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命の価値・・・3
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私は、ケストア王国内部に潜ませている蟲を通して、軍部の内容を直接聞かせる。
室内から、響く笑い声と話す内容、その声の主をイオル達は即座に気づいただろう、表情が暗くなる。
声の主は、ケストア軍、最高権力者であるバロ・ネトラ司令であった。
そして、複数の幹部と笑いながら話している内容はイオル達の耳を疑う内容だろう。
『あははは。冒険者とは、つくづく馬鹿な連中だ。自分達が捨て駒として、前線に送られると言うのに、僅かな金で動くのだからな』
バロ・ネトラの笑い声に他の者達も笑い出す。
『本当ですな、司令の策とも知らずに、イザの冒険者共は、ほぼ全てガレルに向かいましたぞ』
『そうですね。王国軍内部の国王派の兵も上手く国王自ら送り出させましたし、今のケストアは正に消え行く松明のようなものですな』
『冒険者共に払うはずだった金貨も、失敗しては、払えぬな、残念だ。あははは』
そう、バロ・ネトラは初めから高い報酬を成功報酬として、契約していた。
それはつまり、死ねば、渡さなくてもよい契約になっていた。
冒険者達も、一都市を相手の戦いを考えていただろう、ダンジョンやモンスターを相手にする彼等からすれば、普通の兵士の中にも厄介な相手も、稀にいるだろう、しかし、一部だけならば、負ける筈がないと誰もが考えていただろう。
確かにガレルに攻めて来た冒険者達は弱くない。
連携や、攻撃力など、初級ダンジョンや中級ダンジョンならば、問題なく攻略するだろう。
しかし、彼等が相手していたのは、魔王級のダンジョンの階層ボスクラスである。
クイーン、ラクネ、ホーネットに対して、中級ダンジョン攻略者パーティーが幾ら集まろうと、虎と鼠が戦うのと変わらない。
最初から相手が悪く、更にそれに拍車を掛けるように、無慈悲な王国軍の本音を前にイオルは膝をついて、怒りで拳を握り、振りおろす。
「嘘だと、言ってくれないか、こんな事、誰も報われないなんて……皆が何をした。家族に飯を食わせたいから、病気の母の為、夢の資金、何もかも……失って」
「イオル、アンタなんか勘違いしてない? アンタ達は、ガレルを攻める選択をした、それが間違いだろうが、なんだろうが、戦う意味、死ぬ覚悟がなかっただけの話しよ」
「ふざけんな! こんな理不尽な死が!」
「黙りなさい! 現実は甘くない、理不尽だろうが、なんだろうが、戦いに死ぬ覚悟がないガキが首を突っ込んだ時点で理不尽は現実になるそこに同情などないとしれ」
急な私の態度と発言、更に強力な威圧を前にイオル達が床に再度、全身を押し付けられる。
「グッァァァ!」
「イタイっ」
「苦しいよ……」
イオル達の叫びや苦しみが声になる。
やり過ぎたと考えて私は威圧を軽くする。
「アンタ達は、まだ選択肢があるわ」
「選択肢だと?」
イオルが私を見て口を開く。
「そうよ。このまま囚われの身になるか、自分達の意思でケストアの薄汚い膿を処理するか、意味は分かるわね?」
「俺達に、ケストア王国を攻めろと言うのか!」
「……アンタ、意外に頭、弱い子なのね」
私の発言に、シーフのラムロとレンジャーのガドが間に入る。
「悪いな、ウチのリーダーは、戦闘馬鹿でな、話は俺等が聞かせて貰いたい」
「うむ、ラムロの言う通り、リーダーのイオルは、頭は弱いので、我々が話を」
その言葉に笑いを必死に堪える。
今笑いだしたら、きっと止まらないだろう。
「構わないわ、ケストア王国を攻める訳じゃない事も理解してるみたいだし、軍部を潰して、後ろの大物を表に引きずり出すのが目的、って、話なんだよね」
ケストア軍の司令とは言え、クーデターを行えるような戦力は本来、無いことは調べがついている。
逆に言えば、ケストア王国国内の戦力を当てにしていないとも言える。
そう考えれば、後ろの大物が誰かなんて、すぐに想像が出来たわ。
実際にケストア王国の国境から一番近い軍事要塞に隣国であり、五大大国の一つであるサザル公国だ。
どうやら、平和な世界にサヨナラして、戦乱の世界にしたいみたいね。
黒幕が分かっているのに、私がすぐに動かない理由は、単純に私がなにかすれば、更にややこしくなるからだ。
この戦いは、サザル公国の企みとは裏腹に、ケストア王国から膿を吐き出させるいい機会になるだろう、その為には、ケストア王国内部から動かなければ意味が無いのだから。
「私と私の仲間をガレルの使者として、アンタ達が連れて行きなさい」
私の言葉に真っ先にイオルが反対する。
「ふざけるなよ! こんな事をしてかして!」と、怒りを口に出した瞬間、レンジャーのガドがイオルを押さえつけて、口に布を噛ませる。
「失礼した。話をつづけてくだされ」
「そうね、私がケストア王と直接話すわ。それでこの戦いは終わるわ。まあ、返事次第だけど、拒否権は無しにして欲しいわ」
言葉の意味を理解したラムロがゆっくり頷く。
「俺達は送ることしか出来ない、その後は、保証出来ない」
ラムロの額から汗が滴る。
「構わないわ、だって、大切なのは静かに内部に入ることだから」
当然だが、こんな面倒なやり方をしなくても、私なら即座に王の前に移動できる。
それをしないのは、イオルやデュバル達の為だ。
普通の使者だと、会う前に殺されたり、逆に皆殺しにしてしまう恐れがあるからだ。
私ってば、優しすぎるけど、しょうがないわよね。
話がまとまり、私はイオル達と共に仲間を引き連れて、ケストア王国の首都である【イザ】に向かう事となった。
それと同時に、バロ・ネトラの側近であったバスコ・オルディとその部下を含む貴族達の殲滅報告が私に届く。
ガレルは、10万という、ケストア王国の大軍勢に対して、勝利した瞬間であった。
室内から、響く笑い声と話す内容、その声の主をイオル達は即座に気づいただろう、表情が暗くなる。
声の主は、ケストア軍、最高権力者であるバロ・ネトラ司令であった。
そして、複数の幹部と笑いながら話している内容はイオル達の耳を疑う内容だろう。
『あははは。冒険者とは、つくづく馬鹿な連中だ。自分達が捨て駒として、前線に送られると言うのに、僅かな金で動くのだからな』
バロ・ネトラの笑い声に他の者達も笑い出す。
『本当ですな、司令の策とも知らずに、イザの冒険者共は、ほぼ全てガレルに向かいましたぞ』
『そうですね。王国軍内部の国王派の兵も上手く国王自ら送り出させましたし、今のケストアは正に消え行く松明のようなものですな』
『冒険者共に払うはずだった金貨も、失敗しては、払えぬな、残念だ。あははは』
そう、バロ・ネトラは初めから高い報酬を成功報酬として、契約していた。
それはつまり、死ねば、渡さなくてもよい契約になっていた。
冒険者達も、一都市を相手の戦いを考えていただろう、ダンジョンやモンスターを相手にする彼等からすれば、普通の兵士の中にも厄介な相手も、稀にいるだろう、しかし、一部だけならば、負ける筈がないと誰もが考えていただろう。
確かにガレルに攻めて来た冒険者達は弱くない。
連携や、攻撃力など、初級ダンジョンや中級ダンジョンならば、問題なく攻略するだろう。
しかし、彼等が相手していたのは、魔王級のダンジョンの階層ボスクラスである。
クイーン、ラクネ、ホーネットに対して、中級ダンジョン攻略者パーティーが幾ら集まろうと、虎と鼠が戦うのと変わらない。
最初から相手が悪く、更にそれに拍車を掛けるように、無慈悲な王国軍の本音を前にイオルは膝をついて、怒りで拳を握り、振りおろす。
「嘘だと、言ってくれないか、こんな事、誰も報われないなんて……皆が何をした。家族に飯を食わせたいから、病気の母の為、夢の資金、何もかも……失って」
「イオル、アンタなんか勘違いしてない? アンタ達は、ガレルを攻める選択をした、それが間違いだろうが、なんだろうが、戦う意味、死ぬ覚悟がなかっただけの話しよ」
「ふざけんな! こんな理不尽な死が!」
「黙りなさい! 現実は甘くない、理不尽だろうが、なんだろうが、戦いに死ぬ覚悟がないガキが首を突っ込んだ時点で理不尽は現実になるそこに同情などないとしれ」
急な私の態度と発言、更に強力な威圧を前にイオル達が床に再度、全身を押し付けられる。
「グッァァァ!」
「イタイっ」
「苦しいよ……」
イオル達の叫びや苦しみが声になる。
やり過ぎたと考えて私は威圧を軽くする。
「アンタ達は、まだ選択肢があるわ」
「選択肢だと?」
イオルが私を見て口を開く。
「そうよ。このまま囚われの身になるか、自分達の意思でケストアの薄汚い膿を処理するか、意味は分かるわね?」
「俺達に、ケストア王国を攻めろと言うのか!」
「……アンタ、意外に頭、弱い子なのね」
私の発言に、シーフのラムロとレンジャーのガドが間に入る。
「悪いな、ウチのリーダーは、戦闘馬鹿でな、話は俺等が聞かせて貰いたい」
「うむ、ラムロの言う通り、リーダーのイオルは、頭は弱いので、我々が話を」
その言葉に笑いを必死に堪える。
今笑いだしたら、きっと止まらないだろう。
「構わないわ、ケストア王国を攻める訳じゃない事も理解してるみたいだし、軍部を潰して、後ろの大物を表に引きずり出すのが目的、って、話なんだよね」
ケストア軍の司令とは言え、クーデターを行えるような戦力は本来、無いことは調べがついている。
逆に言えば、ケストア王国国内の戦力を当てにしていないとも言える。
そう考えれば、後ろの大物が誰かなんて、すぐに想像が出来たわ。
実際にケストア王国の国境から一番近い軍事要塞に隣国であり、五大大国の一つであるサザル公国だ。
どうやら、平和な世界にサヨナラして、戦乱の世界にしたいみたいね。
黒幕が分かっているのに、私がすぐに動かない理由は、単純に私がなにかすれば、更にややこしくなるからだ。
この戦いは、サザル公国の企みとは裏腹に、ケストア王国から膿を吐き出させるいい機会になるだろう、その為には、ケストア王国内部から動かなければ意味が無いのだから。
「私と私の仲間をガレルの使者として、アンタ達が連れて行きなさい」
私の言葉に真っ先にイオルが反対する。
「ふざけるなよ! こんな事をしてかして!」と、怒りを口に出した瞬間、レンジャーのガドがイオルを押さえつけて、口に布を噛ませる。
「失礼した。話をつづけてくだされ」
「そうね、私がケストア王と直接話すわ。それでこの戦いは終わるわ。まあ、返事次第だけど、拒否権は無しにして欲しいわ」
言葉の意味を理解したラムロがゆっくり頷く。
「俺達は送ることしか出来ない、その後は、保証出来ない」
ラムロの額から汗が滴る。
「構わないわ、だって、大切なのは静かに内部に入ることだから」
当然だが、こんな面倒なやり方をしなくても、私なら即座に王の前に移動できる。
それをしないのは、イオルやデュバル達の為だ。
普通の使者だと、会う前に殺されたり、逆に皆殺しにしてしまう恐れがあるからだ。
私ってば、優しすぎるけど、しょうがないわよね。
話がまとまり、私はイオル達と共に仲間を引き連れて、ケストア王国の首都である【イザ】に向かう事となった。
それと同時に、バロ・ネトラの側近であったバスコ・オルディとその部下を含む貴族達の殲滅報告が私に届く。
ガレルは、10万という、ケストア王国の大軍勢に対して、勝利した瞬間であった。
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追記:2025/09/20
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