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後日譚
後日譚512.事なかれ主義者は未来の自分に託した
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誕生日を祝うためのパーティーからお暇した後、ご飯を食べたらすぐ眠る……なんて事はなく、いつもよりも夜遅くまでお嫁さんたちと過ごす事になった。
それでも朝はいつもと同じ時間に目が覚めるし、すっきり快眠! という感じなのは言うまでもないことだ。
ただ、安眠カバーは全員分はないので、他の皆がなんでそんなに朝から元気なのかよく分からない。特にオクタビアさんは最初から最後まで一緒に過ごしたというのに普段通り過ぎる。
「? どうかされましたか、シズト様?」
「いや、なんでもないよ。気にせずお喋り続けていいよ」
「そうですか」
オクタビアさんは他のお嫁さんたちと積極的に交流している。あとから結婚したからいろいろと気を使っているんだろう。
今日はドレスを着ておらず、レヴィさんとお揃いのオーバーオールを着ていたのできっと土いじりをする予定なんだろうな、なんて事を思ったけれどあまりジロジロ見るとまた話を止めてしまいそうなのでそっと視線を逸らしながらおにぎりを頬張った。
今日の朝ご飯は和風でおにぎりに味噌汁、それから一品料理がいくつか並べられていた。昨日、久しぶりにおにぎりが食べたいと言ったから用意してくれたんだろう。
「レモンちゃん、流石に白米と味噌汁にレモンをかけるのはやめてね? 流石にそれは僕も怒るからね?」
「…………」
サッとレモンを引っ込めたレモンちゃんを放っておいて、最後のおにぎりを頬張ると、先程までランチェッタさんと何やらドラゴンの話をしていたレヴィさんがこちらに話を振ってきた。
「シズト。今日は特に予定はなかったですわ?」
「ん、ないよ。昨日は誕生日なのにすごく疲れる事ばかりだったし、しばらくはのんびり休むつもり。今日は子どもたちと過ごそうかな、とは思ってるけど」
「そうなのですわ?」
レヴィさんが首を傾げて確かめたのは僕じゃなくてランチェッタさんだった。解せぬ。
「まあ、急ぎの案件ではないだろうし、数日後に約束しておいて会談する、でいいんじゃないかしら?」
「え、また誰かと会談しなくちゃいけないの? しばらくは遠慮したいんだけど……」
「そうは言っても、ダウンドラゴンなんてドラゴン、ドラゴニアにはおろか、シグニール大陸にはいないのですわ。卵を孵化させるにせよ、食べるにせよ、そこら辺についてしっかりと聞く必要はあるのですわ」
「飼育方法が確立しているのならそれについて聞く必要があるわ。リリス様はそれを見越してこちらに生息していないドラゴンを用意したのかもしれないわね。そうしておけば、定期的にシズトと会う口実を作れるでしょう?」
「…………受け取らなければよかったかなぁ」
「今更よ」
「あの場でリリス様だけ断るのは難しいと思うのですわ」
「いっその事、食べちゃうデスよ! きっとおいしいデス!」
「食べるにしても調理方法は聞いておきたいわ。ドラゴンの卵なんて調理した事ないし」
元気よく会話に割り込んできたパメラを諭したのは調理担当のエミリーだ。お手伝いをよくしているジューンさんやオクタビアさんもウンウンと首を縦に振っている。
「それに、食べたってなると定期的に何かしらのドラゴンの卵を持ってくるようになるんじゃないかしら? ほら、今年は三歳になった子たちのお披露目があるじゃない?」
「……………………それ、絶対やらなくちゃいけない?」
「少なくともチエコはガレオールの王女なんだから最低限の規模でもいいからやってもらう必要はあるわね。あまりにも表に出さな過ぎてもなにかあるんじゃないかって痛くもない腹を探られる事になるから」
「そういう意味だとイクオもする必要はあるのですわ。王家から嫁いでいるから絶対ではないですけれど……」
「社交の場には出ないからこそ、いろいろ言われますからね。そういう訳なので来年はシアもお披露目を兼ねた社交界に出てもらう必要がありますので少しずつ練習させていきますね」
「私たちの子もお披露目会をした方が良いのかしら?」
「めんどくせぇけど、平等にって考えるのならやるしかねぇんじゃねぇか? だろ?」
「え~、ん~~、まぁ、そうなる、のかな? 嫌がるならさせなくていいんじゃないかなぁって思うけど……」
「そうなると社交の場である事ない事噂されてしまうでしょうね」
ランチェッタさんが呆れた目で僕を見てきた。噂されるくらいだったら好きにさせておけばいいような気もするけど、不仲説とかが広がっていつか子どもたちの耳に入るのは嫌だけど、自分が苦手な事を子どもたちに強制させるのもなぁ……。
「せめてファマリアで暮らす者たちにはお披露目をするくらいはした方が良い気がするのですわ」
「今後の想定されるトラブルを未然に防ぐためにも必要な事だと考えます、マスター」
