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日常編㉑
第628話、シェリーとクララベルの休日
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「ん~……今日は久しぶりの休みっ」
ある日、自室で目を覚ましたシェリーは、のんびり伸びながら言った。
今日は、騎士の訓練はお休み。魔法学園もお休みで、何も予定がない。
相棒のアヴァロンも、今日は牙のお手入れでお休みだ。
着替え、一階へ下りダイニングへ行くと、エルミナ以外揃っていた。
「おはよう、シェリー」
「おはよ、お兄ちゃん。エルミナは?」
「あいつは寝坊……メージュたちと飲んで、ベロベロになって帰って来たからな。まぁ、今日はお休みって言ってたし、放っておいて食べようか」
席に座り、食事が始まる。
シェリーはパンを食べながらアシュトに聞いた。
「お兄ちゃん、今日もお仕事?」
「ああ。ココロが魔法学園に行ったしな、一日薬院にいるよ」
「ミュディは?」
「わたしもお仕事かな」
「ローレライと、クララベルも?」
「ええ」
「わたし、お休み!」
クララベルは休みだ。
最近の『お菓子屋ブランシュネージュ』は、クララベルがいなくても稼働している。クララベルの教えを受けた弟子たちのお菓子も、なかなかの味だった。
シェリーは、せっかくなのでクララベルに聞く。
「クララベル、今日の予定は?」
「んー、特に決めてない。のんびりお空を飛んだり、湖で水遊びしようかなーって思ってた」
「そ。あたしも休みだし、一緒に過ごす?」
「あ、いいかも。そういえば、シェリーと一緒に遊ぶこと、あんまりないよねー」
クララベルはパンをもぐもぐ食べる。
確かに、家で一緒に過ごすことは多いが、外で一緒に遊ぶことはあまりない。
せっかくなので、二人で過ごすことにした。
「お腹減った~……シルメリア、あったかいのちょ~だい」
と、ここで二日酔いのエルミナが現れ、話は終わった。
◇◇◇◇◇◇
朝食を終え、さっそく二人は家の前へ。
「じゃ、散歩しよっか」
「うん!」
クララベルと歩き出す。
まだ早朝なので、職場に向かうサラマンダー族やブラックモール族、ハイエルフ、エルダードワーフ、最近村に来たエルダーリッチたちと多くすれ違う。
すれ違うと、全員が挨拶してくれた。
「ん~、朝の挨拶は気持ちいいね」
「そうね。ところでクララベル、どこ行こっか」
あてもなく歩くのは悪くはない。
だが、せっかくの休みなのだ。どこへ行くか決めながら歩きたい。
クララベルは「うーん」と首を傾げた。
「いつもは行かないところがいいなー」
「いつも行かないところ……そうねぇ、妖狐族の住む区画に行ってみる?」
「あ、いいかも。あそこ、お菓子いっぱい売ってるところあるんだよねー」
妖狐族の住む区画。
村に移住してきた妖狐族たちが土地を広げ、妖狐族の建築家を中心に開かれた区画だ。この区画だけ妖狐族の里のような、趣のある雰囲気となっている。
妖狐族の里から商売をするために来た商人も多く住み、『和菓子屋』という妖狐族のお菓子が売っている店や、お菓子を食べることができる『茶屋』も多くある。
二人は、あまり行ったことがない区画だ。どことなく、雰囲気が独特なので一人では行きにくいのだ。
「じゃ、行ってみよっか」
「うん!」
二人はさっそく妖狐族の住む区画へ。
歩きながら、シェリーは言う。
「それにしても、広くなったわねー……」
「うんうん。わたしたち、村ができてすぐに住み始めたけど、かなり広くなったよねぇ」
クララベルがしみじみ言う。
シェリーたちが住み始めた頃から比べると、村の敷地は三倍以上広くなっている。
様々な種族が住み、文化を広げ、新たな文化もでき始めていた。
妖狐族の住む区画、通称『妖狐区画』まで来た二人。
すると、区画の入口にある小さな家に、見覚えのある子供がいた。
「あれ? あれって……アセナよね?」
「もう一人は誰だっけ?」
「確か、レムスだったかしら? 同じ人狼族の」
アセナが、レムスに何か包みを渡していた。
レムスは受け取ると、顔を赤くして何かを言い、アセナはにっこり微笑む。
そして、レムスは走り出し、シェリーたちの傍を通り過ぎた。
