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10、うれしい再会
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町を抜けると、畑や民家が点在していた。今までと違う風景だった。
「ここからは、砂漠はしばらくないよ」
「そうなんだ」(今までと違って、のどかな感じだな)
街道には、お店も点在していた。村の人も利用するからだろう。この先に宿場町もあり、宿泊や食事ができるから助かる。今日は宿場町までは行けなかったので、街道沿いの雑木林で野宿した。
翌日、街道を歩いていると、前から手を振ってくる奴がいた。
「お~い、シュナ!」
突然、名前を呼ばれた。聞き覚えがないな。黄色ベージュの短く刈り上げた髪に、面長の顔、黄緑がかったグレーの瞳。マントを着てリュックを背負って旅姿だ。誰だ?
「会いたかったー!」
そいつに突然抱き着かれた。——そうだ、思い出した。
「タクトか!」
「そうだよ。覚えていてくれてうれしいよ!」
ほぼ忘れそうだった……。明日だったら覚えてないかも。タクトはコズエを見た。
「こちらは、お仲間かい?」
「それに近いけど、異世界人のコズエだ。神殿まで案内している」
「異世界人!? 初めて見た!」
「はじめまして」
「君、女の子なんだね。はじめまして」
コズエは固まった。タクトは握手で手を出した。俺はそれを遮る。
「コズエ、知らない男とは握手しなくていい」
「そんな、冷たいなぁ。俺は、お前に会いたくて捜してたんだぞ」
「なぜだ?」
理由がないので、俺はちょっと警戒した。抱き着かれるほど歓迎される覚えもない。
「俺、あの後参加したパーティに騙されたんだ。……散々な目に遭って、やっと逃げ出したんだ。それで、今度組むなら、お前がいいなって思って……。シュナはフリオン団の一員だろ。旅をしながら評判を聞いたんだ。なんであの時、一緒に行かなかったんだろうって後悔した。俺、見る目ないよな……」
タクトは肩を落とした。
(悪い子じゃなさそうだけど……)
「歩きながら話そう。行く先は、どこでもいいんだろ?」
「ああ! ついて行くよ! どこまでも」
「……」
三人で歩きながら、タクトの話を聞いた。
「シュナと出会った時は、学校を辞めたばかりで、冒険者になろうと思ったんだ。でも、パーティに入らないと冒険者証がもらえないから、広場で仲間を探していたんだ」
タクトと出会った場所は、学園都市モーリアの冒険者協会本部前だ。本部前は広場になっていて、仲間探しや、情報交換ができる場になっていた。魔法学校も近くにあり、季節的に学校を辞めた魔法使いがパーティを探していた。
「そこへ、ミンとチェンのカップルのパーティから、声をかけられたんだ」
『あなた、学校を辞めたばかりでしょ? パーティを探しているならうちに入らない? ちょうど魔法使いを探していたのよ』
「他にも二人いて、ミンが言う条件も良かったから、そこに入ったんだ。でもそれは全部嘘で、俺は冒険者証ももらえないまま街を出ることになった」
『俺、まだ冒険者証をもらってないんだけど』
『ゴメン急いでるから、先に街を出るわ。次の町にも冒険者の店があるから、そこでもらってあげる』
『分かった』
「俺は無知だった。街を出たとたん、俺は荷物を没収された。逃げないように重い荷物を持たされて、他の二人に監視された」
『どういうことですか!?』
『いいから黙ってついてくるんだよ。逃げようと思っても無駄だよ。探索石があるから、お前のことは登録した』
『助けてください』
「他の二人を見たけど、目も合わさなかった。その二人は俺がいなくなれば、自分がその役をやらされると思ったからだ。あいつらは初めから、何も知らない魔法使いを捜していたんだ。それからずっと、タダでこき使われた」
「ひどい!」
「ありがとう、コズエ。異世界人はやっぱり優しいね」
「どうやって逃げたんだ?」
「ああ、それは神の助けか、森を歩いている時に、道に底なし沼があったんだ。枯葉が落ちていて、初めは黒い水たまりだと思った。先を歩いていた、ミンとチェンが最初にはまった」
