。
ベルゼ通貨は、オーベルシュタインでは幅広く使われている。ビッグバロッグ王国の通貨基準とそう変わらないとアシュトが言っていた。
ビッグバロッグ王国の通貨価値で、五百ベルゼというと……籠いっぱいのジャガイモくらいの値段だ。当然だが安い……安すぎる。
「ま、仕事の合間に作ったモンだしな。妥当な値段だろ」
「そ、そうですかね……」
キラキラ輝くスライムガラス製の女神像を眺めつつ言う。
だが、こんなチャンスはない。
「えーっと。土産ここで買ってくか。フレイヤとフライヤ、あいつらに似合いそうなのは……」
ヒュンケルは、副官姉妹に似合いそうなアクセサリーを買うことにした。
選んでいると、アウグストが言う。
「ヒュンケル。今夜一杯付き合えや」
「もちろん。へへ、いいつまみも持ってきたんです」
「お、いいね」
アウグストとヒュンケルは、ニヤリと笑った。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとルナマリア、エクレールとスサノオは、祭りを楽しんでいた。
エクレールはリュドガに肩車され、スサノオはルナマリアと手を繋いでいる。
出店で買ったクッキーをモグモグ食べるエクレール。
「おいしー!」
「はは、よかったな……だが、父の頭に食べかすを零さないでほしい」
「はい、ちちうえ!」
「ん、あーん」
エクレールは、リュドガの口にクッキーを押し込む。
スサノオは、焼き立てのパンにクリームを入れたお菓子を食べていた。
「あまくておいしいです。ははうえ」
「そうか。お、あちらに飲み物もある。飲むか?」
「いえ、とうぶんの取りすぎはよくないと、おじ上が書いた本にのってました」
「そ、そうか?」
スサノオは博識だ。
アシュトが書いた論文を読もうと努力している。エクレールと違い、勉強が好きなようだ。でも、その代わり武術や剣術があまり好きではないようだが。
どんな道に進もうと、愛情は精一杯注ぐつもりだ。
すると、リュドガが言う。
「お、あそこはシェリーたちの屋台か。行ってみよう」
シェリーたちの屋台に近づくと、なんだか疲れ切ってるシェリー、クララベル、ミュアがいた。
屋台には『完売! ありがとうございました』と書かれている。
シェリーは、リュドガを見て手を振った。
「やっほ、リュウ兄ぃ……」
「だ、だいぶ疲れているようだな」
「ん~……すっごいお客さんいっぱいで」
「おば上! おつかれさまです」
「エクレール、ふふ、気持ちよさそうなところね」
「はい!」
エクレールは、優秀な魔法師であるシェリーを尊敬していた。
いずれはシェリーのような魔法師にと魔法を習っているが、リュドガのように剣術や武術も好きだった。将来はルナマリアのような女性騎士になることだろう。
エクレール、スサノオは気付いた。
「あ、ねこ!」
「ねこがいる!」
「にゃう? あ、久しぶりー」
ミュアを見つけた二人。エクレールはリュドガから降り、スサノオはルナマリアから手を離す。
ミュアは屋台から出て、二人に近づいた。
「にゃあ」
「ねこ、げんきだった?」
「ねこ、ネコミミさわりたい」
「にゃう。わたしはミュアだってばー!」
ぷんすか怒るミュア。だが、久しぶりの再会にエクレールとスサノオは大喜びだ。
エクレールとスサノオは、ミュアにじゃれつつ屋台を見た。
「ねこ、このお店は?」
「お菓子ないの?」
「にゃあー……うりきれなの」
「そっか……」
シェリーは、疲れ切ってるクララベルに言う。
「クララベル、材料ってもうないんだっけ?」
「あるよ。わたしたち用にちょっと残したんだけど……」
「あたしらはいつでも食べられるし、リュウ兄たちにやってもいい?」
「……そうだね。よし! 最後に一仕事! ミュア、やるよ!」
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こうして、最後の『アイスキャンディー』を食べたエクレールとスサノオは大満足した。
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