141 / 214
第142話・狂おしいほど嗤って
しおりを挟む
勇者レイジは、自信満々だった。
「へへ、このフィヨルド王国の軍隊がお前たちを捜索したんだ。いろんな町をあちこち移動してるみたいだけどよ……ようやく見つけたぜ」
勇者レイジは、自信満々だった。
「ん? 一人増えたのか……けっこう可愛い女の子じゃん。おいリン、その子誰だよ? つーかお前、いい加減こっちに戻って来いよ!!」
勇者レイジは、どこまでも自信満々だった。
「ま、いいや。女の子はともかく、ライト……テメェはこのオレが直々にぶっ殺す。へへへ、聞いて驚くなよ? オレたちは以前の数倍強くなった。なんでだかわかるか?」
「「「「…………」」」」
ライト、リン、マリア、シンクは無言だった。
なんというか……あまりにも勇者レイジが滑稽に見えたのだ。
そして、レイジは聖剣フォースエッジを抜き、自信満々に応えた。
「オレたちは、この地におわす『愛の女神』、リリティア様の加護を得た!! はっはっはっはっは!! 驚いたか? 女神様はフリアエ様だけじゃない。この世界には何人もの女神様がいるんだ!!」
「「「「…………」」」」
四人は、無表情だった。
滑稽を通り越し、もはや憐れだった。
ライトも、復讐心よりも憐れみ、そして……嗤いがこみ上げてくる。
「……カドゥケウス」
『あん?』
「……………………できるか?」
『まぁできるけど……』
「頼む」
『悪趣味だねぇ……でも、そんな相棒も愛してるぜ♪』
「はいはい。タイミングは俺に任せろ」
『おう。っつーかあの勇者、バカだよなぁ』
ライトとカドゥケウスはボソボソと相談した。
その間も、レイジの話は続いている。
「女神様の『愛』はオレたちを包んでくれている! 以前はちょっとやられたけど、今回はそうはいかねぇ!! リリカ、アルシェ、アンジェラ、セエレの仇を取るぜ!!」
「ええ、そうね……ライト、今日で終わらせてあげる」
「世界の脅威……ここで排除します」
「わ、わたくし、やります!!」
戦闘態勢に入る勇者一行。
不思議だった。レイジたちを前にしたのに、以前ほどの憎しみや恐怖を感じない。
吹っ切れたような……違う。ライトは、落ち着いていた。
レイジたち四人が剣を構えているのを見ても、特に戦闘準備はしていない。
「行くぜ!!「あー……ちょっと待った」……あ?」
ライトは左手を前に突き出し、レイジたちにストップをかける。
「なんだよ、テンション下がるじゃねぇか」
「あー、いや、その……ちょっといいか?」
「あ?」
ライトの手が、ボコボコと脈動する。
まるで、飲み込んだ『何か』が、逆流するような。
「愛の女神リリティア、だっけ?」
マリアは表情を変えず、シンクは欠伸し、リンは目を背けた。
レイジたちは、怪訝な表情をした。
「それって――――」
ぼこぼこ、ぐっちゅ、ずりゅ……と、水っぽい音が響く。
ライトの左手には、溶けかけの肉の塊が握られていた。
「それって、これのことかぁ……♪」
ライトは、歪んだ笑みを浮かべながら、女神リリティアだった肉の塊をレイジたち四人に見せつけた。
溶けた皮膚、桃色の髪、溶解した顔面……レイジたちは、知っていた。
女神リリティア。
自分たちに、新しい『力』をくれた、偉大なる女神。
ライトが手に持つ物は、間違いなく女神――――。
そう認識した瞬間、レイジの左腕と左足が吹っ飛んだ。
「――――え」
「おお、威力上がってんじゃん」
『口径も大きくなったからな』
女神リリティアに気を取られた瞬間、ライトはクイックシルバーを発動。呆気に取られるレイジの左肘と左足の膝を狙って発砲した。
一度引き金を引くと、二つの銃口から2発の弾丸が発射され、レイジの膝下と左肘に命中、弾丸の口径も大きくなっていたので、ねじ切るように吹っ飛ばしたのである。
「っぎ――――っっっやがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっっ!?!?」
響く絶叫。
ようやく我に返るリリカ、アルシェ、アンジェラ。
リリカの眼前に、巨大な漆黒の拳が迫り――。
「っごっびゅぁっ!?」
「雑魚は任せる」
リリカは、思い切りぶん殴られ吹っ飛んだ。
アルシェとアンジェラが剣を構えるが――――。
「ふふ、わたしと遊びましょう?」
「きゃぁっ!?」
「手と足、落とすね」
「ッチ!!」
シンクの爪がアルシェの剣とぶつかり、マリアの百足鱗がアンジェラの剣に絡みついた。
リンは、痛みで涙を流し、必死に腕と足を交互に押さえているレイジに近付く。
「あ゛ぁあ゛ぁぁ~~~……うで、うでぇぇ……り、りぃん、腕、うでぇぇぇ、あじぃぃぃぃっ!!」
「……レイジ」
憐れむような眼を向け、レイジの治療を始めた。
だが、おかしい。
なぜ、手足を繋げようとしない。なぜ、傷をそのまま塞ぐ。
「死なないようにはしてあげる。手足がなくても生きていけるでしょ……?」
「な、なにを、なにを言ってんだぁぁ!! な、直せよ、治せるだろお前なら!! 手足くっつけろよぉぉぉぉぉォォォォッ!!」
「…………」
戦いにもならない戦いが、始まった。
レイジたちは、完全に見誤っていた。
女神リリティアの加護はすでに消え、ライトが圧倒的に強くなっていることに。
