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ドラゴンズ・ウォー
第631話、魔龍の来訪
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「ごろごろ……みゃぅぅ」
「よしよし、いい子いい子」
「ふみゃぁぁ……」
ある日。俺は薬院でルミナの頭を撫でていた。
ルミナ、今日は仕事休み。なので、仕事中である俺の元へ来て過ごしている。いつもは読書をして過ごしているんだけど、今日は俺に甘えたい日のようだ。
ルミナを撫でていると、ココロがため息を吐く。
「もう……お休みなら、部屋で読書をするなり、図書館に行くなりすればいいのに」
「うるさい。あたいの勝手だろ」
ルミナは、図書館に本を借りに行くことはあるけど、そこで本を読むことはしない。
人の出入りが多くて落ち着かないのと、銀猫たちがいっぱいいるから嫌なんだとか。
とりあえずココロをなだめ、甘えてくるルミナを撫でる。
ネコミミを揉み、顎の下を撫で、頭をなでると尻尾がよく動く。うん、かわいい。
今日は怪我人や病人も来ない。
「たまにあるんだよなー……誰も怪我しない、病気もしない日。勘だけど、今日はそんな日だ」
「そういうの、あるんですか?」
「ああ。ほんと、不思議だけどな……シャヘル先生から習ってた時も、こんな日があった。シャヘル先生の医院は毎日すごく混んでてさ、休診日以外で暇な日なんてほとんどなかった。でも、早朝から終わりまで、だれーも来ない日があるんだよ……先生は、『たまにこんな日がある』って言って笑ってたけどな」
「へぇ~……」
ココロは「なるほど」と言いつつ、洗ったばかりの包帯をクルクル巻いていた。
天気もいいし、今日はのんびり外でお茶でもしたいな。
図書館で読書もいい。ああ、普通に散歩するのも───……と、思っていると。
「失礼します、ご主人様」
「あ、シルメリアさん。ちょうどよかった、お茶を」
「申し訳ございません。ご主人様……来客、です」
「来客?」
一瞬、シルメリアさんが言い淀んだ気がした。
ルミナを撫でる手を止め、ココロに薬院を任せて外へ出る。
すると、村の入口に大勢の……なんだろう、リザード族っぽい人たちがいた。
「ふん、なかなかいい場所だな」
「にゃあ、お客さま?」
「あ、ミュアちゃん」
すると、リザード族っぽい人たちの前に、ミュアちゃんが出てきた。
ぺこりと一礼し、挨拶する。
「お客さま、ほんじつはどのようなご用でしょうか」
おお、御用聞きしてる。いつもはシルメリアさんや他の銀猫の役目なのに。
だが、なんだかおかしい。
リザード族っぽい人たちは、ミュアちゃんをジロっと見る。
そして、大柄なリザード族が前に出た。
「このガキ、我らが王に対し、お客様だと!? 舐めた口を利くな!!」
「ふにゃぁ!?」
次の瞬間、大柄なリザード族の男が、ミュアちゃんを突き飛ばした。
転ぶミュアちゃん。俺は背中に冷たい汗が流れた。
「ちょ、何してるんですか!!」
思わず飛び出す俺。
ミュアちゃんを抱き起すと、大柄なリザード族が言う。
「我らが王に無礼な態度を取ったからだ。ただの猫族が生意気な……!!」
「……っ!!」
こ、この野郎……!!
