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新たな開拓
第650話、開拓のはじまり
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ビッグバロッグ祭りを終え、村に戻った俺を待っていたのは、村長としての仕事だった。
薬院はココロに任せ、村役所の『村長室』で仕事をする俺。
書類を眺め、村の産業物の出荷や輸入品などの報告書、そして未だに多く来る移住許可申請書を読む。
書類の三割くらいは、移住に関する書類だった。
俺は書類を眺めつつ、村長補佐兼村長代理のディアーナに言う。
「な、ディアーナ。移住の申請って未だに多いんだな」
ディアーナは、眼鏡をくいっと上げて言う。
「そうですね。まぁ、当然でしょう」
「当然なのか?」
「ええ。緑龍の村ほど恵まれた地はありませんから。というか普通、他種族がこれほど集まり、共存して生きる場所など、私が知る限りありませんよ。そもそも、オーベルシュタインの種族は同族同士でしかやり取りしませんので」
「そうなのか? でも、魔界都市ベルゼブブとか」
「以前、話したと思いますが……闇悪魔族はもともと、悪魔族の上位種として、オーベルシュタインを統治しようとしていたんです。ですが、兄さんがそれを望まず、純血派と呼ばれた闇悪魔族を一掃し、他種族が集まる街を作ろうとして生まれたのが、魔界都市ベルゼブブなのです」
「そ、そうなんだ……ってか、ルシファーってホントすごいんだな」
「ええ。当時、闇悪魔族の戦闘力に対抗できるのは、神話七龍か対局の存在である熾天使族だけでした。兄さんはたった一人で、七十七の闇悪魔族の貴族を相手に、ほぼ無傷で勝利したのです。当時を知る闇悪魔族は少なくなりましたが、知る者は全員、兄さんの姿を見ただけで恐怖で死にますよ」
「ま、マジか……どんだけ~」
ルシファー、温和な青年、話相手、飲み友達って感じだけど、普通に戦ってもヤベーんだな。
デーモンオーガですら相手にならないっていうし。
おっと、話が逸れた。
「で、移住申請だけどさ、悪魔族や天使族以外にもあるんだよな」
「ええ。小人族、巨人族、幽鬼族、白猫族……大きなところでは、こんな感じですね」
「へぇ~……って、知らない種族けっこう多いな」
「詳細はそちらに」
と、ディアーナは山積みの書類を指さした。
はいはいすみません。ちゃんと確認しますよ。
◇◇◇◇◇◇
「ふむふむ……なるほどなぁ」
小人族、巨人族、幽鬼族、白猫族。どれも共通しているのは、『安住の地』を求めてオーベルシュタインを回っているってところだな。
「村で受け入れてもいいけど……」
「……村長、正直な意見を申しても?」
「ああ」
「……私は、反対です」
「……」
まぁ、そんな気はしていた。
正直、俺も厳しいとは思う。
村の敷地を広げることはできると思うけど……これ以上は、管理が厳しい。
現在の村の人数は三千人ほど。これ以上は村として維持できない。
「なぁ、ルシファーはどうやって、あれほどの街を作ったんだ?」
「……ああ。その手がありましたか」
「え?」
「兄さんは、最初からベルゼブブを作ったわけではありません。一つの村から始め、いくつも村を興し、最終的には一つの街として、魔界都市ベルゼブブを作ったのです」
「じゃあ……あ、そうか」
「ええ。緑龍の村に受け入れるのではなく、緑龍の村が支援する村を作り、受け入れるのです」
そうか、新しい村を作って、そこで受け入れればいいのか。
最終的に一つの街にするかどうかはさておき、新しい村造りはいいかも。
「よし、じゃあ新しい……といっても、さすがに俺たちだけで決めるのもな。村の種族代表を集めて、会議をするか」
「わかりました。では、代表を集めます」
なんか、久しぶりの大仕事になりそうな予感!!
