28 / 62
第三章 黄昏旅団所属『死神』のラムエルテ
目標設定
しおりを挟む
深夜。
ゲルニカは一人、どこかの部屋で羊皮紙を手に読んでいた。
すると、音もなく背後に立つ一人の女。
「これはこれは、『女教皇』」
「……『死神』、それともゲルニカ? それともラムエルテ?」
ゲルニカの後ろにいたのは、マドカだった。
壁に寄りかかり、どこか退屈そうにゲルニカの背中を見ている。
隙だらけに見え、まるで隙が無い。
「ゲルニカは学園教師の名、ラムエルテは暗殺者の名……どうぞ、お好きな方で」
「ふん、いくつも偽名持ってるくせに」
「ところで、何か? この部屋は私の隠れ家の中でも、特に見つからない場所だったのですが」
振り返り、ニコニコするゲルニカ。
マドカは、一枚の羊皮紙をゲルニカに渡す。
「『世界』からの指令よ。『風魔七忍』を語る謎のアサシン教団を探して始末しろとのこと……」
「ほほう、興味深い……『世界』はどこまで知っているのですか?」
「……何を?」
「あなたもですよ、マドカ」
いつの間にか、ゲルニカはマドカの背後にいた。
ありえない。何故なら、まだ目の前にゲルニカはいる。
マドカは動揺を見せず、肩に置かれた手を払う。
「どういう意味?」
「ハンゾウ。あの愚かなる師が残した弟子……」
「……あの人に弟子がいるとでも? 弟子はあなたたち、旅団最初の七忍でしょう?」
「そうですね。ですが私はどうも引っかかる……あのハンゾウが、病に侵されたからと言って、捨て駒の称号である『力』如きに追い詰められるでしょうか? 特に、あのパワーズは私の弟子でも出来損ないだった」
「…………」
「私はね、パワーズと相打ち、あなたがとどめを刺したというのも疑っているんです……ねえ、マドカ。私はね、あなたが、師であり父であるハンゾウを殺したとは思えないんです」
「…………はっ」
マドカは、ゲルニカを見て笑った。
「空想が趣味なので。だからなに?」
「フフ……まあ、はっきりさせますよ。私の勘ですが……風魔七忍は、子供です」
「…………」
「少なくとも二人。そのうち、一人は女子……」
「……それで?」
「今回、動くのは私だけですか?」
「さあね。他の連中は知らないわ」
「まあいいでしょう。生徒の中……新入生の中に二人いると仮定し、面白い実験をしようと思います」
「実験?」
マドカが訝しむと、ゲルニカは嬉しそうにほほ笑んだ。
「『魔術師』……私の弟子の一人が、面白い手駒を育てていまして。それを使い、実験をしてみようと思います」
◇◇◇◇◇◇
シャドウは、ヒナタから全てを聞いた。
「やっぱり、あいつが」
「はい……正直、私では勝てません。近づくことすら困難かと。ですが、正体はバレていません……私が『女』ということは知られてしまいましたが」
「だ、大丈夫なの?」
「……はい」
ルクレはヒナタを心配している。まだ新入りだが、仲間意識は芽生えていた。
シャドウは、息を整える。
「……よし。目標はゲルニカだ。ここからは俺の仕事だな」
「シャドウ様……どうか、お気を付けて」
「ああ。ヒナタ、お前はもう関わるな。いち生徒として過ごすように」
「はい。ルクレ様、どうかご協力を」
「う、うん……わたし、何をすればいいの?」
「私のご友人としてお過ごしください。あくまで、一般生徒として振舞うように」
「……わ、わかった!! できること、精一杯やるよ!!」
ルクレはヒナタの手を掴みウンウン頷く。
シャドウは話題を変えた。
「ところで、明日って何かあったっけ……授業抜け出して暗殺とかはしたくないな」
「明日は……身体測定と体力測定がありますね」
「……そんなの意味あるのか?」
「心技体。魔法を使うのに身体は重要ですからね」
「男女に分かれてやるんだっけ……うう、運動苦手だしやだなあ」
「とりあえず、今日はもう休むか……」
こうして、最初の暗殺目標をゲルニカに設定。
シャドウの『暗殺者』としての仕事が始まった。
ゲルニカは一人、どこかの部屋で羊皮紙を手に読んでいた。
すると、音もなく背後に立つ一人の女。
「これはこれは、『女教皇』」
「……『死神』、それともゲルニカ? それともラムエルテ?」
ゲルニカの後ろにいたのは、マドカだった。
壁に寄りかかり、どこか退屈そうにゲルニカの背中を見ている。
隙だらけに見え、まるで隙が無い。
「ゲルニカは学園教師の名、ラムエルテは暗殺者の名……どうぞ、お好きな方で」
「ふん、いくつも偽名持ってるくせに」
「ところで、何か? この部屋は私の隠れ家の中でも、特に見つからない場所だったのですが」
振り返り、ニコニコするゲルニカ。
マドカは、一枚の羊皮紙をゲルニカに渡す。
「『世界』からの指令よ。『風魔七忍』を語る謎のアサシン教団を探して始末しろとのこと……」
「ほほう、興味深い……『世界』はどこまで知っているのですか?」
「……何を?」
「あなたもですよ、マドカ」
いつの間にか、ゲルニカはマドカの背後にいた。
ありえない。何故なら、まだ目の前にゲルニカはいる。
マドカは動揺を見せず、肩に置かれた手を払う。
「どういう意味?」
「ハンゾウ。あの愚かなる師が残した弟子……」
「……あの人に弟子がいるとでも? 弟子はあなたたち、旅団最初の七忍でしょう?」
「そうですね。ですが私はどうも引っかかる……あのハンゾウが、病に侵されたからと言って、捨て駒の称号である『力』如きに追い詰められるでしょうか? 特に、あのパワーズは私の弟子でも出来損ないだった」
「…………」
「私はね、パワーズと相打ち、あなたがとどめを刺したというのも疑っているんです……ねえ、マドカ。私はね、あなたが、師であり父であるハンゾウを殺したとは思えないんです」
「…………はっ」
マドカは、ゲルニカを見て笑った。
「空想が趣味なので。だからなに?」
「フフ……まあ、はっきりさせますよ。私の勘ですが……風魔七忍は、子供です」
「…………」
「少なくとも二人。そのうち、一人は女子……」
「……それで?」
「今回、動くのは私だけですか?」
「さあね。他の連中は知らないわ」
「まあいいでしょう。生徒の中……新入生の中に二人いると仮定し、面白い実験をしようと思います」
「実験?」
マドカが訝しむと、ゲルニカは嬉しそうにほほ笑んだ。
「『魔術師』……私の弟子の一人が、面白い手駒を育てていまして。それを使い、実験をしてみようと思います」
◇◇◇◇◇◇
シャドウは、ヒナタから全てを聞いた。
「やっぱり、あいつが」
「はい……正直、私では勝てません。近づくことすら困難かと。ですが、正体はバレていません……私が『女』ということは知られてしまいましたが」
「だ、大丈夫なの?」
「……はい」
ルクレはヒナタを心配している。まだ新入りだが、仲間意識は芽生えていた。
シャドウは、息を整える。
「……よし。目標はゲルニカだ。ここからは俺の仕事だな」
「シャドウ様……どうか、お気を付けて」
「ああ。ヒナタ、お前はもう関わるな。いち生徒として過ごすように」
「はい。ルクレ様、どうかご協力を」
「う、うん……わたし、何をすればいいの?」
「私のご友人としてお過ごしください。あくまで、一般生徒として振舞うように」
「……わ、わかった!! できること、精一杯やるよ!!」
ルクレはヒナタの手を掴みウンウン頷く。
シャドウは話題を変えた。
「ところで、明日って何かあったっけ……授業抜け出して暗殺とかはしたくないな」
「明日は……身体測定と体力測定がありますね」
「……そんなの意味あるのか?」
「心技体。魔法を使うのに身体は重要ですからね」
「男女に分かれてやるんだっけ……うう、運動苦手だしやだなあ」
「とりあえず、今日はもう休むか……」
こうして、最初の暗殺目標をゲルニカに設定。
シャドウの『暗殺者』としての仕事が始まった。
4
あなたにおすすめの小説
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!
山田 バルス
ファンタジー
カールは学園の卒業式を終え、心の中で晴れやかな気持ちを抱えていた。長年の努力が実を結び、婚約者リリスとの結婚式の日が近づいていたからだ。しかし、その期待は一瞬で裏切られた。 「カール、私たちの婚約は解消するわ。」 リリスの冷たい声がカール…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる