39 / 57
神龍と全力戦闘①
しおりを挟む
「しょうがない……元乳揉み…の方は現役じゃったな」
「はい!私の絶対唯一神は「お胸様」をおいて他にはいません!お胸様ぁぁ!」
胸元がはち切れんばかりの巨乳を突き出す。
これが揺れる感覚か……肩凝って仕方ねぇ。
一応、相手は「神龍」ということで武装してきた!ふっふっふ……私史上!最高武装に間違いないぜ。
どんな相手だろうとこれならば勝てる!
待っていろよ!神龍!
「そんな神はおらん」
真顔で首を振られて否定してくるじいちゃん。
「いいんだよ。信じることが大切なんだから……お胸様ぁぁ!ほら!じいちゃんも一緒に!」
これから神との戦闘だと言うのに、いつものマイペースで向かう。
5歳で行った属性龍討伐のときもこんな感じだったなぁ。一人隠れ鬼をしながら……
まあ、生きてれば予期しないことなんていっぱい起きるもん。悲観してもしょうがないじゃん!
「とにかく!勢いだぜ!……一発逆転!」
「……生き方ではなくて戦闘の時だけにしておけよ?一発逆転は……」
じいちゃんに釘を刺されてしまった。
ヘーイ……
私たちは神龍が待つと言う荒野へ向かう。転移でね。
「空間歩法(ワープ)」
クミ達の暮らす青い星よりも体重が6分の1まで軽くなる、灰色の星。
いつもより速度を早められる分、聖女だろうと死んでしまう空気が存在しない世界、さらに地面の砂利は鋭利で肌にあたれば……
想像しただけで、
「憂鬱なんだけどーわしが……ゴールデンタイムは逃すし、肌も荒れまくりじゃね?」
「安心しろ。誰も気にはしない」
両手で頬を触り絶望する精霊王と男の意見を伝える神龍さん。
「何言っとる!お前達が部屋で寝とるときもこっちは金を払って買った美容品で肌を整えとるんじゃぞ!」
神龍の一言にキレ始めるじいちゃん。
お?まずはじいちゃんとの戦いからか?
「柔らかい泡で洗顔!傷つけないようにゆっくりと……特に鼻頭なんかは汚れが落ちにくい。さらに、化粧水で水分をキープし、わしは歳じゃから油分クリームを薄くな!肌に塗り込む。厚く塗ると寝汗が毛穴に溜まって肌荒れの元になるからな。寝る前は乳液は塗らん!鉄則じゃ!」
私の前に出て、白蛇龍に向かって叫ぶ。
おおー、勉強になるなぁ……私は、
「ヒール!」で終わりだけどね。大変なんだなぁ。世の女性は……説明してくれたのは、
ジジイだけど……
「さあ!クミさん!やっておしまいなさい!」
勝ち誇った、ワシのやるべきことは終わった!と言う顔で私の背中を押すじいちゃん。
「はぁ……もういいわ」
白蛇龍に向かって歩く。
それにしてもでけぇ……小さな村くらいはあるぞ!300メートルくらいか?
「……ねえ!ハクジャー!」
神龍と呼ぶのはめんどくさいので適当な名前で呼ぶ。
「あれ?私の名前聞いてないの?」
ハクジャーが目をパチパチさせて聞いてくる。
「うん!知らん!」
私が正直に答えるとハクジャーは、
「諦めるな!諦めたらそこで終わり……
ゴールデンタイム…すやぁ…zzz」
遠くの岩場でベッドを置いて寝始めた妖精王を睨む。
「全く……と言うことは、あなたを読んだ理由も聞かされてないのですね?」
「ほーなんかあんだ……ま、とりあえずはバトっとく?ハクジャー殺気全開だし」
私が言うと、
「そうですね……力を試してからでもいいでしょう……人化!」
考え込むように独り言を喋るハクジャーは、一度頷くといきなり大きな体が発光する。
灰色の星の輝きや他星の輝きとも違う白銀眩い光……
魔物が怒った時に発する黒い魔力とは違って、全てを浄化する心地よい光……
母親のお腹の中にいた時のような安心感に包まれる。
「ふぅ!お待たせ!久しぶりだから手間取っちゃった!……さあ!魔神の落とした黒き影に立ち向かえる力はあるのか。見させもらうわよ!」
光の中から現れた、白髪の天女……
な、なんて……
わたしの視線はハクジャーの一部分に釘付け……ナイスおっぱい
あまりの綺麗さに見惚れてしまい弱々しくサムズアップ……
なんだ!この胸の高鳴りは……初恋か!初恋なのかぁ!