気になる二人は、アセナの元へ。
「あ、シェリーさんにクララベルさん。おはようございます」
「おはよ。ね、さっきの何?」
「さっきの? ああ、レムスにお弁当を渡しただけです」
「お、お弁当……?」
「はい。今日は狩りの訓練がありますので」
「あの……なんで、お弁当?」
「……あ、そういえば言ってませんでしたっけ」
アセナは、顔を赤らめ、ちょっとだけ恥ずかしそうに言った。
「その、私……レムスと、お付き合いしています」
「「え」」
「今は許嫁という立場です。家族にも了承してもらいました」
「その話、詳しく!!」
「わわわ、すっごく気になるかも!!」
「あ、あの……私、これからお仕事なので」
「お仕事? どこで?」
「近くの、お茶屋さんです。通うのに便利なので、この家に住み始めたんです」
そういえば、アセナはフレキと一緒に住み、フレキが人狼族の里に帰った後も、一人で住んでいた。
仕事で通うのに便利だからと、この家に住んでいる。ちなみに、アシュトには報告していた。
せっかくなので、二人は妖狐区画を散歩してからアセナの店へ。
ちょうどオープンの時間で、さっそく店に入った。
「いらっしゃいませ」
アセナが出迎えてくれた。
この店は、お菓子を作って販売するだけの店だったが、カフェスペースを設け、今は茶屋になっている。看板娘のアセナも、この仕事が気に入っているようだ。
シェリーとクララベルは、『三色団子』と『抹茶』を注文。
アセナが運ぶなり、質問した。
「で、いつから付き合ってんの?」
「あの……わたし、お仕事が」
と、シェリーが店主のお婆さんを見ると、ウンウン頷いた。
どうやら、相手をしろということだ。
アセナはため息を吐き、ポツポツ語る。
「別に、大したことじゃありません。最初は喧嘩したり、言い合ってばかりでしたけど……レムスが、果物を差し入れしてくれたり、家まで送ってくれるようになったんです。それで、私も、その……レムスのことが、気になって……レムスから告白して、今の関係になりました」
「お、お付き合いしてるんだね!」
「ま、まぁ……」
「ね、お付き合いって何してるの?」
「……別に、普通です。一緒にお茶したり、お散歩したり、狼に変身して山を駆けまわったり……」
「「おお~……」」
「も、もうおしまいです!! では、ごゆっくり!!」
耳を赤くしたアセナは離れてしまった。
シェリーは三色団子を食べながら言う。
「いや~、お兄ちゃんは知ってるのかな?」
「アセナ、すっごく『大人の女』みたいだった!」
「あんたはまだまだ子供だけどね~」
「む、シェリーだってそうじゃん! わたし、最近胸が大きくなってきてるし。シェリーはサイズ変わらないし!」
「か、か、変わってるわ! あんたに負けるわけないじゃん!!」
「ふーんだ。じゃあ、確認してみる?」
「え……」
「ふふん、一緒にお風呂行こっ」
これもまた思い付き。
二人は、妖狐区画内にある『村長湯』へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
妖狐区画内、村長湯。
妖狐族が、アシュトへ感謝の気持ちとして作った、特別な湯。
区画の外れにある、小さな建物。その中に入ると、空間歪曲魔法のおかげで広々としており、脱衣所を抜けると見事な天然温泉が流れている。
大きな露天風呂、内湯、洗い場だけのシンプルな造り。
二人は服を脱ぎ、洗い場へ。
「シェリー、洗いっこしよ!」
「嫌よ……」
「えー? 姉さまとはいつもやってるのに」
「ほんと、仲良し姉妹ね」
シェリーは、クララベルの胸をチラッと見る。
確かに、大きくなっている。エルミナやミュディよりも小さいが、あまり変化のない自分と同じくらいの大きさにはなっているかもしれない。
村に来たばかりのころは、自分のが大きかったのに。
「ふふーん」
「な、何よ。あたしのが大きいし!」
「二年以内に勝つ!」
「は、はぁぁ!? 無理、無理だし!!」
「大きくなるもーん。えへへ」
「むっかぁ!」
二人はじゃれあい、なんだかんだで髪を洗いっこし、湯船に浸かる。
「「はぁ~~~……」」
のんびりすると、シェリーが言う。
「朝風呂もいいわね……」
「ね、お風呂あがったら、冷たいの食べに行こっ」
「いいわね、またアセナのところ行く?」
