最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第五章 ダンジョン実習

炎竜ヴライヤ②

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 仕切り直し。
 シャドウは印を結び、右腕を掲げる。
 すると、周囲に大量の『水の玉』が浮かび、辺りに浮かんだ。
 
「ルクレのおかげで見えてきた……さあ、来やがれ」
『……餓鬼が、生意気な』

 ヴライヤは翼を広げ、前傾姿勢になり両足で踏ん張る。
 そして、口を大きく開けた。

「シャドウ!! さっきの攻撃が来るぞ!!」
「シャドウ様!!」

 ライザー、ヒナタが叫ぶ。
 だがシャドウは冷静だった。周囲に浮かぶ水の玉は、シャドウと同じくらい落ち着いたように浮かんでおり、そこには焦りや困惑など感じられない。
 そしてシャドウは印を結ぶ。右手と左手の親指と中指で輪を作り、その手を合わせる。

「あれは……説法印」
「な、なんだそりゃ」
「混合忍術を使うための『繋ぎ』です。『忍道二十一印』とは別の、魔法式を構築するための印で、二十一印の繋ぎ印の一つ……説法印は三種混合忍術の繋ぎ」

 以前、シャドウは七属性の忍術を同時に行使したことがある。
 だがそれはあくまで、一つ一つを発動させて組み合わせた忍術。だが今から行うのは属性そのものを組み合わせ、一つの忍術として発動する技だ。
 三種混合。シャドウは印を完成させ、説法印を構えたまま言う。

「さあ、来やがれ」
『───……フン。消し炭となれ!!』

 ヴライヤは『熱線』を放つ。
 ルクレが受けた熱線よりも太く、熱が籠った一撃。
 シャドウは説法印を組んだまま叫んだ。

「水、風、雷混合……鏡遁、『蓮華氷鏡の術』」

 水の玉が凍り付き、雷で研磨され無数の『鏡』となる。
 そして、鏡の一つが熱線を受けた。
 そのまま貫通、砕け散るかと思った瞬間……なんと、鏡が角度を変え、熱線を弾いたのだ。
 そして、弾かれた熱線が別の鏡へ、再び熱線が反射。
 反射、反射、反射を繰り返し───熱線が向かった先は。

『なっ』
「おかえしだ!!」

 無数に反射した熱線は、ヴライヤに向かって飛ぶ。
 そして、熱線がヴライヤの頭に直撃すると、鎧のような外殻が砕けヴライヤが吹き飛び、そのまま壁に激突して崩れ落ちた。
 驚愕し、声も出ないライザーとヒナタ。
 シャドウは説法印のまま、大汗を流し肩で息をする。
 そして、ヴライヤがゆっくり起き上がる……その頭部からは、真っ赤な血が流れ落ちていた。

『貴様……吾輩の攻撃を利用するとは……!!』
「俺の忍術がどれも通用しない気がしたからな。だったら、お前の攻撃を利用して跳ね返し、ぶつけてやろうと思ったんだ……!!」

 鏡はまだ浮かんでいる。
 
「さあ、何発でも付き合ってやる……かかって来い!!」

 シャドウは笑う。
 鏡がクルクル回転し、威嚇するように周囲を回る。
 
『…………ハッ』

 すると、ヴライヤは口を歪めた。

『ハハハ……ハッハッハッハッハ!!』

 ヴライヤは笑い、自分の頭を撫でる……手に付いた血を見て、さらに笑った。

『面白い!! 貴様、面白いぞ!!』
「……そりゃどうも」
『このまま続けるのも一興だが……いいだろう。小僧、名は』
「……シャドウ」
『シャドウ。その名、覚えたぞ……戦いは終わりだ。もう貴様を殺そうとは思わん』

 ヴライヤは翼を閉じ、再び身体を丸めて寝転んだ。
 シャドウは鏡を解除……戦闘解除ではない、鏡を維持することができなかった。
 そして、ライザーとヒナタが駆け寄り、ルクレとシャドウを支える。
 シャドウは、肩で息をしながらヴライヤを見た。

