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最終章
いつかまた会える日まで
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二年後。
学園を卒業後。アルフェンはイザヴェル領地へ移住。
バーソロミューから領主を引き継ぎ、領主の仕事をしながらのんびり過ごしていた。
アルフェンは、十八歳になった。
現在、執務室で書類を書きながら、窓の外を見る。
すると、執務室のドアがノックされ、ティーカートを押したユイシスが入ってきた。
「失礼いたします。お茶をお持ちしました」
「ん、ありがとう。ところで、フェニアは?」
「奥様でしたら、サフィー様、ニュクス様と一緒に、アネル様の元へ遊びに」
「いいなー……俺も行きたい」
「仕事がありますので」
「だよなぁ」
最近、フェニアたちはよくアネルの元へ遊びに行っている。
理由は、アネルが妊娠したからだ。
しかも二人目。一人目はまだ一歳になったばかりの女の子である。
「二人目かぁ……まさかアネル、在学中に妊娠するとはな」
「ウィル様のお手が早かったようで」
「あはは。あいつ、めっちゃ焦ってたよな」
アネルの妊娠が発覚したのは、ウィルとアネルが恋人になって一年後。
ウィル十九歳。アネル十八歳のころだった。
二人とも卒業資格を得ており、そろそろ学園を卒業する……まさにその話をしている最中、アネルが苦しそうにしていたところで発覚したのだ。
二人は卒業。アースガルズ王国で静養、出産という話もあったが、アネルが「イザヴェル領地に行きたい」というので、二人は仲良く移住したのだ。
そして、女の子が生まれたと授業中に報告を聞き、全員で喜んだのを覚えている。
ちなみに、レイヴィニアとニスロクはウィルたちに付いて行った。
「次は男かな? 女かな」
「大丈夫です。どちらの場合でも、贈り物は万全ですから」
「よし、さすがユイシス」
「いえ。ところで……旦那様はまだですか?」
「…………頑張ってはいるよ」
ちなみに、アルフェンのところはまだだ。
夜の営み。アネルが妊娠してから妻たちは積極的であった。
「さ、さて! 気分転換を兼ねて、ウィルのところに行くかぁ!」
アルフェンは立ち上がり、出かけるべく部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
牧場からほど近い森の中。
ウィルは、『ヘッズマン』を展開。巨大なイノシシ魔獣の眉間を撃ち抜いた。
「ッチ……最近多いな」
三年前の魔帝大戦が終わった後、魔獣が劇的に増えた。
ニュクス・アースガルズが召喚し、討伐しきれなかった魔獣である。
その魔獣が繁殖、さらにニュクスに改造された魔獣は倒しても消滅することなく、肉体がこっちの世界に残る。おかげで、魔獣肉や素材という資源がこの世界に流通した。
ウィルは、巨大イノシシを片手で担ぐ。
「肉……栄養あるよな」
アネルに喰わせて大丈夫だろうか?
ほんの一瞬、思考が逸れてしまう。
『ガオォォォォォ!!』
「───ッ」
上空から、巨大な魔獣猿が襲い掛かっていた。
ウィルの片腕はふさがっている。しかも猿は動きが早い。
舌打ちする時間もなかった。
「『召喚獣殴り』!!」
だが、横から現れた巨大な拳が、猿を殴りつける。
「油断大敵だな、ウィル」
「へ、領主サマに命を救われまして……ありがとうございます、ってか?」
「はいはい。それより、さっさと行こうぜ」
「おう。って……お前、なんでここに」
「お前が森で魔獣狩りしてるって聞いたからな。領主として、魔獣の対処は仕事のうちだ」
「ウチの羊に被害が出ないように、この辺りはオレが狩ってる。町の周辺をやれ」
「わかってるよ」
二人は並んで歩きだす。
森を抜け、しばらく歩くと牧場が見えてきた。
「あれ、ウォーケンさんは?」
「ジジィはアースガルズ王国に行った。息子と嫁に会うんだとよ」
「会う、ねぇ……? どうせお前がなんかしたんだろ」
「やかましい」
アネルしか知らない。ウィルが大金を支払い護衛を雇い、ウォーケンの送迎のためだけに馬車を購入し、入念な下調べをしてウォーケンの息子と娘を探し出し、会うように約束を取り次いだことなど。
今頃、十数年ぶりの家族団欒を楽ニュクスでいるだろう。
アルフェンとウィルは、牧場の離れへと到着。巨大イノシシを解体するためにウィルは納屋へ。
アルフェンは家の中へ。するとそこにはアネルたちがいた。
「あ、アルフェン。いらっしゃい」
「よ、アネル……って、お前らなにしてんの?」
揺り椅子に座るアネル。
その周りにしゃがみ込むフェニア、サフィー、ニュクスの三人だ。
「あのね、お腹から音聞こえるのよ……ね、サフィー」
「は、はい……赤ちゃんです」
「いいなー……あたしも妊娠したい!」
すると、よちよちと一歳ほどの幼女が、小虎のレイヴィニアに乗ってきた。
「ままー!」
『わはは! 落ちるなよー!』
「いけいけー! あ、アルフェンだー!」
「ようセルサ。元気にしてたか?」
アルフェンは、ウィルとアネルの娘であるセルサを抱き上げた。
どことなく、ウィルに似ている。やんちゃな少女に育ちそうだ。
レイヴィニアは疲れたのか、暖炉前で寝ているニスロクの元へ行き、丸くなって寝始める。
「あれ、ウィルは?」
「納屋で魔獣を解体してる。でっかいイノシシでさ、アネルに食わせたいって」
「あら嬉しい。せっかくだし、みんなも食べてってよ」
「たべてー!」
セルサはアルフェンの腕の中でバタバタ暴れる。
この日は、ご馳走となった。
◇◇◇◇◇◇
ウィルの家で食事を終え、腹ごなしにと歩いて帰ることに。
すると、さっそくニュクスが言う。
「アルフェン。今夜も行くね……赤ちゃん欲しい」
「……お、おう」
「ニュクス、そういうの、大っぴらに言わないの!」
「フェニアだって欲しいくせに」
「う、うるさいし!」
「あはは。まぁまぁ」
「「サフィーも欲しいくせにー」」
「う……そ、そういうのは言わなくていいんです!!」
キャーキャーと楽し気に騒ぐ三人。
そして、アルフェンは思い出したように言う。
「あ、そういえば。近いうちにメルが来るってさ。あー……その、まぁ」
「……後継者だっけ?」
「じゃあ、メルが優先ですか?」
「むー……よし。フェニア、サフィー。今夜は三人でどう?」
「「異議なし」」
「え、ちょ」
アルフェンの後継者誕生まで、もう少し。
◇◇◇◇◇◇
イザヴェル領地は、平和だった。
移住者が増え、様々な国から移住者が来たことで独特の文化が形成……流通の拠点となった。
アースガルズ王国では、次期女王としてメルが選ばれた。二年後、二十歳になったら戴冠式を行うとアルフェンの元に知らせが入った。
なぜ二年後かというと……現在、妊娠中だからだ。
子供が生まれたら、メルはイザヴェルで静養する予定だ。
アルフェンは、執務室で大きく背伸びをする。
「さーて……少し、外の空気吸ってくるか」
外、と言っても町には行かない。
裏庭へ向かい、屋敷の壁に寄りかかって座り、趣味で始めた畑をのんびり眺めている。
懐から、一通の手紙を取り出し読んでみた。
「姉上……また遊びに来るのか。キリアス兄さんも子供連れてくるって言うし。ダオーム……兄さんは来ないのか」
リリーシャが『視察に来る』という手紙だ。ちなみにそれを書いたのはキリアスで、『子供を連れて休暇を楽しませてもらうよ』とも書かれていた。
すっかり仲良しで、アルフェンも悪い気はしない。ただ、リリーシャはそろそろ結婚してほしいとも考えているが、どうも本人にそのつもりはないようだ。
「やれやれ……騒がしくなるなぁ」
誰もいない裏庭で一人。
リグヴェータ家でも、よくあった。
昔を思い出し、懐かしさに浸っていると……畑の土がボコっと盛り上がった。
「えっ」
『……』
それは、一匹の黒いモグラだった。
アルフェンをじーっと見ている。
「あ───……モグ」
モグ。
小さなモグラ。
ジャガーノートという名があり、アルフェンの右腕となった存在。
もう、意識は消えてしまい、この世界のどこにもいない。
『……きゅぅ?』
「あ……」
モグラは、可愛らしく鳴き、そのまま地面に潜ってしまった。
すると、番だろうか、メスのモグラと一緒に再び出てくる。
『きゅぅ』
『きゅうう』
二匹は仲良く寄り添い、幸せそうにしていた。
まるで、いつかの夢で見たジャガーノートとドレッドノート。
アルフェンは、そんなモグラが再び地面に潜るのを最後まで眺めていた。
「モグ───……俺、頑張ってるよ」
ここまでくるのに、たくさん失った。
そして、手に入れてきた。
アルフェンの右手で摑んだのは、ジャガーノートがくれた『未来』だ。
「たとえここにいなくても、お前のくれた右手が、俺に未来をくれた。モグ……俺、これからも生きていく。だからお前も、どこかで見ててくれ」
アルフェンはそう呟き、右手を空に掲げる。
最弱召喚士の学園生活は、決して楽ではなかった。
たくさん失った。でも、失って初めて手に入ったものもある。
辛いこともあった。悲しい別れもあった。
でも……それらすべてを乗り越え、アルフェンはここにいる。
「モグ、いや……ジャガーノート。また会える日まで」
そう呟き、アルフェンは右拳に力を込めて立ち上がる。
仕事はたくさんある。休憩は終わりだ。
アルフェンは、屋敷に向かって歩き出した。
『がんばれ、アルフェン───』
そんなアルフェンを、二匹のモグラは優しい眼差しで眺めていた。
─完─
学園を卒業後。アルフェンはイザヴェル領地へ移住。
バーソロミューから領主を引き継ぎ、領主の仕事をしながらのんびり過ごしていた。
アルフェンは、十八歳になった。
現在、執務室で書類を書きながら、窓の外を見る。
すると、執務室のドアがノックされ、ティーカートを押したユイシスが入ってきた。
「失礼いたします。お茶をお持ちしました」
「ん、ありがとう。ところで、フェニアは?」
「奥様でしたら、サフィー様、ニュクス様と一緒に、アネル様の元へ遊びに」
「いいなー……俺も行きたい」
「仕事がありますので」
「だよなぁ」
最近、フェニアたちはよくアネルの元へ遊びに行っている。
理由は、アネルが妊娠したからだ。
しかも二人目。一人目はまだ一歳になったばかりの女の子である。
「二人目かぁ……まさかアネル、在学中に妊娠するとはな」
「ウィル様のお手が早かったようで」
「あはは。あいつ、めっちゃ焦ってたよな」
アネルの妊娠が発覚したのは、ウィルとアネルが恋人になって一年後。
ウィル十九歳。アネル十八歳のころだった。
二人とも卒業資格を得ており、そろそろ学園を卒業する……まさにその話をしている最中、アネルが苦しそうにしていたところで発覚したのだ。
二人は卒業。アースガルズ王国で静養、出産という話もあったが、アネルが「イザヴェル領地に行きたい」というので、二人は仲良く移住したのだ。
そして、女の子が生まれたと授業中に報告を聞き、全員で喜んだのを覚えている。
ちなみに、レイヴィニアとニスロクはウィルたちに付いて行った。
「次は男かな? 女かな」
「大丈夫です。どちらの場合でも、贈り物は万全ですから」
「よし、さすがユイシス」
「いえ。ところで……旦那様はまだですか?」
「…………頑張ってはいるよ」
ちなみに、アルフェンのところはまだだ。
夜の営み。アネルが妊娠してから妻たちは積極的であった。
「さ、さて! 気分転換を兼ねて、ウィルのところに行くかぁ!」
アルフェンは立ち上がり、出かけるべく部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
牧場からほど近い森の中。
ウィルは、『ヘッズマン』を展開。巨大なイノシシ魔獣の眉間を撃ち抜いた。
「ッチ……最近多いな」
三年前の魔帝大戦が終わった後、魔獣が劇的に増えた。
ニュクス・アースガルズが召喚し、討伐しきれなかった魔獣である。
その魔獣が繁殖、さらにニュクスに改造された魔獣は倒しても消滅することなく、肉体がこっちの世界に残る。おかげで、魔獣肉や素材という資源がこの世界に流通した。
ウィルは、巨大イノシシを片手で担ぐ。
「肉……栄養あるよな」
アネルに喰わせて大丈夫だろうか?
