最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第五章 ダンジョン実習

お買い物

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 シャドウは、ラウラとヒナタの三人でパーティー用の礼服とドレスを買いに来た。
 向かったのは学園地下ショッピングモール。広大な空間である地下ショッピングモールには何でもある。中には有名ブランドの洋装店もあり、三人はそこに向かっていた。
 シャドウは言う。

「あのさ、別に適当でいいんだぞ?」
「わかってるわかってる。でもさ、シャドウくんは貴族なんだよ? 学園は広いし、爵位を持つ生徒はそんなにいないけど、やっぱり貴族なら身支度はきちんとしなきゃ。これは『外部協力員』のアドバイスです」
「はあ……」
「……あの、私もですか?」
「もちろんです!! ヒナタちゃんはシャドウくんの従者なんだし、ちゃんと綺麗なドレスを着なきゃ」
「でも、従者が着飾る必要は」
「だめ。ちゃんと綺麗にしないと、恥をかくのはシャドウくんだよ?」
「う……そ、それはダメですね」

 ヒナタは納得してしまった。
 シャドウは内心で「逆らわないほうがいいな……」と思い、さっさと終わらせることにした。
 ラウラは言う。

「そういえば、ルクレちゃん、ライザーくんは?」
「二人は実家からパーティー用の服が送られてきたようだし、ライザーにルクレの修行を任せてる」
「……大丈夫なの?」
「まあ何とかなるだろ」

 ちなみに、ルクレはライザーから『地獄の筋トレ』を受けている最中である。
 そして三人は洋装店に到着。入口にはソニアがいた。

「姫様。お疲れ様です」
「ん、ありがとねソニア。ささ、行こ」

 ソニアは予約をしてくれたようだ。が……ソニアのシャドウを見る目は少し厳しい。
 ヒナタには従者同士通じるものがあるのか、ぺこりと頭を下げたソニア。
 店内に入ると、従業員の男性が一礼する。

「これはこれは、ラウラ様。本日は当店をご利用いただきまして、誠にありがとうございます」
「うん。あのね、今日はお友達の礼服とドレスを仕立てて欲しいんだ。それと……私用に、手袋を」
「かしこまりました。では、採寸から始めますので」

 さっそく、男女に分かれての採寸……シャドウは嫌々採寸を受け、様々な質問を受けた。
 そして、無難だがやや暗めの色をした礼服のデザインを決める。
 女性陣は長い。なので、別室に案内されお茶を飲んでいた。すると。

「ふぅ~……んん?」

 いきなりドアが開き、妙な『女』が入ってきた。

「あれ、きみは確か……ああ、今年入学したクサナギ男爵だっけ」
「……えっと」
「ああごめん。私のことわかんないよねぇ。私は学園専属の『医師』ヴィーネ。よろしくね男爵様」
「は、はい」

 知っている。
 クオルデン王立魔法学園専属医師。
 広大な敷地を持つ魔法学園の各所には『医務室』があり、そこには常勤の医師、薬師などがいる。
 医師の数は総勢で四十名。ヴィーネはその中の一人だ。
 ヒナタの集めた資料にも名前があり、地方国の子爵令嬢であり魔法医師として学園にいる、ありふれた医師であり教師の一人だ。
 ヴィーネは部屋に入るなり、シャドウの正面に座る。

「いやあ~……ドレスがキツくて仕立て直しになってさ。あ、吸っていい? 一介の医師である私が何で学園社交界に参加しなくちゃいけないのかねぇ……あ、新入生に愚痴ることじゃないか」
「……あ、はあ」

 ヴィーネは足を組み、煙管を取り出して煙草を吸い始めた。
 この部屋は休憩室であり、お客なら誰でも自由に使用できるのだが……シャドウは微妙に訝しむ。
 すると、その視線に気づいたヴィーネは言う。

「ん? なに?」
「いえ……なんで俺のこと知ってるのかなって」
「あはは。教師はみんな知ってるよ。生徒の中にも爵位を持つ子がいるからね……そういう『特別』な子はチェックしてるのよ」
「なるほど……」

