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第165話・二度目のダンジョン
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ダンジョンの入り方は、以前の町のダンジョンと同じだった。
ギルドで登録する。だが、銀級以上の冒険者は受付で優遇され、待ち時間なしに受付を済ませることができたとリンは喜んでいた。
それくらい、第五相『大迷宮』ラピュリントスは冒険者たちの挑戦の場として有名だった。
冒険者ギルドから出て近くのカフェに入り、リンは受付の際にもらったマップを見る。
「大迷宮ラピュリントスの御伽噺。大昔、女神フリアエ様に『建築』のギフトをもらった一人の青年が、自らのギフトを駆使して一軒の家を作りました。ですが建築に魅せられた青年は家を、そして豪邸を、城を作り上げましたが、『建築』という業に魅入られた青年は満足できません。ついには巨大な塔を作り上げ……女神フリアエを呪いました。『私はあなたを呪う。このような塔を作っても、私の心は満足しない。このような力を与えた女神フリアエを呪う。この力を呪う。建築に魅入られた自分を呪う』……そう言って、青年は自ら作り上げた塔から飛び降り、命を絶ちました。青年の亡骸は溶けるようになくなり塔と一体化……塔は成長し、魔獣を吐き出し、数多のトラップを形成……第五相『大迷宮』ラピュリントスとして、今もなおあり続ける…………だってさ」
ライトは果実水を啜りながらナッツを齧る。どうでもいいと言いたげな表情だ。
メリーとシンクはケーキをモグモグ食べ、マリアは優雅に紅茶を啜りながらリンの話を聞いていた。
「第五相『大迷宮』ラピュリントスは、どこぞの王様じゃなかったのかよ?」
「知らない。いろいろ逸話があるみたいだけど……共通しているのは、女神フリアエを憎んだってところね」
すると、それぞれの大罪神器から声が聞こえる。
『確かに。あの塔から人間の匂いがプンプンしやがる』
『そうね。しかもとびっきり濃い匂い』
『ええ……ふふ、恨みと悪の結晶でしょうか。面白い』
『どーでもいいけど、行くならさっさと行きましょうよ。うちのメリーが寝ちゃわないうちにさ』
ライトは残りのナッツを口に入れ、果実水で流し込む。
今は朝を少し過ぎた時間帯。今から迷宮に入ってもかなり進めるだろう。
王城の向こう側にある塔を見て、ライトは言った。
「じゃ、ダンジョンで修行といきますか」
◇◇◇◇◇◇
第五相『大迷宮』ラピュリントスの入口は、中規模の町がすっぽり収まりそうなほどにぎわっていた。
しかも、この場にいるのはほとんどが冒険者。そして店を構える商人であり、首から下げた冒険者の証であるプレートを見せつける者も多くいる。
「青銅、銀が多いな……お、金級もいる」
「あ、そうだ。私、もうすぐで金級に上がるみたい」
「そうなのか?」
「うん。まぁ……私の力じゃないけどね」
S級の賞金首を狩ったおかげで、リンの功績はどんどんたまっていく。
金級になれば、上から三番目の位だ。冒険者ギルドでも一目置かれる存在になる。
「ま、どうでもいい。それより、このダンジョンにも賞金首がいるんだろ?」
「そう言うと思った……もちろん、ここを狩場にしてる賞金首はたくさんいるわ。でもまぁ……うん」
リンは、ライトとマリア、シンクとメリーを見て苦笑いする。
「あなたたちに会う賞金首が不憫でならないわ……」
S級、SS級、そして最上位のSSS級賞金首。
ライトからすれば美味しい祝福弾にしか見えていない。
「じゃ、行こうぜ」
「あ、うん。それと、今回はバラバラにならないように、気を付けて行くからね」
「ん。ライト、マリア、離れちゃダメ」
「わかっていますわ」
「……眠くなってきた。二度寝したい」
「寝たらマジで置いて行くからな」
あまりにもいつも通りに、五人は第五相『大迷宮』ラピュリントスへ入っていく。
◇◇◇◇◇◇
「へぇ……明るいな」
「松明、いえ……壁や天井が光ってますのね」
「うっそ、これ……LED? こんなに明るいなんて……」
五人は、ダンジョン内へ踏み込んだ。
入口は数か所あり、どこも混雑していたが、銀級の証を見せると専用の受付へ通された。しかも銀級は50階層から始めることが可能だと言う。
だが、リンたちは一階層から挑むことにした。
目的は踏破ではない。あくまで己の修行である。
「あのさ、ちょっと気になることあるんだけど」
「ん?」
「受付の人が教えてくれたの。ダンジョン内は全て自己責任。何があろうと冒険者ギルドは一切かかわらないって」
「ふーん。で?」
「…………なんか、嫌な予感がする」
「…………ふふ、つまりリン。あなた、敵は魔獣だけではない、冒険者にも気を付けろ……そう言いたいのね?」
「…………」
リンは、メリーと一緒に光る壁をぺしぺし叩くシンクを見る。
「うん。やむを得ない時は戦うしかない……そう考えておいて」
「俺は覚悟の上だ」
「わたしもですわ。女の子ならともかく、汚らしい男が襲い掛かってくるのなら容赦しません……アソコに羽をブッ刺してやりますわ♪」
「そ、そう……うん」
こうして、第五相『大迷宮』ラピュリントスの探索が始まった。
ライトたちはまだ知らない。
『─────ぐっちゃ、ぐっちゃ』
とある階層に、得体の知れない怪物が潜んでいることも。