「ま、とりあえずそれは置いておいて……で、戦うの?」
白髪の天女に尋ねる。
「はい!行きますよーーーー空間歩法」
天女はノンタイムでいきなり姿を消した。
「まって!よーい、どん!は?」
私は懐に現れた天女の右拳打をおへその前に構えた左手のひらで受け止める。
「戦いはいつだって突然に」
「それは恋では?」
私は、天女の間違ったことわざに思わずつっこんでしまう。
その間にも一歩後ろに下がった天女からの左足前蹴りがみぞおちへと飛んでくる。
「まあ、そうとも言うー」
呑気な顔で話しながらえげつない攻撃……
私は、右足をあげて膝でガード、そのまま上げた右足を相手の股下に擦り込ませながら体もスライドさせて、タックルをかまして天女を吹き飛ばす。
「ご馳走様です!」
決して狙ってやったわけではないが……肘に伝わる幸せな感触……
「どういたしまして!」
特に恥ずかしがる様子もなく押された勢いのまま、後方へ下がって体勢を整える。
「なるほど……今のは準備運動ですか。
神龍様」
戦った手応えから、感じたことを口にして聞いてみる。
天女は首を左右に動かし、足、手を捻ったり、伸ばしたり。
それが終わると準備万端といった面持ちで私に向き直る。
「数万年ぶりだったからな。体が鈍っていたが、安心しろ。これからどんどん実力差を見せて行ってやるから!」
にんまりと太陽のような笑みを浮かべる。
「マジかぁ……オラ、全然ワクワクしねぇぞ……頼むから殺すのだけはやめてくださいね」
青い顔で話す私。
「うーん?こと、戦闘になると楽しみすぎて加減できなくなるからなぁ。うん。死に物狂いで着いてきて」
「……わーお!理不尽……」
これが試練というやつかぁ……人生で13万回目くらいかぁ……めんどくせぇ
「ま、悲観しててもしょうがなし!なんとかなるっしょ!……いや!私ならなんとかするだろ!これまでもそうしてきたし!」
どんな戦いも自分を見失ったらおしまい。
大事なのは「心」だ!心が折れなければなんとかなる!
わたしはテレポートで理不尽へと立ち向かっていく。
「はい!私の絶対唯一神は「お胸様」をおいて他にはいません!お胸様ぁぁ!」
胸元がはち切れんばかりの巨乳を突き出す。
これが揺れる感覚か……肩凝って仕方ねぇ。
一応、相手は「神龍」ということで武装してきた!ふっふっふ……私史上!最高武装に間違いないぜ。
どんな相手だろうとこれならば勝てる!
待っていろよ!神龍!
「そんな神はおらん」
真顔で首を振られて否定してくるじいちゃん。
「いいんだよ。信じることが大切なんだから……お胸様ぁぁ!ほら!じいちゃんも一緒に!」
これから神との戦闘だと言うのに、いつものマイペースで向かう。
5歳で行った属性龍討伐のときもこんな感じだったなぁ。一人隠れ鬼をしながら……
まあ、生きてれば予期しないことなんていっぱい起きるもん。悲観してもしょうがないじゃん!
「とにかく!勢いだぜ!……一発逆転!」
「……生き方ではなくて戦闘の時だけにしておけよ?一発逆転は……」
じいちゃんに釘を刺されてしまった。
ヘーイ……
私たちは神龍が待つと言う荒野へ向かう。転移でね。
「空間歩法(ワープ)」
クミ達の暮らす青い星よりも体重が6分の1まで軽くなる、灰色の星。
いつもより速度を早められる分、聖女だろうと死んでしまう空気が存在しない世界、さらに地面の砂利は鋭利で肌にあたれば……
想像しただけで、
「憂鬱なんだけどーわしが……ゴールデンタイムは逃すし、肌も荒れまくりじゃね?」
「安心しろ。誰も気にはしない」
両手で頬を触り絶望する精霊王と男の意見を伝える神龍さん。
「何言っとる!お前達が部屋で寝とるときもこっちは金を払って買った美容品で肌を整えとるんじゃぞ!」
神龍の一言にキレ始めるじいちゃん。
お?まずはじいちゃんとの戦いからか?
「柔らかい泡で洗顔!傷つけないようにゆっくりと……特に鼻頭なんかは汚れが落ちにくい。さらに、化粧水で水分をキープし、わしは歳じゃから油分クリームを薄くな!肌に塗り込む。厚く塗ると寝汗が毛穴に溜まって肌荒れの元になるからな。寝る前は乳液は塗らん!鉄則じゃ!」
私の前に出て、白蛇龍に向かって叫ぶ。
おおー、勉強になるなぁ……私は、
「ヒール!」で終わりだけどね。大変なんだなぁ。世の女性は……説明してくれたのは、
ジジイだけど……
「さあ!クミさん!やっておしまいなさい!」
勝ち誇った、ワシのやるべきことは終わった!と言う顔で私の背中を押すじいちゃん。
「はぁ……もういいわ」
白蛇龍に向かって歩く。
それにしてもでけぇ……小さな村くらいはあるぞ!300メートルくらいか?
「……ねえ!ハクジャー!」
神龍と呼ぶのはめんどくさいので適当な名前で呼ぶ。
「あれ?私の名前聞いてないの?」
ハクジャーが目をパチパチさせて聞いてくる。
「うん!知らん!」
私が正直に答えるとハクジャーは、
「諦めるな!諦めたらそこで終わり……
ゴールデンタイム…すやぁ…zzz」
遠くの岩場でベッドを置いて寝始めた妖精王を睨む。
「全く……と言うことは、あなたを読んだ理由も聞かされてないのですね?」
「ほーなんかあんだ……ま、とりあえずはバトっとく?ハクジャー殺気全開だし」
私が言うと、
「そうですね……力を試してからでもいいでしょう……人化!」
考え込むように独り言を喋るハクジャーは、一度頷くといきなり大きな体が発光する。
灰色の星の輝きや他星の輝きとも違う白銀眩い光……
魔物が怒った時に発する黒い魔力とは違って、全てを浄化する心地よい光……
母親のお腹の中にいた時のような安心感に包まれる。
「ふぅ!お待たせ!久しぶりだから手間取っちゃった!……さあ!魔神の落とした黒き影に立ち向かえる力はあるのか。見させもらうわよ!」
光の中から現れた、白髪の天女……
な、なんて……
わたしの視線はハクジャーの一部分に釘付け……ナイスおっぱい
あまりの綺麗さに見惚れてしまい弱々しくサムズアップ……
なんだ!この胸の高鳴りは……初恋か!初恋なのかぁ!
「ま、とりあえずそれは置いておいて……で、戦うの?」
白髪の天女に尋ねる。
「はい!行きますよーーーー空間歩法」
天女はノンタイムでいきなり姿を消した。
「まって!よーい、どん!は?」
私は懐に現れた天女の右拳打をおへその前に構えた左手のひらで受け止める。
「戦いはいつだって突然に」
「それは恋では?」
私は、天女の間違ったことわざに思わずつっこんでしまう。
その間にも一歩後ろに下がった天女からの左足前蹴りがみぞおちへと飛んでくる。
「まあ、そうとも言うー」
呑気な顔で話しながらえげつない攻撃……
私は、右足をあげて膝でガード、そのまま上げた右足を相手の股下に擦り込ませながら体もスライドさせて、タックルをかまして天女を吹き飛ばす。
「ご馳走様です!」
決して狙ってやったわけではないが……肘に伝わる幸せな感触……
「どういたしまして!」
特に恥ずかしがる様子もなく押された勢いのまま、後方へ下がって体勢を整える。
「なるほど……今のは準備運動ですか。
神龍様」
戦った手応えから、感じたことを口にして聞いてみる。
天女は首を左右に動かし、足、手を捻ったり、伸ばしたり。
それが終わると準備万端といった面持ちで私に向き直る。
「数万年ぶりだったからな。体が鈍っていたが、安心しろ。これからどんどん実力差を見せて行ってやるから!」
にんまりと太陽のような笑みを浮かべる。
「マジかぁ……オラ、全然ワクワクしねぇぞ……頼むから殺すのだけはやめてくださいね」
青い顔で話す私。
「うーん?こと、戦闘になると楽しみすぎて加減できなくなるからなぁ。うん。死に物狂いで着いてきて」
「……わーお!理不尽……」
これが試練というやつかぁ……人生で13万回目くらいかぁ……めんどくせぇ
「ま、悲観しててもしょうがなし!なんとかなるっしょ!……いや!私ならなんとかするだろ!これまでもそうしてきたし!」
どんな戦いも自分を見失ったらおしまい。
大事なのは「心」だ!心が折れなければなんとかなる!
わたしはテレポートで理不尽へと立ち向かっていく。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。
木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。
しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。
さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。
聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。
しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。
それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。
だがその後、王国は大きく傾くことになった。
フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。
さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。
これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。
しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる