最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第三章 黄昏旅団所属『死神』のラムエルテ

黄昏旅団所属『魔術師』アドラメレク①

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 魔法は、心技体に影響する技術。肉体が未熟なら魔力行使に負担が掛かることもあるので、学園では座学、魔法学の他に身体学……身体を鍛える授業もある。
 授業は選択制であり、武器を使う物もあれば、武術を習うところもある。
 一年生では、二十以上ある身体学から三つほど選び学ぶことになる。

 本日は、身体測定と体力測定。
 これらのデータをもとに、二年後、三年後のデータを比べるのだ。
 シャドウは、学園支給の体操服を着て、第一訓練場にいた。
 シャドウだけではない。一年一組から五組までの男子が揃った状態だ。
 すると、ユアンが近づいてきた。

「や、シャドウ」
「あ、どうも」
「……そう他人行儀にしなくていいよ。そりゃ宣戦布告はしたけど……その、ボクさ、こんな立場だし、同世代の友人とかいないから……きみさえよければ、その」
「……じゃあ、普通に話す。ユアンって呼んでいいか?」
「───も、もちろん!!」

 ユアンは嬉しそうに笑った。
 友人。しかも、クオルデン王国の第二王子。
 あまり目立ちたくはないが、友人になりたいと向かってくる男子を邪険にしないくらいは、シャドウも暗殺者としては甘かった。
 シャドウは聞く。

「えっと、五組ずつ男女に分かれての身体測定と体力測定だっけ」
「うん。六組から十組までの男子は、第二保健室で身体測定を受けてるよ」
「第二保健室ねぇ……この学園、広いし教室多すぎる」
「あはは、確かにね……ちなみに、保健室は第六まであるよ」

 多すぎる。
 学園の敷地は地方の大きな街ほどあるとは聞く。
 ヒナタの集めた情報の一つに、二年に一度、地下モールに出店する権利を賭けて、商会同士の過酷な戦いがあるとかないとか。
 
「今日は、二年生はダンジョン研修、三年生は野外訓練でいないからさ、ショッピングモールも空いてると思う。これ終わったら夕食でもどうだい?」
「いいよ。あ、従者も連れてくるけどいいか?」
「もちろん。ボクも従者を連れて行くよ」
「……そういえば、ユアンの従者って見たことないな」
「いちおう、同じクラスだよ。特殊な訓練を受けてるから、気配を殺すのが得意なんだ」
「へぇ」

 特殊な訓練。
 シャドウは、その少女が少し気になった。
 存在は感じた。だが、自分を目立たなくさせることに長けているのか、シャドウですら見逃すことが何度かあった。
 相当な手練れ……第二王子の護衛は伊達ではない。

「あ、始まるよ」
「ああ」

 一組から五組までの男子の数は、七十人。
 それぞれクラスごとに並ぶと、教師が数名と、身体測定の補助員が二十名ほど入ってきた。
 全員男。だが……妙だった。

(……なんだ)

 殺気を感じた。
 それだけじゃない。この場にいる教師は、シャドウも見たことがない。
 入学前、シャドウはヒナタから『学園教師』の名前、似顔絵を重点的に記憶しておいた。事務員や清掃員など入れたらきりがないので、教師だけは覚えておいたのだが。

「えー……これから、身体測定を始めます」

 この、妙な殺気を放つ男は、いったい誰なのか。

(───……まさか、敵か)

 シャドウは、胸元に隠してある小さいアイテムボックスの位置を確かめる。
 このアイテムボックスの中に、さらにアイテムボックスを入れている。その中には装備一式が入っているが……着替える時間がない。
 嫌な予感は、現実となった。
 補助員が約二十名、整列しているシャドウたちを囲むように動く。
 この時点で気付いた生徒は、シャドウ以外にいなかった。

「全員、死にたくなければ動かないように」

 目の前にいる教師がそう言った瞬間、補助員たちが一斉に杖を抜き、シャドウたちに突きつけた。

 ◇◇◇◇◇◇

 一方、一年一組から五組までの女子生徒、合計八十名。
 女子たちは第二保健室……ではなく、第三講堂に集まっていた。
 数が多いので急遽、保健室から講堂に移動となったのだ。
 講堂内は広く、数々の身体測定器具が準備されている。そして、一人一人にカゴが渡された。

「ここに服を入れるんだね」
「……しかし、やや無防備ですね」

 講堂内は完全に封鎖されている。
 当然、窓は閉められており、扉も完全に封鎖されている。
 天窓は一つしかなく、今は内側から封鎖されているので、のぞくことはまず不可能。
 保険医師が三名、女性看護師が十名ほどいる。
 保険医師の一人が言う。

「それでは皆さん、服を脱いで、脱いだ服はテーブルに置いてください。ああ、下は履いてもいいですけど、上は脱いでくださいね」

 女子たちは上半身裸になり、下はショーツだけの姿になる。
 自然と、手で胸を隠す格好になった。
 
「……」
「ひ、ヒナタちゃん。胸、隠さないの?」
「両手を封じられては戦えないので」
「でもでも、普通の女子だったら隠さないと~……」
「……む」

 怪しまれる行動はしない。それが、学園での過ごし方。
 ヒナタはしっかり胸を隠すルクレを見て、渋々と自分も隠す。
 すると、どこかイライラしたようなシェリアが言う。

「まったく!! この私をこんな格好で……ちょっと!! さっさと初めて、さっさと終わらせないさいよ!!」

 教師に嚙みついていた……が、教師は何も言わない。
 ヒナタは、ピクリと眉を動かす。

「……」
「ひ、ヒナタちゃん?」
「……妙な気配を感じます」
「え?」
「……身体測定。そもそも、なぜ服を……下着まで脱がせて」

 まるで、両手を使わせないようにするのが目的のような。
 そして……ヒナタは察した。
 妙な気配が膨らむと同時に、制服を入れたカゴ・・・・・・・・が一斉に燃え上がった・・・・・・・・・・

「なっ!?」
「えっ!?」

 驚くヒナタ、ルクレ。
 そして生徒たちが驚く中、パンパンパンと手を叩く音が響く。

「はいはいは~い……ほうほう、最近の女の子は発育いいねぇ? おっさん、ヨダレ出そうだぜ」

 どこからともなく、白衣を着た男が現れた。
 ドブのような髪色がオールバックでまとめられ、黒い丸眼鏡を付けている。
 身体付きは、元傭兵と言っても遜色ないほど鍛え抜かれており、長い舌をべろべろさせた。
 その男の登場に、女子たちが絶叫した───……が。

「うるっせぇぇぇぞガキが!! ブチ殺すぞゴルァぁぁ!!」

 殺気を込めた叫びに、建物が揺れた。
 窓ガラスにも亀裂が入り、女子たちが恐怖で震えだす。
 すると、男はニコニコと不気味にほほ笑んだ。

「あ~あ~……悪いなぁ、まだ殺しはしねぇよ。これから楽しい『実験』が始まるんだ。お前たちは人質で、ただ待ってるだけでいい」
「じ、っじ、っけん……?」
 
 男の殺気を浴び、それでもシェリアがポツリとこぼす。
 ガタガタ震えて粗相しているが、男はウンウン頷いた。

「そう、実験だ。ククク……さてさて、どうなるかね」

 男は指を鳴らすと、部下である女性たちがテキパキと椅子を用意。男は座った。
 そして、女子たちを舐め回すような目で見ながら言う。

「オレは『魔術師マジシャン』のアドラメレク。さぁさぁ、おっさんと楽しい時間、過ごそうぜ」
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