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3.マリオン
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幼い頃のマリオンは、王子として生まれた以上、伴侶は自分で選ぶことはできないと頭では理解していたが、政略で結ばれた婚約に内心はうんざりしていた。
初めてイザベルを見た時、顔は綺麗だが、表情があまり動かず、感情が分かりにくくて人形のようだと思った。
それでも何とか交流を図ろうと話しかけても、返事は一言ですぐに会話が終わってしまう。
それを繰り返すうち、すっかり対話することを諦めてしまっていた。
イザベルの妹のフローラに、イザベルの思ってもいなかった行動を聞くまでは…
イザベルをよく観察してみると、マリオンがじっと見つめれば薄ら顔を赤らめているし、目が泳いでいて少し挙動不審になる。
そう思って見れば、冷たいと感じていた言動も、照れ隠しだとすぐに分かる。
実際のイザベルは優秀な上に努力家で周りからの評価も高く、使用人からの評判も悪くない。
マリオンは親に決められた婚約者だと内心では反発して、今まで自分は彼女のことを理解しようともしていなかったのだと恥ずかしくなった。
今では、一見冷たいように見えるイザベルがマリオンに関わると途端に感情が現れるのがかわいくて、シスコンのフローラと共にイザベルを守るべく動いている。
「君の言う通りあのピンク頭の男爵令嬢はとんでもない女のようだ。わたしの婚約者のかわいいイザベルに偉そうに命令した上に腕を掴んで引き摺って行こうとしたらしい」
フローラの向かいに座るマリオンは不快そうに目を眇めた。
ところどころ言動が怪しいフローラを問い詰めると、フローラは異世界からの転生者だという。
ここはそこでの小説の世界に似ているという荒唐無稽な話をすぐさま丸々信じた訳ではないが、イザベルを害する者が現れるとなれば、対処せねばならない。
実際、フローラの予言通りクロスト侯爵の領地では干ばつが起こった。フローラの情報によって、前もっていつも以上に備蓄を行い、ナルトリア公爵家からの支援もあって、領民が飢えることがなかったが。
そして、シズリー騎士団長はフローラの助言がなければ大怪我を負うところだった。
クロスト侯爵もシズリー騎士団長もナルトリア公爵家に非常に感謝していて、何があってもイザベルとフローラの味方になると約束している。
シズリー騎士団長の子息のライオネルは可愛らしい容姿に似合わぬ腹黒さを持つフローラに夢中で、何とか口説き落とそうとがんばっているところだ。
今日もライオネルがフローラを口説きに来る体でナルトリア公爵邸を訪れているのだ。
もちろん、マリオンはイザベルに会いに来ているのだが、フローラとピンク頭の女のことを話す為にわざと連絡を直前に入れているので、イザベルはまだ準備が整わずまだ姿を見せていない。
マリオンの側近候補のカリードとライオネルには、事情を話し、ハニートラップを仕掛けられるかもしれないから、ピンク頭の男爵令嬢には気をつけるようにとフローラから直々に伝えられているので、二人が惑わされるようなことはない。
正直、あんな阿婆擦れに引っ掛かるやつの気が知れないが。
マリオンはカリードからピンク頭の男爵令嬢の報告を受けて、王族の婚約者に対する不敬で、牢屋にぶち込んでやりたかったが、残念ながらすぐにそれをする訳にはいかなかった。
その常識皆無のピンク頭の男爵令嬢はあちらこちらで問題を起こしていて、彼女のせいで婚約が破棄された数は片手では足りない。
そして、多くの子息たちに貢がせていることが子息の親にバレて大問題になりつつあるのだ。
「あのお姉様にそんなことするなんて!さっさと消してしまえばいいのに」
フローラは可愛らしい頬をぷくっと膨らまして、とんでもないことを言う。
顔だけ見ればフローラはとてもかわいいのだが、イザベルと違って性格は腹黒い。
フローラのその様子を一緒に来ているライオネルはうっとりと眺めている。
「それはわたしも全く同意見だが、バルドル男爵の方も同時に潰す為には犯罪の証拠を揃えてからでなければならないんだ」
苦々しい顔のマリオンを不服そうに見ていたフローラは何事かを思いついたのか、急に目を輝かせた。
「もうすぐ学園祭よね?わたしも見学に行かせてもらうわ」
うふふと笑うフローラは天使のような愛らしさだが、その目は狙った獲物を逃さないハンターのようで背中がぞくっとする。
そんなフローラに熱い眼差しを向けるライオネル。
大丈夫なのか?