ほんの一瞬、思考が逸れてしまう。
『ガオォォォォォ!!』
「───ッ」
上空から、巨大な魔獣猿が襲い掛かっていた。
ウィルの片腕はふさがっている。しかも猿は動きが早い。
舌打ちする時間もなかった。
「『召喚獣殴り』!!」
だが、横から現れた巨大な拳が、猿を殴りつける。
「油断大敵だな、ウィル」
「へ、領主サマに命を救われまして……ありがとうございます、ってか?」
「はいはい。それより、さっさと行こうぜ」
「おう。って……お前、なんでここに」
「お前が森で魔獣狩りしてるって聞いたからな。領主として、魔獣の対処は仕事のうちだ」
「ウチの羊に被害が出ないように、この辺りはオレが狩ってる。町の周辺をやれ」
「わかってるよ」
二人は並んで歩きだす。
森を抜け、しばらく歩くと牧場が見えてきた。
「あれ、ウォーケンさんは?」
「ジジィはアースガルズ王国に行った。息子と嫁に会うんだとよ」
「会う、ねぇ……? どうせお前がなんかしたんだろ」
「やかましい」
アネルしか知らない。ウィルが大金を支払い護衛を雇い、ウォーケンの送迎のためだけに馬車を購入し、入念な下調べをしてウォーケンの息子と娘を探し出し、会うように約束を取り次いだことなど。
今頃、十数年ぶりの家族団欒を楽ニュクスでいるだろう。
アルフェンとウィルは、牧場の離れへと到着。巨大イノシシを解体するためにウィルは納屋へ。
アルフェンは家の中へ。するとそこにはアネルたちがいた。
「あ、アルフェン。いらっしゃい」
「よ、アネル……って、お前らなにしてんの?」
揺り椅子に座るアネル。
その周りにしゃがみ込むフェニア、サフィー、ニュクスの三人だ。
「あのね、お腹から音聞こえるのよ……ね、サフィー」
「は、はい……赤ちゃんです」
「いいなー……あたしも妊娠したい!」
すると、よちよちと一歳ほどの幼女が、小虎のレイヴィニアに乗ってきた。
「ままー!」
『わはは! 落ちるなよー!』
「いけいけー! あ、アルフェンだー!」
「ようセルサ。元気にしてたか?」
アルフェンは、ウィルとアネルの娘であるセルサを抱き上げた。
どことなく、ウィルに似ている。やんちゃな少女に育ちそうだ。
レイヴィニアは疲れたのか、暖炉前で寝ているニスロクの元へ行き、丸くなって寝始める。
「あれ、ウィルは?」
「納屋で魔獣を解体してる。でっかいイノシシでさ、アネルに食わせたいって」
「あら嬉しい。せっかくだし、みんなも食べてってよ」
「たべてー!」
セルサはアルフェンの腕の中でバタバタ暴れる。
この日は、ご馳走となった。
◇◇◇◇◇◇
ウィルの家で食事を終え、腹ごなしにと歩いて帰ることに。
すると、さっそくニュクスが言う。
「アルフェン。今夜も行くね……赤ちゃん欲しい」
「……お、おう」
「ニュクス、そういうの、大っぴらに言わないの!」
「フェニアだって欲しいくせに」
「う、うるさいし!」
「あはは。まぁまぁ」
「「サフィーも欲しいくせにー」」
「う……そ、そういうのは言わなくていいんです!!」
キャーキャーと楽し気に騒ぐ三人。
そして、アルフェンは思い出したように言う。
「あ、そういえば。近いうちにメルが来るってさ。あー……その、まぁ」
「……後継者だっけ?」
「じゃあ、メルが優先ですか?」
「むー……よし。フェニア、サフィー。今夜は三人でどう?」
