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第22章 安全第一で生きていこう
452.事なかれ主義者はすぐに面倒になった
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ドランの屋敷を経由して、ドラゴニア王都にやってきたわけだけど、街の様子は見れなかった。
だって、転移先が王城の中だったんだもん。
「この人が勝手に設置してたのよ」
呆れた様子で理由を教えてくれたのはレヴィさんのお母さんであるパールさんだ。
レヴィさんと同じくツインドリルが顔の横にあるけど、金色ではなく淡い赤色である。真っ赤だったら何か三倍の性能とかありそうだな、とかどうでもいい事を時々思う。
レヴィさんと違う部分を他にも上げると、長身で、手足も細く、男装とか似合いそうな凛々しい顔立ちをしている。
「これ、別に固定する物ではないので動かそうと思えば動かせるんじゃないですか?」
「………勝手に設置して困ってるけど、移動させるのも面倒なのよ」
「素直に便利だから黙認している、と言えばいいじゃないか」
そっぽを向いてしまったパールさんにツッコミを入れたのは彼女の夫であり、レヴィさんの父親でもあるリヴァイさんだ。
レヴィさんと同じく、髪は金色に輝き、目は青い。
武人という感じでがっしりとした体つきをしていて、背丈も高いので威圧感がある。
普段は被っていないキラキラした王冠を被り、マントを羽織っていると王様っぽい。
「シズト様、リヴァイ陛下は元々国王です」
「そうだった」
心を読む魔道具を持っているジュリウスがそっと耳打ちしてくれたけど、忘れていたわけじゃない。
普通の服を着ていても立ち振る舞いから偉い人っぽいなって感じるし。
ただ、いつもパメラやアンジェラたちとボウリングなどをしている様子を見ると、そこら辺にいるおじさん、という認識になっちゃうんだよな。気を付けないと。
「ドラゴニア王国の国王として同席するからな。それ相応の格好をせねば示しがつかんだろう?」
そう言って胸を張るリヴァイさんだけど、今更な気がするのは気のせいだろうか。
リヴァイさんに連れて来られた部屋は、お城の上の方にあるみたいで階段が面倒だった。
城内に転移陣を置いて一瞬で行き来できるようにしたいと思うくらいには面倒だった。
クーを背負っていたのも面倒さに拍車をかけたのかもしれない。
ただ、部屋の前に着いたら流石に降りてくれたので、文句を言うのはやめておこう。
ジュリウスに視線を向けると、こくりと頷かれた。
今回ジュリウスには、レヴィさんの代わりを務めてもらう予定だ。
具体的に言うと、相手の心を読んで、思惑を見透かしてもらう。
ジュリウス曰く、加護持ちであるレヴィさんほど心をうまく読めないだろう、という事だったけど、害意さえない事が分かればそれで十分だ。
「シズト殿、準備は良いか」
「はい、大丈夫です」
クーにキュッと握られた手をどうするべきかな、と思ったけど離してくれそうにないので、諦めて手を繋いで歩く事にした。
リヴァイさんは僕の返答に満足した様子で頷くと、視線を扉の近くにいた兵士に向けた。
僕たちが来た事を中にいる人たちに告げてから扉が開かれる。
室内は大きなお城にしてはこぢんまりとしている。密談ができるように、という目的で作られたらしい。
イルミンスールの使節団の代表っぽい人たちは、こっちに向かって土下座をした状態で待っていたようだ。
リヴァイさんが「シズト殿が困惑しておる。面を上げよ」というと、僕の方をチラッと見てから顔を上げてくれた。
……どこからどう見ても普通のエルフだ。
大陸が違ってもエルフは見た目が変わらないんだな、なんて思いながらリヴァイさんに指示された席に座る。
正面に座るのはイルミンスールの使節団の人の予定だ。
リヴァイさんは僕から見て右斜め前の所に用意された椅子に座り、目を瞑ってしまった。
どうやら本当に同席だけするつもりらしい。
事前に、困ったら話を振っていい、と言われているけど、振られるまでは黙ってそこにいるだけのつもりのようだ。
イルミンスールの使節団の一人が椅子の隣に立ち、残りの人たちは椅子の後ろに行った。どうやら前に立っている人が一番偉い人っぽい。エルフの正装を皆着ているけど、彼女……いや、彼? の服だけが腰まで金色の蔦が伸びている。
「お初にお目にかかります。イルミンスールから来ました、キラリーと申します。この度は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます」
目の前の人物は最初に深く一礼をすると、綺麗な高い声で話し始めた。
……たぶん女性だよね? いや、でも声の高い男性もいるし……エルフは見た目だけ性別の区別がつき辛いからな……て、どうでもいい事を考えていたら変な間が空いてしまった。
僕の様子を窺っているキラリーさんに慌てて返答をする。
「音無静人です。どうぞおかけください」
「ありがとうございます。失礼します」
座っていいと言わないと座れない、みたいな事を誰かが言っていた気がするけど、今回はそれだったっぽい?