初めてかもしれない。
ここまで明確な『悪意』を持った連中が、村に来たのは。
「うにゃぁぁ……」
「大丈夫。怪我はちゃんと治してあげるね」
「ご主人さまぁ……」
もう───俺から話すことはない。
このリザード族たちがどんな理由で来たのか、たとえ救いを求めてきたとしても、手を差し伸べることはない。俺だってそこまでお人よしじゃないし、許せないこともある。
ミュアちゃんに手を上げた───この事実だけ。
すると、大柄なリザード族は言う。
「待て。貴様、人間だな? この村の長であるアシュトに、取り次いでもらおう」
「アシュトは俺です。でも、話すことはありません」
「関係ないな。我らが王が話すのだ。何よりも優先すべきことだろう?」
「関係ないですね。それと……あなたたち、何人います?」
「何?」
「そうだな……ざっと二百人くらいですかね? あなたたち、リザード族ですか?」
「貴様!! 我ら魔龍族を、薄汚いトカゲと一緒にするとは!!」
「この子に手を上げたこと、たぶん死ぬほど後悔することになりますよ」
「貴様───」
と、次の瞬間……シルメリアさんの『爪』が、大柄なリザード族の首に添えらえた。
「な……ッ」
「死にたくなければ動くな」
冷酷な声だった。
目が、いつもと違う。
以前、ルミナとシオンが大喧嘩した時に見た、獣人が本気で怒った時に見せる『獣の眼』だ。
シルメリアさんは、本気でキレている。
ミュアちゃんに手を出され、本気の殺意を振りまいていた。
そして、音もなく銀猫族が勢ぞろいする。
全員、皺ひとつないメイド服で、リザード族を包囲するように並んでいる。
全員の眼が、『獣の眼』になっていた。
ミュアちゃんは、銀猫族の宝物みたいな子だ。その子に怪我をさせると言うことが、悪意を振りまくということが、この美しき銀猫たちに火を付けた。
リザード族の王とかいうヤツが、左右を見ながら言う。
「待て、非礼は詫びよう。こやつの命で収めてくれぬか」
大柄なリザード族を顎で指す。だが、俺は首を振った。
「いりません。どうかお引き取りを」
すると、今度は俺の両サイドから、バルギルドさんとディアムドさんが現れた。
この二人もブチ切れている。ミュアちゃんはよく、デーモンオーガ両家にお菓子を差し入れしてたからな。二人とも不愛想だからわかりにくいけど、ミュアちゃんのことを可愛がっていた。
気のせいじゃない……バルギルドさんとディアムドさんの身体の筋肉が、少しずつ盛り上がっていく。
「トカゲども……喰い殺してやろうか」
「慈悲は必要ないな……」
そして、銀猫族並に統率された動きで、サラマンダー族がやって来た。
グラッドさんが、俺に一礼する。
「叔父貴。喧嘩ですかい?」
「相手の出方次第ですね」
「へい」
俺は薬院へ向かう。
その両サイドに、サラマンダー族が並び、両手を膝の上に置いて頭を下げた。
他にも、ハイエルフ達が弓を手に、悪魔族と天使族が翼を広げて空を舞う。
ブラックモールたちもスコップ片手にポテポテ歩く(めちゃくちゃ可愛い)
住人たちは、戦闘態勢になりつつあった。
すると、汗をダラダラ流した《王》とやらが叫ぶ。
「ひ、非礼を詫びる!! どうか、話を聞いてほしい!!」
切実な叫びに聞こえた……ような気がした。
俺は立ち止まり、首だけで振り返る。
「まず、怪我の治療が先です。そのままお待ちを」
それだけ言い、俺は薬院へ、ミュアちゃんを抱っこして歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
なんだ、ここは。
それが、魔龍族の王アジダハーカが素直に感じたことだった。
緑龍の村。オーベルシュタインにある、ビッグバロッグ王国から追放された貴族が作った村と、調べたら簡単にわかった。
そこを拠点にして、《聖龍門の鍵》を持つガーランドの娘に会い、鍵を奪う。
実に簡単な話だ。しかも、村を作った男……アシュトの妻だと言うから、さらに簡単だった。
