冤罪見せしめ婚約破棄現場から救ってくれたのはストーカー?の不動の王子様でした

荷居人(にいと)

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もう逃げられないしどうしていいかわからないしで気がつけば涙が溢れて第二王子殿下を責めていた。思考を封じられればただの人形。人形でいいなら私を解放してと。

なのに第二王子殿下は決してそんな私を怒ることなく私の好きなところを一ヶ月間語ってもいいか、なんて言ってきた。もはや頭の中がぐちゃぐちゃな私はその言葉に……。

「やれるもんなら……っやってみてください!」

喧嘩でも買うかのように許可を出した。一ヶ月語り続けられるほど私は自分に自信がない。勝手に語らせていれば一週間後にされそうな結婚式は免れるし、言えなかった時にはそれを理由に何がなんでも指輪を外させて逃げてやる。

容姿については無効だし、私の内面だけを一ヶ月も語り続けるなんて私にだって無理だ。しかも好きなところだけをあげるなんて。

「よし、わかった。結婚式は延期になるが、これがユリの安心になり、幸せの道ならいくらでも語ろう。喉が乾いたり、お腹が空いたようなら止めてくれて構わない。その分の時間もちゃんと確認しながら一ヶ月分しっかりと話そう。同じことを言ってないか確認したいなら書くものも用意するが?」

「そこまでは……いいです」

早まっただろうか?あまりにも真面目に、余裕ありげな第二王子殿下に涙も引いて頭もだんだん冴えてくる。一ヶ月、一ヶ月だ。同じ人の内面を語るなんて悪いところ含めてもかなりの難易度なはず。

なのにできて当たり前みたいな様子は第二王子殿下が私のストーカー……だから?ストーカーを私は甘く見ていたのだろうか?

その結果は………きっちり一ヶ月分語り終えてもまだ語り足りないとばかりの第二王子殿下にて証明された。聞き終わった私はもはや恐怖や混乱などによる涙ではなく、羞恥による涙が溢れそうだった。

所謂褒め殺し。途中から楽しげに、惚れ惚れとした様子の第二王子殿下に不動と言わせてきた無表情の顔は緩み、余計に羞恥を煽る始末。どれだけ私に惚れているのか。決して人形にしたいわけじゃないというのが嫌でも伝わってきた。

だから途中でもういいとは言ったのだが……。

「約束は守る。ユリに対して信用をなくすようなことはしたくない」

と言われ私は一ヶ月間何の修行をしているのかと思う日々を過ごし……気がつけば結婚式当日になっていた。あれ?

「ああ……っまるで空から舞い降りた天使のようだ!あ、決して容姿だけではなく、ユリの内面の美しさが出ているということで……し、信じられないならまた語るが……!」

「いえ、結構です。あの、式が進まないのでお静かにお願いします……」

「あ、ああ……すまない。つい興奮して」

神父の言葉が出る前に興奮を隠さない第二王子殿下に周囲は唖然。不動の王子の二つ名が消える日は近いかもしれない。

私はもう逃げられないが、なんだかんだ一番私を大事にしてくれそうなので何とかやっていこうと思う。

…………フドウ様と。

「今、私の名を呼んだか!?」

「神父様のお話を遮らないでください!」

「進めてもよろしいですかな?」

取りあえずは式を終わらせるのが第一目標です。

おわり













あとがき
短編なのでこんな終わり方で申し訳ないです……。ただ、こちらは番外編を書く予定です。完結と連載中を分けるため、番外編が長くなりそうなのもあり別作品として第四弾のように分けようと思います。

公開次第こちらの作品にて新たなページを作りお知らせいたします。

書く内容はざまあ対象二人のその後やヤンデェレ様のこと、国民ストーカーの国王の日常や今回でなかった王妃様のこと、ユリとフドウ王子の後日談などを書く予定ですのでお楽しみに!
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