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暑いから海へゆく 5月大型連休③
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「俺の名はクラーケン!魔王軍四天王が
1人!」
巨大なイカの額に禍々しい魔力を帯びた紋章が浮かび上がる。
「よくも!よくも!私は夏休みは補習で来られないから今しか堪能できないと言うのに……私のマーメイド天国をよくも!」
私の周りでは巨大なイカの出現に、悲鳴をあげながらマーメイドさん達が海の中へと逃げていく。
その他の野郎どもはいいとして、水着のお姉さん達が慌てて……
「ナイスおっぱい!」
豊かに育ち、完熟して実りを迎えた揺れる果実達にサムズアップ!
もちろん!高級レストランへエスコートする紳士のような心構えで……
「決して欲望に忠実であってはならない……」
「敵を前にして何を言ってんだ」
「そうだよ!いつまでもエリーゼさんの感触を楽しんでないで離しなさい!」
ユリ達によって気を失ったエリーゼさんは安全な場所へと運ばれていってしまう。
くそー!もう少しだけ、あの柔らかな……
「おーおーもう完全に男だねー思考が」
亜空間から顔だけ出して私の耳元で喋るシルフィ。
とりあえず、亜空間へと押し込んでおく。
寝てろ!
「おい!魔王様の可愛いペットたる俺を差し置いて女にうつつを抜かすとは!恥を知れ!」
クラーケンはにゅるにゅるした触手を伸ばしてくる。
その様はもう完全にヘビ!
「どうだ?魔王様お気に入りのヘビのように動く触手と猫の肉球のようだと褒めてくださる吸盤だ!……可愛いだろう?」
自慢げに語るクラーケン。
「普通にキモいし。可愛くねえし。
……魔王の趣味悪いんだな」
いつものように思ったことをストレートに伝える私。
その威力は鋭利な刃物のようにクラーケンの精神へと突き刺さる。
「事はない!軟体ですから!」
へっちゃらな様子のクラーケン。
「私たちも一緒に戦うよ」
「任せな」
私の両隣に並びたち、2本のダガーを構えるエマと打撃も可能な魔法の杖を構えるユリ。
やる気充分の2人。今の2人なら足手纏いになることは無い。
でも、私は動き出そうとする2人を止める。
「おい!また、1人で戦うつもりか?」
「私達だってA級冒険者のクラウドさんを倒したから戦えるよ!」
私の静止に抗議してくる2人。
「ううん。なんか、このイカと同じ反応があいつからするんだよ」
街へと逃げて行く観光客達の中に1人だけ「明日が見えない」と絶望した顔で立ち尽くす金髪の男を指差す。
「え!あれってS級冒険者のステフだよ!」
「まあ、聖剣をもつクミが言うんだから間違い無いんだろうけど……流石にS級冒険者を相手にして勝てるかどうか……」
ステフを見た2人はうろたえる。
「え?なんで?どこからどう見ても雑魚じゃん?」
2人がうろたえる理由がわからない私。
だって、あいつから感じる強さってどう見てもよくてD級冒険者くらいだぞ?
「あいつには数々の伝説が存在するんだよ!聖国内に現れたA級モンスター属性龍の「火龍」を倒したとか!」
「そうそう!あとは聖国内に現れたオーガなんて指一本で倒したとか!」
ステフ伝説はすごいんだよ!と2人は金髪の男を指差して説明してくる。
ふうーん……て言うか、やっぱりおかしいな。聖国内に現れた属性龍、オーガ……
「ああ!そう言えば!その場で過労で倒れてモンスター討伐の報告とかし忘れた時の奴らじゃん!」
思い出した!そん時にあんなような金髪もいたわ!泡吹いて倒れてたやつ!
「あの野郎……エマ、ユリ……あいつは私の獲物へと変更だ!あの調子に乗って踊ってるイカ野郎は任せた。多分真竜より強くないから2人でも倒せるよ」
久しぶりに心の底から湧いてくる怒りによって髪が逆立つ。
こんな気分は大聖堂を抜け出した時に腹いせに兵士たちをめり込ませた時以来だ。
「こんなに怒ってるクミは初めてだな」
「なんか、角が見えるんだけど」
「それだけじゃなくて……完全にオーガのような顔に変形してるぞ?」
怒りによって私の犬歯は鋭い肉食獣の牙へと変化し、口の両端は目の下まで伸び、瞳孔が広がりすぎて真っ黒の目……
「ちょっと昔の金取り返してくるわ」
エマ達ににっこりと微笑んでから、
ズシンズシンと地面を揺らして、ステフへと歩き出す。
「お、おう!がっぽりな!」
「こっちも早めに終わらせとくね!」
*****
「ひ、ひぃぃ!」
お金がなくなって明日への希望を無くしていた僕の前に一体の水着のオーガが近づいてくる。
そのオーガが地面を踏み締める度に砂が舞い上がる。
「……お前」
オーガは僕の前で立ち止まると歪んだ笑みを浮かべた顔を近づけてくる。
ふあぁ……オーガだけど、ちょっといい香りがする。
何によって逆立っているのかはわからないが、僕の顔を撫でる綺麗な黒髪に少しだけ魅了されてしまった。
「とりあえず……50連だな」
「へ?」
50連?なんのことだ?