アジダハーカが連れてきた魔龍族の精鋭三百名。一人一人が、単騎で人間の兵士百名分ほどの強さを誇る。ドラゴンロード王国の竜騎士にも負けない、自慢の兵士だ。
そして、それを束ねる将軍グレンデル。
「死にたくなければ動くな」
「───っ!?」
それが、たった一人の猫族の殺気に抑え込まれていた。
アジダハーカですら、幻影を見た。
巨大なネコの怪物が、グレンデルをひと睨みして牙を立て、爪を喉に突き付けている幻を。
魔龍族の強靭な肌を、猫族の爪程度で……と、思ったのは一瞬だった。
あの爪は、魔龍族の肌を容易く引き裂く。
それだけじゃない。
いつの間にか、獣人が本気でキレた時に見せる《獣の眼》をした猫族のメイドたちが、恐ろしい殺気をまき散らしながらアジダハーカたちを包囲していた。
あの、子供の猫族を傷付けたせいだろうか。
このままではまずい。
アジダハーカは、命の危機すら感じ、思わず叫んでいた。
「待て、非礼は詫びよう。こやつの命で収めてくれぬか」
グレンデルの命と、この場にいる魔龍族の命を天秤にかけ、あっさりグレンデルを切り捨てた。
だが、アシュトは冷たい眼を向け、泣きじゃくる猫族の少女を抱き上げながら言う。
「いりません。お引き取りを」
同時に……アシュトの両側から、漆黒の《鬼》が現れた。
希少種族、デーモンオーガ。
オーガ族の上位種。単騎で国すら滅ぼせる、戦いの鬼が二人……しかも、完全にブチ切れ状態で現れた。
それだけじゃない。
さらにその背後。真っ赤な鱗を持ち、全身から炎を発している希少種族、サラマンダー族がアシュトに頭を垂れていた。
サラマンダー族の長は、アシュトと何かを話している。
アジダハーカは、このままでは死ぬと確信した。
「ひ、非礼を詫びる!! どうか、話を聞いてほしい!!」
恥を捨て、叫んだ。
すると───アシュトは、何かを感じたのか言う。
「まず、怪我の治療が先です。そのままお待ちを」
そう言い、猫族の少女を連れて歩き去った。
残されたのは、萎縮する魔龍族たち。
そして、未だ殺意を収めることなく魔龍族を包囲する希少種族たちだった。
アジダハーカは、ふと思い出した。
『アジダハーカ、お前じゃ無理だ』
確かに、ガーランドの言う通りだった。
魔龍族の全軍を投入しても、この村を征服することはできない。
アジダハーカは、流れ落ちる汗を拭おうともせず、生き残ることを考えていた。
「よしよし、いい子いい子」
「ふみゃぁぁ……」
ある日。俺は薬院でルミナの頭を撫でていた。
ルミナ、今日は仕事休み。なので、仕事中である俺の元へ来て過ごしている。いつもは読書をして過ごしているんだけど、今日は俺に甘えたい日のようだ。
ルミナを撫でていると、ココロがため息を吐く。
「もう……お休みなら、部屋で読書をするなり、図書館に行くなりすればいいのに」
「うるさい。あたいの勝手だろ」
ルミナは、図書館に本を借りに行くことはあるけど、そこで本を読むことはしない。
人の出入りが多くて落ち着かないのと、銀猫たちがいっぱいいるから嫌なんだとか。
とりあえずココロをなだめ、甘えてくるルミナを撫でる。
ネコミミを揉み、顎の下を撫で、頭をなでると尻尾がよく動く。うん、かわいい。
今日は怪我人や病人も来ない。
「たまにあるんだよなー……誰も怪我しない、病気もしない日。勘だけど、今日はそんな日だ」
「そういうの、あるんですか?」
「ああ。ほんと、不思議だけどな……シャヘル先生から習ってた時も、こんな日があった。シャヘル先生の医院は毎日すごく混んでてさ、休診日以外で暇な日なんてほとんどなかった。でも、早朝から終わりまで、だれーも来ない日があるんだよ……先生は、『たまにこんな日がある』って言って笑ってたけどな」
「へぇ~……」
ココロは「なるほど」と言いつつ、洗ったばかりの包帯をクルクル巻いていた。
天気もいいし、今日はのんびり外でお茶でもしたいな。