『うひひ。人魔融合獣アンジェラ……食事の時間だよぉ♪』
魔の女神ラスラヌフが、アンジェラに食事をさせていることも。
ギルドで登録する。だが、銀級以上の冒険者は受付で優遇され、待ち時間なしに受付を済ませることができたとリンは喜んでいた。
それくらい、第五相『大迷宮』ラピュリントスは冒険者たちの挑戦の場として有名だった。
冒険者ギルドから出て近くのカフェに入り、リンは受付の際にもらったマップを見る。
「大迷宮ラピュリントスの御伽噺。大昔、女神フリアエ様に『建築』のギフトをもらった一人の青年が、自らのギフトを駆使して一軒の家を作りました。ですが建築に魅せられた青年は家を、そして豪邸を、城を作り上げましたが、『建築』という業に魅入られた青年は満足できません。ついには巨大な塔を作り上げ……女神フリアエを呪いました。『私はあなたを呪う。このような塔を作っても、私の心は満足しない。このような力を与えた女神フリアエを呪う。この力を呪う。建築に魅入られた自分を呪う』……そう言って、青年は自ら作り上げた塔から飛び降り、命を絶ちました。青年の亡骸は溶けるようになくなり塔と一体化……塔は成長し、魔獣を吐き出し、数多のトラップを形成……第五相『大迷宮』ラピュリントスとして、今もなおあり続ける…………だってさ」
ライトは果実水を啜りながらナッツを齧る。どうでもいいと言いたげな表情だ。
メリーとシンクはケーキをモグモグ食べ、マリアは優雅に紅茶を啜りながらリンの話を聞いていた。
「第五相『大迷宮』ラピュリントスは、どこぞの王様じゃなかったのかよ?」
「知らない。いろいろ逸話があるみたいだけど……共通しているのは、女神フリアエを憎んだってところね」
すると、それぞれの大罪神器から声が聞こえる。
『確かに。あの塔から人間の匂いがプンプンしやがる』
『そうね。しかもとびっきり濃い匂い』
『ええ……ふふ、恨みと悪の結晶でしょうか。面白い』
『どーでもいいけど、行くならさっさと行きましょうよ。うちのメリーが寝ちゃわないうちにさ』
ライトは残りのナッツを口に入れ、果実水で流し込む。
今は朝を少し過ぎた時間帯。今から迷宮に入ってもかなり進めるだろう。
王城の向こう側にある塔を見て、ライトは言った。
「じゃ、ダンジョンで修行といきますか」
◇◇◇◇◇◇
第五相『大迷宮』ラピュリントスの入口は、中規模の町がすっぽり収まりそうなほどにぎわっていた。
しかも、この場にいるのはほとんどが冒険者。そして店を構える商人であり、首から下げた冒険者の証であるプレートを見せつける者も多くいる。
「青銅、銀が多いな……お、金級もいる」
「あ、そうだ。私、もうすぐで金級に上がるみたい」
「そうなのか?」
「うん。まぁ……私の力じゃないけどね」
S級の賞金首を狩ったおかげで、リンの功績はどんどんたまっていく。
金級になれば、上から三番目の位だ。冒険者ギルドでも一目置かれる存在になる。
「ま、どうでもいい。それより、このダンジョンにも賞金首がいるんだろ?」
「そう言うと思った……もちろん、ここを狩場にしてる賞金首はたくさんいるわ。でもまぁ……うん」
リンは、ライトとマリア、シンクとメリーを見て苦笑いする。
「あなたたちに会う賞金首が不憫でならないわ……」
S級、SS級、そして最上位のSSS級賞金首。
ライトからすれば美味しい祝福弾にしか見えていない。
「じゃ、行こうぜ」
「あ、うん。それと、今回はバラバラにならないように、気を付けて行くからね」
「ん。ライト、マリア、離れちゃダメ」
「わかっていますわ」
「……眠くなってきた。二度寝したい」
「寝たらマジで置いて行くからな」
あまりにもいつも通りに、五人は第五相『大迷宮』ラピュリントスへ入っていく。
◇◇◇◇◇◇
「へぇ……明るいな」
「松明、いえ……壁や天井が光ってますのね」
「うっそ、これ……LED? こんなに明るいなんて……」
五人は、ダンジョン内へ踏み込んだ。
入口は数か所あり、どこも混雑していたが、銀級の証を見せると専用の受付へ通された。しかも銀級は50階層から始めることが可能だと言う。
だが、リンたちは一階層から挑むことにした。
目的は踏破ではない。あくまで己の修行である。
「あのさ、ちょっと気になることあるんだけど」
「ん?」
「受付の人が教えてくれたの。ダンジョン内は全て自己責任。何があろうと冒険者ギルドは一切かかわらないって」
「ふーん。で?」
「…………なんか、嫌な予感がする」
「…………ふふ、つまりリン。あなた、敵は魔獣だけではない、冒険者にも気を付けろ……そう言いたいのね?」
「…………」
リンは、メリーと一緒に光る壁をぺしぺし叩くシンクを見る。
「うん。やむを得ない時は戦うしかない……そう考えておいて」
「俺は覚悟の上だ」
「わたしもですわ。女の子ならともかく、汚らしい男が襲い掛かってくるのなら容赦しません……アソコに羽をブッ刺してやりますわ♪」
「そ、そう……うん」
こうして、第五相『大迷宮』ラピュリントスの探索が始まった。
ライトたちはまだ知らない。
『─────ぐっちゃ、ぐっちゃ』
とある階層に、得体の知れない怪物が潜んでいることも。
『うひひ。人魔融合獣アンジェラ……食事の時間だよぉ♪』
魔の女神ラスラヌフが、アンジェラに食事をさせていることも。
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