オーガの言っていることが分からず、首を傾げる僕の両足を持ち、砂浜へと背中から倒される僕。
何をするつもりだ?
「……ジャイアントスイングじゃあ!」
と、叫んだ瞬間にオーガは僕の足を両脇に抱えたまま周り出す。
「ぐあああ!!」
1回転ごとに速さが増していき、僕の目に映る景色は歪み、色だけの世界となる。
気持ち悪い!
「オラァァ!これが人間水切りじゃあ!」
「どっほぉぉぉ!」
僕は回転の勢いのままに放り出される。
背中に伝わる柔らかいような硬いような不思議な感覚の上を僕の体が跳ねて行く。
「ふぅ!久しぶりの爽快感!
きっもちいい!」
勢いが止まって水に沈む寸前に目にしたのは、僕が尾行していた黒髪女の満足気な笑顔だった。
ごぼぼぼぼ……
*****
「これで8本目!」
「終わりね!」
胸がスッとして、しばらく気持ちの良い太陽を眺めてから、エマ達の方を見ると最後の触手をダガーにより切り裂いた所だった。
決着だな。
「オラァァ!スラッシュ!」
エマの一撃で体を切り裂かれたクラーケン。
「ぐあああ!……南無南無」
派手な水飛沫をあげて倒れる。
うむうむ。強くなったものだ。
弟子の成長に私は満足……
「……よし!魔石は私のものだぁ!」
戦いが終わり油断している2人の隙をついてクラーケンへと私は走り出す。
「く!油断した!」
「させないわよ!」
私とクラーケンの間に立ちはだかる2人。
ふっふっふっ……どのくらい成長したのか見てやろう!
第二ラウンド「魔石争奪戦」が始まる。
1人!」
巨大なイカの額に禍々しい魔力を帯びた紋章が浮かび上がる。
「よくも!よくも!私は夏休みは補習で来られないから今しか堪能できないと言うのに……私のマーメイド天国をよくも!」
私の周りでは巨大なイカの出現に、悲鳴をあげながらマーメイドさん達が海の中へと逃げていく。
その他の野郎どもはいいとして、水着のお姉さん達が慌てて……
「ナイスおっぱい!」
豊かに育ち、完熟して実りを迎えた揺れる果実達にサムズアップ!
もちろん!高級レストランへエスコートする紳士のような心構えで……
「決して欲望に忠実であってはならない……」
「敵を前にして何を言ってんだ」
「そうだよ!いつまでもエリーゼさんの感触を楽しんでないで離しなさい!」
ユリ達によって気を失ったエリーゼさんは安全な場所へと運ばれていってしまう。
くそー!もう少しだけ、あの柔らかな……
「おーおーもう完全に男だねー思考が」
亜空間から顔だけ出して私の耳元で喋るシルフィ。
とりあえず、亜空間へと押し込んでおく。
寝てろ!
「おい!魔王様の可愛いペットたる俺を差し置いて女にうつつを抜かすとは!恥を知れ!」
クラーケンはにゅるにゅるした触手を伸ばしてくる。
その様はもう完全にヘビ!
「どうだ?魔王様お気に入りのヘビのように動く触手と猫の肉球のようだと褒めてくださる吸盤だ!……可愛いだろう?」
自慢げに語るクラーケン。
「普通にキモいし。可愛くねえし。
……魔王の趣味悪いんだな」
いつものように思ったことをストレートに伝える私。
その威力は鋭利な刃物のようにクラーケンの精神へと突き刺さる。
「事はない!軟体ですから!」
へっちゃらな様子のクラーケン。
「私たちも一緒に戦うよ」
「任せな」
私の両隣に並びたち、2本のダガーを構えるエマと打撃も可能な魔法の杖を構えるユリ。
やる気充分の2人。今の2人なら足手纏いになることは無い。
でも、私は動き出そうとする2人を止める。
「おい!また、1人で戦うつもりか?」
「私達だってA級冒険者のクラウドさんを倒したから戦えるよ!」
私の静止に抗議してくる2人。
「ううん。なんか、このイカと同じ反応があいつからするんだよ」
街へと逃げて行く観光客達の中に1人だけ「明日が見えない」と絶望した顔で立ち尽くす金髪の男を指差す。
「え!あれってS級冒険者のステフだよ!」
「まあ、聖剣をもつクミが言うんだから間違い無いんだろうけど……流石にS級冒険者を相手にして勝てるかどうか……」
ステフを見た2人はうろたえる。
「え?なんで?どこからどう見ても雑魚じゃん?」
2人がうろたえる理由がわからない私。
だって、あいつから感じる強さってどう見てもよくてD級冒険者くらいだぞ?
