召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第六章

収納

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 S級と生徒会の合同依頼。
 それの準備のため、翌日は授業がなしに。何日間の留守にするかわからなかったので、荷物は多めに持って行くことにした。
 そして、半日かけて荷物を用意したのだが……男性陣はともかく、女性陣の荷物は非常に多かった。
 特にメル。大きなバッグが五つもあり、どれも着替えなどが大量に入っている。
 サフィーもメルよりは少ないが多い。フェニアとアネルもサフィーよりは少ないがそれでも多かった。ウィルとアルフェンはカバン一つだけなのに、これではあまりにも荷重すぎる。
 ウィルは、寮の談話室に置いてある荷物の山を見てため息を吐く。

「減らせ。こんなの重すぎだろ」
「だ、駄目です! 何日かかるかわからない旅ですし……着替えとか必要です」
「サフィーの意見に賛成します。野営とかもあるし、服や下着の替えは必要です!」

 サフィーとメルの抗議をウィルはすっぱり無視。
 ウィルはため息を吐き、キッチンで野営用の鍋やフライパン、調理器具などを箱に詰めていたアルフェンに言う。

「おい、あいつらなんとかしろ。着替えなんてしなくても死にやしないってな」
「あー……まぁそうだけど」

 S級たちが乗るのは、大きな荷馬車だ。
 魔人討伐の報酬を出し合い、みんなで大きな馬車を買ったのだ。学園から支給された荷馬車が小さすぎたため、即金で買える馬車がそれしかなかったという理由もある。
 十人乗りで、小さいながらも二階建て、寝室もある。馬車の牽引は馬ではなくマルコシアスに引いてもらう。試しにマルコシアスに引いてもらったところ、『おいおい、軽すぎるぞ?』という感じで軽々引いていた。
 荷物を置くスペースもあるが、さすがに多すぎた。

「たっだいまー!」
「ふぁぁぁ~~~……ただいまぁ」
「ただいま」

 すると、レイヴィニアとニスロク。アネルが帰ってきた。
 アルフェンがそちらに顔を向ける。

「おう。おかえ…………って、なんだそれ?」
「むっふっふ。ようやく見つけてきた!」

 レイヴィニアが誇らしげに胸を張る。
 アネルが、黒いモフモフした鳥のヒナみたいな生物を抱っこしていた。アネルはニコニコ顔でモフモフを堪能しており、フェニアたちもモフモフに釘付けだ。
 レイヴィニアは、モフモフをツンツンしながら言った。

「こいつは『ディメンションスパロウ』っていう、魔帝様が呼びだした召喚獣……ああ、人間は魔獣って呼んでるな。魔獣だ。旅に出るならこいつの能力が役に立つと思って、ニスロクとうちで捕まえてきた!」
「ぼくの『能力』なら魔獣操れるしらくしょぉ~~~」

 ニスロクの能力は『魔人通信』だ。
 魔獣を操ることが可能で、魔人同士遠隔で会話もできるという。
 アネルが一緒に行ったのは脱走しないように……だが、そんな心配は欠片もしていなかった。

「ガーネットのやつに頼まれてな。こいつがいると楽だぞ……見てろ」
「あぁっ」

 レイヴィニアがアネルからディメンションスパロウを奪う。そして、置いてあった荷物にモフモフを近づけると、ディメンションスパロウの口が開き、荷物が吸い込まれてしまった。
 いきなりのことで仰天する一行。

「むっふっふ。こいつの能力は『収納』っていうんだ。どんな大きなものでも吸い込んで収納する。物を出したいときはモフモフしながら命じるんだ。おい、カバン出せ」
『ぴゅるる』

 レイヴィニアがモフモフすると、ディメンションスパロウは口を開け、フェニアのカバンをペッと吐きだした。
 アルフェンは、ディメンションスパロウに近づいて撫でる。

「すごいな。これは役に立つぞ」
『ぴゅるる』
「いちおう、もう一匹捕まえてきた。あの、生徒会とかいう連中用に」
「ああ……まぁ、俺が届けるよ」

 もう一匹はどこにいるのかと探すと、ニスロクが着ていたフード付きコートのフードの中にいた。こっちの色は黄色だった。どうも個体によって色が違うらしい。
 すると、黒いディメンションスパロウはフェニアに強奪された。