「行くっ!」
シェリーとクララベル。
本日、二人の休日は、妖狐区画でのんびり過ごすことになった。
ある日、自室で目を覚ましたシェリーは、のんびり伸びながら言った。
今日は、騎士の訓練はお休み。魔法学園もお休みで、何も予定がない。
相棒のアヴァロンも、今日は牙のお手入れでお休みだ。
着替え、一階へ下りダイニングへ行くと、エルミナ以外揃っていた。
「おはよう、シェリー」
「おはよ、お兄ちゃん。エルミナは?」
「あいつは寝坊……メージュたちと飲んで、ベロベロになって帰って来たからな。まぁ、今日はお休みって言ってたし、放っておいて食べようか」
席に座り、食事が始まる。
シェリーはパンを食べながらアシュトに聞いた。
「お兄ちゃん、今日もお仕事?」
「ああ。ココロが魔法学園に行ったしな、一日薬院にいるよ」
「ミュディは?」
「わたしもお仕事かな」
「ローレライと、クララベルも?」
「ええ」
「わたし、お休み!」
クララベルは休みだ。
最近の『お菓子屋ブランシュネージュ』は、クララベルがいなくても稼働している。クララベルの教えを受けた弟子たちのお菓子も、なかなかの味だった。
シェリーは、せっかくなのでクララベルに聞く。
「クララベル、今日の予定は?」
「んー、特に決めてない。のんびりお空を飛んだり、湖で水遊びしようかなーって思ってた」
「そ。あたしも休みだし、一緒に過ごす?」
「あ、いいかも。そういえば、シェリーと一緒に遊ぶこと、あんまりないよねー」
クララベルはパンをもぐもぐ食べる。
確かに、家で一緒に過ごすことは多いが、外で一緒に遊ぶことはあまりない。
せっかくなので、二人で過ごすことにした。
「お腹減った~……シルメリア、あったかいのちょ~だい」
と、ここで二日酔いのエルミナが現れ、話は終わった。
◇◇◇◇◇◇
朝食を終え、さっそく二人は家の前へ。
「じゃ、散歩しよっか」
「うん!」
クララベルと歩き出す。
まだ早朝なので、職場に向かうサラマンダー族やブラックモール族、ハイエルフ、エルダードワーフ、最近村に来たエルダーリッチたちと多くすれ違う。
すれ違うと、全員が挨拶してくれた。
「ん~、朝の挨拶は気持ちいいね」
「そうね。ところでクララベル、どこ行こっか」
あてもなく歩くのは悪くはない。
だが、せっかくの休みなのだ。どこへ行くか決めながら歩きたい。
クララベルは「うーん」と首を傾げた。
「いつもは行かないところがいいなー」
「いつも行かないところ……そうねぇ、妖狐族の住む区画に行ってみる?」
「あ、いいかも。あそこ、お菓子いっぱい売ってるところあるんだよねー」
妖狐族の住む区画。
村に移住してきた妖狐族たちが土地を広げ、妖狐族の建築家を中心に開かれた区画だ。この区画だけ妖狐族の里のような、趣のある雰囲気となっている。
妖狐族の里から商売をするために来た商人も多く住み、『和菓子屋』という妖狐族のお菓子が売っている店や、お菓子を食べることができる『茶屋』も多くある。
二人は、あまり行ったことがない区画だ。どことなく、雰囲気が独特なので一人では行きにくいのだ。
「じゃ、行ってみよっか」
「うん!」
二人はさっそく妖狐族の住む区画へ。
歩きながら、シェリーは言う。
「それにしても、広くなったわねー……」
「うんうん。わたしたち、村ができてすぐに住み始めたけど、かなり広くなったよねぇ」
クララベルがしみじみ言う。
シェリーたちが住み始めた頃から比べると、村の敷地は三倍以上広くなっている。
様々な種族が住み、文化を広げ、新たな文化もでき始めていた。
妖狐族の住む区画、通称『妖狐区画』まで来た二人。
すると、区画の入口にある小さな家に、見覚えのある子供がいた。
「あれ? あれって……アセナよね?」
「もう一人は誰だっけ?」
「確か、レムスだったかしら? 同じ人狼族の」
アセナが、レムスに何か包みを渡していた。
レムスは受け取ると、顔を赤くして何かを言い、アセナはにっこり微笑む。
そして、レムスは走り出し、シェリーたちの傍を通り過ぎた。
気になる二人は、アセナの元へ。
「あ、シェリーさんにクララベルさん。おはようございます」
「おはよ。ね、さっきの何?」
「さっきの? ああ、レムスにお弁当を渡しただけです」
「お、お弁当……?」