「あいつには数々の伝説が存在するんだよ!聖国内に現れたA級モンスター属性龍の「火龍」を倒したとか!」
「そうそう!あとは聖国内に現れたオーガなんて指一本で倒したとか!」
ステフ伝説はすごいんだよ!と2人は金髪の男を指差して説明してくる。
ふうーん……て言うか、やっぱりおかしいな。聖国内に現れた属性龍、オーガ……
「ああ!そう言えば!その場で過労で倒れてモンスター討伐の報告とかし忘れた時の奴らじゃん!」
思い出した!そん時にあんなような金髪もいたわ!泡吹いて倒れてたやつ!
「あの野郎……エマ、ユリ……あいつは私の獲物へと変更だ!あの調子に乗って踊ってるイカ野郎は任せた。多分真竜より強くないから2人でも倒せるよ」
久しぶりに心の底から湧いてくる怒りによって髪が逆立つ。
こんな気分は大聖堂を抜け出した時に腹いせに兵士たちをめり込ませた時以来だ。
「こんなに怒ってるクミは初めてだな」
「なんか、角が見えるんだけど」
「それだけじゃなくて……完全にオーガのような顔に変形してるぞ?」
怒りによって私の犬歯は鋭い肉食獣の牙へと変化し、口の両端は目の下まで伸び、瞳孔が広がりすぎて真っ黒の目……
「ちょっと昔の金取り返してくるわ」
エマ達ににっこりと微笑んでから、
ズシンズシンと地面を揺らして、ステフへと歩き出す。
「お、おう!がっぽりな!」
「こっちも早めに終わらせとくね!」
*****
「ひ、ひぃぃ!」
お金がなくなって明日への希望を無くしていた僕の前に一体の水着のオーガが近づいてくる。
そのオーガが地面を踏み締める度に砂が舞い上がる。
「……お前」
オーガは僕の前で立ち止まると歪んだ笑みを浮かべた顔を近づけてくる。
ふあぁ……オーガだけど、ちょっといい香りがする。
何によって逆立っているのかはわからないが、僕の顔を撫でる綺麗な黒髪に少しだけ魅了されてしまった。
「とりあえず……50連だな」
「へ?」
50連?なんのことだ?
オーガの言っていることが分からず、首を傾げる僕の両足を持ち、砂浜へと背中から倒される僕。
何をするつもりだ?
「……ジャイアントスイングじゃあ!」
と、叫んだ瞬間にオーガは僕の足を両脇に抱えたまま周り出す。
「ぐあああ!!」
1回転ごとに速さが増していき、僕の目に映る景色は歪み、色だけの世界となる。
気持ち悪い!
「オラァァ!これが人間水切りじゃあ!」
「どっほぉぉぉ!」
僕は回転の勢いのままに放り出される。
背中に伝わる柔らかいような硬いような不思議な感覚の上を僕の体が跳ねて行く。
「ふぅ!久しぶりの爽快感!
きっもちいい!」
勢いが止まって水に沈む寸前に目にしたのは、僕が尾行していた黒髪女の満足気な笑顔だった。
ごぼぼぼぼ……
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「これで8本目!」
「終わりね!」
胸がスッとして、しばらく気持ちの良い太陽を眺めてから、エマ達の方を見ると最後の触手をダガーにより切り裂いた所だった。
決着だな。
「オラァァ!スラッシュ!」
エマの一撃で体を切り裂かれたクラーケン。
「ぐあああ!……南無南無」
派手な水飛沫をあげて倒れる。
うむうむ。強くなったものだ。
弟子の成長に私は満足……
「……よし!魔石は私のものだぁ!」
戦いが終わり油断している2人の隙をついてクラーケンへと私は走り出す。
「く!油断した!」
「させないわよ!」
私とクラーケンの間に立ちはだかる2人。
ふっふっふっ……どのくらい成長したのか見てやろう!
第二ラウンド「魔石争奪戦」が始まる。
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