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8~ルーン視点~
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何やら妹が語り始めたためこれはしばらくかかるなと思い、私はエリス様との運命の出会いの日を思い返していた。出会いのきっかけが妹ルルーからの相談に変わりはない。
「もう毎日毎日鬱陶しいのに断れないの!エリス様に教えてもらったとこ復習したいのに邪魔ばかりされるし、そのせいで他のご令嬢からは妬まれるし、あんのっクソ王子!」
きっかけとなったあの日、妹はかなり荒れていた。私と二人の時だけ妹は素で話すが、普段ならもう少し穏やかな性格だというのによっぽどストレスを溜めていたのがわかる。
いつもなら唯一のルルーの友人エリス様の話題で楽しいそうなのに、その時ばかりはあのバカな王子への怒りが勝ったらしい。ならば化粧をもう少し落とせば構われることもなくなるだろうに、妹は顔にコンプレックスを抱いているため自らの化粧を落とすことはなかった。
決してブサイクなわけではないが、妹のすっぴんは双子の兄である私とそっくりというか髪も切ってしまえば見分けがつかなくなるほど似ている。つまり男性寄りの顔であるわけで、何故か同じ顔なのに男の私より女性にモテる不思議。
その結果女でありながら男性に妬まれるという謎はできるし、同じ女性には明らかに友情を超えた気持ちばかり向けられ、偏見こそないもののルルーは恋よりも同性の友がほしくて仕方なかっただけに、自分のせいで令嬢同士がいがみ合うまでに発展してしまうそれは望みとは真反対の日常で、ルルーにとって地獄だった。
それをなんとかしようと化粧をいつもより濃くすることで変身したのが今の可愛らしい女性姿。自分と同じ顔がそんな化け方をすることに最初こそ複雑な思いはあったが、それでも身分は高くとも恋愛感情抜きで付き合えるエリス様に出会えたことは、ルルーにとっては泣くほど嬉しかったことだった。
それに余計なものがついてこなければ、ルルーにとって最高の学園生活だったろう。その余計なものとは今なら誰もが察するだろうバカでクソで、無能な王子とその取り巻き。魔術師のキョーモ様は立ちながら、時に歩きながら、座りながらと常に寝ていた気はするが。エリス様の兄はにこにこと笑うだけで不気味だった記憶しかない。
まあそれはそれとして、バカ王子に限界が来たのが先程のルルーであり、入れ替わることになったきっかけだ。私になりきっている間、勉強をしっかりすればいいと私が提案したこと。
そういうわけで私としてならすっぴんでもとルルーが納得して入れ替わった初日。全くバレる様子がないため、これまた複雑になりながらもルルーが借りていた本をルルーとして図書室へ返しにいったときにエリス様と出会った。
その日のエリス様は窓際でひとり、本を読んでいた。会ったこそなかったが、ルルーから色々語られてきたからか一目でエリス様だと確信して、引き込まれるように声をかけていたのは無意識の行動。
「エリス様」
「ひゃいっ!?」
少しきつそうな見た目とは裏腹に可愛い叫び声をあげるエリス様は今思い出しても可愛くて仕方ない。普段学校で声をかけられることがないせいで耐性がないとはルルーから聞いていたが、間近で見た初めてのあの日に悶えてしまったのは仕方のないことだ。
もはや一目見たその日に一目惚れし、可愛らしい姿に囚われてしまったのだと思う。それからはルルーに頼まれる度にルルーに成り代わりエリス様に会いに行った。
「これは……どうやるんですか?」
「こ、これはですね……」
人付き合いにいつまで経っても慣れない様子ながらに一生懸命教えてくれようとする姿はもちろん、私のために……いや、ルルーのためとはわかっているが、わかりやすいノートすら作ってくれたこともあり、それは今でも宝物として飾っている。
会えば会うほどにエリス様の優しさは身に染み込み、ついには男の時でさえエリス様を見守る日々。だが、私がいないところでもエリス様は私を夢中にさせた。
学園に迷い込んだ猫ににゃんにゃんと話かける姿は天使かと思ったし、お花に水をやりながら歌を歌う姿は花の妖精かと思って目をこすったり、ハンカチを落とした人を見つけて拾うも人見知りで話しかけられないせいか、一人であわあわする姿は私を悶え殺す気だったと今でも思っている。
ちなみにハンカチに関しては見ていられなかったし、私以外を追いかけるエリス様を見たくなかったので通りすがりのさっきの人の知り合いのふりをしてハンカチは引き取った。
「さっきの私の知り合いだから渡しておこうか?」
「え、あ、あの、えっと」
「大丈夫、落ち着いて」
「はぇい!」
やっぱり男だと気づかれないなぁと思いながらもこの日が男としてエリス様と出会った記念日とも言える。男性に対してはより免疫がないのか緊張しっぱなしで顔を真っ赤にするエリス様を相手に、襲いそうになるのを耐えた私は褒められてもいいだろう。
「拾ってくれてありがとね」
「ひぇっ」
しかし、これぐらいは許されてもいいんじゃ?とお礼と共にさりげなくぽんぽんとエリス様の頭を撫でた時のエリス様の反応は今でも忘れられない。
恋人になったらこんな感じかなとあらぬ妄想をしながらエリス様への想いは止まることを知らずエスカレートしていった自覚はある。ルルーにだってドン引きされたが、そうでもしないとエリス様への自制ができなかった可能性が高いので仕方ないことだったと割りきっていた。
しかし自制してきた分エリス様への愛が重くなるばかりの中、今日の婚約破棄騒動。エリス様と結婚できる可能性があるかもしれないという興奮と、こんな人前でエリス様に恥をかかせるどころか冤罪までかけやがってという怒りで色々やりすぎた気はしている。
後悔はないが。不敬罪になる前にこのバカ王子はなんとかしないとと思っていたのにルルーに止められたのだけは予想外だった。
そんなことを考えふと騒がしいトンチン様とキョーモ様により現実に戻り、エリス様を見ればきょろきょろと何かに驚くように周囲を見渡しているが、理由はよくわからない。
「と、トンキョー……き、気のせいだよね……」
ぼそりと無意識かどうかわからないくらい小さな声を聞き取ったのはきっと私だけだろう。エリス様の言葉の意味がわからなかったことだけは悔やまれるが。
「もう毎日毎日鬱陶しいのに断れないの!エリス様に教えてもらったとこ復習したいのに邪魔ばかりされるし、そのせいで他のご令嬢からは妬まれるし、あんのっクソ王子!」
きっかけとなったあの日、妹はかなり荒れていた。私と二人の時だけ妹は素で話すが、普段ならもう少し穏やかな性格だというのによっぽどストレスを溜めていたのがわかる。
いつもなら唯一のルルーの友人エリス様の話題で楽しいそうなのに、その時ばかりはあのバカな王子への怒りが勝ったらしい。ならば化粧をもう少し落とせば構われることもなくなるだろうに、妹は顔にコンプレックスを抱いているため自らの化粧を落とすことはなかった。
決してブサイクなわけではないが、妹のすっぴんは双子の兄である私とそっくりというか髪も切ってしまえば見分けがつかなくなるほど似ている。つまり男性寄りの顔であるわけで、何故か同じ顔なのに男の私より女性にモテる不思議。
その結果女でありながら男性に妬まれるという謎はできるし、同じ女性には明らかに友情を超えた気持ちばかり向けられ、偏見こそないもののルルーは恋よりも同性の友がほしくて仕方なかっただけに、自分のせいで令嬢同士がいがみ合うまでに発展してしまうそれは望みとは真反対の日常で、ルルーにとって地獄だった。
それをなんとかしようと化粧をいつもより濃くすることで変身したのが今の可愛らしい女性姿。自分と同じ顔がそんな化け方をすることに最初こそ複雑な思いはあったが、それでも身分は高くとも恋愛感情抜きで付き合えるエリス様に出会えたことは、ルルーにとっては泣くほど嬉しかったことだった。
それに余計なものがついてこなければ、ルルーにとって最高の学園生活だったろう。その余計なものとは今なら誰もが察するだろうバカでクソで、無能な王子とその取り巻き。魔術師のキョーモ様は立ちながら、時に歩きながら、座りながらと常に寝ていた気はするが。エリス様の兄はにこにこと笑うだけで不気味だった記憶しかない。
まあそれはそれとして、バカ王子に限界が来たのが先程のルルーであり、入れ替わることになったきっかけだ。私になりきっている間、勉強をしっかりすればいいと私が提案したこと。
そういうわけで私としてならすっぴんでもとルルーが納得して入れ替わった初日。全くバレる様子がないため、これまた複雑になりながらもルルーが借りていた本をルルーとして図書室へ返しにいったときにエリス様と出会った。
その日のエリス様は窓際でひとり、本を読んでいた。会ったこそなかったが、ルルーから色々語られてきたからか一目でエリス様だと確信して、引き込まれるように声をかけていたのは無意識の行動。
「エリス様」
「ひゃいっ!?」
少しきつそうな見た目とは裏腹に可愛い叫び声をあげるエリス様は今思い出しても可愛くて仕方ない。普段学校で声をかけられることがないせいで耐性がないとはルルーから聞いていたが、間近で見た初めてのあの日に悶えてしまったのは仕方のないことだ。
もはや一目見たその日に一目惚れし、可愛らしい姿に囚われてしまったのだと思う。それからはルルーに頼まれる度にルルーに成り代わりエリス様に会いに行った。
「これは……どうやるんですか?」
「こ、これはですね……」
人付き合いにいつまで経っても慣れない様子ながらに一生懸命教えてくれようとする姿はもちろん、私のために……いや、ルルーのためとはわかっているが、わかりやすいノートすら作ってくれたこともあり、それは今でも宝物として飾っている。
会えば会うほどにエリス様の優しさは身に染み込み、ついには男の時でさえエリス様を見守る日々。だが、私がいないところでもエリス様は私を夢中にさせた。
学園に迷い込んだ猫ににゃんにゃんと話かける姿は天使かと思ったし、お花に水をやりながら歌を歌う姿は花の妖精かと思って目をこすったり、ハンカチを落とした人を見つけて拾うも人見知りで話しかけられないせいか、一人であわあわする姿は私を悶え殺す気だったと今でも思っている。
ちなみにハンカチに関しては見ていられなかったし、私以外を追いかけるエリス様を見たくなかったので通りすがりのさっきの人の知り合いのふりをしてハンカチは引き取った。
「さっきの私の知り合いだから渡しておこうか?」
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「大丈夫、落ち着いて」
「はぇい!」
やっぱり男だと気づかれないなぁと思いながらもこの日が男としてエリス様と出会った記念日とも言える。男性に対してはより免疫がないのか緊張しっぱなしで顔を真っ赤にするエリス様を相手に、襲いそうになるのを耐えた私は褒められてもいいだろう。
「拾ってくれてありがとね」
「ひぇっ」
しかし、これぐらいは許されてもいいんじゃ?とお礼と共にさりげなくぽんぽんとエリス様の頭を撫でた時のエリス様の反応は今でも忘れられない。
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後悔はないが。不敬罪になる前にこのバカ王子はなんとかしないとと思っていたのにルルーに止められたのだけは予想外だった。
そんなことを考えふと騒がしいトンチン様とキョーモ様により現実に戻り、エリス様を見ればきょろきょろと何かに驚くように周囲を見渡しているが、理由はよくわからない。
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