最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第六章 学園社交界

黄昏旅団所属『悪魔』ヴィーネ④

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 生徒会役員であるセレーナは、目の前にいる『ロサリン』という少女がまともではないとすぐにわかった。そもそも、触手を背中から生やす時点で人間を超えている。
 セレーナは二学年。すでに実戦経験を積んでいるが、目の前にいる相手は『未知』だ。
 魔力を杖に込めて待機をしていると。

「生徒会役員、不用意に近づくな。遠距離からの攻撃で攻めろ!!」

 アリアルの指示。
 言われた通り、セレーナを含む生徒会役員たちは、地水火風の魔法を発動させる。
 魔法が発射されロサリンを包み込むが……ロサリンは無傷。
 さらに触手を生やし、身体が不自然に膨張していく。

「な……何、これ」

 もう完全に『人』ではない。
 アリアルは舌打ち。

(ヴィーネめ。面倒なことを……)

 ヴィーネがどこにいるかわからない。
 なので、ここでは『貴族』として対応しなければならない。

「私も出る。そこのお前、新入生たちの避難を」
「は、はい」

 セレーナは、未だに唖然としている妹シェリアの元へ。

「シェリア、逃げるわよ」
「お、お姉様……ろ、ロサリンが」
「あれはもう、人間ではありません。さあ、早く」
「……は、はい」

 シェリアは、セレーナに手を引かれて逃げ出した。
 だが、ここでおかしなことに気付いた。
 社交会場の入口は何か所かある。だが……その出口全てが閉ざされていた。
 出口の周りに、新入生と上級生が集まり、ドアを開けようとしている。
 すると、上級生が舌打ちした。

「鍵を掛けられているなら壊してでも開けられる。でもこれは……壊れない。まさか」
「封印、ですね」

 答えたのはクピド。扇を取り出しバッと開き、この場にいる全員に聞こえるように言う。

「魔法による『封印』が施されているようです。どうやら……ここから脱出することは不可能。私たちは完全に閉じ込められたようです」

 ◇◇◇◇◇◇

 シャドウはクピドの話を聞きながら舌打ちしかける。

(最悪だ。この状況で『ハンゾウ』として出たら、俺がいないことがバレる。どうする……)

 周りには、慌てている者、落ち着いている者、恐怖している者と多い。
 新入生が全員、使用人たち、護衛である上級生たち、そしてクピドや来賓たちと、合計で三百人以上はいる。
 三百人。外から監視されていることを考えると、ハンゾウが現れた時点で『誰がいないか』を確認するだろう。

「…………」
(───シャドウ様)

 と、ここでヒナタがシャドウに近づいてきた。
 シャドウが何を考えているのかすぐにわかったようだ。

(私がシャドウ様に『変化』して誤魔化せば……)
(意味がない。それに、お前がいないことがバレてお前は疑われるし、お前の主である俺も疑われる)

 すると、今度はルクレが近づいてきた。

(……あの、シャドウくん。ヒナタさん。その……私、考えがあるん、だけど)

 ルクレは、自信なさそうに呟く。
 シャドウ、ヒナタがルクレを見ると、緊張しているのがわかった。

「ちっくしょう!! あのバケモノを何とかしねぇと!! おい、オレも戦うぜ!!」

 すると、ライザーが叫び注目を集めた。
 クピドがため息を吐き、周りの生徒もライザーを止める。
 ライザーは一瞬だけシャドウを見る……『注目を集める』と目が語っていた。
 
『お、おぉぉぉぉ……オオオオオオ』

 すると、ロサリンが肥大化。会場の三分の一を占領するほど巨大化し、真っ白な怪物となった。
 触手の生えた白い塊……そう表現するのが正しい『生物』だ。
 ロサリンの怒号が響き渡り、生徒は怯え、喚く。
 魔法が飛んでロサリンに直撃するが、全く効いていない。

「みんな、オレらも魔法ぶっぱなそうぜ!! 少しでもダメージ与えるんだ!!」

 ライザーが叫ぶと、シェリアがセレーナを押しのける。

「そうですわね。お姉様、出られないならアレをみんなで倒しましょう!!」
「シェリア……全く、あなたって子は」

 ライザー、シェリアの熱意に押されたのか、勇敢に杖を取り出す生徒たち。
 いつの間にか、みんなで戦うという雰囲気になっていた。
 ルクレは言う。

「シャドウくん。あの怪物……どのくらいの時間で倒せる?」
「…………十秒」
「え、そ、それだけ?」
「ああ。新術で一気に倒せる……と、思う」
「……わかった。じゃあ、わたしの作戦」

 ルクレがボソボソと作戦を伝えると、シャドウとヒナタは驚いていた。

「お、お前……そんなことできるようになったのか?」
「まだ完璧じゃないけど、短時間なら……」
「……ふふ。驚きですね。シャドウ様、どうしますか?」
「それでいく。ルクレ、任せるぞ」
「はい」

 作戦が決まり、三人は頷く。
 そして、ライザーが叫んだ。

「みんな、やるぜ!! 新入生社交界を台無しにした報いを、あのバケモノにぶつけるぞ!!」
「「「「「おおー!!」」」」
「全く、あなたが目立たないでくださいな!!」

 シェリアが対抗して杖を抜く。
 セレーナも杖を抜き、クピドも仕方なしにと杖を抜く。
 シャドウは、機会を狙った。

 ◇◇◇◇◇◇

 周りが戦う気になっていたのを見ていたラウラは気付いた。

(……え、ユアンくん)

 ユアンの魔力が、妙だった。
 魔力を見分ける目を持つことは、黄昏旅団ですら知らないこと。
 だからこそ……ラウラだけが気付いた。

(な、なんで? なんで……あの怪物と同じ魔力を)

 ロサリンとユアンの魔力の色が、全く同じだった。
 これまで、魔力を見間違えたことはない。
 間違いなく、同じだった。
 そして、ロサリンから伸びた魔力の『パス』がユアンに繋がっている。ユアンだけじゃなく、他にもパスが伸びており……会場内にいる上級生三人と繋がっていた。
 ユアンを含めた四人は、同じ魔力の色をしていた。

(う、嘘……ま、まさか)

 それぞれが魔力を送り込むと、ロサリンの触手が増えたり、自在に動く。
 ラウラにはそれが、四人でロサリンを操作しているように見えた。

(ゆ、ユアンくん……まさか、黄昏旅団)

 ドクンと心臓が高鳴り、ラウラはユアンを直視できなかった。

(つ、伝えなきゃ)
「ラウラさん」
「ッ、な、なに?」
「安心して。きっと助かるから」

 ユアンは、まるで人形のような硬い笑みを浮かべるのだった。
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