「かわいぃ~♪ ねぇねぇ名前つけよ! 餌は何食べるのかな?」
「も、もふもふです! マルコシアスとどっちがモフモフかな」
「餌は雑食みたい。あ、クッキー食べるかな?」
「アネル! その役目はわたしにお任せを! 王女の命令です!」

 と、構われまくっていた。
 ウィルは興味なさそうにため息を吐く。だが、これで荷物問題は解決した。
 ニスロクは、フードから黄色いディメンションスパロウを取り出す。

「はいこれ。餌はなんでもいいし、普段は寝てるからお世話もらくぅ~」
「わかった。伝えておくよ……とりあえず、キリアス兄さんに言うか」

 黄色いディメンションスパロウを抱っこし、アルフェンは寮を出た。

 ◇◇◇◇◇◇

 寮を出て歩いていると、すぐに後悔した。

「おい、なんだあれ」「S級……なんだあれ、ひよこか?」
「かわいい~」「黄色いモフモフ」「ペットか?」

 ディメンションスパロウを抱いたアルフェンは、かなり目立っていた。

「くっ……は、恥ずかしいなこれ」
『ぴゅい?』
「……くっ、確かに可愛い」

 さっさと届けようと歩いていると、ちょうどグリッツを見つけた。
 買い物をしていたようで、両手がふさがっている。アルフェンはお構いなしに話しかけた。

「おーい。そこの、ちょっといいか?」
「え……あ、アルフェン・リグヴェータ!? な、なんだよ、なにか用……なんだそれ?」
「……とりあえず質問。キリアス兄さんは?」

 アルフェンはグリッツの質問を無視。ディメンションスパロウをジロジロ見ていたグリッツは、アルフェンの顔を見て言う。

「キリアス先輩なら、一緒に買い出ししているよ。ここで合流するからもうすぐ来る」
「買い出し? ……ああ、お前も行くんだっけ」
「ああ。とはいっても、完全な雑用係だけどね。キリアス先輩も似たようなものさ」
「そっか……あ、そうだ。じゃあお前にも説明しておくよ」
「?」

 アルフェンはディメンションスパロウの説明をした。半信半疑のグリッツの前で持っていた荷物を全て収納。モフモフしながら荷物を再び出してやる。

「……お、驚いた。これは便利だな!」
「だろ? 大量の荷物を馬車に積んで馬に苦労させるか、モフモフしながら可愛い鳥の世話をするかの二択だ。どうする?」
「もちろん世話だ」
『ぴゅい』
「……うん、世話だ!!」

 グリッツはディメンションスパロウが気に入ったようだ。
 渡してやると、モフモフと頭を撫でる。すると、いいタイミングでキリアスがやってきた。

「待たせたグリッツ……アルフェン?」
「お疲れ様です。兄さん」
「キリアス先輩!! 実は、このようなものをもらいまして」

 グリッツはディメンションスパロウの実演をし、キリアスを驚かせた。

「なるほど。これは便利だ……あー、ありがとう、アルフェン」
「いえ。あ、世話だけはよろしくお願いします。おい、変なことに使ったりしたら怒るからな…………俺が」
「わ、わかってるよ。大事に世話するさ!」

 一応、このディメンションスパロウに何かあればニスロクに伝わる。
 世話はグリッツがやるだろうし、大丈夫だろう。
 用事も終わり、アルフェンは帰ろうとした。

「待て。あー……その、や、約束を果たそうか」
「え?」
「飯……奢ってやる。行くぞ」
「……はい!!」
「うむ……おい、グリッツも来い。オレが奢ってやる」
「え、あ、は、はい……い、いただき、ます」

 キリアスがこんなことを言うとは思ってなかったようだ。
 アルフェン、キリアス、グリッツの三人は、高級購買内にある飲食店へ向かって歩きだした。
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