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15】反則とコロッケ
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15】反則とコロッケ
海野さんが、店長として俺と接しつつ。弁当の手渡しが終われば、友達のようになる。
「じゃあ、水野さん。また来てね?」
こういうところ、無自覚だとしたらズルいと思う。俺以外なら、多分老若男女問わず恋に落ちてしまうくらいの、高低差。格好良いのに可愛い。無敵過ぎるぞ、海野さん……! 恋愛経験の無い俺からすれば、このイケメンの一言すら緊張してしまう。返事と思って口を出たのは、「多分」の一言。
「多分」
「多分て」
あの時の俺は、そう答えるのが精一杯だった。
ヒラリと手を小さく振った海野さんに、俺も小さく手を振り返して店を出る。扉を開けたと同時に、女性のお客さんが入って来て良いタイミングだったと思った。「海野さん」と昨日のように可愛い声を聞きながら店を出て、少し歩き出したあと。ふとさっきの出来事を思い返した。昨日のような、変なモヤモヤは無い。
(あれ……? 俺。結構友達のように、返すことが出来たんじゃないか? うん。昨日より自然に出来たし!)
不思議と上機嫌だ。手にした袋の中の弁当をチラリと見る。早く家に帰って、すぐにでもコロッケ弁当が食べたい。店に来る前の重たい足取りが嘘のようだ。おまけに逃げるように出て行ったのに、今日は笑顔で帰る余裕があった。心の中で鼻歌を歌ってしまう。駅の改札口を抜け、いつもの駅で降りて。それから家に帰り着いた。
「ただいま」
今日も今日とて、誰もいない我が家に声をかける。この前酔った勢いで、玄関に返事をする小さなロボットを買ってしまいそうだった。着ている上着を脱いで、手洗いうがい。いつものように夕食の準備だ。
「ふんふん♪」
我が家では自由で鼻歌を歌いながら、コロッケ弁当を袋から取り出し電子レンジへ。蓋越しに見たコロッケは、ハンバーグのように存在感があった。これも手作りだろう。
「手作りのコロッケとか、実家にいた時以来だな」
その間に他の準備。何なら、少し残っていた野菜を切ったりして即席のサラダも作ってみた。お湯が沸くよりも早く、レンチンが終わる。開けてみれば、また美味しそうな匂いがして、チラリとやかんも見たが沸くまで時間がかかりそうだった。
「先に食べちゃお」
美味しい物は、温かいうちに食べるのが吉だ。お湯はどうせ後で沸くし、それよりもコロッケだ。テーブルに弁当を持って来て、サラダを並べ思わず小さな歓声をあげた。
「サラダ付きだ……!」
思わず写メを1枚。それからすぐに両手を合わせた。
「頂きます」
早速大きく丸いコロッケに箸を伸ばす。衣の中の具が多いのか、箸に力が入った。割れた断面から見えた。圧倒的じゃがいも。それからチラホラと見えるそぼろ。すぐに口へ運べば、ソースをかけなくても、しっかりと味のついた美味しいコロッケだった。
「今日のコロッケもうまっ……!」
今日の晩御飯も美味い。それに、海野さんと友達にもなれた。
「はぁ~……今日は良い日だったなぁ」
そう思いながら、海野さんを思い出し。
『俺も、宜しくお願いします』
「でもやっぱり、突然の『俺』は反則だろ」
と、一人ツッコミを入れたのだった。
*******
次の話は、70~800くらいの短い予定です><
海野さんが、店長として俺と接しつつ。弁当の手渡しが終われば、友達のようになる。
「じゃあ、水野さん。また来てね?」
こういうところ、無自覚だとしたらズルいと思う。俺以外なら、多分老若男女問わず恋に落ちてしまうくらいの、高低差。格好良いのに可愛い。無敵過ぎるぞ、海野さん……! 恋愛経験の無い俺からすれば、このイケメンの一言すら緊張してしまう。返事と思って口を出たのは、「多分」の一言。
「多分」
「多分て」
あの時の俺は、そう答えるのが精一杯だった。
ヒラリと手を小さく振った海野さんに、俺も小さく手を振り返して店を出る。扉を開けたと同時に、女性のお客さんが入って来て良いタイミングだったと思った。「海野さん」と昨日のように可愛い声を聞きながら店を出て、少し歩き出したあと。ふとさっきの出来事を思い返した。昨日のような、変なモヤモヤは無い。
(あれ……? 俺。結構友達のように、返すことが出来たんじゃないか? うん。昨日より自然に出来たし!)
不思議と上機嫌だ。手にした袋の中の弁当をチラリと見る。早く家に帰って、すぐにでもコロッケ弁当が食べたい。店に来る前の重たい足取りが嘘のようだ。おまけに逃げるように出て行ったのに、今日は笑顔で帰る余裕があった。心の中で鼻歌を歌ってしまう。駅の改札口を抜け、いつもの駅で降りて。それから家に帰り着いた。
「ただいま」
今日も今日とて、誰もいない我が家に声をかける。この前酔った勢いで、玄関に返事をする小さなロボットを買ってしまいそうだった。着ている上着を脱いで、手洗いうがい。いつものように夕食の準備だ。
「ふんふん♪」
我が家では自由で鼻歌を歌いながら、コロッケ弁当を袋から取り出し電子レンジへ。蓋越しに見たコロッケは、ハンバーグのように存在感があった。これも手作りだろう。
「手作りのコロッケとか、実家にいた時以来だな」
その間に他の準備。何なら、少し残っていた野菜を切ったりして即席のサラダも作ってみた。お湯が沸くよりも早く、レンチンが終わる。開けてみれば、また美味しそうな匂いがして、チラリとやかんも見たが沸くまで時間がかかりそうだった。
「先に食べちゃお」
美味しい物は、温かいうちに食べるのが吉だ。お湯はどうせ後で沸くし、それよりもコロッケだ。テーブルに弁当を持って来て、サラダを並べ思わず小さな歓声をあげた。
「サラダ付きだ……!」
思わず写メを1枚。それからすぐに両手を合わせた。
「頂きます」
早速大きく丸いコロッケに箸を伸ばす。衣の中の具が多いのか、箸に力が入った。割れた断面から見えた。圧倒的じゃがいも。それからチラホラと見えるそぼろ。すぐに口へ運べば、ソースをかけなくても、しっかりと味のついた美味しいコロッケだった。
「今日のコロッケもうまっ……!」
今日の晩御飯も美味い。それに、海野さんと友達にもなれた。
「はぁ~……今日は良い日だったなぁ」
そう思いながら、海野さんを思い出し。
『俺も、宜しくお願いします』
「でもやっぱり、突然の『俺』は反則だろ」
と、一人ツッコミを入れたのだった。
*******
次の話は、70~800くらいの短い予定です><
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