「へへ、このフィヨルド王国の軍隊がお前たちを捜索したんだ。いろんな町をあちこち移動してるみたいだけどよ……ようやく見つけたぜ」
勇者レイジは、自信満々だった。
「ん? 一人増えたのか……けっこう可愛い女の子じゃん。おいリン、その子誰だよ? つーかお前、いい加減こっちに戻って来いよ!!」
勇者レイジは、どこまでも自信満々だった。
「ま、いいや。女の子はともかく、ライト……テメェはこのオレが直々にぶっ殺す。へへへ、聞いて驚くなよ? オレたちは以前の数倍強くなった。なんでだかわかるか?」
「「「「…………」」」」
ライト、リン、マリア、シンクは無言だった。
なんというか……あまりにも勇者レイジが滑稽に見えたのだ。
そして、レイジは聖剣フォースエッジを抜き、自信満々に応えた。
「オレたちは、この地におわす『愛の女神』、リリティア様の加護を得た!! はっはっはっはっは!! 驚いたか? 女神様はフリアエ様だけじゃない。この世界には何人もの女神様がいるんだ!!」
「「「「…………」」」」
四人は、無表情だった。
滑稽を通り越し、もはや憐れだった。
ライトも、復讐心よりも憐れみ、そして……嗤いがこみ上げてくる。
「……カドゥケウス」
『あん?』
「……………………できるか?」
『まぁできるけど……』
「頼む」
『悪趣味だねぇ……でも、そんな相棒も愛してるぜ♪』
「はいはい。タイミングは俺に任せろ」
『おう。っつーかあの勇者、バカだよなぁ』
ライトとカドゥケウスはボソボソと相談した。
その間も、レイジの話は続いている。
「女神様の『愛』はオレたちを包んでくれている! 以前はちょっとやられたけど、今回はそうはいかねぇ!! リリカ、アルシェ、アンジェラ、セエレの仇を取るぜ!!」
「ええ、そうね……ライト、今日で終わらせてあげる」
「世界の脅威……ここで排除します」
「わ、わたくし、やります!!」
戦闘態勢に入る勇者一行。
不思議だった。レイジたちを前にしたのに、以前ほどの憎しみや恐怖を感じない。
吹っ切れたような……違う。ライトは、落ち着いていた。
レイジたち四人が剣を構えているのを見ても、特に戦闘準備はしていない。
「行くぜ!!「あー……ちょっと待った」……あ?」
ライトは左手を前に突き出し、レイジたちにストップをかける。
「なんだよ、テンション下がるじゃねぇか」
「あー、いや、その……ちょっといいか?」
「あ?」
ライトの手が、ボコボコと脈動する。
まるで、飲み込んだ『何か』が、逆流するような。
「愛の女神リリティア、だっけ?」
マリアは表情を変えず、シンクは欠伸し、リンは目を背けた。
レイジたちは、怪訝な表情をした。
「それって――――」
ぼこぼこ、ぐっちゅ、ずりゅ……と、水っぽい音が響く。
ライトの左手には、溶けかけの肉の塊が握られていた。
「それって、これのことかぁ……♪」
ライトは、歪んだ笑みを浮かべながら、女神リリティアだった肉の塊をレイジたち四人に見せつけた。
溶けた皮膚、桃色の髪、溶解した顔面……レイジたちは、知っていた。
女神リリティア。
自分たちに、新しい『力』をくれた、偉大なる女神。
ライトが手に持つ物は、間違いなく女神――――。
そう認識した瞬間、レイジの左腕と左足が吹っ飛んだ。
「――――え」
「おお、威力上がってんじゃん」
『口径も大きくなったからな』
女神リリティアに気を取られた瞬間、ライトはクイックシルバーを発動。呆気に取られるレイジの左肘と左足の膝を狙って発砲した。
一度引き金を引くと、二つの銃口から2発の弾丸が発射され、レイジの膝下と左肘に命中、弾丸の口径も大きくなっていたので、ねじ切るように吹っ飛ばしたのである。
「っぎ――――っっっやがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっっ!?!?」
響く絶叫。
ようやく我に返るリリカ、アルシェ、アンジェラ。
リリカの眼前に、巨大な漆黒の拳が迫り――。
「っごっびゅぁっ!?」
「雑魚は任せる」
リリカは、思い切りぶん殴られ吹っ飛んだ。
アルシェとアンジェラが剣を構えるが――――。
「ふふ、わたしと遊びましょう?」
「きゃぁっ!?」
「手と足、落とすね」
「ッチ!!」
シンクの爪がアルシェの剣とぶつかり、マリアの百足鱗がアンジェラの剣に絡みついた。
リンは、痛みで涙を流し、必死に腕と足を交互に押さえているレイジに近付く。
「あ゛ぁあ゛ぁぁ~~~……うで、うでぇぇ……り、りぃん、腕、うでぇぇぇ、あじぃぃぃぃっ!!」
「……レイジ」
憐れむような眼を向け、レイジの治療を始めた。
だが、おかしい。
なぜ、手足を繋げようとしない。なぜ、傷をそのまま塞ぐ。
「死なないようにはしてあげる。手足がなくても生きていけるでしょ……?」
「な、なにを、なにを言ってんだぁぁ!! な、直せよ、治せるだろお前なら!! 手足くっつけろよぉぉぉぉぉォォォォッ!!」
「…………」
戦いにもならない戦いが、始まった。
レイジたちは、完全に見誤っていた。
女神リリティアの加護はすでに消え、ライトが圧倒的に強くなっていることに。
1
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる