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第20話 夜の庭で泣いてもいいですか?②
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美月が駆けていくのを見送ったあと、ルーセルはさてと、と少し離れた木々の方へと視線を配る。
「ほんと素直じゃないんだから。よく似てるよ、二人とも」
木立へと近づき、声を掛ける。
「そろそろ出てきたらどうだ」
木の陰から姿を見せたのは、レイファスだった。
「ひどい顔だな」
「うるさい」
レイファスは眉間に皺を寄せ、短く息を吐き出す。
「気になって後をつけるくらいなら、お前が行けばよかっただろう」
「俺なんかがいっても、お前のように上手くできない」
今度はルーセルが、盛大な溜息をついた。
「お子様だな」
「はあ?」
イラッとした顔をして、レイファスがルーセルを睨む。
「こういうことは上手く出来る出来ないじゃない。素直にお前の言葉で向き合えばいいんだ」
ついでにもう一度、お子様だと付け加えた。
「マジうるさい。女たらしのお前と一緒にするな」
「気になるのに、女性を一人で泣かすより、ずっとマシだ。それに、俺は女たらしではない。周りの女性が俺を放っておかないだけだ」
フフンと鼻を鳴らし、斜め上からレイファスを見やる。
「………………」
呆れて、突っ込む気すらしない。
「お前とミツキは似ているな」
「は?どこが」
「周りに気を使いすぎて、自分に素直になれないところとかだ。まあ、ミツキのほうが、純粋で聞き分けも良くて、可愛い。お前は、可愛げがない」
「悪かったな。気色悪い」
レイファスは心底嫌そうな表情をして、笑みを浮かべるルーセルを睨んだ。
「だからなおさら、彼女を放って置けないんだろう」
「……べつに、そういうわけでは」
レイファスはルーセルから視線を反らす。
視線を落としたその先に、いつの間にそこにいたのだろう。
草の間に木々の妖精が1匹、葉の上に座って首をかしげこちらを見ている。
妖精と目が合うと、なぜ、素直にならないのか?とまるで問われているようだ。
ルーセルの言う通りだということは、よくわかっている。
はあ……
つい、大きな溜息が出て、肩を落とす。
「彼女は、もう大丈夫だ」
ルーセルがきっぱりと言った。
やっぱり悔しいが、ルーセルは自分より大人だ。レイはいつもそう思ってしまう。
この男には、敵わない。この余裕はどうすれば持てるのだろうか。
ルーセルは、右手をレイファスの肩にパシッとのせて、にっこりと笑った。
「あとは任せたよ。お前はお前のままで、向き合えばいいと思うけどね」
そう言うと、トンッともう一度肩を叩いて、背中を向けた。
2,3歩進んだところで、ルーセルが肩越し振り返る。
「ああ、そうだ!お前……今夜は城に泊まりな」
「はあっ!?」
「急な任務だ」
「なんだ、それ。初耳だが?」
「俺もついさっき初耳だ。ミツキは俺ん家の馬車でランドルフ家に送る。お前ん家にもそのように手配はしたから」
「おい、待てよ」
「お前の仏頂面と二人きりで馬車で帰るとか、気まず過ぎるだろ」
「うっ……ん、まあ、そうかも知れないが……」
「お前、明日はちょうど休みだろ?ちょうどいいじゃないか、もう一つの世界から来た彼女を街に案内してはどうかな。せっかくだしな」
「……ルーセル。いつから俺は明日、非番になった?……それも、初耳だ」
「あれ?そうだったかな。まあ、これは宰相からの任務だ」
「任務の時点で、休みではないだろ」
「細かいことを言うな。じゃあ、頼んだよ」
そう言うと、彼はひらひらと手を振りながら去って行った。
一人残されたレイファスは軽くため息をつき、ふと視線を落とす。
先ほど草の上に座っていた妖精と目があった。にこにこと楽しそうに笑っている。
「なあ、街の案内って、どこがいいと思う?」
「ほんと素直じゃないんだから。よく似てるよ、二人とも」
木立へと近づき、声を掛ける。
「そろそろ出てきたらどうだ」
木の陰から姿を見せたのは、レイファスだった。
「ひどい顔だな」
「うるさい」
レイファスは眉間に皺を寄せ、短く息を吐き出す。
「気になって後をつけるくらいなら、お前が行けばよかっただろう」
「俺なんかがいっても、お前のように上手くできない」
今度はルーセルが、盛大な溜息をついた。
「お子様だな」
「はあ?」
イラッとした顔をして、レイファスがルーセルを睨む。
「こういうことは上手く出来る出来ないじゃない。素直にお前の言葉で向き合えばいいんだ」
ついでにもう一度、お子様だと付け加えた。
「マジうるさい。女たらしのお前と一緒にするな」
「気になるのに、女性を一人で泣かすより、ずっとマシだ。それに、俺は女たらしではない。周りの女性が俺を放っておかないだけだ」
フフンと鼻を鳴らし、斜め上からレイファスを見やる。
「………………」
呆れて、突っ込む気すらしない。
「お前とミツキは似ているな」
「は?どこが」
「周りに気を使いすぎて、自分に素直になれないところとかだ。まあ、ミツキのほうが、純粋で聞き分けも良くて、可愛い。お前は、可愛げがない」
「悪かったな。気色悪い」
レイファスは心底嫌そうな表情をして、笑みを浮かべるルーセルを睨んだ。
「だからなおさら、彼女を放って置けないんだろう」
「……べつに、そういうわけでは」
レイファスはルーセルから視線を反らす。
視線を落としたその先に、いつの間にそこにいたのだろう。
草の間に木々の妖精が1匹、葉の上に座って首をかしげこちらを見ている。
妖精と目が合うと、なぜ、素直にならないのか?とまるで問われているようだ。
ルーセルの言う通りだということは、よくわかっている。
はあ……
つい、大きな溜息が出て、肩を落とす。
「彼女は、もう大丈夫だ」
ルーセルがきっぱりと言った。
やっぱり悔しいが、ルーセルは自分より大人だ。レイはいつもそう思ってしまう。
この男には、敵わない。この余裕はどうすれば持てるのだろうか。
ルーセルは、右手をレイファスの肩にパシッとのせて、にっこりと笑った。
「あとは任せたよ。お前はお前のままで、向き合えばいいと思うけどね」
そう言うと、トンッともう一度肩を叩いて、背中を向けた。
2,3歩進んだところで、ルーセルが肩越し振り返る。
「ああ、そうだ!お前……今夜は城に泊まりな」
「はあっ!?」
「急な任務だ」
「なんだ、それ。初耳だが?」
「俺もついさっき初耳だ。ミツキは俺ん家の馬車でランドルフ家に送る。お前ん家にもそのように手配はしたから」
「おい、待てよ」
「お前の仏頂面と二人きりで馬車で帰るとか、気まず過ぎるだろ」
「うっ……ん、まあ、そうかも知れないが……」
「お前、明日はちょうど休みだろ?ちょうどいいじゃないか、もう一つの世界から来た彼女を街に案内してはどうかな。せっかくだしな」
「……ルーセル。いつから俺は明日、非番になった?……それも、初耳だ」
「あれ?そうだったかな。まあ、これは宰相からの任務だ」
「任務の時点で、休みではないだろ」
「細かいことを言うな。じゃあ、頼んだよ」
そう言うと、彼はひらひらと手を振りながら去って行った。
一人残されたレイファスは軽くため息をつき、ふと視線を落とす。
先ほど草の上に座っていた妖精と目があった。にこにこと楽しそうに笑っている。
「なあ、街の案内って、どこがいいと思う?」
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