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日常編㉒
第635話、銀猫柴犬物語
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「にゃあ、かわいいー」
「わぅぅ、みんな元気な子ばかり!」
魔龍族との一件が終わり、再び村に平和が訪れたある日。
現在、俺の屋敷には十四匹の柴犬の子供が元気に走り回っていた。
この柴犬。村に住んでいる三匹の柴犬、うち二匹のメスが産んだんだよな。オスが一匹しかいないから、当然のごとくメス二匹はオスのお嫁さんに。
それぞれ七匹ずつ、子供を産んだ。
「ん~かわいい!! あぁん、かわいい~」
「ちょ、ミュディ……興奮しすぎ」
ミュディも、小さな柴犬を抱っこしてご満悦だ。柴犬はみんな、尻尾を千切れんばかりに振り、屋敷のリビングを走り回っている。
「ふふ……大人しい子もいるわね」
「姉さま、こっちの子真っ白だよ! わたしみたい!」
ローレライにじゃれつく大人しい柴犬と、毛並みが真っ白な柴犬はクララベルが抱っこしている。
十四匹中、四匹が真っ白で三匹が真っ黒な柴犬だ。
「あ、ちょ、こら!! ダメだって、うぁぁ!?」
柴犬の一匹が、座っているエルミナのスカートに潜り込んでいた……無邪気だねぇ。
ミュアちゃんは白い柴犬を抱っこして、ライラちゃんは……おお、母犬と話していた。
「お疲れ様。子供たち、元気いっぱいだね……うん、みんな元気。出産、疲れたでしょ? いっぱい休んでね」
『くぅん』『きゅーん』
ライラちゃんは、二匹の柴犬を交互に撫でていた。
「みゃう、あっち行け」
『もきゅ』『ミャー』
『わんわん、わんわん!!』
ルミナと見ると、黒い柴犬が興味を持ったのかルミナの周りをグルグル回っている。モフ助や、モフ助の上で丸くなっている黒子猫も、どことなく迷惑そうだ。
「……ふふ」
『くぅん』
そして、シドラ……普通に屋敷にいるし。
柴犬に手を差し出すと、ぺロペロ舐めていた。なんか普通だな。
シドラを見ると、俺を見て言う。
「可愛いの、好き」
「あ、ああ……よかったね」
「ええ……ふふ」
こ、こいつもつかみどころないな……バルギルドさんやディアムドさんも『絶対に戦いたくない』って言うくらい強くて、魔龍族なんて対峙しただけで戦意喪失するレベルの存在なのに、こうして普通に村に馴染んでいると、改めてこの村はとんでもないってのがわかるな。
すると、俺の足元にも柴犬が一匹。
抱っこすると、尻尾をブンブン振って甘えてくる。
『きゅぅぅぅぅん』
「かわいい……うん、やっぱ犬はいいな」
「にゃ……ご主人さま、ねこは?」
「ん? ああ、猫も好きだよ」
「にゃうー!」
ミュアちゃんが傍にいたの気付かなかった。
ちなみに俺、犬も猫も好き。
「わぅぅ、お兄ちゃん。この子たちとお話したんだけど……子供たち、外の世界を見せたいから、飼いたい人に飼ってもらっていいって」
「え? いいの?」
「うん。お乳離れしたらだけど」
「そっかー」
屋敷でこの数は変えないし、魔犬族たちだけじゃ世話も大変だろう。その提案はありがたい。
すると、ミュアちゃんが挙手。
「にゃあ! 銀猫宿舎で飼うー」
「宿舎で?」
「にゃあ。あのね、宿舎にはねこの家もあるの。お友達できたらうれしいの」
「なるほど……でも、喧嘩しないかな?」
「だいじょうぶ。みんな仲良しなの」
ミュアちゃんは白い柴犬を抱っこし、頬ずりした。
ライラちゃん曰く、生まれたてや幼い柴犬には、まだライラちゃんたちの言葉を理解できない子が多くいるようだ。それは猫も同じらしいけど。
言葉が通じるならともかく、大丈夫かな。
「ご主人さま……だめ?」
「ん~……い、いいよ」
「にゃったー!」
相変わらずミュアちゃんに弱い俺でした。
こうして、銀猫宿舎で柴犬の子を三匹飼うことになった。
◇◇◇◇◇
銀猫宿舎にて。
シルメリアは、緊急銀猫会議が開かれるというので、ミュアやアシュトの家で働く銀猫三人を連れてやってきた。話の内容はもちろん、ミュアが抱えている白い柴犬と、先に宿舎に行っている二匹の柴犬だ。
「にゃう、かわいい」
「ミュア、私にも触らせてください」
「私も」
「わ、私も……」
シャーロットたちも、柴犬が気に入っているのか、交互に抱っこしている。