「…………とりあえず、育生と千与の誕生日の様子を見てから判断しようかな」
この場で考えても気っと答えは決められないだろう、という事で一ヵ月後の自分に託す事にするのだった。
それでも朝はいつもと同じ時間に目が覚めるし、すっきり快眠! という感じなのは言うまでもないことだ。
ただ、安眠カバーは全員分はないので、他の皆がなんでそんなに朝から元気なのかよく分からない。特にオクタビアさんは最初から最後まで一緒に過ごしたというのに普段通り過ぎる。
「? どうかされましたか、シズト様?」
「いや、なんでもないよ。気にせずお喋り続けていいよ」
「そうですか」
オクタビアさんは他のお嫁さんたちと積極的に交流している。あとから結婚したからいろいろと気を使っているんだろう。
今日はドレスを着ておらず、レヴィさんとお揃いのオーバーオールを着ていたのできっと土いじりをする予定なんだろうな、なんて事を思ったけれどあまりジロジロ見るとまた話を止めてしまいそうなのでそっと視線を逸らしながらおにぎりを頬張った。
今日の朝ご飯は和風でおにぎりに味噌汁、それから一品料理がいくつか並べられていた。昨日、久しぶりにおにぎりが食べたいと言ったから用意してくれたんだろう。
「レモンちゃん、流石に白米と味噌汁にレモンをかけるのはやめてね? 流石にそれは僕も怒るからね?」
「…………」
サッとレモンを引っ込めたレモンちゃんを放っておいて、最後のおにぎりを頬張ると、先程までランチェッタさんと何やらドラゴンの話をしていたレヴィさんがこちらに話を振ってきた。
「シズト。今日は特に予定はなかったですわ?」
「ん、ないよ。昨日は誕生日なのにすごく疲れる事ばかりだったし、しばらくはのんびり休むつもり。今日は子どもたちと過ごそうかな、とは思ってるけど」
「そうなのですわ?」
レヴィさんが首を傾げて確かめたのは僕じゃなくてランチェッタさんだった。解せぬ。
「まあ、急ぎの案件ではないだろうし、数日後に約束しておいて会談する、でいいんじゃないかしら?」
「え、また誰かと会談しなくちゃいけないの? しばらくは遠慮したいんだけど……」
「そうは言っても、ダウンドラゴンなんてドラゴン、ドラゴニアにはおろか、シグニール大陸にはいないのですわ。卵を孵化させるにせよ、食べるにせよ、そこら辺についてしっかりと聞く必要はあるのですわ」
「飼育方法が確立しているのならそれについて聞く必要があるわ。リリス様はそれを見越してこちらに生息していないドラゴンを用意したのかもしれないわね。そうしておけば、定期的にシズトと会う口実を作れるでしょう?」
「…………受け取らなければよかったかなぁ」
「今更よ」
「あの場でリリス様だけ断るのは難しいと思うのですわ」
「いっその事、食べちゃうデスよ! きっとおいしいデス!」
「食べるにしても調理方法は聞いておきたいわ。ドラゴンの卵なんて調理した事ないし」
元気よく会話に割り込んできたパメラを諭したのは調理担当のエミリーだ。お手伝いをよくしているジューンさんやオクタビアさんもウンウンと首を縦に振っている。
「それに、食べたってなると定期的に何かしらのドラゴンの卵を持ってくるようになるんじゃないかしら? ほら、今年は三歳になった子たちのお披露目があるじゃない?」
「……………………それ、絶対やらなくちゃいけない?」
「少なくともチエコはガレオールの王女なんだから最低限の規模でもいいからやってもらう必要はあるわね。あまりにも表に出さな過ぎてもなにかあるんじゃないかって痛くもない腹を探られる事になるから」
「そういう意味だとイクオもする必要はあるのですわ。王家から嫁いでいるから絶対ではないですけれど……」
「社交の場には出ないからこそ、いろいろ言われますからね。そういう訳なので来年はシアもお披露目を兼ねた社交界に出てもらう必要がありますので少しずつ練習させていきますね」
「私たちの子もお披露目会をした方が良いのかしら?」
「めんどくせぇけど、平等にって考えるのならやるしかねぇんじゃねぇか? だろ?」
「え~、ん~~、まぁ、そうなる、のかな? 嫌がるならさせなくていいんじゃないかなぁって思うけど……」
「そうなると社交の場である事ない事噂されてしまうでしょうね」
ランチェッタさんが呆れた目で僕を見てきた。噂されるくらいだったら好きにさせておけばいいような気もするけど、不仲説とかが広がっていつか子どもたちの耳に入るのは嫌だけど、自分が苦手な事を子どもたちに強制させるのもなぁ……。
「せめてファマリアで暮らす者たちにはお披露目をするくらいはした方が良い気がするのですわ」
「今後の想定されるトラブルを未然に防ぐためにも必要な事だと考えます、マスター」
「…………とりあえず、育生と千与の誕生日の様子を見てから判断しようかな」
この場で考えても気っと答えは決められないだろう、という事で一ヵ月後の自分に託す事にするのだった。
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