「「異議なし」」
「え、ちょ」
アルフェンの後継者誕生まで、もう少し。
◇◇◇◇◇◇
イザヴェル領地は、平和だった。
移住者が増え、様々な国から移住者が来たことで独特の文化が形成……流通の拠点となった。
アースガルズ王国では、次期女王としてメルが選ばれた。二年後、二十歳になったら戴冠式を行うとアルフェンの元に知らせが入った。
なぜ二年後かというと……現在、妊娠中だからだ。
子供が生まれたら、メルはイザヴェルで静養する予定だ。
アルフェンは、執務室で大きく背伸びをする。
「さーて……少し、外の空気吸ってくるか」
外、と言っても町には行かない。
裏庭へ向かい、屋敷の壁に寄りかかって座り、趣味で始めた畑をのんびり眺めている。
懐から、一通の手紙を取り出し読んでみた。
「姉上……また遊びに来るのか。キリアス兄さんも子供連れてくるって言うし。ダオーム……兄さんは来ないのか」
リリーシャが『視察に来る』という手紙だ。ちなみにそれを書いたのはキリアスで、『子供を連れて休暇を楽しませてもらうよ』とも書かれていた。
すっかり仲良しで、アルフェンも悪い気はしない。ただ、リリーシャはそろそろ結婚してほしいとも考えているが、どうも本人にそのつもりはないようだ。
「やれやれ……騒がしくなるなぁ」
誰もいない裏庭で一人。
リグヴェータ家でも、よくあった。
昔を思い出し、懐かしさに浸っていると……畑の土がボコっと盛り上がった。
「えっ」
『……』
それは、一匹の黒いモグラだった。
アルフェンをじーっと見ている。
「あ───……モグ」
モグ。
小さなモグラ。
ジャガーノートという名があり、アルフェンの右腕となった存在。
もう、意識は消えてしまい、この世界のどこにもいない。
『……きゅぅ?』
「あ……」
モグラは、可愛らしく鳴き、そのまま地面に潜ってしまった。
すると、番だろうか、メスのモグラと一緒に再び出てくる。
『きゅぅ』
『きゅうう』
二匹は仲良く寄り添い、幸せそうにしていた。
まるで、いつかの夢で見たジャガーノートとドレッドノート。
アルフェンは、そんなモグラが再び地面に潜るのを最後まで眺めていた。
「モグ───……俺、頑張ってるよ」
ここまでくるのに、たくさん失った。
そして、手に入れてきた。
アルフェンの右手で摑んだのは、ジャガーノートがくれた『未来』だ。
「たとえここにいなくても、お前のくれた右手が、俺に未来をくれた。モグ……俺、これからも生きていく。だからお前も、どこかで見ててくれ」
アルフェンはそう呟き、右手を空に掲げる。
最弱召喚士の学園生活は、決して楽ではなかった。
たくさん失った。でも、失って初めて手に入ったものもある。
辛いこともあった。悲しい別れもあった。
でも……それらすべてを乗り越え、アルフェンはここにいる。
「モグ、いや……ジャガーノート。また会える日まで」
そう呟き、アルフェンは右拳に力を込めて立ち上がる。
仕事はたくさんある。休憩は終わりだ。
アルフェンは、屋敷に向かって歩き出した。
『がんばれ、アルフェン───』
そんなアルフェンを、二匹のモグラは優しい眼差しで眺めていた。
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