大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

文字の大きさ
460 / 474
新たな開拓

第654話、まずはどんな種族か④

しおりを挟む
 シロネちゃんの両親が畑から戻り、移住の件を話すと了解してくれた。
 まず、緑龍の村で何組か過ごしてもらう。そこで移住に関しての要望などを聞き、村づくりを開始する。
 小人族、巨人族も何名か村に向かってもらった。白猫族からはシロネちゃん一家と、高齢夫婦の二組向かってもらう……高齢夫婦らしいんだけど、どう見ても二十代後半くらいだ。
 白猫族も長寿種で、外見は二十代後半くらいで止まり、そのまま静かに老いていくらしい。
 シロネちゃんの両親、そしてハルベさんと話を終え、シロネちゃんの家に戻ってきた。
 家の中に入ると……なんと、子供たちがお昼寝中。

「アシュト、しーっ……」
「あ、ああ」
「見て……かわいい」

 ミュディ曰く。
 話が長引くので、ミュディが持参したおやつを食べることに。
 子供たち三人でお菓子を食べると、まずルミナが昼寝を開始、そしてシロネちゃんがルミナにくっついて昼寝をはじめ、ミュアちゃんがシロネちゃんを包むように寝てしまった。
 ミュディがそんな三人に毛布をかけ、三人を交互に撫でてたようだ。

「にゃ……」
「みゃう……」
「ふにゃ……」

 かわいい。
 ルミナも、シロネちゃんが胸元でスピスピ寝ているのに、ふわりと抱きしめている。
 シロネちゃんの両親も驚いていた。

「この子が、こんなに懐くなんて……」
「同じ猫族でも、この子はあまり人に懐かなくて……」

 とりあえず、このまま寝かせておくことに。
 外に出て、ディアーナと話しをする。

「えーっと、夜に『幽鬼族』のところに行くんだよな?」
「はい。幽鬼族は日中は『実体化』できないので、基本的に夜間しか活動できないそうです」
「……実体化」

 なんか怖いな。
 ワイトさんに話を聞こうとしたが、いなかった。
 すると、集落の入口で歓声が上がり、ディアーナと向かう。
 そこにいたのは、巨大なイノシシを狩ったグラッドさんと、ワイトさんだった。

「叔父貴、晩飯を狩ってきやした」
「おお、ありがとうございます」
「ははハ、白猫族の皆さんもゼヒ」

 ワイトさんが骨をカタカタさせて言うと、白猫族たちはみんな喜んでいた。
 肉とか久しぶりらしいし、いっぱい食べてもらおう。

 ◇◇◇◇◇

 夜になり、俺とディアーナとワイトさんは『幽鬼族』がいるという場所へ向かう。
 ミュディは子供たちとお留守番。シロネちゃんがミュアちゃんたちに懐いて、今は一緒に遊んでいる。
 グラッドさんは、集落の護衛に置いてきた。こっちの護衛役はワイトさんがいる。

「イやぁ~……久しぶりに感じる、魔の気配デスナ」
「ま、魔の気配?」

 夜になると、ワイトさんの眼窩に赤い光が灯る……これがめちゃくちゃ怖い。
 骨がカタカタ鳴るし、黒いマントがバサバサ翻るし、マジ怖い。
 一時間ほど歩くと、ワイトさんが言う。

「コノ先、ですナ」
「……」
「あの、村長……実は、情報だけで私も会うのは初めてで」
「お、おう」
「……いざという時は、よろしくお願いします」

 何を? とは聞けない俺だった。
 そして、ワイトさんが立ち止まると……そこは、不自然なくらいまっさらな空間だった。
 木々も、雑草も生えていない。土だけの場所。
 周囲を見渡すが、本当に何もない。

「え、ここ?」
「エエ……いるんだろう、ファントム!!」

 ワイトさんが叫ぶと───……それは、現れた。

「え……」
「ひっ……」

 俺たちの眼前に、真っ赤な頭蓋骨が現れた。
 真っ赤な頭蓋骨は白い炎に包まれフワリと浮かび上がり、炎が蛇のような形になりクネクネ動く。
 そして、頭蓋骨の口がカタカタ動き出した。

『久しぶりじゃの、ワイト』
「ウム。数百年ぶりダ。元気にしていタカ?」
『おおとも。そちらのお二方は……ふむ、そういうことじゃな?』

 カカカカカカカカ!! と、地面から大量の人骨が飛び出してきた!!
 全て真っ赤な頭蓋骨だ。真っ白な炎が頭蓋骨を包み込み、蛇のような形となって空中に揺らめいている。まるで浮遊する大蛇……人間くらいの長さの、白い炎の大蛇。
 こ、これが……幽鬼族、なのか。
 真っ蒼になる俺とディアーナに、眼下の赤い光を揺らめかせながらワイトさんが言う。

「村長、コチラ……幽鬼族のファントムでス。ワタシの古い知り合いでしテ」
『ファントムじゃ。よろしく頼むぞ、村長殿』
「…………ど、ども」

 そう返すのが精一杯だった。
 なにこれ。怖すぎる。どう見ても友好的に見えない。怖い。
 ディアーナは、俺の腕にしがみついて巨乳をこれでもかと押し付ける。怖くて感触がわからん。

『すまんの。ワシらの移住に関して、出向いてくれたようじゃな。見ての通り、ワシらは夜しか完全に実体化できん。日中は頭部だけで、動くこともできんのじゃ……』
「そ、そっすか」
『その代わり、夜はほぼ無敵。夜間の護衛はお任せくだされ。日中は、薄暗い場所に骨を安置してもらえれば』
「は、はひ」

 怖くて声が裏返ってしまった。
 超ぶっちゃけるが、この種族は村に来てほしくない……エルダーリッチより怖い。
 
『白猫族たちが、たまに確認しに来てくれるんじゃ。白猫族たちとは仲良くやれるぞ』

 え、そうなんだ。怖くないのかな?
 ディアーナは俺の腕にしがみついたまま言う。

「え、えええと……こほん、一つお願いが。何名……名? えっと、何体か、緑龍の村に来ていただければ。その、村を作るにあたっての希望など聞きたいので」
『ふむ、そういうことか。では……ワシの娘、シルキーを預けよう。シルキー、シルキー!!』
『はぁい』

 現れたのは、やはり真紅の頭蓋骨……娘って、どの辺が娘なんだ? というかどうやって繁殖するんだ?
 シルキー……さん? は、真っ赤な頭蓋骨に白い炎を帯び、蛇のような形ではなく、まん丸に翼が生えたような炎の形をしていた。どうもこの炎、自由な形にできるらしい。
 シルキーさんは、俺の前に浮かんで言う。

『シルキーです。私が緑龍の村に行きますので、よろしくお願いします!!』
「は、はい」
『ふふ、楽しみです~』

 乙女なのかな……恐怖しか感じないけど。
 シルキーさんは、俺に手を差し出すように言う。言われた通りにすると、俺の手に頭蓋骨がぽとっと落ちた。

「っひ」
『では、行きましょうか。あ、それとも泊まっていきます?』
「いえ帰ります」
「帰ります。はい」

 俺とディアーナは即答……ってか、マジでここ長居したくねえ!!

 ◇◇◇◇◇

 頭蓋骨を手に白猫族の集落へ。
 俺はミュディがいるシロネちゃんの家に向かうと、ミュディが出迎えてくれた。

「あ、おかえり」
「た……ただいま」
「……なんか疲れてるね」
「まぁ……」
「って、その骨なに!? あ、赤い……けど」
「あ、ああこれは」
『はじめまして!! シルキーです!!』
「───……」

 いきなり喋った赤い頭蓋骨を見て、ミュディは卒倒した。
 いろいろあったが……とりあえず、移住希望の種族を確認した。
 あとは、種族の希望を聞いたり、新しい村の場所を考えたりしなくちゃな。
 やることがいっぱいある。さぁさぁ、これから忙しくなるぞ!!
しおりを挟む
感想 1,145

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。