召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

文字の大きさ
24 / 178
第一章

新たな等級

しおりを挟む
 魔人襲来、そしてF級虐殺事件は瞬く間に王国中に広がった。
 そして、たった一人の生徒により魔人が滅ぼされたというニュースも広がったが、その生徒が誰なのかまでは広まらなかった。

 F級壊滅から十日……アルフェンは、誰もいなくなったF級寮で、硬いパンを齧っていた。
 調理、掃除と家事は一人でやらなければならない。だが、一人分で済むので楽だ。
 それに、ラッツたちの遺体や遺品は全て、家族の元に送られた。
 空っぽの寮で、一人アルフェンは暮らしていた。

 アルフェンは、二十日間の自主待機を命じられた。
 一度、ファルオがアルフェンの元へ来て話をしに来た。
 校舎の取り壊しという話もあったが、アルフェンが強く拒否したのでそのままだった。意外にもすんなり話が通ったことアルフェンは驚く。

 アルフェンは、空っぽになった自室のベッドに寝転んでいた。
 この十日間。来客はファルオ以外ない。誰が来ても追い返すつもりだった。
 恐らく、アルフェンの処遇を考えているのだろう。

「……もう、どうでもいいかな」

 そう思い、アルフェンはベッドから起き上がる。
 鞄を引っ張り出し、私物をまとめ始めた。
 着替え、教科書、数冊の本……驚くほど荷物が少ない。
 
「───どこへいくのかね?」
「っ!?」

 いきなり声をかけられた。
 驚いてドアの方を見ると、そこには一人の老人が立っていた。
 さすがのアルフェンも、見覚えがあった。

「メテオール、校長……」
「うむ。少し、きみと話がしたくてのぉ……外に出んか?」
「…………いえ、俺はもう」
「辞めるのかね?」
「…………」
「きみの人生だ。好きにすればいい……だが、少しわしの話を聞いてくれんか」
「…………」

 アルフェンは、鞄を放り投げた。

 ◇◇◇◇◇◇

 二人がやってきたのは、F級校舎だった。
 半壊した校舎はそのままだが、瓦礫や木片などは取り除かれ、アルフェンが空けた穴も修復されている。
 メテオールと一緒に、教室に入った。
 
「ここの取り壊しも話に出たのじゃが、許可できなくてのぉ……いちおう、魔人討伐者の願いということにしておいたが、その願いがなくても壊さんかった」
「…………?」
「ふふ。なにせ、ここはわしが三年間学んだ校舎じゃからな」
「え……!?」

 最強である二十一人の召喚士『剛力ストレングス』のメテオールが、F級だった。
 まさかの事実に、アルフェンは驚きを隠せない。
 メテオールは、悪戯が成功した子供のように笑った。

「昔も今も、等級制度で他者を見下すのは変わっておらん。わしが元F級で、学園卒業時にお情けでE級に昇級したなんて、誰も信じない……同じ人間なのにのぉ」
「…………」
「今回、F級は囮に使われた。A級であるリリーシャ嬢を呼び戻し、戦闘態勢を整えるための時間稼ぎとしてな」
「……知ってます」

 アルフェンは、十日間の間にいろいろ考えていた。
 恐らく、F級は囮になったと思っていたが、メテオールの言葉で真実となった。

「まずは、謝罪させてほしい……すまなかった」
「……謝るくらいなら、もう帰ります。お偉いさんが頭下げたところで、もうこの校舎に仲間は戻ってこない」
「…………」
「俺、もう……この学園には」
「きみに、頼みがある」

 メテオールは、八十を超えた老人とは思えない圧力の声で言う。
 本題───アルフェンは、とっさに身構えた。

「魔人討伐……きみに、人類の脅威と戦ってもらいたい」
「……魔人」
「ああ。きみが倒したのは『暴食』の魔人アベル。魔帝が生み出した最強の召喚獣の一体じゃ。魔人は全七体……アベルが倒されたことで、残りの魔人も動くだろう」
「……そんなの、国がなんとかすればいい。それこそ、あなただっている。最強の二十一人もいる」
「それはできないのじゃ」
「え?」
「……二十一人は動けないのじゃ。王国の防衛、王族の守護という使命があるからの」
「そんなの……」
「投げ出せないのじゃ。それが二十一人の使命であり『制約』だからの……だから、国は召喚士を育て、魔人を倒すための力を育てている。アルフェン、きみの右腕は強力じゃ。身体能力と特殊能力を合わせれば、特A級にも匹敵する」
「…………」
「悲しみを産まないために、戦ってほしい」

