聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜

文字の大きさ
15 / 57

第15話 今日から私メイドになります!①

しおりを挟む
今日は朝からレイと一緒に、白亜の城へ向かう馬車に揺られていた。
3日振りの城だ。

昨日、マリアンヌさんに街までついてきてもらって、通勤のほかに普段にも着れるようなドレスを買いに洋服店に行った。
私は一枚でよかったのだけど、マリアンヌさんとお店の人がノリノリで、着せ替え人形状態にさせられたのち、マリアンヌさんがどうしてもって言って、三枚も買って頂いてしまった。
きっと2週間分のお給料じゃ、全然足りないよね……。

今日の初出勤には、きれいな若草色の清楚な感じのドレスを選んだ。
長い袖部分がふんわりとオーガンジーで少し肌が透けて見える。たっぷりめの袖が気に入ってて、着心地もとてもいい。
もちろん、胸元はあいていない首までしっかりあるものを選んだ。

私の前に座るレイをこっそり見る。
彼は朝が弱いのか、いつにもまして無口で、今も腕を組んで目を閉じている。
どうやら微睡まどろんでいるようだ。

近衛騎士団の隊服に身を包む彼を、間近でちゃんと見るのは、今日が初めて。
詰襟つめえりに純白の軍服、襟元えりもとには階級をあらわすバッジが、胸元に騎士団長を表す勲章がついている。
めちゃくちゃカッコイイーーー!!

さらさらの銀髪に白い肌。スラリとした細身だけど広い肩幅の彼に、白い軍服がかっちりとして、すごく似合っている。
こうしてみると、睫毛まつげ、長いんだ。
眉も細めで形もよい。私好みの眉の形してる。
なんか、いつまでも見てられるかも。
目を閉じているのをいいことに、彼の顔をじっくり観察してしまった。

彼が乙女ゲームの攻略対象キャラじゃなくて、よかったぁ~。しみじみ。
きっと攻略キャラだったら、攻略相手に選んでた。…かも知れない(笑)
そして、間違いなく課金、ね……。

なんて、わけわからないオタクめいたことを考えているうちに、私たちを乗せた馬車は城へと着いた。

いよいよ私の記念すべき初出勤の第一日目が始まる。

私は、城で掃除やお茶を運んだりする仕事をすることになった。つまり、メイドさん!!
レイからお仕事の話を聞かされたとき、あまりに嬉しくて

「ええっ!?メイドが出来るの!?ほんとに!?やったぁ~!!うふふ…」
と歓喜の声をあげてしまった。
言うまでもなく、彼からは、変な生き物を見るような目で、見られてしまったけど。

いや、だってメイドさんでしょ?
じつは、メイドさんの格好にすっごく憧れてたの。
ほんとはメイドカフェでバイトもしてみたかったのだけど、地味で人見知りの私には、無理無理って感じで。
ハードル高すぎて、バイトに応募する勇気がなかった。

でも、その憧れのメイドになれるうえに、制服も黒のドレスに白いエプロン。
それだけで、テンションあがっちゃうじゃない。

支給された制服を手にしたときは、もうめちゃくちゃ嬉しくて。きっと顔が自然とニヤついていたんだと思う。
その場に一緒にいたレイにも「嬉しそうだな」なんて言われてしまった。
だって、仕方がない。嬉しかったんだもん。

黒のドレスを着て、白いエプロンの腰のリボンを後ろでキュッと結ぶと、もう嬉しくて嬉しくて。
大きな鏡の前でくるっと回って、背中、前、そして横と、メイドの格好して自分の姿にテンションもMAXに喜んでしまった。

可愛いよ~、可愛いっ、可愛すぎる!このメイド服っ!!
眼鏡をかけれないのが、ちょっと残念。
この世界に来た時にかけていた眼鏡は落としちゃったから、今はもっていないけど、眼鏡&メイド服も見てみたかったな。

私は可愛いメイド服に着替えて、ドキドキしながら新しい職場にいた。
新しい仕事にくときって、初めての環境での緊張と、新しいことへのわくわく感があって、なんかちょっと楽しい。
私の帰りは、レイの騎士の仕事が終わるのに合わせることになったので、私もそれまでは城で過ごすこととなる。

「ミツキ、お前はエリザと一緒に仕事をしてくれ」
そう言ったのは、使用人たちを取りまとめる執事長のタリアン・ドレイク・ベシエールさん。
スラリと細身の長身に、黒の執事服がピタリと似合ってる。ゆるくウェーブがかった黒い髪に、紫の瞳。細い銀縁の眼鏡を掛けて少し神経質そうに見えるけど、まだ20代後半な感じで、彼もなかなかイケメンだ。

誰かに似ているような気もするけど……

で、私が色々と一緒に仕事をすることとなったエリザさん、というか、ちゃんのほうがしっくりくるかな。彼女は私より4つ下の16歳。長い赤毛を三つ編みにして耳の横で輪っかにしてくくっている。

アーモンド色の瞳に化粧っ気があまりなく、まだ幼さが残っている。彼女の家には、エリザのほかにまだ幼い弟と妹、それからまだ赤ちゃんの弟がいて、彼女は四人兄弟の一番上だそうだ。
エリザもメイドとして城にきてからまだ三ヶ月ほどらしい。

「よろしくね!ミツキ」
ほがらかな笑顔の似合うエリザが差し出した右手を、私は嬉しい気持ちいっぱいで握り返した。
「よろしくお願いします、エリザ!」
なんだか、良いお友達になれそう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

令嬢から成り下がったメイドの分際で、侯爵様と目が合ってしまって

真好
恋愛
彼はメイドの私に手を差し出した。「私と、踊っていただけませんか?」 かつては公爵令嬢として、誰もが羨む生活を送っていたエルナ。 しかし、国家反逆罪で家は没落し、今は嫌な貴族の下で働く「身分落ち」のメイド。 二度と表舞台に立つことなどないはずだった。 あの日の豪華絢爛な舞踏会で、彼と目が合うまでは。 アルフォンス・ベルンハルト侯爵。 冷徹な「戦場の英雄」として国中の注目を集める、今もっともホットで、もっとも手が届かない男。 退屈そうに会場を見渡していた彼の視線が、影に徹していた私を捉えて。 彼は真っ直ぐに歩み寄り、埃まみれの私に手を差し出した。 「私と、踊っていただけませんか?」 メイドの分際で、英雄のパートナー!? 前代未聞のスキャンダルから始まる逆転劇。

処理中です...