いつもレヴィさんに全て任せていたので慎重に思い出しながらいこう。
単刀直入に話を切り込んでもいいけど、どうでもいい話からするんだっけ? 遠くからわざわざ来てくれたんだし、その労いをまずするところから……?
「遠い所からお越しいただきありがとうございます……?」
「我らが行ってきた間違いを正さなければなりません。そのためにご協力をしていただく必要があるのです。このくらいなんて事はないです」
お、本題っぽい内容がさらっと入った。
これは黙っててもいいやつな気がする。
またちょっと変な間があったけど、キラリーさんの視線がリヴァイさんやジュリウスに向かってから、また僕に戻ってきた。
「ご協力頂きたい事は、世界樹に関する事です。シズト様が授かりし加護を用いて、我らの国にある世界樹イルミンスールを救って頂きたいのです」
まあ、想定通りの内容だよね。
助けるのは別に構わないんだけど、それ相応の報酬を決めなくちゃいけないんだよね、きっと。
ただ、それがどこまでの物を要求するべきなのか……。
なんか考えるのが面倒になってきたし、良きに計らえ! じゃ駄目かなぁ。
だって、転移先が王城の中だったんだもん。
「この人が勝手に設置してたのよ」
呆れた様子で理由を教えてくれたのはレヴィさんのお母さんであるパールさんだ。
レヴィさんと同じくツインドリルが顔の横にあるけど、金色ではなく淡い赤色である。真っ赤だったら何か三倍の性能とかありそうだな、とかどうでもいい事を時々思う。
レヴィさんと違う部分を他にも上げると、長身で、手足も細く、男装とか似合いそうな凛々しい顔立ちをしている。
「これ、別に固定する物ではないので動かそうと思えば動かせるんじゃないですか?」
「………勝手に設置して困ってるけど、移動させるのも面倒なのよ」
「素直に便利だから黙認している、と言えばいいじゃないか」
そっぽを向いてしまったパールさんにツッコミを入れたのは彼女の夫であり、レヴィさんの父親でもあるリヴァイさんだ。
レヴィさんと同じく、髪は金色に輝き、目は青い。
武人という感じでがっしりとした体つきをしていて、背丈も高いので威圧感がある。
普段は被っていないキラキラした王冠を被り、マントを羽織っていると王様っぽい。
「シズト様、リヴァイ陛下は元々国王です」
「そうだった」
心を読む魔道具を持っているジュリウスがそっと耳打ちしてくれたけど、忘れていたわけじゃない。
普通の服を着ていても立ち振る舞いから偉い人っぽいなって感じるし。
ただ、いつもパメラやアンジェラたちとボウリングなどをしている様子を見ると、そこら辺にいるおじさん、という認識になっちゃうんだよな。気を付けないと。
「ドラゴニア王国の国王として同席するからな。それ相応の格好をせねば示しがつかんだろう?」
そう言って胸を張るリヴァイさんだけど、今更な気がするのは気のせいだろうか。
リヴァイさんに連れて来られた部屋は、お城の上の方にあるみたいで階段が面倒だった。
城内に転移陣を置いて一瞬で行き来できるようにしたいと思うくらいには面倒だった。
クーを背負っていたのも面倒さに拍車をかけたのかもしれない。
ただ、部屋の前に着いたら流石に降りてくれたので、文句を言うのはやめておこう。
ジュリウスに視線を向けると、こくりと頷かれた。
今回ジュリウスには、レヴィさんの代わりを務めてもらう予定だ。
具体的に言うと、相手の心を読んで、思惑を見透かしてもらう。
ジュリウス曰く、加護持ちであるレヴィさんほど心をうまく読めないだろう、という事だったけど、害意さえない事が分かればそれで十分だ。
「シズト殿、準備は良いか」
「はい、大丈夫です」