◇◇◇◇◇◇
さて、久しぶりの会議だ。
集まったのは、ハイエルフのエルミナ、エルダードワーフのアウグストさん、デーモンオーガのバルギルドさんに、銀猫族のシルメリアさん、花妖精のフィル、ブラックモールのポンタさん、妖狐族のカエデ、サラマンダー族のグラッドさん、石蛇女族のステンナ、女郎蜘蛛族のメイニー、闇悪魔族のディミトリ、熾天使族のアドナエル、豆狸族のタヌスケさん、黒猫族のシオンとルミナ、エルダーリッチ族のワイトさんだ。今更だが多すぎる。
俺はさっそく、第二の村について話をする。
「いいんじゃねぇか?」
と、アウグストさんが言う。
「新しい村か。くくっ、久しぶりに大仕事になりそうだ。以前と違い、今回は人手も多い。すぐにできるだろうよ」
『我々の建築技術が、試される時、ですネ』
「オレらも手ぇ貸せば、さらに早くできましょう」
アウグストさん、ワイトさん、グラッドさんが乗り気だな。
エルミナも言う。
「面白そうね。ってか、ハイエルフたちも新しく移住したいって子が多くてさー」
「ククク、新たなビジネスの予感……!!」
「確かに。ヘイヘイ、アシュトチャンよぉ、オレも噛ませてもらうゼェ!!」
「あ、アナタ!! そうやってまた!!」
「フフゥン、早いモン勝ち、サ!!」
ディミトリ、アドナエルうるさいな……まぁ賛成ってことか。
カエデはモフモフ尻尾をフリフリする。椅子の上で器用なやつだ。
「わらわも賛成なのじゃ。ふふふ、実は試してみたい温泉があるのじゃ。でも、緑龍の村には転移魔法陣の関係で温泉が作れんからの……新たな地で試すのじゃ」
「ぼくたちも賛成なんだな!!」
「私たちも異論ありません。現在、我々の同族は五名しかいませんが……もう少し、この地で生活できればと」
「我々もです。女郎蜘蛛族は新たな村に賛成です」
カエデ、ポンタさん、ステンナ、メイニーも賛成だ。
シルメリアさん、バルギルドさんは無言で頷いた。
『わたしはどっちでもいいかなー、ユグドラシルあるこの地から離れないし』
「アタシもどうでもいい」
「みゃうー」
フィル、シオンはどっちでもいいのか。というかルミナがいつの間にかいるし。
とりあえず、賛成意見が多数ってところだな。
ディアーナに視線を送ると、小さく頷く。
「では、賛成意見多数ということで、緑龍の村が支援し、新たな村を開拓。移住希望の種族を受け入れたいと思います。開拓先については、これから検討を進めていきます。緑龍の村が一丸となり、新たな村の開拓ができるよう、頑張りましょう」
というわけで、『第二の村』計画が始まった。
◇◇◇◇◇◇
夜、バーでローレライと飲みながら今日のことを話した。
「ってわけで、新しい村を作ることになった」
「なるほどね……」
「まだまだ先の話になるけど、第三、第四と村を作るかもな」
「ふふ、面白そうね」
酒を飲みながら話していると、ミュディとシェリー、クララベルとエルミナが来た。
「おお、みんな来たか」
「今日の話でしょ? 私がみんなに説明したわよ」
エルミナに先手を打たれたか。
ミュディは果実水を飲みながら言う。
「新しい村かぁ。ね、そこでもお仕事とかするの?」
「うーん、産業的なのはよくわからん。そもそも、受け入れる種族が何をできるかわからないし」
新しい村、かあ。
新しい名前も付けなきゃいけないのかな。開拓もあるし、緑龍の村からあまり離れるわけにはいかないってのもある。場所も、準備も、何もかも足りていない。
とりあえず、少しずつ進めていこう。
「明日から、第二の村に関する会議が始まる。みんなも参加して、いろいろ意見を出してくれ」
新たな村づくり。やることがいろいろありそうだ。
薬院はココロに任せ、村役所の『村長室』で仕事をする俺。
書類を眺め、村の産業物の出荷や輸入品などの報告書、そして未だに多く来る移住許可申請書を読む。
書類の三割くらいは、移住に関する書類だった。
俺は書類を眺めつつ、村長補佐兼村長代理のディアーナに言う。
「な、ディアーナ。移住の申請って未だに多いんだな」
ディアーナは、眼鏡をくいっと上げて言う。
「そうですね。まぁ、当然でしょう」
「当然なのか?」
「ええ。緑龍の村ほど恵まれた地はありませんから。というか普通、他種族がこれほど集まり、共存して生きる場所など、私が知る限りありませんよ。そもそも、オーベルシュタインの種族は同族同士でしかやり取りしませんので」
「そうなのか? でも、魔界都市ベルゼブブとか」
「以前、話したと思いますが……闇悪魔族はもともと、悪魔族の上位種として、オーベルシュタインを統治しようとしていたんです。ですが、兄さんがそれを望まず、純血派と呼ばれた闇悪魔族を一掃し、他種族が集まる街を作ろうとして生まれたのが、魔界都市ベルゼブブなのです」
「そ、そうなんだ……ってか、ルシファーってホントすごいんだな」
「ええ。当時、闇悪魔族の戦闘力に対抗できるのは、神話七龍か対局の存在である熾天使族だけでした。兄さんはたった一人で、七十七の闇悪魔族の貴族を相手に、ほぼ無傷で勝利したのです。当時を知る闇悪魔族は少なくなりましたが、知る者は全員、兄さんの姿を見ただけで恐怖で死にますよ」
「ま、マジか……どんだけ~」
ルシファー、温和な青年、話相手、飲み友達って感じだけど、普通に戦ってもヤベーんだな。
デーモンオーガですら相手にならないっていうし。
おっと、話が逸れた。
