召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第六章

最初の村へ

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 アルフェンたちは、廃村を出発した。
 警備を担当していたS級だが、交代でちゃんと眠れた。特に何かが起こったわけでもなく、トラブルらしいトラブルにも見舞われなかった。
 アルフェンはコボルトを倒したが、特に報告しなかった。
 馬車の中で、アルフェンは大きな欠伸をする。

「なぁメル。ここって手紙とか出せるか?」
「何? 誰かに出すの?」
「いや、さっき、オズワルドの奴が森の中で手紙出してたんだ。それと、妙な手紙もらってテンション上がってたから気になってな」
「……ふぅん。詳しく」
「詳しくもなにも、それだけだよ」
「……おかしいわね。報告書ならダオームが出してたはず。それに、森の中ですって? ……気になるわね」

 メルは足を組み換え腕組みをする。
 
「……とりあえず、わたしからそれとなく探りを入れるわ。この件に関して深入りしないように」
「お、おう。でも、そんなに深刻に考えることか?」
「念には念を、ってやつよ。忘れた? オズワルドはあなたに強い恨みを持ってるわ」
「…………」
「あの手のタイプは、見えないところでいろいろな工作を施す。もしかしたら、魔人討伐よりS級を貶めることが目的、って可能性もあるんだからね」
「……お任せします」
「ん、わかったわ」

 アルフェンは、次にオズワルドが何かを仕掛けてきたら手加減しないで殴る。そう心に誓い、馬車の窓を開けて新鮮な空気を吸った。

 ◇◇◇◇◇◇

 それから馬車は進み、最初の村に到着した。
 馬車が到着するなり、村長とほか数名の住人が出迎えをする。
 出迎えられ、前に出たのはもちろん、オズワルドとリリーシャとサンバルトだ。その後ろにはダオームたちが控え、アルフェンたちは馬車から降りることを許されなかった。

「あれ、絶対に俺らを関わらせないつもりだよな」
「だな。オレらは戦闘の道具程度の扱いだろうよ。何が合同作戦だよ……手柄は全部あっちのモンじゃねぇか。まぁどうでもいいけどよ」

 アルフェンとウィルは馬車の窓からオズワルドたちの様子を眺めていた。
 そんな二人をアネルがいさめる。

「ほら二人とも。しょげてないでシャンとする! アルフェン、ほら」
「うわわっ……ちょ、アネル、頭撫でんなって」
「フン……」

 アネルはアルフェンの頭をガシガシ撫でる。
 
「むぅ……アネル」
「サフィー。アネルはアルフェンのことを弟のように見ているだけですよ」
「メル様。私は別に……」
「フェニアも、気にしないの」
「べ、べつに気にしてないし……そういうメルは?」
「ふふ、王女ですから」
「むぅ……」

 女子が何やら喋っていたが、アルフェンには聞こえなかった。
 すると、村長がリリーシャたちを村の中へ。キリアスがアルフェンたちの馬車へやってきた。

「馬車は村の入口に置いて、馬を厩舎へ。人数を半分に分けて、一つは村の警護、もう一つはこの辺りを見回って、魔獣や魔人の警戒に当たれ」
「わかりました、兄さん。あの……ほかの人たちは」
「姉上たちA級は会議、オレとグリッツは雑用だ……すまんが、任せるぞ」

 そう言って、キリアスはグリッツの元へ。
 荷物を下ろし宿となる家に運んだり、馬の世話をしたり、馬車の手入れを始めた。
 メルは大きなため息を吐く。

「はぁ……じゃあ、役割分担しましょうか」

 ◇◇◇◇◇◇

 村長の家に呼ばれたオズワルド、リリーシャ、サンバルトは、村長を含めこれからの話をする。

「まさか、あのアースガルズ王国から優秀な召喚士様がお立ち寄りくださるとは」
「ええ。申し訳ないが、数日だけ滞在させていただく。馬車の調子が悪くてね……」
「それはもちろん。あの、必要ならば技術者もお呼びします。とはいっても、村の大工ですが……ああ、腕は保証しますよ」
「いや結構。宿を提供していただけるだけでありがたい。我々のことは気にせず、普段通りの生活をしていただければ……それと、これは宿賃です」
「お、おお……」

 オズワルドは、金貨袋を村長の目の前に置いた。
 ずっしりとした重みがある金貨袋を村長は受け取った。

「あー、すまないが村長。少し我々だけで大事な話をしたいのだ。どこかいい場所はないかね?」
「で、でしたら! 村の集会所をお使いください!」

 村長の家の裏に、村の集会場があった。
 さっそく移動し、入口をダオームに守らせる。集会所内は狭く、椅子やテーブルも古ぼけていた。
 オズワルドは椅子に座り、ため息を吐いた。

「はぁ……底辺共の相手は疲れる。こんな田舎の農村に住んでいるくらいだ。等級も大したことがない雑魚ばかりだろう……まぁ、下手に騒がれるよりはいいか」

 オズワルドは、この村に魔人が現れる可能性を一言も話さなかった。
 見た感じ、ここの住人の等級はE~C程度だろうと結論付けた。魔人が現れる可能性を話せば逃げ出す恐れがある。
 魔人の可能性を考えれば、いつも通りの生活をしてもらう方が都合がいい。
 もちろん、馬車の調子が悪いなどは嘘だ。

「オズワルド……現れると思うかい?」
「いえ、なんとも……まぁ、現れたところでS級をぶつければいい。我々は危険を冒さず、安全圏で手柄を立てればいい話です」
「そうだね。まぁ、この村の住人には悪いけど……ふぅ、アースガルズ王国民じゃなくてよかったよ」

 サンバルトは、笑顔でクズ発言をした。
 悪意のない笑み。リリーシャはたまに出るこのサンバルトの表情が嫌いだった。もちろん、アースガルズ王国民以外、どうなろうと構わないとは思っているが。
 リリーシャは、オズワルドに確認する。

「とりあえず、様子見ですね」
「うむ。『預言』の日数まで待機し、何事もなければ次の村へ行く。それと……少し、面白い話が届いた」
「面白い話、ですか?」
「ああ。ふふ……実は、新たな『預言』が届いた」
「「えっ……」」
「おっと。これはここだけの秘密だ……ふふふ、面白いことになるぞ」

 オズワルドは、濁った笑みをリリーシャとサンバルトに向けた。

 ◇◇◇◇◇◇

 アルフェンたちがいる村の近くに、一頭の馬がいた。
 馬は大きな荷物を積んでいる。野営用の荷物だ。
 その馬に、一人の男が跨っていた。

「あそこの村か……さて、この辺りでいいか」

 村の近くの茂みで野営の準備を始めた男。
 男は、手のひらに小さな『コウモリ』を召喚した。

「頼むぜ、『スクープバッド』……面白いネタ、拾ってこいよ」

 召喚獣スクープバッド。
 能力は『隠密撮影』で、アースガルズ王国内の記者が持つ『撮影型召喚獣』でも、この『隠密撮影』を持つのはたった三人しかいない。
 その中の一人。『ユグドラシル新聞社』に勤めるベンザックは、藪の中でニヤリと笑う。

「見ていやがれ……新聞記者の誇りにかけて、A級とS級の合同依頼、撮影しまくってやるぜ」

 ベンザックの好きなモノ。それは『スクープ』と『真実』……彼の記者魂は熱く燃え上がっていた。
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