クーにキュッと握られた手をどうするべきかな、と思ったけど離してくれそうにないので、諦めて手を繋いで歩く事にした。
リヴァイさんは僕の返答に満足した様子で頷くと、視線を扉の近くにいた兵士に向けた。
僕たちが来た事を中にいる人たちに告げてから扉が開かれる。
室内は大きなお城にしてはこぢんまりとしている。密談ができるように、という目的で作られたらしい。
イルミンスールの使節団の代表っぽい人たちは、こっちに向かって土下座をした状態で待っていたようだ。
リヴァイさんが「シズト殿が困惑しておる。面を上げよ」というと、僕の方をチラッと見てから顔を上げてくれた。
……どこからどう見ても普通のエルフだ。
大陸が違ってもエルフは見た目が変わらないんだな、なんて思いながらリヴァイさんに指示された席に座る。
正面に座るのはイルミンスールの使節団の人の予定だ。
リヴァイさんは僕から見て右斜め前の所に用意された椅子に座り、目を瞑ってしまった。
どうやら本当に同席だけするつもりらしい。
事前に、困ったら話を振っていい、と言われているけど、振られるまでは黙ってそこにいるだけのつもりのようだ。
イルミンスールの使節団の一人が椅子の隣に立ち、残りの人たちは椅子の後ろに行った。どうやら前に立っている人が一番偉い人っぽい。エルフの正装を皆着ているけど、彼女……いや、彼? の服だけが腰まで金色の蔦が伸びている。
「お初にお目にかかります。イルミンスールから来ました、キラリーと申します。この度は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます」
目の前の人物は最初に深く一礼をすると、綺麗な高い声で話し始めた。
……たぶん女性だよね? いや、でも声の高い男性もいるし……エルフは見た目だけ性別の区別がつき辛いからな……て、どうでもいい事を考えていたら変な間が空いてしまった。
僕の様子を窺っているキラリーさんに慌てて返答をする。
「音無静人です。どうぞおかけください」
「ありがとうございます。失礼します」
座っていいと言わないと座れない、みたいな事を誰かが言っていた気がするけど、今回はそれだったっぽい?
いつもレヴィさんに全て任せていたので慎重に思い出しながらいこう。
単刀直入に話を切り込んでもいいけど、どうでもいい話からするんだっけ? 遠くからわざわざ来てくれたんだし、その労いをまずするところから……?
「遠い所からお越しいただきありがとうございます……?」
「我らが行ってきた間違いを正さなければなりません。そのためにご協力をしていただく必要があるのです。このくらいなんて事はないです」
お、本題っぽい内容がさらっと入った。
これは黙っててもいいやつな気がする。
またちょっと変な間があったけど、キラリーさんの視線がリヴァイさんやジュリウスに向かってから、また僕に戻ってきた。
「ご協力頂きたい事は、世界樹に関する事です。シズト様が授かりし加護を用いて、我らの国にある世界樹イルミンスールを救って頂きたいのです」
まあ、想定通りの内容だよね。
助けるのは別に構わないんだけど、それ相応の報酬を決めなくちゃいけないんだよね、きっと。
ただ、それがどこまでの物を要求するべきなのか……。
なんか考えるのが面倒になってきたし、良きに計らえ! じゃ駄目かなぁ。
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想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
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