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1】高校3年の春
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1】高校3年の春
俺の名前は綾瀬葵。特に高校デビューも特にしないまま、もう最後の3年になった。教室内では、少しずつ彼氏が出来た、彼女が出来たという恋愛の話を聞くようになりつつ。周囲は青春を謳歌しているらしい。だが俺は、変わらず彼女。恋人がいない。年齢=彼女いない歴。告白されたことも無い、俗にいう、DT。童貞だ。(自分で言っておいて何だが、妙に傷つくな。これ)
だが、人並に恋はしている。それこそ、物心ついた頃から同じ人に。実らない片思いを、ずっと続けている。不毛過ぎる恋。自分でも分かっているのに、諦めることも出来ない。
(はぁ……とうとう最後の3年になってしまった……)
高校3年になったところで、俺の片思い歴の記録を更新するだけなんだけど。
クラス替えも落ち着き、桜の花が散ってしまった春先。教室の窓から外を見ながら、そんなことを思った。
(あ、ちょっと今の俺。文学的かも。)
なんて。読書が好きだからか、そんなことを考えてしまうのは心の余裕か。それとも現実逃避か。
「はぁ……」
チラリと窓から教室の先を見る。時間は、まだ昼休み。あはは! と楽しげな声は、いつだってクラスの中心。クラス替えがあったって、すぐにクラスのムードメーカーになるアイツ────春樹の声。誰に言うわけでもないが、俺が片思いしている相手。
(くそっ……今日も顔が良いな)
天城春樹。俗にいう、さわやかイケメンの春樹は明るく、社交的だ。人望も厚く、学年問わずモテている。高校入学以前からモテていて、内心俺は春樹に彼女が出来てしまうかもしれないと、ずっとヒヤヒヤし続けている。
なのにだ。此方は不安だっていうのに、春樹のことが好きな女子から、春樹は何が好きなの? と、情報収集されたのも一度や二度ではない。まぁ……教えてと言われて、今まで教えてことはないんだけど。
(だってさ、俺だって春樹のこと好きなわけだし)
実際、春樹に教えないでくれと言われているのを建前に、実際の俺は普通に春樹が取られるのが嫌で教えたことがない。
そんな風に、俺が今日も片思いを拗らせている時だ。
「うん? どうした、葵」
他のクラスメイトと話していたのに、俺の視線に気づいたのかパッと俺の方を見た春樹。しかも満面の笑み付きで。そのまま俺の机の方へやって来て、「ん?」というものだから、思わず照れた。
「別に……何でも無い。ちょっと時計を見てただけだし」
「そっか。あ! なぁ、次の授業のプリントやった? 俺やってなくて見せてくれよ」
「えぇ……ヤバイだろ。まぁ、いいけど。ほら」
机の中から、午後に使うプリントを出した。春樹がしていないなんて、珍しいこともあるなと思っていると、春樹が嬉しそうに、また笑顔を俺に向けた。
「サンキュ!」
「うん」
急いで自分の席へ戻ったかと思えば、机の中からプリントも取り出して、再び俺の方へやって来た春樹。
「わっ、ちょっ! 春樹! 自分の席で写せよ」
「いいじゃん」
「いや、俺の席狭くなるだろ」
「小さいことは気にするなって」
ドキドキドキ。
俺は良くなんだよと思いつつ、俺の席で真剣な顔でプリントを映し出す春樹。これまた真剣な顔も無駄に顔が良くて、内心ドキドキした。たった数分で済むことが、出来れば長くかかれば良いと思う。
(本当に、俺ばっかりが春樹のこと好きだな)
心臓は煩くドキドキドキ鳴り続けるまま。俺は黙って春樹の顔を見つめた。
俺、綾瀬葵。高校3年。
高校に入学する頃から、幼馴染でクラスのムードメーカーのモテ男に片思いしている。
*********
始めてみました
エントリーもしてみました…!ゆるゆる更新出来ればと思っています
読んで頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します
俺の名前は綾瀬葵。特に高校デビューも特にしないまま、もう最後の3年になった。教室内では、少しずつ彼氏が出来た、彼女が出来たという恋愛の話を聞くようになりつつ。周囲は青春を謳歌しているらしい。だが俺は、変わらず彼女。恋人がいない。年齢=彼女いない歴。告白されたことも無い、俗にいう、DT。童貞だ。(自分で言っておいて何だが、妙に傷つくな。これ)
だが、人並に恋はしている。それこそ、物心ついた頃から同じ人に。実らない片思いを、ずっと続けている。不毛過ぎる恋。自分でも分かっているのに、諦めることも出来ない。
(はぁ……とうとう最後の3年になってしまった……)
高校3年になったところで、俺の片思い歴の記録を更新するだけなんだけど。
クラス替えも落ち着き、桜の花が散ってしまった春先。教室の窓から外を見ながら、そんなことを思った。
(あ、ちょっと今の俺。文学的かも。)
なんて。読書が好きだからか、そんなことを考えてしまうのは心の余裕か。それとも現実逃避か。
「はぁ……」
チラリと窓から教室の先を見る。時間は、まだ昼休み。あはは! と楽しげな声は、いつだってクラスの中心。クラス替えがあったって、すぐにクラスのムードメーカーになるアイツ────春樹の声。誰に言うわけでもないが、俺が片思いしている相手。
(くそっ……今日も顔が良いな)
天城春樹。俗にいう、さわやかイケメンの春樹は明るく、社交的だ。人望も厚く、学年問わずモテている。高校入学以前からモテていて、内心俺は春樹に彼女が出来てしまうかもしれないと、ずっとヒヤヒヤし続けている。
なのにだ。此方は不安だっていうのに、春樹のことが好きな女子から、春樹は何が好きなの? と、情報収集されたのも一度や二度ではない。まぁ……教えてと言われて、今まで教えてことはないんだけど。
(だってさ、俺だって春樹のこと好きなわけだし)
実際、春樹に教えないでくれと言われているのを建前に、実際の俺は普通に春樹が取られるのが嫌で教えたことがない。
そんな風に、俺が今日も片思いを拗らせている時だ。
「うん? どうした、葵」
他のクラスメイトと話していたのに、俺の視線に気づいたのかパッと俺の方を見た春樹。しかも満面の笑み付きで。そのまま俺の机の方へやって来て、「ん?」というものだから、思わず照れた。
「別に……何でも無い。ちょっと時計を見てただけだし」
「そっか。あ! なぁ、次の授業のプリントやった? 俺やってなくて見せてくれよ」
「えぇ……ヤバイだろ。まぁ、いいけど。ほら」
机の中から、午後に使うプリントを出した。春樹がしていないなんて、珍しいこともあるなと思っていると、春樹が嬉しそうに、また笑顔を俺に向けた。
「サンキュ!」
「うん」
急いで自分の席へ戻ったかと思えば、机の中からプリントも取り出して、再び俺の方へやって来た春樹。
「わっ、ちょっ! 春樹! 自分の席で写せよ」
「いいじゃん」
「いや、俺の席狭くなるだろ」
「小さいことは気にするなって」
ドキドキドキ。
俺は良くなんだよと思いつつ、俺の席で真剣な顔でプリントを映し出す春樹。これまた真剣な顔も無駄に顔が良くて、内心ドキドキした。たった数分で済むことが、出来れば長くかかれば良いと思う。
(本当に、俺ばっかりが春樹のこと好きだな)
心臓は煩くドキドキドキ鳴り続けるまま。俺は黙って春樹の顔を見つめた。
俺、綾瀬葵。高校3年。
高校に入学する頃から、幼馴染でクラスのムードメーカーのモテ男に片思いしている。
*********
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読んで頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します
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