『なにこれ! 沈んでいくわ! タクト、早く魔法で助けなさいよ!』
『すごい臭いがする。これは泥炭じゃないのか!?』
「俺はチャンスだと思った。荷物を降ろすと、前にいたアビィとユナを突き飛ばして底なし沼に落とした。それから、荷物を持って逃げたんだ」
『タクト! あいつ逃げやがった。覚えてないさいよ!』
「俺は振り返らなかった。そうしないと、もう逃げられないと思った。それから、あいつらの荷物を売って資金を作り、シュナを捜したんだ。
——俺、まだ学校の借金を一回も返してないんだ」
「借金!?」
コズエが驚いた。俺が説明する。
「魔力がある子供は少ないから、国が強制的に魔法学校に入れるんだ。授業料は後払いになる」
(奨学金と同じね)
タクトが借金の続きを話す。
「俺も13歳になる年に、村に兵士が迎えに来て、魔法学校に連れて行かれたんだ。
学校にいればいるほど借金がかさむから、大体の子は特待生になれないと3年で辞めるんだ。国が欲しいのは、6年から9年間学んだ魔法使いだけ。
3年で辞めた奴が一番稼げるのは、冒険者になって野良に出ることなんだ。
生徒は辞める時に、学校からお金を借りて装備を整えることができるけど、それも借金になる。助かるけどね……」
「そうなんだ」(これが野良の魔法使いってことか)
「俺のこと信用できた?」
嘘はついてなさそうだな。ただ、タクトが冒険者に向いているかは別の話だ。故郷の村に帰っても、魔法使いの仕事なら授業料は十分返せるはずだ。
「そうだな。でも、団に入れるかは、しばらく様子を見てから決める」
「わ~い、ありがとう!」
「よろしくね」
「うん」
コズエが挨拶すると、タクトはコズエにまた手を差しだした。コズエも握手した。この二人、やっぱり似てる気がする……。
「コズエ、男の中には、女の子の手でも触りたい奴がいるんだ。気を付けないと」
「えっ!」
「そんな邪《よこしま》なこと考えてないよ!」
「なら、手を放せ」
「あ、ごめん」
タクトはコズエの手をパッと離して、顔を赤くしてつぶやいた。
「俺、ずっと誰にも話せなくて。……やっと、話を聞いてくれる人がいて、うれしかったんだ」
また旅の仲間が増えた。
「ここからは、砂漠はしばらくないよ」
「そうなんだ」(今までと違って、のどかな感じだな)
街道には、お店も点在していた。村の人も利用するからだろう。この先に宿場町もあり、宿泊や食事ができるから助かる。今日は宿場町までは行けなかったので、街道沿いの雑木林で野宿した。
翌日、街道を歩いていると、前から手を振ってくる奴がいた。
「お~い、シュナ!」
突然、名前を呼ばれた。聞き覚えがないな。黄色ベージュの短く刈り上げた髪に、面長の顔、黄緑がかったグレーの瞳。マントを着てリュックを背負って旅姿だ。誰だ?
「会いたかったー!」
そいつに突然抱き着かれた。——そうだ、思い出した。
「タクトか!」
「そうだよ。覚えていてくれてうれしいよ!」
ほぼ忘れそうだった……。明日だったら覚えてないかも。タクトはコズエを見た。
「こちらは、お仲間かい?」
「それに近いけど、異世界人のコズエだ。神殿まで案内している」
「異世界人!? 初めて見た!」
「はじめまして」
「君、女の子なんだね。はじめまして」
コズエは固まった。タクトは握手で手を出した。俺はそれを遮る。
「コズエ、知らない男とは握手しなくていい」
「そんな、冷たいなぁ。俺は、お前に会いたくて捜してたんだぞ」
「なぜだ?」
理由がないので、俺はちょっと警戒した。抱き着かれるほど歓迎される覚えもない。
「俺、あの後参加したパーティに騙されたんだ。……散々な目に遭って、やっと逃げ出したんだ。それで、今度組むなら、お前がいいなって思って……。シュナはフリオン団の一員だろ。旅をしながら評判を聞いたんだ。なんであの時、一緒に行かなかったんだろうって後悔した。俺、見る目ないよな……」
タクトは肩を落とした。
(悪い子じゃなさそうだけど……)
「歩きながら話そう。行く先は、どこでもいいんだろ?」
「ああ! ついて行くよ! どこまでも」
「……」
三人で歩きながら、タクトの話を聞いた。
「シュナと出会った時は、学校を辞めたばかりで、冒険者になろうと思ったんだ。でも、パーティに入らないと冒険者証がもらえないから、広場で仲間を探していたんだ」
タクトと出会った場所は、学園都市モーリアの冒険者協会本部前だ。本部前は広場になっていて、仲間探しや、情報交換ができる場になっていた。魔法学校も近くにあり、季節的に学校を辞めた魔法使いがパーティを探していた。
「そこへ、ミンとチェンのカップルのパーティから、声をかけられたんだ」
『あなた、学校を辞めたばかりでしょ? パーティを探しているならうちに入らない? ちょうど魔法使いを探していたのよ』
「他にも二人いて、ミンが言う条件も良かったから、そこに入ったんだ。でもそれは全部嘘で、俺は冒険者証ももらえないまま街を出ることになった」
『俺、まだ冒険者証をもらってないんだけど』
『ゴメン急いでるから、先に街を出るわ。次の町にも冒険者の店があるから、そこでもらってあげる』
『分かった』
「俺は無知だった。街を出たとたん、俺は荷物を没収された。逃げないように重い荷物を持たされて、他の二人に監視された」
『どういうことですか!?』
『いいから黙ってついてくるんだよ。逃げようと思っても無駄だよ。探索石があるから、お前のことは登録した』
『助けてください』
「他の二人を見たけど、目も合わさなかった。その二人は俺がいなくなれば、自分がその役をやらされると思ったからだ。あいつらは初めから、何も知らない魔法使いを捜していたんだ。それからずっと、タダでこき使われた」
「ひどい!」
「ありがとう、コズエ。異世界人はやっぱり優しいね」
「どうやって逃げたんだ?」
「ああ、それは神の助けか、森を歩いている時に、道に底なし沼があったんだ。枯葉が落ちていて、初めは黒い水たまりだと思った。先を歩いていた、ミンとチェンが最初にはまった」
『なにこれ! 沈んでいくわ! タクト、早く魔法で助けなさいよ!』
『すごい臭いがする。これは泥炭じゃないのか!?』
「俺はチャンスだと思った。荷物を降ろすと、前にいたアビィとユナを突き飛ばして底なし沼に落とした。それから、荷物を持って逃げたんだ」
『タクト! あいつ逃げやがった。覚えてないさいよ!』
「俺は振り返らなかった。そうしないと、もう逃げられないと思った。それから、あいつらの荷物を売って資金を作り、シュナを捜したんだ。
——俺、まだ学校の借金を一回も返してないんだ」
「借金!?」
コズエが驚いた。俺が説明する。
「魔力がある子供は少ないから、国が強制的に魔法学校に入れるんだ。授業料は後払いになる」
(奨学金と同じね)
タクトが借金の続きを話す。
「俺も13歳になる年に、村に兵士が迎えに来て、魔法学校に連れて行かれたんだ。
学校にいればいるほど借金がかさむから、大体の子は特待生になれないと3年で辞めるんだ。国が欲しいのは、6年から9年間学んだ魔法使いだけ。
3年で辞めた奴が一番稼げるのは、冒険者になって野良に出ることなんだ。
生徒は辞める時に、学校からお金を借りて装備を整えることができるけど、それも借金になる。助かるけどね……」
「そうなんだ」(これが野良の魔法使いってことか)
「俺のこと信用できた?」
嘘はついてなさそうだな。ただ、タクトが冒険者に向いているかは別の話だ。故郷の村に帰っても、魔法使いの仕事なら授業料は十分返せるはずだ。
「そうだな。でも、団に入れるかは、しばらく様子を見てから決める」
「わ~い、ありがとう!」
「よろしくね」
「うん」
コズエが挨拶すると、タクトはコズエにまた手を差しだした。コズエも握手した。この二人、やっぱり似てる気がする……。
「コズエ、男の中には、女の子の手でも触りたい奴がいるんだ。気を付けないと」
「えっ!」
「そんな邪《よこしま》なこと考えてないよ!」
「なら、手を放せ」
「あ、ごめん」
タクトはコズエの手をパッと離して、顔を赤くしてつぶやいた。
「俺、ずっと誰にも話せなくて。……やっと、話を聞いてくれる人がいて、うれしかったんだ」
また旅の仲間が増えた。
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