「はい。今日は狩りの訓練がありますので」
「あの……なんで、お弁当?」
「……あ、そういえば言ってませんでしたっけ」
アセナは、顔を赤らめ、ちょっとだけ恥ずかしそうに言った。
「その、私……レムスと、お付き合いしています」
「「え」」
「今は許嫁という立場です。家族にも了承してもらいました」
「その話、詳しく!!」
「わわわ、すっごく気になるかも!!」
「あ、あの……私、これからお仕事なので」
「お仕事? どこで?」
「近くの、お茶屋さんです。通うのに便利なので、この家に住み始めたんです」
そういえば、アセナはフレキと一緒に住み、フレキが人狼族の里に帰った後も、一人で住んでいた。
仕事で通うのに便利だからと、この家に住んでいる。ちなみに、アシュトには報告していた。
せっかくなので、二人は妖狐区画を散歩してからアセナの店へ。
ちょうどオープンの時間で、さっそく店に入った。
「いらっしゃいませ」
アセナが出迎えてくれた。
この店は、お菓子を作って販売するだけの店だったが、カフェスペースを設け、今は茶屋になっている。看板娘のアセナも、この仕事が気に入っているようだ。
シェリーとクララベルは、『三色団子』と『抹茶』を注文。
アセナが運ぶなり、質問した。
「で、いつから付き合ってんの?」
「あの……わたし、お仕事が」
と、シェリーが店主のお婆さんを見ると、ウンウン頷いた。
どうやら、相手をしろということだ。
アセナはため息を吐き、ポツポツ語る。
「別に、大したことじゃありません。最初は喧嘩したり、言い合ってばかりでしたけど……レムスが、果物を差し入れしてくれたり、家まで送ってくれるようになったんです。それで、私も、その……レムスのことが、気になって……レムスから告白して、今の関係になりました」
「お、お付き合いしてるんだね!」
「ま、まぁ……」
「ね、お付き合いって何してるの?」
「……別に、普通です。一緒にお茶したり、お散歩したり、狼に変身して山を駆けまわったり……」
「「おお~……」」
「も、もうおしまいです!! では、ごゆっくり!!」
耳を赤くしたアセナは離れてしまった。
シェリーは三色団子を食べながら言う。
「いや~、お兄ちゃんは知ってるのかな?」
「アセナ、すっごく『大人の女』みたいだった!」
「あんたはまだまだ子供だけどね~」
「む、シェリーだってそうじゃん! わたし、最近胸が大きくなってきてるし。シェリーはサイズ変わらないし!」
「か、か、変わってるわ! あんたに負けるわけないじゃん!!」
「ふーんだ。じゃあ、確認してみる?」
「え……」
「ふふん、一緒にお風呂行こっ」
これもまた思い付き。
二人は、妖狐区画内にある『村長湯』へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
妖狐区画内、村長湯。
妖狐族が、アシュトへ感謝の気持ちとして作った、特別な湯。
区画の外れにある、小さな建物。その中に入ると、空間歪曲魔法のおかげで広々としており、脱衣所を抜けると見事な天然温泉が流れている。
大きな露天風呂、内湯、洗い場だけのシンプルな造り。
二人は服を脱ぎ、洗い場へ。
「シェリー、洗いっこしよ!」
「嫌よ……」
「えー? 姉さまとはいつもやってるのに」
「ほんと、仲良し姉妹ね」
シェリーは、クララベルの胸をチラッと見る。
確かに、大きくなっている。エルミナやミュディよりも小さいが、あまり変化のない自分と同じくらいの大きさにはなっているかもしれない。
村に来たばかりのころは、自分のが大きかったのに。
「ふふーん」
「な、何よ。あたしのが大きいし!」
「二年以内に勝つ!」
「は、はぁぁ!? 無理、無理だし!!」
「大きくなるもーん。えへへ」
「むっかぁ!」
二人はじゃれあい、なんだかんだで髪を洗いっこし、湯船に浸かる。
「「はぁ~~~……」」
のんびりすると、シェリーが言う。
「朝風呂もいいわね……」
「ね、お風呂あがったら、冷たいの食べに行こっ」
「いいわね、またアセナのところ行く?」
「行くっ!」
シェリーとクララベル。
本日、二人の休日は、妖狐区画でのんびり過ごすことになった。
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