「で、移住申請だけどさ、悪魔族や天使族以外にもあるんだよな」
「ええ。小人族、巨人族、幽鬼族、白猫族……大きなところでは、こんな感じですね」
「へぇ~……って、知らない種族けっこう多いな」
「詳細はそちらに」
と、ディアーナは山積みの書類を指さした。
はいはいすみません。ちゃんと確認しますよ。
◇◇◇◇◇◇
「ふむふむ……なるほどなぁ」
小人族、巨人族、幽鬼族、白猫族。どれも共通しているのは、『安住の地』を求めてオーベルシュタインを回っているってところだな。
「村で受け入れてもいいけど……」
「……村長、正直な意見を申しても?」
「ああ」
「……私は、反対です」
「……」
まぁ、そんな気はしていた。
正直、俺も厳しいとは思う。
村の敷地を広げることはできると思うけど……これ以上は、管理が厳しい。
現在の村の人数は三千人ほど。これ以上は村として維持できない。
「なぁ、ルシファーはどうやって、あれほどの街を作ったんだ?」
「……ああ。その手がありましたか」
「え?」
「兄さんは、最初からベルゼブブを作ったわけではありません。一つの村から始め、いくつも村を興し、最終的には一つの街として、魔界都市ベルゼブブを作ったのです」
「じゃあ……あ、そうか」
「ええ。緑龍の村に受け入れるのではなく、緑龍の村が支援する村を作り、受け入れるのです」
そうか、新しい村を作って、そこで受け入れればいいのか。
最終的に一つの街にするかどうかはさておき、新しい村造りはいいかも。
「よし、じゃあ新しい……といっても、さすがに俺たちだけで決めるのもな。村の種族代表を集めて、会議をするか」
「わかりました。では、代表を集めます」
なんか、久しぶりの大仕事になりそうな予感!!
◇◇◇◇◇◇
さて、久しぶりの会議だ。
集まったのは、ハイエルフのエルミナ、エルダードワーフのアウグストさん、デーモンオーガのバルギルドさんに、銀猫族のシルメリアさん、花妖精のフィル、ブラックモールのポンタさん、妖狐族のカエデ、サラマンダー族のグラッドさん、石蛇女族のステンナ、女郎蜘蛛族のメイニー、闇悪魔族のディミトリ、熾天使族のアドナエル、豆狸族のタヌスケさん、黒猫族のシオンとルミナ、エルダーリッチ族のワイトさんだ。今更だが多すぎる。
俺はさっそく、第二の村について話をする。
「いいんじゃねぇか?」
と、アウグストさんが言う。
「新しい村か。くくっ、久しぶりに大仕事になりそうだ。以前と違い、今回は人手も多い。すぐにできるだろうよ」
『我々の建築技術が、試される時、ですネ』
「オレらも手ぇ貸せば、さらに早くできましょう」
アウグストさん、ワイトさん、グラッドさんが乗り気だな。
エルミナも言う。
「面白そうね。ってか、ハイエルフたちも新しく移住したいって子が多くてさー」
「ククク、新たなビジネスの予感……!!」
「確かに。ヘイヘイ、アシュトチャンよぉ、オレも噛ませてもらうゼェ!!」
「あ、アナタ!! そうやってまた!!」
「フフゥン、早いモン勝ち、サ!!」
ディミトリ、アドナエルうるさいな……まぁ賛成ってことか。
カエデはモフモフ尻尾をフリフリする。椅子の上で器用なやつだ。
「わらわも賛成なのじゃ。ふふふ、実は試してみたい温泉があるのじゃ。でも、緑龍の村には転移魔法陣の関係で温泉が作れんからの……新たな地で試すのじゃ」
「ぼくたちも賛成なんだな!!」
「私たちも異論ありません。現在、我々の同族は五名しかいませんが……もう少し、この地で生活できればと」
「我々もです。女郎蜘蛛族は新たな村に賛成です」
カエデ、ポンタさん、ステンナ、メイニーも賛成だ。
シルメリアさん、バルギルドさんは無言で頷いた。
『わたしはどっちでもいいかなー、ユグドラシルあるこの地から離れないし』
「アタシもどうでもいい」
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フィル、シオンはどっちでもいいのか。というかルミナがいつの間にかいるし。
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ディアーナに視線を送ると、小さく頷く。
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というわけで、『第二の村』計画が始まった。
◇◇◇◇◇◇
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「ってわけで、新しい村を作ることになった」
「なるほどね……」
「まだまだ先の話になるけど、第三、第四と村を作るかもな」
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「おお、みんな来たか」
「今日の話でしょ? 私がみんなに説明したわよ」
エルミナに先手を打たれたか。
ミュディは果実水を飲みながら言う。
「新しい村かぁ。ね、そこでもお仕事とかするの?」
「うーん、産業的なのはよくわからん。そもそも、受け入れる種族が何をできるかわからないし」
新しい村、かあ。
新しい名前も付けなきゃいけないのかな。開拓もあるし、緑龍の村からあまり離れるわけにはいかないってのもある。場所も、準備も、何もかも足りていない。
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