「……もう、戦わないのか?」
『ああ。それと……先程の非礼を詫びる。ハンゾウの弟子よ』
「うん……もういいや」
『うむ。さて、シャドウとその仲間たち……貴様らに興味が沸いた。吾輩を仲間にするというのなら受けてもよいぞ』
「え……マジで?」

 驚くシャドウ。ヴライヤは口元を歪ませ、にやりと笑う。

『貴様ら人間の寿命は百年ほどだろう? 善戦した褒美だ。その程度の時間、くれてやる』
「ま、マジか……で、伝説の竜種が、味方かよ」
「……ハンゾウ様ですら成し得なかったことを、シャドウ様が」
「……ははっ」

 シャドウは笑い……ヴライヤに言う。

「よし。ヴライヤ、お前は今日から『風魔七忍』の五人目だ……あ、人じゃないけどな」
『よかろう。ではシャドウ……これを受け取れ』

 ヴライヤは、口の中から小さなガラス玉を出し、シャドウに向かって投げる。
 地面を転がるとシャドウの前で割れ、その中には一枚の羊皮紙があった。

「これは……?」
『ハンゾウとの戦い後、奴が吾輩に寄越した物だ。いずれ必要になるとな』
「……ははっ、さすが師匠」

 シャドウは羊皮紙を眺め、感心していた。
 ハンゾウは一体、どこまで想定していたのか。そこに書かれていたことに驚き、笑う。
 羊皮紙を見ようとしたライザーだが、シャドウが隠してしまう。

「お、おい。見せろよ」
「だめだめ。少なくとも今はまだ、な」
「はあ?」
「ん~……あれ? あ、シャドウくん!!」
「お、起きたかルクレ。お前のおかげで助かったよ、ありがとな」
「えっと……って、あの赤いトカゲさん!! わわわっ!!」
『誰がトカゲだ!! 食らうぞ娘!!』
「ひいいいいい!? あう……」

 ルクレはまた気を失ってしまった。
 ヒナタが苦笑してルクレをおんぶする。
 ライザーは、気になったのか聞いてみた。

「あの、ヴライヤ、聞いていいか? お前……なんでこんな初級のダンジョンに住んでるんだ?」
『初級だの、ダンジョンだのは知らん。ここは昔から、吾輩の寝床だ。たまに人間の声がするがな』
「そ、そうなのかー……おいシャドウ。こーいう時って普通は学園に報告だけどよ」
「するわけないだろ」
「だよなー……」

 ライザーは肩を竦める。
 ルクレを抱っこするヒナタが言う。

「あの、シャドウ様……そろそろ戻らないといけません」
「あ、そっか」
『む、お前たち……下に向かうなら、そこの通路を行け。一番下まで行ける』
「おお、ありがたい。ありがとなヴライヤ」
『フン……では行け。何かあればまた来るといい』
「ああ、またな」

 シャドウたちは、ヴライヤの近くにある入口から下へ向かう。
 そこは階段になっており、螺旋階段を進むと一気に最下層まで行けた。
 隠し通路になっているのか、一番下に到着すると隠しドアがあり、外を探りつつ慎重に開ける。

「最下層……すごいな、あっという間に到着したぞ」

 シャドウが外に出て、他の三人も外へ。
 ドアをゆっくり閉め、隠しドアがバレないようにさりげなく瓦礫でドアの前を塞ぐ。
 周囲を見ると、そこは狭い通路の一つだった。壁もボロボロなので、隠しドアがあるとは初見で見ることはできないだろう。
 そのまま四人で、最下層にある『証』を取りに行こうとした時だった。

「……うえ、なんでお兄ちゃんが」
「あ、シャドウくんたち!!」
「…………」

 曲がり角から現れたのは……シェリア。
 そして、ユアンとレスティアの三人と遭遇するのだった。
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