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第4章
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手を掴んだままぐんぐんと進むクライブ殿下の背中を見つめながら、私は自分の頭の中を占領する沢山の疑問符に混乱していた。
とりあえず、言い回しが気になったのは置いておこう。きっと普段の私達を知っているエルフリーデ先輩なら変な誤解もしないと思うし。でも、だ。官吏が外国に旅行に行くときには上司の許可が必要なんて話は聞いたことがない。大体、クライブ殿下と一緒でなければどこにも行けないなんて、実質私に行動の自由がないのと同じだ。前世と違って労働者の権利なんて概念がないのは知っていたけれど、それにしても行動の制限が多すぎる。有給休暇なんて贅沢は言わないけれど、そんな規則では奇跡的に結婚できたとしても新婚旅行どころか生活がままならないじゃない。
そこまで考えて、ふっと思考が声に出た。
「結婚したら仕事しちゃダメってことかしら」
この国では、いわゆる平民の人達でも既婚女性が仕事を持つことは少ない。実家や結婚相手が商売をしていたらそのお店を手伝うことは一般的でも、外に働きに出るのはごく少数で、仕事内容だって限られるのだ。
官吏や王宮侍女として働く女性たちも未婚の人がほとんどで、ごく稀に信頼の厚い人が王や王妃に頼まれて残っているだけ。とすると、私も結婚と仕事の両立は難しいのだろう。
それはそれで仕方ない。まぁ結婚するより両親と暮らす方が楽しそうだし、と呑気な結論を脳内で導いていた私は、不意に殿下が足を止めたのに気付くのが遅れた。そのせいで勢いよく鼻を殿下の背中にぶつけてしまった。
「ーーー結婚しても仕事は続けてもらう。リディアが望んでも辞める選択肢は与えられないからな」
ぶつけた鼻を撫でている私に聞こえたのは苦い色を含んだ殿下の声だった。
「あの、殿下?」
「俺は自分の立場も責務も捨てられない。それを捨ててしまえば俺が俺でいる意味が無くなるからな。だから俺の側にいるリディアにも行動に制限が出る。すまないという気持ちはあるが、どうしようもないことだ」
「そ、そんな気にしていただくことじゃないので、大丈夫です。殿下と一緒なら先輩の国にだって行けるってことでしょう?一生行けないんじゃないですから」
きっと王太子殿下のそば近くで仕事をする秘書には守秘義務とかあるのかもしれない。それに今は少なくしてもらっているけれど、学生でなくなれば仕事量だって増えるのだろう。高い給料だしそれに伴って仕事が大変でも仕方ない。
「うんうん」と自己完結で納得していると、くるりと振り返ったクライブ殿下が苦笑いを浮かべながら私の頭に手を乗せた。
とりあえず、言い回しが気になったのは置いておこう。きっと普段の私達を知っているエルフリーデ先輩なら変な誤解もしないと思うし。でも、だ。官吏が外国に旅行に行くときには上司の許可が必要なんて話は聞いたことがない。大体、クライブ殿下と一緒でなければどこにも行けないなんて、実質私に行動の自由がないのと同じだ。前世と違って労働者の権利なんて概念がないのは知っていたけれど、それにしても行動の制限が多すぎる。有給休暇なんて贅沢は言わないけれど、そんな規則では奇跡的に結婚できたとしても新婚旅行どころか生活がままならないじゃない。
そこまで考えて、ふっと思考が声に出た。
「結婚したら仕事しちゃダメってことかしら」
この国では、いわゆる平民の人達でも既婚女性が仕事を持つことは少ない。実家や結婚相手が商売をしていたらそのお店を手伝うことは一般的でも、外に働きに出るのはごく少数で、仕事内容だって限られるのだ。
官吏や王宮侍女として働く女性たちも未婚の人がほとんどで、ごく稀に信頼の厚い人が王や王妃に頼まれて残っているだけ。とすると、私も結婚と仕事の両立は難しいのだろう。
それはそれで仕方ない。まぁ結婚するより両親と暮らす方が楽しそうだし、と呑気な結論を脳内で導いていた私は、不意に殿下が足を止めたのに気付くのが遅れた。そのせいで勢いよく鼻を殿下の背中にぶつけてしまった。
「ーーー結婚しても仕事は続けてもらう。リディアが望んでも辞める選択肢は与えられないからな」
ぶつけた鼻を撫でている私に聞こえたのは苦い色を含んだ殿下の声だった。
「あの、殿下?」
「俺は自分の立場も責務も捨てられない。それを捨ててしまえば俺が俺でいる意味が無くなるからな。だから俺の側にいるリディアにも行動に制限が出る。すまないという気持ちはあるが、どうしようもないことだ」
「そ、そんな気にしていただくことじゃないので、大丈夫です。殿下と一緒なら先輩の国にだって行けるってことでしょう?一生行けないんじゃないですから」
きっと王太子殿下のそば近くで仕事をする秘書には守秘義務とかあるのかもしれない。それに今は少なくしてもらっているけれど、学生でなくなれば仕事量だって増えるのだろう。高い給料だしそれに伴って仕事が大変でも仕方ない。
「うんうん」と自己完結で納得していると、くるりと振り返ったクライブ殿下が苦笑いを浮かべながら私の頭に手を乗せた。
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