 その言葉に、アルファンの中で小さくなっていた『炎』が一気に燃え上がった。
 どの口が……と、目の前にいるメテオールを睨みつける。

「……ふざけんな!! 悲しみを産まない? 産んだのはお前らみたいな権力を持つ大人が何もしないからだろうが!! F級は囮? ……その決定を出したのは、お前たち大人だろうが!!」

 アルフェンは、メテオールに指を突き付けて叫ぶ。
 メテオールは、アルフェンの言葉を全て受け入れた。

「すまない……わしには、謝ることしかできん」
「っく……ちくしょう」

 メテオールは、アルフェンに聞いた。

「きみの右腕……きみの召喚獣は、どうしてきみに力をくれたのだ? 聞けば、きみの召喚獣は愛玩……いや、可愛らしいモグラだったそうじゃな?」
「……生きろ、って。魔人を……あ」

 ───アルフェン、魔人を倒せ。

 モグの言葉が、アルフェンに蘇る。
 それは、その場を切り抜けるためだけの言葉だったのか。
 残り六人の魔人……アベルみたいな奴が、まだいるのか。
 もしかしたら、またこの学園が。

「…………」

 アルフェンは、そっと右腕を上げた。
 そして、物言わなくなったモグに話しかけるように言う。

「モグ、俺……」
『───アルフェン、生きて。生きるために戦って』
「…………」

 アルフェンは、手を強く握りしめた。
 メテオールに向き直り、強く言う。

「わかった。俺にできることならやる。その代わり……いくつか条件がある」
「うむ。聞こう」
「俺は、俺が認めた大人の言うことだけを聞く。捨て駒にされたりするのはごめんだ」
「わかった」
「それと、俺はどのクラスにも編入する気はない。俺はこの教室で学ぶ」
「いいだろう」
「……本当にいいのか?」
「もちろん。ふふ、そのための準備はしておいた」

 今更気付いたが、アルフェンはメテオールにタメ口だった。
 メテオールは、こほんと咳ばらいをする。

「まず、きみの扱いは変わる。F級クラスは廃止。これよりきみは『スペシャル』……そう、『S級』クラスの生徒として学んでくれ。教室はここ、寮もそのまま、専属教師も付けよう」
「……え、えす級?」
「うむ。A級、特A級よりも上の特殊等級じゃ。この十日間で国王に認めさせたわい」
「…………」
「クラスメイトがいないのは寂しかろう。そこで、きみに誘致権限を与えよう。きみが認めた人間をS級クラスに配置する」
「……悪いけど、この学園には」
「話は聞いていたかの? わしは『きみが認めた』と言ったんじゃ。生徒じゃない人間を外でスカウトするのも可能じゃ。編入の手続きは任せておきなさい」
「お、おう……」
「それと、校舎の修復も行おう。学生寮にちゃんとした食材も卸そう。どうせお手伝いさんなどは拒否するじゃろうし」
「…………」
「さて、細かいことは後で書類を渡そう。質問はあるかね?」
「いや、大丈夫」
「うむ。では、明日から授業じゃ。遅れないようにの」
「え、明日!?」
「うむ。明日から専属教師が来る。今日はゆっくり休むといい」

 メテオールは、にっこり笑ってその場から去った。
 残されたアルフェンは、空を見上げて息を吐いた。

 ◇◇◇◇◇◇

 寮に戻り、冷蔵庫を開けると……たくさんの肉が詰まっていた。
 さらに、部屋には新しい制服があった。デザインは今まで同じだが、腕章に『S』の刺繍が施されている。
 せっかくなので、アルフェンは大量の肉を焼き、皿にどっさりと盛って食べ始めた。

「うんまっ!! これ、めっちゃいい肉じゃん!!」
 
 柔らかく、濃厚な肉汁がじゅわーっとあふれ出る高級肉。
 久しぶりの肉に、アルフェンの手はとまらない。
 
「うんまい!! ……うめぇ……っ」

 肉に、塩味が追加された。

「……うっ……うぅ、う……うっ」

 ひとりぼっちで食べる肉。
 美味かった。今までとは比べ物にならないくらい、いい肉だった。
 でも……いくら食べても満たされなかった。

 誰もいない食堂で、アルフェンは一人泣き続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...