 その情報は知らなかったシャドウ。
 つまり、シャドウの顔は教師たちに知られていることは間違いない。

「ふぅー……きみ、なんかいいね」
「はい?」
「落ち着いてる。雰囲気がいい……ふふ、モテるタイプだねぇ」
「……えっと」

 掴みどころがない。なんとなくシャドウはそう思った。
 同時に、どこか嫌な予感も……そういう『直観』が働いた。
 なるべく気にしないようにヴィーネを観察する。

「ん、なに?」
「あ、いえ……先生はその、パーティーに参加されるんですよね」
「まあね。何が起きてもいいように、今度の新入生社交界には特等魔法師と医師が紛れ込むよ。それに強い貴族の魔法師たちも参加するし、前みたいな賊は来ないんじゃないかなあ」
「……それなら安心ですね」
「うん。そうだね。でも……そういう安心が、とっても危険なのかもねえ」
「……どういう意味です?」

 思わず挑むような質問をしてしまい、シャドウは少しだけ後悔する。
 だがヴィーネは面白そうに笑い、煙管の灰を灰皿に落とした。

「あはは!! 本気にしないでよ。まーた悪の組織の魔法師とか襲ってくるとか思ってる?」
「いや……別に」
「ああいう事故は、そうそう起きないって。準備は万全にするから、きみたち新入生は楽しむといいよ」
「……はい」

 すると、ドアがノックされ若い女性が入っている。

「先生、用事は済みました」
「ああうん。じゃあルソルちゃん、行こっか」
「はい、先生」

 女性はヴィーネに頭を下げ、シャドウを見て頭を下げた。
 看護師。シャドウは服装でそう判断する。
 ヴィーネは立ち上がり、シャドウに向かって手を振った。

「じゃあ、ごゆっくり~」

 それだけ言い、ヴィーネはにこやかに笑って部屋を出るのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 店を出たヴィーネは、ルソルに言う。

「ん~……どうだった?」
「特に怪しい点はありません」
「だよね。私も探ったけど、まあ……『普通の子供』だったかなあ」

 ヴィーネは欠伸をして、ポケットから羊皮紙を出す。
 そこには、シャドウの名前やアルマス王国での住所、クサナギ男爵になった経緯などが書かれていた。
 ルソルは首を傾げる。

「先生。今年入学した生徒、しかも爵位を持つ生徒を調べてどうするのですか?」
「そりゃ知りたいからだよ。ラムエルテのヤツが残した情報から、『ハンゾウ』は新入生の中にいるってわかってるからね。でも……数は多いし、当然だけど尻尾は出さないから難しいなあ」
「だから、入学者の貴族……爵位持ちからお調べに? 先生自ら?」
「うん。ルソルちゃんたちはこういうの苦手だもんね。まあ、ハンゾウ自身は見つからなくても……その仲間くらいは調べられるかなあ」
「……仲間」
「うん。風魔七忍を名乗った以上、七人の暗殺者で構成されてると思う。まあ、まだ七人揃ってるかは不明だけどね」
「……なるほど」

 ヴィーネは、シャドウの情報が書かれた羊皮紙を折りたたむ。

「ま、この子は保留。さてさて、次はどの子にしよっかなぁ」
「……先生。調査と見せかけて、ただ話したいだけでは?」
「あ、バレた? あはは、まあいいじゃん。私たち『風魔七忍』の名を語る意味……知りたいけどね」
「…………」
「ま、見つからなくてもいいや。んふふ……新入生社交界で『面白い実験』することにしたし」
「……何をなさるおつもりで?」
「きみたちの『兄弟』を使った、面白い実験だよ。んふふ、『恋人』のヤツには敢えて知らせない……そっちのが面白いしー」

 ヴィーネは、ニヤリと笑い……胸の谷間から小瓶を取り出した。
 その中には、白い小さな『ナメクジ』が入っている。

「それは、まさか……」
「そう。私の魔法で作った『白キ小瓶ノ命ホムンクルス』の素材……さてさて、素体はどうしようかなあ?」

 ヴィーネはクスクス笑い、舌をぺろりと見せて邪悪にほほ笑んだ。
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