シルメリアはため息を吐き、チラッと柴犬を見た。
『くぅん』
「…………」
かわいい。
そう言いたいが、普段クールビューティーで通しているシルメリアは、ミュアたちのように素直に喜びを表現できないのか、ソワソワするだけだ。
宿舎に到着。中に入ると……柴犬二匹が、宿舎のテーブルの上で銀猫たちに構われていた。
『わぅぅん』『くぅーん』
「くっ……可愛いですね」「ふわふわ……」「だ、抱っこを」
『ニャア』『ニャー』『ニャァ~』
猫たちもテーブルの上で、柴犬の子供たちにじゃれていた。
ミュアはさっそく、白い柴犬を持ってテーブルへ。三匹になった柴犬は、互いにじゃれ合い遊び始めた。そんな様子も可愛く、ついついほっこりとした気分になってしまう。
シルメリアは、コホンと大きく咳き込む。すると、蕩けていた銀猫たちがハッとなった。
銀猫宿舎のリビングは、よく会議を開く銀猫たちのために広くなっている。
50人が全員座れるように設置された大量のソファやテーブル。
寒がりな銀猫たちのために、大きな暖炉もある。
そして、会議のため。司会となるシルメリアが、会議用の壇上に立つ……すると、なぜか柴犬たちが、シルメリアについて行き、横一列に並んだ。
「…………ご、ごほん。えー……今日の会議では、この宿舎で飼うことになった3匹の柴犬たちの『名前』を考えたいと思います」
『わん』『くぅん』『くぅ』
3匹が、まるでわかっているかのように鳴いた。
「こ、こほん。えー……では、最初にこちらの白い子から。この子はオスです」
「にゃうー!」
「はい、ミュア」
「しろまる!」
「…………他の意見はありませんか?」
「にゃああ! 白くて丸いからしろまるがいいー!!」
バタバタ暴れるミュアを、シャーロットが抱きしめるように押さえつけた。
ネコミミがパタパタ動き、尻尾がシャーロットの腕に絡みつく。
結局、他に意見がなかったため、白い柴犬は「しろ丸」となった。
「しろ丸、よろしくね」
『わん!』
名前が決まり、しろ丸は寮の中を駆けだし、ミュアの腕に飛び乗った。
どうやらミュアに懐いてしまったようだ。
「では、次は……この黒い子を。この子は、メスですね」
「クロ」「ブラック」「アガペー」「テヒト」「ブラックタイガー・ドリーミング」「黒天無双」
シルメリアが口を挟む暇がないくらい、銀猫たちは名前を出す。
40以上の名前が出たところで、シルメリアが手を叩いた。
「これでは決まりませんので……クジにします」
名前を書いた紙を箱に入れ、黒い柴犬に選んでもらうことになった。
銀猫たちは、祈りを込めて名前を書き、箱の中に入れる。
シルメリアが最後に入れ、黒い柴犬に言う。
「では、この中から1枚選んでください。あなたの名前となります」
『わぅぅ……』
すると、黒い柴犬はクジの箱に頭を突っ込み、紙を1枚加えてシルメリアに差しだした。
シルメリアは柴犬を撫で、紙を受け取り開く。
そこに書かれていた名前は。
「この子の名前は……『ノワ』になりました」
「あ……わ、わたしの」
控えめに挙手したのは、ジャムづくりが得意なナナミだった。
照れているのか、ネコミミがペタッと萎れている。すると、黒い柴犬ことノワが、ナナミの元へ走り太ももに飛び乗り丸くなった。
「わ、わ……えへへ、かわいい」
『くぅぅん』
「……では、最後」
『わぅぅ』
シルメリアは、テーブルの上でお座りする柴犬を見た。この子はオスのようだ。
期待しているのか、尻尾をフリフリしている……今さらだが、この柴犬たちはこちらの言葉を完全に理解しているような気がしてならなかった。
さっそく、クジの紙をくばり、クジを作る。
柴犬に箱を突きつけると、頭を突っ込んで紙を1枚くわえた。
それを受取り、開く……そこに書かれていたのは。
「───……えっ」
『くぅん』
「にゃ? シルメリア、名前はー?」
「……この子の名前は、『シバタロウ』に決まりました」
「しばたろう……にゃうう」
柴犬の、シバタロウ。
シバタロウは満足したのか、シルメリアの方に歩き、誇らしげにシルメリアに頭を突きつけた。
シルメリアは頭を撫でる。すると、マルチェラが言う。
「シルメリア。その名前……あなたが?」
「……何か、問題でも」
シルメリアはそっぽ向いたが、ネコミミが照れで萎れていた。
こうして、3匹の柴犬の名前が決まった。
しろ丸、ノワ、シバタロウ。
銀猫宿舎に、新しい仲間が増えた瞬間であった。
「わぅぅ、みんな元気な子ばかり!」
魔龍族との一件が終わり、再び村に平和が訪れたある日。
現在、俺の屋敷には十四匹の柴犬の子供が元気に走り回っていた。
この柴犬。村に住んでいる三匹の柴犬、うち二匹のメスが産んだんだよな。オスが一匹しかいないから、当然のごとくメス二匹はオスのお嫁さんに。
それぞれ七匹ずつ、子供を産んだ。
「ん~かわいい!! あぁん、かわいい~」
「ちょ、ミュディ……興奮しすぎ」
ミュディも、小さな柴犬を抱っこしてご満悦だ。柴犬はみんな、尻尾を千切れんばかりに振り、屋敷のリビングを走り回っている。
「ふふ……大人しい子もいるわね」
「姉さま、こっちの子真っ白だよ! わたしみたい!」
ローレライにじゃれつく大人しい柴犬と、毛並みが真っ白な柴犬はクララベルが抱っこしている。
十四匹中、四匹が真っ白で三匹が真っ黒な柴犬だ。
「あ、ちょ、こら!! ダメだって、うぁぁ!?」
柴犬の一匹が、座っているエルミナのスカートに潜り込んでいた……無邪気だねぇ。
ミュアちゃんは白い柴犬を抱っこして、ライラちゃんは……おお、母犬と話していた。
「お疲れ様。子供たち、元気いっぱいだね……うん、みんな元気。出産、疲れたでしょ? いっぱい休んでね」
『くぅん』『きゅーん』
ライラちゃんは、二匹の柴犬を交互に撫でていた。
「みゃう、あっち行け」
『もきゅ』『ミャー』
『わんわん、わんわん!!』
ルミナと見ると、黒い柴犬が興味を持ったのかルミナの周りをグルグル回っている。モフ助や、モフ助の上で丸くなっている黒子猫も、どことなく迷惑そうだ。
「……ふふ」
『くぅん』
そして、シドラ……普通に屋敷にいるし。
柴犬に手を差し出すと、ぺロペロ舐めていた。なんか普通だな。
シドラを見ると、俺を見て言う。
「可愛いの、好き」
「あ、ああ……よかったね」
「ええ……ふふ」
こ、こいつもつかみどころないな……バルギルドさんやディアムドさんも『絶対に戦いたくない』って言うくらい強くて、魔龍族なんて対峙しただけで戦意喪失するレベルの存在なのに、こうして普通に村に馴染んでいると、改めてこの村はとんでもないってのがわかるな。
すると、俺の足元にも柴犬が一匹。
抱っこすると、尻尾をブンブン振って甘えてくる。
『きゅぅぅぅぅん』
「かわいい……うん、やっぱ犬はいいな」
「にゃ……ご主人さま、ねこは?」
「ん? ああ、猫も好きだよ」
「にゃうー!」
ミュアちゃんが傍にいたの気付かなかった。
ちなみに俺、犬も猫も好き。
「わぅぅ、お兄ちゃん。この子たちとお話したんだけど……子供たち、外の世界を見せたいから、飼いたい人に飼ってもらっていいって」
「え? いいの?」
「うん。お乳離れしたらだけど」
「そっかー」
屋敷でこの数は変えないし、魔犬族たちだけじゃ世話も大変だろう。その提案はありがたい。
すると、ミュアちゃんが挙手。
「にゃあ! 銀猫宿舎で飼うー」
「宿舎で?」
「にゃあ。あのね、宿舎にはねこの家もあるの。お友達できたらうれしいの」
「なるほど……でも、喧嘩しないかな?」
「だいじょうぶ。みんな仲良しなの」
ミュアちゃんは白い柴犬を抱っこし、頬ずりした。
ライラちゃん曰く、生まれたてや幼い柴犬には、まだライラちゃんたちの言葉を理解できない子が多くいるようだ。それは猫も同じらしいけど。
言葉が通じるならともかく、大丈夫かな。
「ご主人さま……だめ?」
「ん~……い、いいよ」
「にゃったー!」
相変わらずミュアちゃんに弱い俺でした。
こうして、銀猫宿舎で柴犬の子を三匹飼うことになった。
◇◇◇◇◇
銀猫宿舎にて。
シルメリアは、緊急銀猫会議が開かれるというので、ミュアやアシュトの家で働く銀猫三人を連れてやってきた。話の内容はもちろん、ミュアが抱えている白い柴犬と、先に宿舎に行っている二匹の柴犬だ。
「にゃう、かわいい」
「ミュア、私にも触らせてください」
「私も」
「わ、私も……」
シャーロットたちも、柴犬が気に入っているのか、交互に抱っこしている。
シルメリアはため息を吐き、チラッと柴犬を見た。
『くぅん』
「…………」
かわいい。
そう言いたいが、普段クールビューティーで通しているシルメリアは、ミュアたちのように素直に喜びを表現できないのか、ソワソワするだけだ。