上手く口説き落とせても、こいつ絶対尻に敷かれるな。
初めてイザベルを見た時、顔は綺麗だが、表情があまり動かず、感情が分かりにくくて人形のようだと思った。
それでも何とか交流を図ろうと話しかけても、返事は一言ですぐに会話が終わってしまう。
それを繰り返すうち、すっかり対話することを諦めてしまっていた。
イザベルの妹のフローラに、イザベルの思ってもいなかった行動を聞くまでは…
イザベルをよく観察してみると、マリオンがじっと見つめれば薄ら顔を赤らめているし、目が泳いでいて少し挙動不審になる。
そう思って見れば、冷たいと感じていた言動も、照れ隠しだとすぐに分かる。
実際のイザベルは優秀な上に努力家で周りからの評価も高く、使用人からの評判も悪くない。
マリオンは親に決められた婚約者だと内心では反発して、今まで自分は彼女のことを理解しようともしていなかったのだと恥ずかしくなった。
今では、一見冷たいように見えるイザベルがマリオンに関わると途端に感情が現れるのがかわいくて、シスコンのフローラと共にイザベルを守るべく動いている。
「君の言う通りあのピンク頭の男爵令嬢はとんでもない女のようだ。わたしの婚約者のかわいいイザベルに偉そうに命令した上に腕を掴んで引き摺って行こうとしたらしい」
フローラの向かいに座るマリオンは不快そうに目を眇めた。
ところどころ言動が怪しいフローラを問い詰めると、フローラは異世界からの転生者だという。
ここはそこでの小説の世界に似ているという荒唐無稽な話をすぐさま丸々信じた訳ではないが、イザベルを害する者が現れるとなれば、対処せねばならない。
実際、フローラの予言通りクロスト侯爵の領地では干ばつが起こった。フローラの情報によって、前もっていつも以上に備蓄を行い、ナルトリア公爵家からの支援もあって、領民が飢えることがなかったが。
そして、シズリー騎士団長はフローラの助言がなければ大怪我を負うところだった。
クロスト侯爵もシズリー騎士団長もナルトリア公爵家に非常に感謝していて、何があってもイザベルとフローラの味方になると約束している。
シズリー騎士団長の子息のライオネルは可愛らしい容姿に似合わぬ腹黒さを持つフローラに夢中で、何とか口説き落とそうとがんばっているところだ。
今日もライオネルがフローラを口説きに来る体でナルトリア公爵邸を訪れているのだ。
もちろん、マリオンはイザベルに会いに来ているのだが、フローラとピンク頭の女のことを話す為にわざと連絡を直前に入れているので、イザベルはまだ準備が整わずまだ姿を見せていない。
マリオンの側近候補のカリードとライオネルには、事情を話し、ハニートラップを仕掛けられるかもしれないから、ピンク頭の男爵令嬢には気をつけるようにとフローラから直々に伝えられているので、二人が惑わされるようなことはない。
正直、あんな阿婆擦れに引っ掛かるやつの気が知れないが。
マリオンはカリードからピンク頭の男爵令嬢の報告を受けて、王族の婚約者に対する不敬で、牢屋にぶち込んでやりたかったが、残念ながらすぐにそれをする訳にはいかなかった。
その常識皆無のピンク頭の男爵令嬢はあちらこちらで問題を起こしていて、彼女のせいで婚約が破棄された数は片手では足りない。
そして、多くの子息たちに貢がせていることが子息の親にバレて大問題になりつつあるのだ。
「あのお姉様にそんなことするなんて!さっさと消してしまえばいいのに」
フローラは可愛らしい頬をぷくっと膨らまして、とんでもないことを言う。
顔だけ見ればフローラはとてもかわいいのだが、イザベルと違って性格は腹黒い。
フローラのその様子を一緒に来ているライオネルはうっとりと眺めている。
「それはわたしも全く同意見だが、バルドル男爵の方も同時に潰す為には犯罪の証拠を揃えてからでなければならないんだ」
苦々しい顔のマリオンを不服そうに見ていたフローラは何事かを思いついたのか、急に目を輝かせた。
「もうすぐ学園祭よね?わたしも見学に行かせてもらうわ」
うふふと笑うフローラは天使のような愛らしさだが、その目は狙った獲物を逃さないハンターのようで背中がぞくっとする。
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