図書館で読書もいい。ああ、普通に散歩するのも───……と、思っていると。
「失礼します、ご主人様」
「あ、シルメリアさん。ちょうどよかった、お茶を」
「申し訳ございません。ご主人様……来客、です」
「来客?」
一瞬、シルメリアさんが言い淀んだ気がした。
ルミナを撫でる手を止め、ココロに薬院を任せて外へ出る。
すると、村の入口に大勢の……なんだろう、リザード族っぽい人たちがいた。
「ふん、なかなかいい場所だな」
「にゃあ、お客さま?」
「あ、ミュアちゃん」
すると、リザード族っぽい人たちの前に、ミュアちゃんが出てきた。
ぺこりと一礼し、挨拶する。
「お客さま、ほんじつはどのようなご用でしょうか」
おお、御用聞きしてる。いつもはシルメリアさんや他の銀猫の役目なのに。
だが、なんだかおかしい。
リザード族っぽい人たちは、ミュアちゃんをジロっと見る。
そして、大柄なリザード族が前に出た。
「このガキ、我らが王に対し、お客様だと!? 舐めた口を利くな!!」
「ふにゃぁ!?」
次の瞬間、大柄なリザード族の男が、ミュアちゃんを突き飛ばした。
転ぶミュアちゃん。俺は背中に冷たい汗が流れた。
「ちょ、何してるんですか!!」
思わず飛び出す俺。
ミュアちゃんを抱き起すと、大柄なリザード族が言う。
「我らが王に無礼な態度を取ったからだ。ただの猫族が生意気な……!!」
「……っ!!」
こ、この野郎……!!
初めてかもしれない。
ここまで明確な『悪意』を持った連中が、村に来たのは。
「うにゃぁぁ……」
「大丈夫。怪我はちゃんと治してあげるね」
「ご主人さまぁ……」
もう───俺から話すことはない。
このリザード族たちがどんな理由で来たのか、たとえ救いを求めてきたとしても、手を差し伸べることはない。俺だってそこまでお人よしじゃないし、許せないこともある。
ミュアちゃんに手を上げた───この事実だけ。
すると、大柄なリザード族は言う。
「待て。貴様、人間だな? この村の長であるアシュトに、取り次いでもらおう」
「アシュトは俺です。でも、話すことはありません」
「関係ないな。我らが王が話すのだ。何よりも優先すべきことだろう?」
「関係ないですね。それと……あなたたち、何人います?」
「何?」
「そうだな……ざっと二百人くらいですかね? あなたたち、リザード族ですか?」
「貴様!! 我ら魔龍族を、薄汚いトカゲと一緒にするとは!!」
「この子に手を上げたこと、たぶん死ぬほど後悔することになりますよ」
「貴様───」
と、次の瞬間……シルメリアさんの『爪』が、大柄なリザード族の首に添えらえた。
「な……ッ」
「死にたくなければ動くな」
冷酷な声だった。
目が、いつもと違う。
以前、ルミナとシオンが大喧嘩した時に見た、獣人が本気で怒った時に見せる『獣の眼』だ。
シルメリアさんは、本気でキレている。
ミュアちゃんに手を出され、本気の殺意を振りまいていた。
そして、音もなく銀猫族が勢ぞろいする。
全員、皺ひとつないメイド服で、リザード族を包囲するように並んでいる。
全員の眼が、『獣の眼』になっていた。
ミュアちゃんは、銀猫族の宝物みたいな子だ。その子に怪我をさせると言うことが、悪意を振りまくということが、この美しき銀猫たちに火を付けた。
リザード族の王とかいうヤツが、左右を見ながら言う。
「待て、非礼は詫びよう。こやつの命で収めてくれぬか」
大柄なリザード族を顎で指す。だが、俺は首を振った。
「いりません。どうかお引き取りを」
すると、今度は俺の両サイドから、バルギルドさんとディアムドさんが現れた。
この二人もブチ切れている。ミュアちゃんはよく、デーモンオーガ両家にお菓子を差し入れしてたからな。二人とも不愛想だからわかりにくいけど、ミュアちゃんのことを可愛がっていた。
気のせいじゃない……バルギルドさんとディアムドさんの身体の筋肉が、少しずつ盛り上がっていく。
「トカゲども……喰い殺してやろうか」
「慈悲は必要ないな……」
そして、銀猫族並に統率された動きで、サラマンダー族がやって来た。
グラッドさんが、俺に一礼する。
「叔父貴。喧嘩ですかい?」
「相手の出方次第ですね」
「へい」
俺は薬院へ向かう。
その両サイドに、サラマンダー族が並び、両手を膝の上に置いて頭を下げた。
他にも、ハイエルフ達が弓を手に、悪魔族と天使族が翼を広げて空を舞う。
ブラックモールたちもスコップ片手にポテポテ歩く(めちゃくちゃ可愛い)
住人たちは、戦闘態勢になりつつあった。
すると、汗をダラダラ流した《王》とやらが叫ぶ。
「ひ、非礼を詫びる!! どうか、話を聞いてほしい!!」
切実な叫びに聞こえた……ような気がした。
俺は立ち止まり、首だけで振り返る。
「まず、怪我の治療が先です。そのままお待ちを」
それだけ言い、俺は薬院へ、ミュアちゃんを抱っこして歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
なんだ、ここは。
それが、魔龍族の王アジダハーカが素直に感じたことだった。
緑龍の村。オーベルシュタインにある、ビッグバロッグ王国から追放された貴族が作った村と、調べたら簡単にわかった。
そこを拠点にして、《聖龍門の鍵》を持つガーランドの娘に会い、鍵を奪う。
実に簡単な話だ。しかも、村を作った男……アシュトの妻だと言うから、さらに簡単だった。
アジダハーカが連れてきた魔龍族の精鋭三百名。一人一人が、単騎で人間の兵士百名分ほどの強さを誇る。ドラゴンロード王国の竜騎士にも負けない、自慢の兵士だ。
そして、それを束ねる将軍グレンデル。
「死にたくなければ動くな」
「───っ!?」
それが、たった一人の猫族の殺気に抑え込まれていた。
アジダハーカですら、幻影を見た。
巨大なネコの怪物が、グレンデルをひと睨みして牙を立て、爪を喉に突き付けている幻を。
魔龍族の強靭な肌を、猫族の爪程度で……と、思ったのは一瞬だった。
あの爪は、魔龍族の肌を容易く引き裂く。
それだけじゃない。
いつの間にか、獣人が本気でキレた時に見せる《獣の眼》をした猫族のメイドたちが、恐ろしい殺気をまき散らしながらアジダハーカたちを包囲していた。
あの、子供の猫族を傷付けたせいだろうか。
このままではまずい。
アジダハーカは、命の危機すら感じ、思わず叫んでいた。
「待て、非礼は詫びよう。こやつの命で収めてくれぬか」
グレンデルの命と、この場にいる魔龍族の命を天秤にかけ、あっさりグレンデルを切り捨てた。
だが、アシュトは冷たい眼を向け、泣きじゃくる猫族の少女を抱き上げながら言う。
「いりません。お引き取りを」
同時に……アシュトの両側から、漆黒の《鬼》が現れた。
希少種族、デーモンオーガ。
オーガ族の上位種。単騎で国すら滅ぼせる、戦いの鬼が二人……しかも、完全にブチ切れ状態で現れた。
それだけじゃない。
さらにその背後。真っ赤な鱗を持ち、全身から炎を発している希少種族、サラマンダー族がアシュトに頭を垂れていた。
サラマンダー族の長は、アシュトと何かを話している。
アジダハーカは、このままでは死ぬと確信した。
「ひ、非礼を詫びる!! どうか、話を聞いてほしい!!」
恥を捨て、叫んだ。
すると───アシュトは、何かを感じたのか言う。
「まず、怪我の治療が先です。そのままお待ちを」
そう言い、猫族の少女を連れて歩き去った。
残されたのは、萎縮する魔龍族たち。
そして、未だ殺意を収めることなく魔龍族を包囲する希少種族たちだった。
アジダハーカは、ふと思い出した。
『アジダハーカ、お前じゃ無理だ』
確かに、ガーランドの言う通りだった。
魔龍族の全軍を投入しても、この村を征服することはできない。
アジダハーカは、流れ落ちる汗を拭おうともせず、生き残ることを考えていた。
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