宿舎に到着。中に入ると……柴犬二匹が、宿舎のテーブルの上で銀猫たちに構われていた。
『わぅぅん』『くぅーん』
「くっ……可愛いですね」「ふわふわ……」「だ、抱っこを」
『ニャア』『ニャー』『ニャァ~』
猫たちもテーブルの上で、柴犬の子供たちにじゃれていた。
ミュアはさっそく、白い柴犬を持ってテーブルへ。三匹になった柴犬は、互いにじゃれ合い遊び始めた。そんな様子も可愛く、ついついほっこりとした気分になってしまう。
シルメリアは、コホンと大きく咳き込む。すると、蕩けていた銀猫たちがハッとなった。
銀猫宿舎のリビングは、よく会議を開く銀猫たちのために広くなっている。
50人が全員座れるように設置された大量のソファやテーブル。
寒がりな銀猫たちのために、大きな暖炉もある。
そして、会議のため。司会となるシルメリアが、会議用の壇上に立つ……すると、なぜか柴犬たちが、シルメリアについて行き、横一列に並んだ。
「…………ご、ごほん。えー……今日の会議では、この宿舎で飼うことになった3匹の柴犬たちの『名前』を考えたいと思います」
『わん』『くぅん』『くぅ』
3匹が、まるでわかっているかのように鳴いた。
「こ、こほん。えー……では、最初にこちらの白い子から。この子はオスです」
「にゃうー!」
「はい、ミュア」
「しろまる!」
「…………他の意見はありませんか?」
「にゃああ! 白くて丸いからしろまるがいいー!!」
バタバタ暴れるミュアを、シャーロットが抱きしめるように押さえつけた。
ネコミミがパタパタ動き、尻尾がシャーロットの腕に絡みつく。
結局、他に意見がなかったため、白い柴犬は「しろ丸」となった。
「しろ丸、よろしくね」
『わん!』
名前が決まり、しろ丸は寮の中を駆けだし、ミュアの腕に飛び乗った。
どうやらミュアに懐いてしまったようだ。
「では、次は……この黒い子を。この子は、メスですね」
「クロ」「ブラック」「アガペー」「テヒト」「ブラックタイガー・ドリーミング」「黒天無双」
シルメリアが口を挟む暇がないくらい、銀猫たちは名前を出す。
40以上の名前が出たところで、シルメリアが手を叩いた。
「これでは決まりませんので……クジにします」
名前を書いた紙を箱に入れ、黒い柴犬に選んでもらうことになった。
銀猫たちは、祈りを込めて名前を書き、箱の中に入れる。
シルメリアが最後に入れ、黒い柴犬に言う。
「では、この中から1枚選んでください。あなたの名前となります」
『わぅぅ……』
すると、黒い柴犬はクジの箱に頭を突っ込み、紙を1枚加えてシルメリアに差しだした。
シルメリアは柴犬を撫で、紙を受け取り開く。
そこに書かれていた名前は。
「この子の名前は……『ノワ』になりました」
「あ……わ、わたしの」
控えめに挙手したのは、ジャムづくりが得意なナナミだった。
照れているのか、ネコミミがペタッと萎れている。すると、黒い柴犬ことノワが、ナナミの元へ走り太ももに飛び乗り丸くなった。
「わ、わ……えへへ、かわいい」
『くぅぅん』
「……では、最後」
『わぅぅ』
シルメリアは、テーブルの上でお座りする柴犬を見た。この子はオスのようだ。
期待しているのか、尻尾をフリフリしている……今さらだが、この柴犬たちはこちらの言葉を完全に理解しているような気がしてならなかった。
さっそく、クジの紙をくばり、クジを作る。
柴犬に箱を突きつけると、頭を突っ込んで紙を1枚くわえた。
それを受取り、開く……そこに書かれていたのは。
「───……えっ」
『くぅん』
「にゃ? シルメリア、名前はー?」
「……この子の名前は、『シバタロウ』に決まりました」
「しばたろう……にゃうう」
柴犬の、シバタロウ。
シバタロウは満足したのか、シルメリアの方に歩き、誇らしげにシルメリアに頭を突きつけた。
シルメリアは頭を撫でる。すると、マルチェラが言う。
「シルメリア。その名前……あなたが?」
「……何か、問題でも」
シルメリアはそっぽ向いたが、ネコミミが照れで萎れていた。
こうして、3匹の柴犬の名前が決まった。
しろ丸、ノワ、シバタロウ。
銀猫宿舎に、新しい仲間が増えた瞬間であった。
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