最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

文字の大きさ
52 / 62
第五章 ダンジョン実習

ダンジョンクリア

しおりを挟む
 ユアン、シェリア、レスティア。
 そして、シャドウとヒナタ、ライザーとルクレの四人。合わせて七人。
 ダンジョンの最下層で偶然出会った七人は、向かう方向も同じなのでそのまま一緒に地下を進んでいた。
 すると、シェリアがヒナタに抱っこされたルクレを見て言う。

「ぷぷっ、なにこの子、気絶してるの~? 怖い目にでもあったのかな~?」
「おいシャドウ、このクソ女ぶっ飛ばしていいか?」
「ああ? なにあんた。あたしに何だって? 焼いてあげようか?」
「はっ、チヤホヤされていい気になってるクソ女が。やれるもんならやってみろ」

 シェリア、ライザーが睨み合う……ライザーがキレているのは、ヴライヤの攻撃から命懸けでシャドウを救ったから。自分にできなかったことを身を挺して行ったルクレに敬意を抱いていたからである。
 シャドウはライザーの背を軽く叩く。

「やめとけ。お前も、ハーフィンクス家と揉めるのは嫌だろ」
「チッ……」
「それとシェリア。こいつはグランドアクシス家の三男だぞ。お前とライザーが揉めたら親が出しゃばってくるのは確実だろうな」
「……む」

 シェリアもムスッとしていたが、軽く舌打ちしてユアンの元へ。
 すると、レスティアがシャドウに向けて軽く頭を下げた。意味が不明だったが、シャドウも軽く頭を下げる。そのまま七人で会話なく歩いていると、最下層に到着した。

「ねえねえソニア、証ってこれだよね!!」
「はい、お嬢様。これで任務完了……地上に戻りましょう」
「うん!! あれ? あ……シャドウくんたち!!」

 シャドウくんたち。
 七人いる中で、シャドウの名を呼んだことにユアンが一瞬だけ眉を潜めたのをシャドウは見逃さなかった……が、ほんの一瞬だけ『殺気』も感じられた。
 
(殺気……? ユアンが、俺に?)

 間違いなく『殺意』だった。
 嫉妬されているとは思っていたが、これまで殺意は感じたことがない。
 だが、今は明確に感じられた。

「あ、ユアンくんたちも一緒だったんだ~。ねえねえユアンくん、わたしたち友達とはぐれちゃってさ、一緒に地上まで行かない?」
「もちろん歓迎するよ。いいよね、みんな」

 ユアンはにこやかにほほ笑む。シェリアはムスッとするが。

「いいよね、シェリアさん」
「えっ、あ……う、うん」

 有無を言わさぬユアンの笑みに、シェリアがビクッと肩を震わせる。
 その様子に、シャドウは何かを感じた。

「おう。証ってどこだ?」
「ここにあるよ。えっと……ライザーくん」
「くんはいらねぇよ。同級生だろうが」
「う、うん」

 ライザーはラウラに対しても変わらない態度だ。
 そして、最下層部屋の中央にあった祭壇に向かい、そこに置いてある箱の中から『証』を取る。

「メダルか……ほれシャドウ」

 ライザーがメダルを投げ渡し、シャドウはキャッチ。
 どこにでもありそうな、無地で銀色のメダルだった。
 ユアンたちもメダルを取り、それぞれ眺めている。
 ラウラはポケットにメダルを入れ、やや疲れたように言った。

「あとは帰るだけだね。みんな、魔獣と戦った?」

 魔獣どころか、竜種と戦った……とは言えないシャドウたちだった。
 その後、シャドウたちは特に問題なく地上に戻り、クーデリアに『証』を見せた。
 証を取れない者は、時期を改めて再び挑戦なのだが……少しだけ、問題が起きた。

「ふむ……まだ戻らない生徒が十名もいるのか。参ったな……ここは広いが、上下階段は豊富にあるし、迷うようなダンジョンでもないのだが」

 クーデリアは「やれやれ」と言い、監視をしていた上級生、教師に命令。
 戻らない生徒を救いに行ったのだが……ついに、その生徒が見つかることはなかったという。
 そして、『ダンジョン探索中に行方不明』という扱いになった。学生がダンジョンに挑戦し、魔獣と戦って命を落とすことはあることなので、それは不幸な事故として片づけられるのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 ダンジョン実習から数日後。
 とある場所にある地下空間にて。

「先生。お疲れ様です」
「ん、おつかれ~」

 黄昏旅団『悪魔デビル』のヴィーネは、大あくびしながら部屋に入ってきた。
 部屋には、白衣を着た三人の少女がいる。それぞれ手にはバインダーを持ち、何かを記録していた。
 そして……部屋の中央にある巨大フラスコ。

「お、順調だね~」

 ヴィーネは、巨大フラスコに近づき、その中にある『得体の知れない何か』を見てニコニコ笑う。
 その『何か』は、真っ白な『肉』で、所々に『眼』があり、ウネウネと『触手』のような物が生えており、ヴィーネを見て目元を歪める……まるで、笑っているようだ。
 すると、黄昏旅団『星』のリスターが、一人の少女を引きずって来た。

「やめて、痛い、痛い!!」
「先生。素材の追加をしますが、よろしいでしょうか」
「お、いいね。なかなかイキのいい素材だ~……どれどれ」
「ひっ……お、っごぁ!?」

 全裸の少女だった。
 その少女は、ダンジョン実習で行方不明になった新入生の一人。
 ヴィーネは怯える少女の口に手を突っ込むと、奥歯を一本、無理やり向いた。

「ごぁあ!? ああっぐぁ……!?」
「あーんっ……うん、いいね。健康健康」

 ヴィーネはその歯を口に入れ、ボリボリ咀嚼。
 すると、部屋の隅にいたユアンが苦笑した。

「先生。歯なんて食べておいしいんですか?」
「おいしくないよ? でも、健康を知るには一部を食べればわかるからさー」
「やれやれ。っっ、う……ぁ」
「お? ユアンくん、大丈夫?」
「……なな、なんでももも、ないででです」
「あれれ。壊れちゃった? んー……まだ『意識』残ってるのかな?」

 頭をがくがくさせるユアンの頭をポンポン叩くヴィーネ。すると黄昏旅団『太陽』のルソルが、ユアンの頭を叩いた。

「先生。まだ『白キ小瓶ノ命ホムンクルス』が完全に馴染んでいないようです。意思も少し残っているようで」
「そっか~……まあ仕方ないね。それより、ユアンくんを使ってもっと『素材』を仕入れないとねえ。この錬金生物『ヤハウェ』の完成まで、もう少し……」

 ヴィーネは、怯えていた少女の顔面を鷲掴みにし、フラスコの側面に押し付ける……すると、少女の身体がズブズブとフラスコに沈んだ。
 そして、真っ白な肉塊が食事とばかりに触手を伸ばすと、少女の穴という穴に触手を突き刺し、ゴクゴクと中身を吸い取っていく……そして、骨と皮だけになった少女は、最終的に肉塊に取り込まれてしまった。
 その様子を見ていた黄昏旅団『月』のエルナが言う。

「先生。この『ヤハウェ』の完成後はどうしますか?」
「ん~? この子は私の錬金生物理論を証明するための実験動物だし、データ採取終わったらポイしちゃうよ」
「わかりました。それと……『世界』からの指示である『風魔七忍』の捜索ですが」
「あー忘れてた。そうだな……何もしないとサスケは怒るだろうし……正直めんどくさくなってきたんだよね。私は研究できればいいんだけどなあ……」
「それなら、『ヤハウェ』を使うのはどうでしょう」
「……ああ、なるほど」

 エルナの提案を一瞬で理解したのか、ヴィーネはフラスコを見る。
 たった今『食事』を終えた白い肉塊は、数分前よりも遥かに肥大化していた。
 ヴィーネはニヤリと笑い、フラスコをコンと叩く。

「風魔七忍は正義のアサシン教団……だったら、無関係な人々を放ってはおけないよねえ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!

山田 バルス
ファンタジー
カールは学園の卒業式を終え、心の中で晴れやかな気持ちを抱えていた。長年の努力が実を結び、婚約者リリスとの結婚式の日が近づいていたからだ。しかし、その期待は一瞬で裏切られた。 「カール、私たちの婚約は解消するわ。」 リリスの冷たい声がカール…

処理中です...