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第8章 二つの世界樹を世話しながら生きていこう
116.事なかれ主義者はお断りした
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足の痺れが治る頃に、エルフたちが食事を持ってきてくれた。
目の前に並べられていく料理は、勇者の好みに合わせたのか和食だった。
ただ、料理が並んでも箸がない。
あとで持ってきてくれるのかな? とか考えていたら、髪が短いエルフさんがすぐ隣に座る。
流石エルフ、めっちゃ美人。気の強そうなキリッとした目が僕を見据え、その手には箸。
「どれからお食べになりますか?」
「自分で食べるのでお箸ください」
箸ゲット!
味付けとかどうなんだろう?
お味噌汁は……色通り白か。うん、変な味しない。
具材は……豆腐に油揚げとよく分かんない小さなピンク色のキノコ。これ、食べても大丈夫なものなのかな?
まあいいか、どうせ一緒に入れられてるし、出汁とか出てそうだし手遅れだ。うん、食べても普通。
米はふっくらしていて違和感がない。品種改良とかしていったのかな。よく分からないけど、過去の勇者様様ですわー。
のんびりと食事を進めていると、お酌をしようと長い髪のエルフが近くに座った。
「あ、けっこーですー。まだ未成年なんで」
「お前、もう成人してんだろ?」
「前の世界では二十歳まではお酒ダメなんだよ。だからあと二年くらいは飲まないつもり」
「過去の勇者様たちもそう仰る方もいらっしゃったのですわ。二十歳になったら一緒に飲むのですわ!」
正面に座ったレヴィさんが、そう言ってにっこりと笑う。
てか、レヴィさん魚すごくきれいに食べてない?
流石王女様。そういう教育はしっかりされてきたらしい。
自分のと見比べると恥ずかしくなる。
右を見ると、ラオさんが箸に悪戦苦闘していた。その向かいに座っているルウさんも。
いつもパパッと食べちゃう二人だから、食事をしている様子を見るのは珍しい。
「んだよ。食えりゃそれでいい生活してたんだから仕方ねーだろ」
「お姉ちゃんも、ちょっとお箸で食べる経験は少ないわ」
「エルフさんに食べさせてもらえばいいんじゃない?」
「ありゃお前だからそうしようとしたんだって」
「………」
あー、だからエルフさん微妙な表情しているんですね。
左に座っているクーを見ると、短髪のエルフさんにお世話されていた。
クーの正面に座っているホムラは自分で食事をしている。箸も上手に使えてたけど、どこかで練習したのかな。
ドーラさんは箸を持つ事もせず、フォークやナイフを使って食事をしていた。
「それで? 邪神の信奉者の件はもう解決したの?」
「そうみたいですわ。軍部の方ではエルフ側が騙したのかもしれない、という可能性も考慮しつつ話し合いをしているみたいですけれど」
「ドラン軍の少数が禁足地を確認する。安全を確認してから再開」
「そういう訳ですわ。明日は何もせずに過ごすのですわ!」
「観光とかもしたかったんだけど、外の感じを見ると観光をしない方がよさそうだよね」
「シズトくんを見ようとたっくさん集まってきてるものね」
「たくさんいすぎてよく分からないですけれど、中には悪意を持っている者もいるかもしれないのですわ。大人しく、ここで過ごすのですわー」
まあ、仕方ないか。
世界樹の素材で作ったお風呂があるらしいし、貴重な薬草を使った薬湯があるらしいし、いろいろ入って楽しむか。
木製の桶にタオルを入れて部屋から出る。
石鹸などは浴室に常備してあるとの事で、ジュリエットさんの案内について歩く。
『男』と日本語で書かれた青い湯暖簾の前に着くと、廊下に湯浴み着を着たエルフたちが並んでいた。うん、何となく察してたよ?
「一人で入りますー」
美女揃いだったけど、お帰り願う。
他のお客様いるとご迷惑だろうし。
「シズト様がご滞在の間は貸切ですのでご心配は不要です。どの様な娘がタイプですか?」
「タイプの人と混浴とかいろいろやばいんで一人がいいですー!」
さあ、お帰りはあちらですよ! 知らないけど!!!
「そうですわ。私たちで間に合ってるから必要ないのですわー」
「レヴィさんたちは女湯の方に行ってくださいね?」
何で不思議そうに首傾げるんすかね?
って、ルウさん何で持ち上げるんですか? 一人で歩けますけど?
「私たち、一応シズトくんの護衛だからお風呂も一緒よ?」
「そういう事だ。ほら、諦めろ」
「護衛って言うならレヴィさんは違うよね?」
「一緒にいた方が守りやすいですわ」
「守られる側がいう事じゃないと思うんですけど!?」
ただ、まあ、こうなるだろうなって思ってたから……せめていつもの着てね……。
「クーの分がありません、マスター。一人だけ何も身に付けないのは不自然なので、私も着用しなくていいですか?」
「いいわけないでしょ? その子寝てるから放っといてあげて」
ルウさんにお姫様抱っこされた状態で脱衣所に入る。
竹籠の様なものに着替えの寝間着が既に準備されていた。
「レヴィア様、お手伝いをしますのでこちらへどうぞ」
「お願いするのですわ。流石に一人で脱ぐのは難しいのですわ。ちょっと時間がかかるから、先に行っててほしいのですわ」
ええ、元々そのつもりですよ?
だってすぐに行かないと目の前で服を脱ぎ始める人がいるし、脱がそうとしてくる人もいるからね!
竹籠に入っていたバスタオルで下半身を隠しながらせっせと脱ぎ、細長いタオルを持って浴室へと移動する。
引き戸を開けると、露天風呂が目の前に広がっていた。
魔法で外から中を見る事ができないようにされている、とジュリエットさんが来る途中で説明してくれた。
覗きの心配はないから存分にお手付きしていただいて大丈夫です、って事なんだろうね、きっと。
とりあえず、体をさっさと洗っちゃおう。
目の前に並べられていく料理は、勇者の好みに合わせたのか和食だった。
ただ、料理が並んでも箸がない。
あとで持ってきてくれるのかな? とか考えていたら、髪が短いエルフさんがすぐ隣に座る。
流石エルフ、めっちゃ美人。気の強そうなキリッとした目が僕を見据え、その手には箸。
「どれからお食べになりますか?」
「自分で食べるのでお箸ください」
箸ゲット!
味付けとかどうなんだろう?
お味噌汁は……色通り白か。うん、変な味しない。
具材は……豆腐に油揚げとよく分かんない小さなピンク色のキノコ。これ、食べても大丈夫なものなのかな?
まあいいか、どうせ一緒に入れられてるし、出汁とか出てそうだし手遅れだ。うん、食べても普通。
米はふっくらしていて違和感がない。品種改良とかしていったのかな。よく分からないけど、過去の勇者様様ですわー。
のんびりと食事を進めていると、お酌をしようと長い髪のエルフが近くに座った。
「あ、けっこーですー。まだ未成年なんで」
「お前、もう成人してんだろ?」
「前の世界では二十歳まではお酒ダメなんだよ。だからあと二年くらいは飲まないつもり」
「過去の勇者様たちもそう仰る方もいらっしゃったのですわ。二十歳になったら一緒に飲むのですわ!」
正面に座ったレヴィさんが、そう言ってにっこりと笑う。
てか、レヴィさん魚すごくきれいに食べてない?
流石王女様。そういう教育はしっかりされてきたらしい。
自分のと見比べると恥ずかしくなる。
右を見ると、ラオさんが箸に悪戦苦闘していた。その向かいに座っているルウさんも。
いつもパパッと食べちゃう二人だから、食事をしている様子を見るのは珍しい。
「んだよ。食えりゃそれでいい生活してたんだから仕方ねーだろ」
「お姉ちゃんも、ちょっとお箸で食べる経験は少ないわ」
「エルフさんに食べさせてもらえばいいんじゃない?」
「ありゃお前だからそうしようとしたんだって」
「………」
あー、だからエルフさん微妙な表情しているんですね。
左に座っているクーを見ると、短髪のエルフさんにお世話されていた。
クーの正面に座っているホムラは自分で食事をしている。箸も上手に使えてたけど、どこかで練習したのかな。
ドーラさんは箸を持つ事もせず、フォークやナイフを使って食事をしていた。
「それで? 邪神の信奉者の件はもう解決したの?」
「そうみたいですわ。軍部の方ではエルフ側が騙したのかもしれない、という可能性も考慮しつつ話し合いをしているみたいですけれど」
「ドラン軍の少数が禁足地を確認する。安全を確認してから再開」
「そういう訳ですわ。明日は何もせずに過ごすのですわ!」
「観光とかもしたかったんだけど、外の感じを見ると観光をしない方がよさそうだよね」
「シズトくんを見ようとたっくさん集まってきてるものね」
「たくさんいすぎてよく分からないですけれど、中には悪意を持っている者もいるかもしれないのですわ。大人しく、ここで過ごすのですわー」
まあ、仕方ないか。
世界樹の素材で作ったお風呂があるらしいし、貴重な薬草を使った薬湯があるらしいし、いろいろ入って楽しむか。
木製の桶にタオルを入れて部屋から出る。
石鹸などは浴室に常備してあるとの事で、ジュリエットさんの案内について歩く。
『男』と日本語で書かれた青い湯暖簾の前に着くと、廊下に湯浴み着を着たエルフたちが並んでいた。うん、何となく察してたよ?
「一人で入りますー」
美女揃いだったけど、お帰り願う。
他のお客様いるとご迷惑だろうし。
「シズト様がご滞在の間は貸切ですのでご心配は不要です。どの様な娘がタイプですか?」
「タイプの人と混浴とかいろいろやばいんで一人がいいですー!」
さあ、お帰りはあちらですよ! 知らないけど!!!
「そうですわ。私たちで間に合ってるから必要ないのですわー」
「レヴィさんたちは女湯の方に行ってくださいね?」
何で不思議そうに首傾げるんすかね?
って、ルウさん何で持ち上げるんですか? 一人で歩けますけど?
「私たち、一応シズトくんの護衛だからお風呂も一緒よ?」
「そういう事だ。ほら、諦めろ」
「護衛って言うならレヴィさんは違うよね?」
「一緒にいた方が守りやすいですわ」
「守られる側がいう事じゃないと思うんですけど!?」
ただ、まあ、こうなるだろうなって思ってたから……せめていつもの着てね……。
「クーの分がありません、マスター。一人だけ何も身に付けないのは不自然なので、私も着用しなくていいですか?」
「いいわけないでしょ? その子寝てるから放っといてあげて」
ルウさんにお姫様抱っこされた状態で脱衣所に入る。
竹籠の様なものに着替えの寝間着が既に準備されていた。
「レヴィア様、お手伝いをしますのでこちらへどうぞ」
「お願いするのですわ。流石に一人で脱ぐのは難しいのですわ。ちょっと時間がかかるから、先に行っててほしいのですわ」
ええ、元々そのつもりですよ?
だってすぐに行かないと目の前で服を脱ぎ始める人がいるし、脱がそうとしてくる人もいるからね!
竹籠に入っていたバスタオルで下半身を隠しながらせっせと脱ぎ、細長いタオルを持って浴室へと移動する。
引き戸を開けると、露天風呂が目の前に広がっていた。
魔法で外から中を見る事ができないようにされている、とジュリエットさんが来る途中で説明してくれた。
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