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ビッグバロッグ祭り
第640話、みんなの予定
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「うーん……」
ある日。
薬院にある自分の机で悩んでいると、ココロが言う。
「先生、どうしたんですか?」
「いやー、ビッグバロッグ祭に行こうと思ったんだけど、みんなの予定が合わなくてねぇ」
「ビッグバロッグ祭、ですか」
「あ、ココロも知ってるよな?」
「はい。でも、私……あの商人さんたちがグイグイ来る雰囲気が苦手で、一回しか行ったことないです……」
「そ、そうか」
ビッグバロッグ祭。
その名の通り、ビッグバロッグ王国のお祭りだ。三年に一度開催され、世界中の商人がお店を出すお祭りだ。
国ではなく、商人たちが主催となる。
いろんな店が出るのは楽しいんだけど、商人たちの客引きがハンパない祭りでもある。気付けば山のように買い物して財布がカラッポ……なんてこともよくあるそうだ。
「以前はビッグバロッグ王国に行くまで何日か必要だったけど、今では転移魔法があるから自由に行ける」
「転移魔法……難しいんですよね」
「ま、まぁね」
俺は簡単にできたけどな。
ミュディ、シェリーも覚えたけど、習得に時間かかってたっけ。
「で、みんなとの予定が合わない。さすがに仕事を休んでまで行くのはなぁ」
「大変ですねぇ」
「ああ。まぁ、なんとかしなきゃな」
「あの、先生……おこがましいですけど、薬院は私がいますので」
「ありがとう、でも、ココロに無理をさせるつもりはないから、安心してな」
正規の休みで行く予定だ。
それに、転移魔法なら、仕事の休憩時間や仕事の終わりにも行けるし。
「とりあえず、今日みんなと話してみるか」
◇◇◇◇◇
その日の夜。
食事を終え、俺たちはリビングで話し合っていた。
「みんな無理ならさ、個々で行くしかないんじゃない?」
と、エルミナが言う。
「個々って、いいのか?」
「そりゃみんなで行きたいけどね。私にアシュト、ミュディ、シェリー、ローレライとクララベルでしょ? ローレライとクララベルには護衛が付くし、ミュアやルミナも行きたいって言うだろうし、ライラも行きたがるんじゃない? みんなで行動すると大人数だし大変よ。みんな行きたいところあるだろうし、個々で行くしかないでしょ」
「…………お前がそんなまともな提案をするとは」
「どーいう意味よ!!」
でも、正しいかも。
俺は薬品や薬草専門の商店を見たいし、ミュディは服飾関係、ローレライは古書、クララベルはお菓子だろう。シェリーは武器防具とか異国のモノを見たいだろうし、エルミナは言わずもがな酒だ。
「みんなで行くより、自分の行きたいところを思い切り楽しんで、空いた時間に空いた人同士で楽しみましょ。ね、みんな」
エルミナがそう言うと。
「わたしも、それしかないかも、って思ってたの。実は、ライラちゃんを連れて、ビッグバロッグ王国の服屋に行ってみたかったの」
「あたしも。ラクシュミが異国の魔道具とか見たいって言ってたの聞いたし、連れて行こうかなって」
「わたし、ナナミとミリカを連れてお菓子食べたい!!」
「私も……ディアーナとイオフィエルを誘って、古書店巡りをしたいわね」
うーん、みんな行きたい場所、行きたい人がいるのか。
「ね、アシュト。あんたも誰か誘ったら? 私たちのことはいいからさ」
「うーん……」
すると、にゅっと黒いネコミミが。
「みゃう。あたいはお前と行くぞ」
「うおっ」
いつの間にかルミナが俺の足元にいて、俺にもたれかかるようにソファへ。
頭を撫で、ネコミミを揉むと甘えてくる。
「そうだなぁ……せっかくだし、俺も誘ってみるか」
◇◇◇◇◇
「───ってわけで、シャヘル先生。俺と祭りに行きませんか?」
『いやはや……こんな老いぼれエルフより、誘う相手なんていくらでもいるでしょう』
部屋に戻り、さっそく『リンリン・ベル』でシャヘル先生を誘った。
なんか驚いているけど、俺は先生と回りたい。
「あの、駄目ならいいですけど……」
『……やれやれ。でも、異国の薬草や薬は興味がありますね』
「やった。じゃあ一緒に」
『ええ。他に、誘う方はいませんか?』
「ルミナがいます。ココロは薬院にいてくれるので……」
『ふむ、他に薬師がいれば面白いのですが……』
「他の薬師、か……」
シャヘル先生との連絡を終え、別の連絡先へ。
『はい!! お久しぶりです、師匠!!』
「うおっ」
連絡したのはフレキくんだ。
知り合いの薬師といえば、フレキくんくらいしか知らない。
ビッグバロッグ祭について説明すると。
『し、師匠の師匠と、ルミナさんの三人で、お祭りに行かないかと……?』
「うん。久しぶりに、フレキくんの近況も知りたいし、どうかな?」
『い、行きます!! 行きたいです!!』
「よし。あー……留守は大丈夫かな?」
『エンジュとロムルスがいるので大丈夫です。あ、そうだ。実は最近、エンジュと一緒に手術をしまして。師匠ほどではありませんが、なんとか傷を残さず処置できました』
「おお、すごいね」
『その時の記録がありますので、師匠の意見を聞かせてください』
「わかった。ああ、せっかくだしシャヘル先生にも見てもらうか。いいかな?」
『し、師匠の師匠……大師匠にですね!! うう、緊張します』
大師匠ってなんだろう……ロムルスくんがそんなこと言ってた気もする。
「そういや知ってる? アセナちゃんとレムスくん、お付き合いしてるって」
『マカミを通じて知りました。まぁ、お似合いでしょうね』
どこか嬉しそうに聞こえるね、
この日は遅くまで、フレキくんとおしゃべりした。
◇◇◇◇◇
話が終わると、ルミナが部屋に来た。
フレキくんを誘ったことをルミナに報告する。
「ふーん。ま、いいけど」
「シャヘル先生もいるから楽しいぞ」
「みゃ……まぁ、いい」
ソファで甘えてくるルミナを撫でると、部屋の窓からシオンが入ってきた。
俺を見ると、ソファの隣に座って俺の肩に頭をこすりつけてくる。
ルミナはいいんだけど、見た目十六歳くらいのシオンが甘えてくるの、けっこうドキドキするからやめて欲しいんだよな……胸とか普通に当ててくるし、無自覚すぎるよ。
「おい、どっか行く話してたろ」
「あ、ああ。俺の故郷である祭りにちょっとな」
「まつり?」
「えーと、ヒトがいっぱいいる催し物だ」
「ヒト、いっぱい……うげぇ」
シオンは俺から離れ、嫌そうにする。
「食い物くれ」
「そこにあるクッキー、食べていいぞ」
「みゃ」
シオンはクッキーを全部つかみ、モグモグ食べ始めた。
どこまでも自由な黒猫だな。ルミナとは大違いだ。
すると、ミュアちゃんが入ってきた。
「にゃあ。お仕事おわったー」
「お疲れ様。さ、おいで」
「にゃうー」
仕事が終わると、俺に甘える時間だ。
ルミナ、シオンがいても関係ない。ミュアちゃんは俺の隣に座り、頭をグリグリしてくる。
撫でてネコミミを揉むのは、ほぼ日課だ。
「おい、こいつは連れて行かないのか」
「え?」
「おい、人間の国、行くか?」
「にゃ?」
なんとも珍しい……まさか、ルミナがミュアちゃんを誘うとは。
俺はミュアちゃんにビッグバロッグ祭について説明する。
「にゃあ!! おまつり、行きたい!!」
「わかった。じゃあ、一緒に行こうか」
「にゃうー。ルミナ、ありがとう」
「ふん」
そっぽ向くルミナ。
なんだかんだで、こいつもミュアちゃんがいないと寂しいのかね。
シオンは相変わらずクッキー食べてる。祭りに興味はないようだ。
「そうだ。エクレールとスサノオにも会いに行こうか。兄さんの話によると、猫族の侍女見習いを付けたみたいだし、いいお友達になれるよ」
「にゃぁう。たのしみ」
「みゃ……くぁぁ、眠くなってきたぞ」
よし、今日の話はここまで。
ビッグバロッグ祭まで日はあるし、今のうちにやるべきことをやっておかないとな。
ある日。
薬院にある自分の机で悩んでいると、ココロが言う。
「先生、どうしたんですか?」
「いやー、ビッグバロッグ祭に行こうと思ったんだけど、みんなの予定が合わなくてねぇ」
「ビッグバロッグ祭、ですか」
「あ、ココロも知ってるよな?」
「はい。でも、私……あの商人さんたちがグイグイ来る雰囲気が苦手で、一回しか行ったことないです……」
「そ、そうか」
ビッグバロッグ祭。
その名の通り、ビッグバロッグ王国のお祭りだ。三年に一度開催され、世界中の商人がお店を出すお祭りだ。
国ではなく、商人たちが主催となる。
いろんな店が出るのは楽しいんだけど、商人たちの客引きがハンパない祭りでもある。気付けば山のように買い物して財布がカラッポ……なんてこともよくあるそうだ。
「以前はビッグバロッグ王国に行くまで何日か必要だったけど、今では転移魔法があるから自由に行ける」
「転移魔法……難しいんですよね」
「ま、まぁね」
俺は簡単にできたけどな。
ミュディ、シェリーも覚えたけど、習得に時間かかってたっけ。
「で、みんなとの予定が合わない。さすがに仕事を休んでまで行くのはなぁ」
「大変ですねぇ」
「ああ。まぁ、なんとかしなきゃな」
「あの、先生……おこがましいですけど、薬院は私がいますので」
「ありがとう、でも、ココロに無理をさせるつもりはないから、安心してな」
正規の休みで行く予定だ。
それに、転移魔法なら、仕事の休憩時間や仕事の終わりにも行けるし。
「とりあえず、今日みんなと話してみるか」
◇◇◇◇◇
その日の夜。
食事を終え、俺たちはリビングで話し合っていた。
「みんな無理ならさ、個々で行くしかないんじゃない?」
と、エルミナが言う。
「個々って、いいのか?」
「そりゃみんなで行きたいけどね。私にアシュト、ミュディ、シェリー、ローレライとクララベルでしょ? ローレライとクララベルには護衛が付くし、ミュアやルミナも行きたいって言うだろうし、ライラも行きたがるんじゃない? みんなで行動すると大人数だし大変よ。みんな行きたいところあるだろうし、個々で行くしかないでしょ」
「…………お前がそんなまともな提案をするとは」
「どーいう意味よ!!」
でも、正しいかも。
俺は薬品や薬草専門の商店を見たいし、ミュディは服飾関係、ローレライは古書、クララベルはお菓子だろう。シェリーは武器防具とか異国のモノを見たいだろうし、エルミナは言わずもがな酒だ。
「みんなで行くより、自分の行きたいところを思い切り楽しんで、空いた時間に空いた人同士で楽しみましょ。ね、みんな」
エルミナがそう言うと。
「わたしも、それしかないかも、って思ってたの。実は、ライラちゃんを連れて、ビッグバロッグ王国の服屋に行ってみたかったの」
「あたしも。ラクシュミが異国の魔道具とか見たいって言ってたの聞いたし、連れて行こうかなって」
「わたし、ナナミとミリカを連れてお菓子食べたい!!」
「私も……ディアーナとイオフィエルを誘って、古書店巡りをしたいわね」
うーん、みんな行きたい場所、行きたい人がいるのか。
「ね、アシュト。あんたも誰か誘ったら? 私たちのことはいいからさ」
「うーん……」
すると、にゅっと黒いネコミミが。
「みゃう。あたいはお前と行くぞ」
「うおっ」
いつの間にかルミナが俺の足元にいて、俺にもたれかかるようにソファへ。
頭を撫で、ネコミミを揉むと甘えてくる。
「そうだなぁ……せっかくだし、俺も誘ってみるか」
◇◇◇◇◇
「───ってわけで、シャヘル先生。俺と祭りに行きませんか?」
『いやはや……こんな老いぼれエルフより、誘う相手なんていくらでもいるでしょう』
部屋に戻り、さっそく『リンリン・ベル』でシャヘル先生を誘った。
なんか驚いているけど、俺は先生と回りたい。
「あの、駄目ならいいですけど……」
『……やれやれ。でも、異国の薬草や薬は興味がありますね』
「やった。じゃあ一緒に」
『ええ。他に、誘う方はいませんか?』
「ルミナがいます。ココロは薬院にいてくれるので……」
『ふむ、他に薬師がいれば面白いのですが……』
「他の薬師、か……」
シャヘル先生との連絡を終え、別の連絡先へ。
『はい!! お久しぶりです、師匠!!』
「うおっ」
連絡したのはフレキくんだ。
知り合いの薬師といえば、フレキくんくらいしか知らない。
ビッグバロッグ祭について説明すると。
『し、師匠の師匠と、ルミナさんの三人で、お祭りに行かないかと……?』
「うん。久しぶりに、フレキくんの近況も知りたいし、どうかな?」
『い、行きます!! 行きたいです!!』
「よし。あー……留守は大丈夫かな?」
『エンジュとロムルスがいるので大丈夫です。あ、そうだ。実は最近、エンジュと一緒に手術をしまして。師匠ほどではありませんが、なんとか傷を残さず処置できました』
「おお、すごいね」
『その時の記録がありますので、師匠の意見を聞かせてください』
「わかった。ああ、せっかくだしシャヘル先生にも見てもらうか。いいかな?」
『し、師匠の師匠……大師匠にですね!! うう、緊張します』
大師匠ってなんだろう……ロムルスくんがそんなこと言ってた気もする。
「そういや知ってる? アセナちゃんとレムスくん、お付き合いしてるって」
『マカミを通じて知りました。まぁ、お似合いでしょうね』
どこか嬉しそうに聞こえるね、
この日は遅くまで、フレキくんとおしゃべりした。
◇◇◇◇◇
話が終わると、ルミナが部屋に来た。
フレキくんを誘ったことをルミナに報告する。
「ふーん。ま、いいけど」
「シャヘル先生もいるから楽しいぞ」
「みゃ……まぁ、いい」
ソファで甘えてくるルミナを撫でると、部屋の窓からシオンが入ってきた。
俺を見ると、ソファの隣に座って俺の肩に頭をこすりつけてくる。
ルミナはいいんだけど、見た目十六歳くらいのシオンが甘えてくるの、けっこうドキドキするからやめて欲しいんだよな……胸とか普通に当ててくるし、無自覚すぎるよ。
「おい、どっか行く話してたろ」
「あ、ああ。俺の故郷である祭りにちょっとな」
「まつり?」
「えーと、ヒトがいっぱいいる催し物だ」
「ヒト、いっぱい……うげぇ」
シオンは俺から離れ、嫌そうにする。
「食い物くれ」
「そこにあるクッキー、食べていいぞ」
「みゃ」
シオンはクッキーを全部つかみ、モグモグ食べ始めた。
どこまでも自由な黒猫だな。ルミナとは大違いだ。
すると、ミュアちゃんが入ってきた。
「にゃあ。お仕事おわったー」
「お疲れ様。さ、おいで」
「にゃうー」
仕事が終わると、俺に甘える時間だ。
ルミナ、シオンがいても関係ない。ミュアちゃんは俺の隣に座り、頭をグリグリしてくる。
撫でてネコミミを揉むのは、ほぼ日課だ。
「おい、こいつは連れて行かないのか」
「え?」
「おい、人間の国、行くか?」
「にゃ?」
なんとも珍しい……まさか、ルミナがミュアちゃんを誘うとは。
俺はミュアちゃんにビッグバロッグ祭について説明する。
「にゃあ!! おまつり、行きたい!!」
「わかった。じゃあ、一緒に行こうか」
「にゃうー。ルミナ、ありがとう」
「ふん」
そっぽ向くルミナ。
なんだかんだで、こいつもミュアちゃんがいないと寂しいのかね。
シオンは相変わらずクッキー食べてる。祭りに興味はないようだ。
「そうだ。エクレールとスサノオにも会いに行こうか。兄さんの話によると、猫族の侍女見習いを付けたみたいだし、いいお友達になれるよ」
「にゃぁう。たのしみ」
「みゃ……くぁぁ、眠くなってきたぞ」
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ビッグバロッグ祭まで日はあるし、今のうちにやるべきことをやっておかないとな。
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